転スラ世界に転生して砂になった話   作:黒千

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119話 謁見式②

 

 俺の魔王就任お披露目イベントの一つ、謁見式。

 その最終日を明日に控えた夜、遠征中で到着の遅れていた幹部達が帰還した。

 ディアブロとハクロウ、それにゲルドだ。

 

「おおリムル様、相変わらず威厳のある御姿……! 謁見式ではさぞ神々しく偉大なる支配者の風格をお示しになったことでしょう……リムル様の晴れ姿を拝見出来ず胸が張り裂けそうな日々を過ごしておりましたがこうして久しぶりに見えることが叶い私は」

「長いぞディアブロ」

 

 久しぶりとは言うがコイツ……最近こそ戴冠式の準備が大詰めでファルムスを離れられなかったようだが、その前はかなりの頻度でちょくちょく戻って来ていたような。『空間移動』が使えず一度も戻って来ていないハクロウの方が久しぶりである。

 ユーラザニア跡地で建設任務に就くゲルドは、時々は定例報告のためテンペストに姿を見せていた。今回はフレイの配慮で休暇を取ってきたそうだ。

 

「皆、御苦労だったな。謁見式が終われば開国祭だ、お前達にも幹部として協力して貰う必要はあるが……せっかくの祭りだからな、楽しんでくれ」

「ハッ、魔国の一大行事とあらばオレも尽力致します。何なりとお申し付け下さい」

「いやゲルド、楽しめって言ったんだぞ……?」

「ほっほっ、町の様子も随分と賑やかになっておりましたな。ところでリムル様……レトラ様は、どうかされたのですかな?」

 

 あ、あー……うん、レトラね。こういう時、欠かさず出迎えに来て、笑顔で皆を労うのがレトラだからな。いないのは妙というか、何かあったのかと心配にもなるだろう。

 今あいつも来るから……と返した俺は、やはり言っておいた方がいいかと判断して続ける。

 

「あのな、前回ハクロウとディアブロが欠席した会議でな……新たに決まったことがあるんだよ。この開国祭の期間中、特別な業務をレトラに──」

 

 その途中で、カチャリと執務室のドアが開いた。

 入って来たのは、砂色の長い髪に髪飾りを挿し、輝くばかりの上等な着物を纏った姫君。

 一番上に羽織る着物は透けるほどに薄く、ほんのりと淡い薄紅地に施された刺繍が見事である。シュナ達はこの短期間でどれだけの衣装を用意したんだか。

 

「三人とも、戻って来たんだね。出張ご苦労様」

 

 お淑やかに、と言ったら睨まれそうだが、花のような美貌がそっと微笑む様は儚げながらも印象的だ。最早可愛いという表現では足りていない。美しい。

 俺の系譜に連なる者なら、俺と同格の存在であるそいつの正体を魂で理解出来るはずだが……静かに頭を下げたゲルドと違って、ディアブロとハクロウはそうもいかなかった。

 

「……レ、トラ、様……?」

「……その、御姿は……一体……?」

 

 夢か幻でも見たように目が見開かれ、切れ切れの声が問い掛ける。

 その反応に、レトラは微笑みを深めると──

 

「驚いてくれて良かったああ! そうだよな! 俺、普段はこうじゃないよな!?」

 

 あ、レトラ様だ。

 二人がそう思ったかどうかは定かではないが、これはいつものレトラである。可愛い。

 レトラは、謁見に訪れた知り合い達に姫様姿を笑われなかったことに安堵したが、スルーされたことは不満だったらしく、「俺ってこういう格好する奴だと思われてるのか……?」などとぶちぶち言っていた。

 

 ウチの配下達のように、レトラの子供らしさと元気に騒ぐ姿を知っていれば、突然レトラが姫になって出て来たら驚くだろう……しかし、国主代理時から俺に代わって町とその周辺を平和に治めてきたレトラには、森の魔物達の多くが感謝と敬意を持っている。

 敬愛するレトラが着飾って謁見式に現れたからと言って、誰が否定的な感情を抱くと言うのだろう。儀式の場に相応しい、瀟洒な装いに称賛の眼差しを送ることはあっても、その逆があるとは思えないんだよな……

 

 ともかくレトラは「ディアブロとハクロウなら驚いてくれるはず!」と謎の意気込みを見せていた。お望み通りで良かったな。

 動揺を隠せなかった二人にも、しっかりと事情を説明しておく。

 周辺諸国でレトラの評判が高まりつつある今、更なるイメージアップを図る戦略……そのためにレトラには、魔王となった俺の隣で存在感をアピールして貰うのだと。

 それによって周囲を牽制し、余計な脅威からレトラを守る──という密かな目的については伏せておく。レトラに気付かれるわけにはいかない。きっと文句を言われる。

 

「魔国の評判にも繋がるしな、レトラに無理を言って引き受けて貰ったんだよ」

「政治的意図での"姫様業務"だ。俺は本気でやるよ」

 

 まったく、レトラの責任感の強さには頭が下がる。ワーカホリック気味なところは何とかしてやりたいのだが……言い切ったレトラの表情は凛々しいほどで、これは格好良い。

 レトラの決意を聞き、二人は落ち着きを取り戻してきた。

 

「委細承知致しましたぞ。国を思うレトラ様の御覚悟、家臣一同お支えせねばなりますまい」

「ありがとう、ハクロウ」

「レトラ様の御立場を世に広く知らしめ確固たるものとする……実に素晴らしく、有益な策と存じます! ああ御二方は同格にして比翼連理の存在、その認識が足りぬ者達のためにレトラ様御自らが行動で示されるとはまさに英断の極みでありこのディアブロ大変感服」

「長いよディアブロ」

 

 でもありがとう、とディアブロにもいつもの笑顔が向けられて、場の雰囲気が和らいだ。

 かと思えば、レトラは抜かりなく爆弾を落とすのだ。

 

「あと幹部の皆に言ってるんだけど、俺を姫って呼んだら即絶交だから気を付けてね」

 

 他の者達と同様、瞬時にレトラの本気を察した二人が黙り込む。

 特にディアブロの顔色が急激に悪くなったな……何かのトラウマを抉られたかのように胸を押さえて震えているが、どうしたんだお前…………

 

 

 

 

 具合の悪そうなディアブロと、仮にも休暇中のゲルドにはもう休むよう言い付け、俺はハクロウを呼び止める。夜中なのに申し訳ないが、まだ重要な話が残っていた。

 俺の庵へと移動して、机の前には俺と普段着に戻ったレトラ、その対面にハクロウと呼んでおいたベニマルが座り──例の件に関する認識合わせが始まった。

 

「な、何と……ワシに娘が!? しかも長鼻族(テング)の里から、若の伴侶にと話を持ち掛けられておるですと……?」

 

 ハクロウは娘のモミジの存在に、かなりの狼狽を見せた。

 果たして、ハクロウは本当に子供がいたことを知らなかったのか。やることやったんだから心当たりくらいあったんじゃないか。薄々でも気付いていながら妻と娘を長年放っておいた最低男としてレトラにガッカリされるかどうかが、運命の分かれ目となる。

 

 以前、魔物達から聞いた話では、魔物の子作りは人間とは事情が違うらしい。子供に魔素をごっそり奪われるので、行為の時点で成功か失敗かがわかるんだとか。

 ならば子供が出来ている以上、ハクロウもその時に気付いていないとおかしいのだが……ではハクロウが白を切っているのかと言うと、それも違う気がする。三百年前のハクロウは、まだ名無しの大鬼族(オーガ)だ。本当に子作りで消耗していたのなら、寿命が百年ほどと言われるオーガが、それから三百年も生きられるだろうか? 

 恐らくだが、半精神生命体の上位種族である長鼻族(テング)のカエデさん……彼女は子供が出来たことをハクロウに悟らせないよう、自分が代わりに大量の魔素を失ってモミジを宿したのではないだろうか。だったら、当時のハクロウが気付かなかったとしても無理はない。

 

「して、若の判断は……?」

「俺にだって都合というか立場がある。そう簡単に娶れるものか」

「若はワシの娘が気に食わぬとでも!?」

「そんなことは言ってないだろうが! そもそも、生まれたことさえ知らなかった癖に、何を父親面しているんだ!?」

「知ってしまったからには、ワシにも責任があるというものですじゃ!」

 

『どうだレトラ、判定は』

『無罪かな』

 

 まあ……俺にもハクロウが嘘を吐いているようには見えない。早くも親バカと化しているし、これからは父親として責任を取るつもりがあるようだ。

 レトラにガッカリされるという、少なく見積もっても致命傷だろうダメージを免れたハクロウだが、まだ安心してはいけない。俺の読みでは……ハクロウの正念場はここからである。

 

「ハクロウ、良かったね。娘さんがいるってわかって」

 

 レトラがにこやかに声を掛けたことで、ハクロウとベニマルの言い争いが止まった。

 来たか……と俺は戦慄する思いだが、とりあえずは無言で成り行きを見守る。

 

「いや、これは大変お恥ずかしい所を……」

「それでさ、考えたんだよ。俺は今までハクロウを爺ちゃんだと思って甘えてきたけど……ハクロウに本当の子供がいるんだったら、それって良くないよな?」

「レトラ様……?」

「だから俺達、これからは距離を置いた方がいいと思うんだ」

「…………な」

 

 ハクロウが絶句して、痛いほどの沈黙が場を支配する。

 物音を立てるのも憚られる空気の中、俺はコッソリとベニマルに思念を送った。

 

『おい、別れ話が始まったぞ…………』

『大方の予想通りですね…………』

 

 あの夜、居酒屋にレトラを呼び出す前にベニマルと話し合った中には、「真実を知ったレトラは、ハクロウに三行半を叩き付けるんじゃないか?」という危惧も含まれていた。そりゃレトラなら、ハクロウに大事にされるべきは本当の子供で、自分が身を引くのは当然と考えるだろう……ガッカリとかではなく、レトラの善意と遠慮によるものなので尚更タチが悪い。

 レトラとハクロウと言えば、俺でも見ていて微笑ましくなるくらい仲の良い孫と好々爺だったのに、ここに来てとうとう、その蜜月が終わりを迎えようとしているのだ…………さっきから所々言葉のチョイスがおかしいが、大体伝わればそれでいいと思う。

 

「ハクロウ、今までありがとう。俺すごく楽しかっ──」

「待て待てレトラ、早まるな! それはちょっと極端すぎると思うぞ!?」

「レトラ様、どうかその辺で勘弁してやって下さい……!」

 

 二人の仲が拗れそうになったら割って入ろう、とはベニマルと決めていたことだ。ハクロウが言葉を失っているうちにレトラが話を纏めてしまいそうな勢いだったのを、何とか阻止する。

 レトラは不可解そうに俺を見た。

 

「ダメだって! モミジの気持ちを考えてみてよ……やっと会えた父親がどこぞの砂を可愛がってるとか複雑だろうし、気後れするかもしれないだろ。それが原因でハクロウ達の親子関係がギクシャクするなんて、俺は許さないからな!」

 

 まだ見ぬハクロウの娘に、レトラはやけに親身だ。あれか、今でこそレトラにはヴェルドラという親がいるが……前世のレトラは、小さい頃に親を亡くしたそうだからな。自分の生い立ちをモミジと重ね合わせてのことなんだろうか……? 

 

「でもレトラ、お前だってハクロウに甘えられなくなったら寂しいだろ?」

「それは……まあ、寂しいけど…………我慢するし」

「聞いたかハクロウ、レトラ様はお前に愛想を尽かしたわけじゃない! 後はお前次第だぞ、しっかりしろ!」

 

 先程の怒鳴り合いはどこへやら、ベニマルがハクロウに発破を掛けてやっている。

 姫と呼んだわけでもないのにレトラに絶縁されそうで真っ白になりかけていたハクロウが、やがて一言一言、噛み締めるように言葉を紡ぐ。

 

「レトラ様……娘の存在さえ知らず、レトラ様にまで心労をお掛けしてしまい……我が身の不甲斐無さをただただ恥じるばかり……しかし、レトラ様に爺と思って頂けたことは、ワシの人生での得難い幸福の一つで御座いました……もし許されるのであれば、この不心得者にどうか今一度の慈悲をお与え頂きたく存じまする──」

「モミジを大事にしろって言ってるだけなのに……」

 

 何でこんなことに……という顔付きでレトラが戸惑っている。

 だから、お前のやることは極端なんだよ……ハクロウ達を気遣ってるのはわかるけど、お前の反応は皆にとっては死活問題なんだから、気遣うならそこを気遣え! 

 

「う、うーん……じゃあ、ハクロウがちゃんとモミジと仲の良い親子になって、モミジが良いって言ったら、俺もまたハクロウに甘えるようにするからさ!」

「は……! 実の娘がいると知ったからには、これまでの己が仕打ちを深く省み、必ずや良き父と成るよう精進して参りますことを誓いましょうぞ!」

 

 ふう……良かった。危ぶまれていた最悪の展開は避けられたようだな。

 そして、ベニマルの結婚話には何の結論も出ないまま、俺達は朝を迎えたのだった──

 

 

 

   ◇

 

 

 長鼻族(テング)の代表がやって来た。

 謁見というか会談となる見込みだったので、場所は会議室。

 魔国側の席には例の如くリムルや俺や、ベニマル、リグルドが並ぶ。あちらにはモミジとお付きの若武者達…………モミジが! 来たぞ! ベニマルの嫁候補が揃った……! 

 

『レトラ……またキラキラしてんのかお前は』

『あっ漏れてた!? 俺、ちゃんと"姫様"出来てる? 顔みっともなくなってない?』

『大丈夫だ、完璧だよ』

 

 それはそれで納得行かないけど……いやもう文句は言うまい。

 キラキラは『夢現者(マドロムモノ)』で抑制し、視線は伏し目がちに、口角はなるべく品良く整えて"姫様業務"に専念する。この会談にも、俺が口を挟むべき点はないだろう。

 

長鼻族(テング)の長の名代として参りました、モミジと申します。魔王リムルよ、貴方様の支配者としての手腕は本当に見事です。ですが、我等への干渉は認めません」

 

 モミジのツンツンな態度には理由がある。

 長鼻族(テング)は以前から、元魔王のフレイに恭順を迫られていた。フレイの目的はサリオンの首都"神樹に抱かれた都市(エルミン・サリオン)"を攻めるための戦力増強だが、誇り高いテングはこれを拒否。サリオンは漁夫の利を狙って両者の様子見……という三竦みの構図が出来上がっていたそうだ。

 

 で、つい最近カリオンとフレイが魔王ミリムの勢力に加わり、カリオンの配下であるアルビスが魔国の使者ベニマルと共にテングの里にやって来て、サリオンとの街道を繋げたいと言い出した。モミジはそれをフレイからの脅しだと勘違いしたのだ。

 実はフレイは、既に"神樹に抱かれた都市(エルミン・サリオン)"への興味を失っている。翼を持つ有翼族(ハーピィ)としての性なのか、フレイは高い所が好きでサリオンの巨大神樹を欲しがっていたが、今ではもうリムルが設計した天を衝くような魔天楼建設に関心が移ったため、テングを脅す必要もなくなっていた。

 

「わ、私の思い込みだったなんて……母には考え過ぎと言われていたのですが……」

「わかって貰えたならそれでいいよ」

 

 真相を知って崩れ落ちたモミジの謝罪を、リムルがサラッと受け入れる。誤解は解けたので、協定はスムーズに締結された。

 最後に、テングの長老カエデさんからリムルへという書状が渡され、その場でシュナによって読み上げられてゆく。初めは丁寧な挨拶から始まったが……

 

『あれから随分時が経ちましたけれど、今でもお元気でいらっしゃいますか? モミジは貴方様の目にどう映ったのかしら。貴方様に似て勇敢でしょう?』

 

 ん? という空気が会議室に漂っていた。

 その書状の中には……カエデさんから()()()()()()手紙も入っていたのだ。

 

『どうか娘を宜しくお願いしますね。あの子、ベニマル殿を振り向かせるとか豪語して──』

「ちょ、ちょっと、お母様ああ──!?」

 

 飛び上がったモミジが慌ててシュナから手紙を取り上げるも、公開処刑はされた後。

 そこへ、父親だと名乗り出たハクロウとの感動の対面があり──「お父様、お会いしたかった……!」「ワシもじゃよ、モミジ」とかやってるうちは良かったんだけど。

 

「モミジよ、ワシの修行は厳しいぞ」

「はい」

「それを乗り越え、見事に若の心を射止めて見せよ!」

「はい!」

「おいハクロウ!?」

 

 外堀を埋められつつあるベニマルだが、事態はそれだけでは終わらなかった。

 シュナがアルビスからの伝言として告げたのは、『ベニマル様、必ずモミジ殿に勝って正妻の座を射止めて見せます。最悪でも側室という手がありますし、お覚悟下さいませ』というものだった。モミジも張り切ってアルビスの挑戦を受けるとのこと。

 頭を抱えて完全に突っ伏してしまったベニマルを、隣のリムルが冷やかしている。幹部達、特にゴブタやガビルなどは興味津々だ。

 

「つまり、ハーレムっすか? モテモテっすね!」

「流石はベニマル殿。我輩、とても羨ましく思いますぞ……」

「クフフフ、私はリムル様とレトラ様一筋ですので、恋愛など興味ございません」

「いや聞いてねーし……というか、それは一筋なのか?」

 

 ディアブロはコンビ推しって言ってるのかな? 

 じゃあ俺はテンペスト箱推しです。

 

「ベニマル、お前としてはどうなんだ?」

「まだ早いというのが本音ですが……伴侶は一人で充分、とだけは言えますね」

「じゃあハーレムはナシか」

 

 魔国ではハーレムが採用されていないが、特例はある。"子孫を残すという観点から、一夫多妻は有り。ただし、子を望む未亡人に限る"というルールだ。でもこれだとそのうち、とばっちりを受ける可哀想な人が出てくるんだよなぁ……

 ずっと静かにしている俺にも、リムルから『思念伝達』が来た。

 

『レトラはどう思う?』

『ベニマルが決めればいいと思うよ』

『他人事だな?』

『そうじゃなくてさ。こんな大事なこと、人に影響されて決めたら絶対後悔するだろ……周りは変に雑音入れない方がいいと思うんだ』

『確かにな……お前が何か言ったらベニマルはそうするだろうし』

『それ怖いんだけど……』

 

 ハクロウの時といい、俺の影響力おかしくないか……? 

 ま、人の恋路に余計なお節介が不要なのはわかっている。俺は何も言わず、アルビス派だとかも言わず、大人しく見守っておこう。

 

「リムル様……どうなさいますか?」

「いいんじゃないの? 直接戦闘とかは駄目だけど、好きな人に振り向いてもらえるように努力するってことなら。相手が嫌がってるなら却下だけどさ」

 

 シュナに問われ、軽く笑ってリムルが答えた。

 ふむふむ。自由戦闘恋愛主義(ラブアンドバトル)とは言え、決闘は禁止。魔物の掟が弱肉強食だからって、何でも強けりゃいいってもんでもないしな。振り向いてもらえるように……となると今後ベニマルは、ベニマル狙いの女性達からダイレクトアタックを仕掛けられるということだ。大変だね。

 

「あの! レトラ様もそれでよろしいですか?」

「え? うん、いいと思う」

 

 シオンが俺を覗き込んで聞いてきたので、頷く。

 すると、シオンとシュナがにっこり顔を見合わせて──「負けませんよ、シュナ様!」「望むところですわ、シオン」と。ああ、ベニマルもだけど、リムルもか。大変だね。

 

 

 

 




※危うく爺孫関係が消滅するところでした



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