転スラ世界に転生して砂になった話   作:黒千

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120話 訪れる賓客達

 

 謁見式は終わり、三日後の開国祭へ向けての総括会議が行われた。

 ミョルマイルも呼ばれ、財務部門の幹部候補であることがリムルの口から告げられる。既にミョルマイルは有能な運営協力者として知られているため、リムルの考えだからというだけでなく、幹部達からは納得の空気で迎えられているようだった。

 

 地下迷宮に籠ってばっかりだったヴェルドラやラミリス達もいて……あ、ミリムは三日後に正式にやって来ることになるので、大慌てで帰って行った。フレイに怒られるだろうなアレ。

 その迷宮については、後半階層にボスが不足しているとの議題が持ち上がった。ラミリスから新たな聖霊の守護巨像(エレメンタルコロッサス)を作るための材料要求があり、リムルが許可する。そしてシュナ、トレイニーさん、ランガの推薦により、迷宮に異動するボス要員も決まった。

 

 死霊(ワイト)アダルマン──ガイコツ系爺ちゃん。洞窟に会いに行った時は感激されて泣かれた。

 蟲型魔獣(インセクト)ゼギオン──カブトムシ。格好(かっこ)かわいい。

 女王麗蜂(クイーンワスプ)アピト──ミツバチ。かわいい。

 九頭獣(ナインヘッド)クマラ──子狐。かわいい。

 

 いやあ、迷宮が着々と俺の知っている姿へと仕上がって行くなぁ……ああ早く遊びに行きたい遊びに行きたい遊びに行きたい! ……が、それは各フロアの環境が整ってからになる。開国祭では前半階層までしか公開されないし、我慢我慢。でもそのうち絶対に行くからな! 

 

「それでベニマル、警備態勢はどうなってる?」

「万全ですよ。街道から町の通り、保養施設、迎賓館の全てに至るまで、兵達が交代で配置に就きます。警備と──監視を兼ねてですが」

「結局、シルトロッゾ王国からも客が来るからな……」

 

 来ないでくれて良かったのに、とリムルがぼやく。

 シルトロッゾへ出した招待状の返事には、王と王女の出席の旨と、御供の規模について記されていた。予定通りだ、マリアベルが来る。

 

「グランベルが本当に死んでるなら、向こうの親玉はシルトロッゾ王ってことになるよな? ヴェルドラとレトラに──いや、あっちはヴェルドラ単体の仕業だと思ってるんだろうけど……あれだけの反撃を喰らったってのに、まったく豪気なもんだ」

 

 あの国の支配者は今でもグランベルだ。マリアベルの父である王は飾りでしかなく、昔から『強欲者(グリード)』によって操られてきたマリアベルの手駒のはず。王女一人での参加は無理があるので、カモフラージュに連れて来られるんだろう。

 

「俺達はレトラの働きで連中の関与を知ったが、証拠が足りない。なるべく監視に気付かれないよう、怪しい動きがあれば証拠を押さえることを優先してくれ。向こうがボロを出してくれたら儲け物なんだが……そう上手くは行かないかもな」

 

 俺もそう思う。証拠もないままロッゾに手を出せば、こっちが先に動いた悪者。それを読んでいるだろうマリアベルは、この絶好の機会に敵地のど真ん中へやって来る。マリアベルにとっても慎重に行うべき敵情視察、滅多なことはしないだろうけど……

 

「シルトロッゾ王への対応はリムルに任せるよ。俺は王女の様子でも見張っとくから」

「ああ、まあ……こう言っちゃなんだが、ちょうどお前が適任だしな」

 

 俺が()()()()開国祭で行う"姫様業務"。

 周辺諸国で俺の評判が高まりつつある今、更なるイメージアップを図る戦略……そのために俺は、魔王となったリムルの隣で存在感をアピールする必要があるのだ。

 それによってマリアベルを焚き付け、俺のみを狙わせる──という密かな目的については伏せておく。リムル達に気付かれるわけにはいかない。また心配させてしまう。

 

「念のため警戒しといた方がいいか。じゃあレトラ、頼んだぞ」

「うん、わかった」

 

 ということで、開国祭の話は一旦片付いた。次はリムルがソウエイに頼んでいた、エルフ失踪事件とカザック子爵に関わる報告。

 調査の結果、カザック子爵は巨大犯罪組織"奴隷商会(オルトロス)"と繋がりがあるだけの末端で──その"奴隷商会(オルトロス)"は最近、閃光の勇者マサユキの手によって壊滅したそうだ。

 捕まっていた奴隷の中には、やはりジュラの森のエルフもいた。そのエルフ達は勇者マサユキ一行が魔国へ送り届けてくれるとのことで、こちらへ向かっている途中らしい。

 よし、マサユキが来る! 異世界人仲間が増えるぞ! 

 

「ただ、その勇者は──"魔王リムル討伐"を掲げているそうで」

 

 途端、ピシリと張り詰める空気。

 何なら面倒事になる前に始末してきますが、とソウエイが冷淡に告げる。

 

「いや……勇者マサユキには俺が対応する。手出し厳禁だ」

「承知しました。"魔王討伐"などという戯言を抜かすヤツには、身の程を弁えさせてやりたかったのですがね」

 

 あ、ソウエイが笑っている……いや、怒っている……他の幹部達も、リムル討伐とか言われるとどうしても頭に来るらしく、マサユキへの心証は最悪のようだ。アカン、マサユキが危ない。『英雄覇道(エラバレシモノ)』の補正があるとは言え、心配になったので俺も発言しておく。

 

「勇者の仕事って言ったら魔王を倒すことなんだから、それだけで敵視したら勇者に悪いよ。向こうはリムルを知らないんだし、まずは話してみないと」

「ああ、和解出来ればそれが一番だ。シオンもディアブロも、わかったな?」

「は、はい!」

 

 先走りそうな問題児達への注意も欠かせない。

 勇者マサユキの名声はたまに魔国にも届いており、リムルと「日本人かな」「日本人かも」とヒソヒソ話すこともあったので、張り切って保護します。不穏要素も一緒に来るけど、今出来るのは見張ることだけだから……おいでませテンペスト! 

 

 

 

 

 そして、二日が経った。

 今夜には前夜祭が開かれ、明日からは三日間の開国祭が始まる。

 その前にリムルと俺には、西側諸国からやって来た王侯貴族との面会という仕事があった。

 

 謁見式と違い、今度は妖気(オーラ)でなく外見で財力と権勢を示さなければならない。

 本日の姫様衣装は、華やかな和装に透けるショールを纏うもの。ショールには繊細なレースがあしらわれ、金煌石のブローチが飾られて、洋風のアレンジ感がある。

 リムルも流石にスライムから人型となり、貴族仕立ての礼服姿だ。長い髪はきちんと纏め、胸元のブローチは琥珀色に輝いて──……あ、これ、そういう意味か。仲良さそうに見えるな。いや、実際にリムルとは仲良いけど。

 

 ミョルマイルが組んだ予定に沿って、客人が応接室へ案内されてくる。

 シュナやシオンは忙しいらしく、第二秘書のディアブロがお茶を用意したり係の者に指示を出したりと、細々とした雑用を買って出てくれていた。

 

 ブルムンド王国からは、国王夫妻が訪れた。

 全体的に丸みを帯びた人の良さそうな王と、気品に溢れた美しい王妃。リムルは夫妻との面識があるので、気さくに言葉が交わされた。初顔合わせとなる俺も挨拶する。

 

「リムル陛下の弟の、レトラ=テンペストと申します」

 

 この姫様姿で弟を名乗る俺はなかなかに図太いが、ブルムンド夫妻はもっと手強かった。二人とも朗らかに微笑みながら、動揺の一つも浮かべず受け答えをしてみせたのだから。

 

「ほっほっ、これはこれは。レトラ殿のお噂はフューズよりかねがね」

「是非お会いしたく思っておりましたわ、レトラ様」

「レトラ殿は魔物の国が誇る、清廉にして勇壮そして賢明なる王弟殿下だと──ではその姿も、何らかの思惑があってのことですな?」

「ええ、実は……」

 

 ブルムンド王やべえ。

 この人達なら俺の言動から事情を汲み取ってくれるだろう、とブン投げた期待を完璧にキャッチして振る舞う空気の読み方。魔王の弟相手だからと気を遣われた部分もあるんだろうが、夫妻は俺の理解者になってくれそうでありがたい。

 

 リムルからは、人魔会談での取り決めにおける協力への感謝が述べられた。

 ブルムンド王からは、逮捕されたカザック子爵の処遇について。奴隷売買という重罪に手を染めた代償に、爵位と財産を剥奪の上で国外退去処分だそうだ。

 そしてリムルが計画している、ブルムンドを流通の中心地とする話──その概要に国王夫妻は目を輝かせながら聞き入り、将来へのやる気を見せてくれたのだった。

 

 

 

 

 武装国家ドワルゴンからは、ガゼル・ドワルゴ王。

 今回は飛翔馬(ペガサス)で来るわけにもいかず、大量の供を連れて馬車の行列で来たんだとか。応接室に現れたガゼル王が、ドカッと椅子に腰を下ろす。

 

「来てやったぞ、リムルよ。馬車の旅などするものではないな、街道が整備されておったお陰でマシだったが、流石に疲れ…………レトラ? レトラか? どうしたのだ、その格好は」

 

 ツッコミありがとうございます。ドーナツどうぞ。

 ま、気安い知り合いの反応ならこんなもんだろう。姫様姿の説明をしておきたかったし、目を真ん丸くしたガゼル王が見られたので、イタズラ成功とでも思っておくか……

 

「……なるほど、"魔国の守護聖"とはこのための布石であったか。魔に属する者であるはずのレトラを、逆に聖なる者として大衆に印象付けようとは、大胆なことを考えるものだが……この姿を見てしまえば納得する他はない。リムルよ、これが貴様の狙いだったのだな?」

「え?」

 

 突然、話がワケのわからない方向に転がっていた。

 あれ、俺達は"魔国の守護聖"とか言われている俺の評判に乗っかって"姫様業務"を始めただけのはず……ドワルゴンの情報操作の結果かと思ってたけど、違うっぽいな? 

 俺達が揃ってハテナを浮かべていると、そっと発言した者がいた。

 

「僭越ながらリムル様……その件について、御報告がございます」

「ディアブロ? どうした?」

 

 今まで気配を抑えて控えていたディアブロが進み出る。

 何だか少し得意気で、褒めてくれオーラが滲んでいるのは何なんだろう。

 

「実は、先日のレイヒム大司教の暗殺未遂事件にて、偶然にも私が彼の危機を救うこととなり……その後大司教から、魔国のために協力したいとの申し出があったのです」

「え……ってことは、レイヒムが?」

「レトラ様が人類の敵ではないと、世に広める活動を行うとのことでした」

 

 申し出があった? 本当に? レイヒムが俺のためにそんなことする義理あるか……? これ、『レイヒムは下僕なので協力するよう命令した』が正しいのでは? ガゼル王の前でそんなこと暴露出来ないから、ディアブロが話を盛るのは仕方ないけど……

 

「勿論、国民感情を逆撫でする恐れもありますので、働き掛けは緩やかに行っているそうです。そのため大司教の活動は目立ったものにはなっていませんが、元々ファルムス王国に赴任していたという立場もあり、地道ながらも着実に影響が出ているようですね」

 

 ファルムスはルミナス教信者が多い国だったらしいし、大司教なんて偉い人がジワジワと説法をしてくると、その意見に染まっていくってことは起こり得る現象だ……確かに、俺の良い噂を広めるには適した人選かもしれない。

 

「やはり聖教会も一枚噛んでいたか……しかし、大司教の一存で出来ることでもあるまい。連中は我がドワルゴンにも、今後の交渉を見据えて正式に窓口を開きたいと打診してきおったのだぞ? リムル、貴様、何か心当たりがあるのではないか?」

「い、いやあ、何の話だか、俺にはサッパリだよ……」

 

 ルベリオスが魔物の国と国交を結ぶことが決まった時、ヒナタに提案をしたのはリムルだ。この機会に、ルミナス教が長年人類として認めていなかったドワーフ王国も巻き込んで友誼を結べば、話がうまくまとまるんじゃないか? と。あれ採用されたんだよな……ガゼル王の了承なしで。リムルの所為だな。

 

「ほら、レイヒムが進んで協力してきたみたいにさ……ヒナタも考えを変えたんじゃないかな? ドワルゴンとも正式に友誼を結ぼうって思ったんだよ、きっと」

「馬鹿め! 俺を巻き込んだらいいという思考が、チラッと視えたぞ!」

 

 リムルの苦し紛れの言い訳も、ガゼル王には通じない。『思考読破』を妨害していなかったために、心を読まれてバレたようだ。俺は最初からウィズに妨害を頼んでるから問題なし。

 リムルがガゼル王に散々怒られ、迂闊な発言を洗い浚い白状させられている間、俺は傍らに立つディアブロに声を掛ける。

 

「俺のために動いてくれたってことだよな? ありがとう、ディアブロ」

「勿体ない御言葉です、レトラ様……!」

 

 ディアブロの目が潤んでいる……相変わらずリアクションがでかい。

 レイヒムについては、ディアブロに脅されている可能性が大だが協力者には変わりないので、今度会ったらお礼を伝えてくれるよう頼んでおいた。

 了承したディアブロが、そういえば、と思い出したように付け加える。

 

「後援はファルメナス王室です」

「ヨウム達も!?」

「ヨウム殿やミュウラン殿は、レトラ様には大変な恩があるとのことで……レトラ様のためと知ると、是非にと引き受けて下さいましたよ」

 

 そ、そうだったのか……

 この後、ヨウム達も面会に来る予定だ。久々に会えるし、お礼言っとかないと! 

 

 

 

 

 ファルムス王国改め──ファルメナス王国。脅威(メナス)により生まれ変わった国という意味を込めての国名であり、初代国王は英雄ヨウム。ヨウム・ファルメナスだ。

 

「リムルの旦那、約束通り王になったぜ! 俺みたいなのを担ぎ上げたんだから面倒は最後ま、で…………え? レトラさん? 何やってんだ? 何だその格好?」

 

 本当に何だろうね。

 うっかり気を抜いていた俺は、ヨウムの反応にダメージを喰らったけど耐える。

 ヨウムの隣の王妃ミュウラン……名前はミュウ・ファルメナスと変えたらしいが、ミュウランも可愛らしく驚いていた。そしてヨウムにほぼ強引に任命されたという騎士団長グルーシスは、一人だけ訳知り顔で御満悦。

 

「そうですか、そうですか。やっぱりそういうことだったんですね……」

「違う違うグルーシス違うから」

 

 グルーシスの言わんとしていることは、残念ながら理解している。ほんとユーラザニアの獣人族には姫様支持者が多いな……他国の者に絶交ルールは適用されないが、事情だけは説明して、姫って呼んだら泣くぞと脅して(?)おいた。

 で、ヨウム達が俺の評判をフォローする側に回ってくれているという件。俺がお礼を伝えると、ヨウムもミュウランも、これで恩が返せるならと言ってくれた。

 

「レトラさん。柄じゃねえのはお互い様だが、これが必要だってんだ。やってやろうぜ?」

 

 そう言って、カラリと笑うヨウムが清涼剤である。

 ファルメナス国内はまだまだ安定しておらず、ラーゼンや前王エドマリス……レイヒムと同様にディアブロの下僕である彼らも、今では新国家のためヨウム達を支えてくれているらしい。

 

 軽い世間話の後、リムルはヨウムへの戴冠祝いとして、ヨウムが前政権から引き継いだ魔国への賠償金支払い義務……それを取り消す旨の証書をプレゼントした。

 ヨウムの従者としてついてきていた十歳くらいの少年──何とエドマリスの息子で、名前はエドガー。利発そうな外見通り、リムルの決断に驚いて目を白黒させている。

 

「リムル様、これは……!?」

「おいおい旦那……星金貨八千五百枚だぞ?」

「ヨウムが王になって目的は達成したし、元々吹っかけ過ぎだったしな」

 

 ヨウムはリムルが太っ腹なだけだと思っているようだが、これでヨウムは魔王リムルから賠償金を値切った男として周知されることになる。リムルの意図に気付いたエドガー少年のように将来有望な人材もいるし、ファルメナスは安泰だな。

 

 

 

 

 面会の予定はヨウム達で終わりだが、気になることがあったのであと一人。もう町に着いているとの報告は受けていたため、こちらから使いを出して来てもらった。

 神聖法皇国ルベリオス代表、聖騎士団長ヒナタ・サカグチ。

 

「久しぶりねリムル、お邪魔しているわ。今夜の晩餐会には参加させてもらうつもりだけど、急に呼び出すなんて何か問題でも…………レトラ、よね? どうしたの? 何かあったの?」

 

 とうとう心配された。ヒナタやさしい。

 ジロッジロ見てくるヒナタへの説明は手短に終え──本題に入る。

 先程のレイヒムの件でガゼル王が言及した、『大司教の一存で出来ることでもない』。確かにそうだ。普通に考えたら、俺への擁護はルミナス教への背信行為だろう。

 レイヒムの上司ってニコラウス枢機卿だったよな……で、ニコラウスはヒナタガチ勢。そうすると、全体像が見えてくると言うか……これ、ヒナタも知ってるんじゃないの? 

 

「ええ、レイヒム大司教から陳情があったとニコラウスに聞いたわ。ルベリオスが魔国と国交を結ぶなら、ルミナス教の信徒の多いファルムスの民に寄り添い、魔国との摩擦回避に努めることが必要ではないかと、その役を申し付けて欲しいと申請があったそうよ。具体的には、立場上中傷の的となる可能性が高い、魔国王弟レトラの擁護ということだったけど」

 

 レイヒムすげー頑張ってるな。昔のヒナタの耳に入ったら即処断ものだろ……運良くヒナタも考え方を改めていて、俺をフォローするお許しを出したということになる。

 ヒナタは紅茶にそっと口を付け、二つ目のドーナツを取った。

 

「上手く行っているようで何よりだけど、感謝ならルミナス様にして欲しいところね。レトラの擁護をすると決めたのはルミナス様だから」

「え? 何で?」

魔王達の宴(ワルプルギス)で、貴方が人間社会を脅かさないよう配慮していることを知ったと仰っていたわ。人間を管理する立場のルミナス様も、共感を覚えたんじゃないかしら」

 

 そうか、ヒナタの更にその上、ルミナスにまで遡るのか……それは読めなかった。全ての歯車がものすごくタイミング良くカッチリ嵌まった感じだな。

 それを聞いたリムルが、うーん、と腕組みして唸る。

 

「ルミナスにも一度挨拶しておきたいところだな……ヒナタ、ルミナスは前夜祭には?」

「欠席するそうよ。ルミナス様は素性を隠して来ているしね」

「じゃあ今日は厳しいな、明日も朝から予定が詰まってるし……明日の夕方はどうだ? 都合が付くと思うから、軽く会って話がしたいって伝えといてくれるか?」

「わかったわ」

 

 おお、良い感じ。リムルは何となくルミナスを警戒している節があったが、ルミナスが俺のために動いてくれたと知れば、流石に印象が良くなるはず。

 ルミナスには、リムルと仲良くなってもらわなければと思っていたのだ……二人が信用し合うようになって、国交が盛んになれば、俺はルベリオスに遊びに行ける。完璧だ。

 

 ヒナタとの面会を終え、リムルは急いで応接室を出て行った。

 それを見送った俺達は、まったりと残りのドーナツに手を付けてから部屋を後にした。姫様姿を解除した俺とヒナタで、執務館の廊下を歩く。

 

「まったくリムルは、人を呼び付けておいて忙しないわね」

「ごめんごめん。リムルはこの後用事があって……」

 

 リムルは大事なゲスト達を迎えにイングラシアへ行ったのだが、ヒナタに知らせるのはまだ少し早いかもしれない。後のお楽しみにしておこう。

 ヒナタはこれから町へ買い物に出るそうだ。今は聖騎士の武装はしていないが、私服と言うより軽装備といった装いで、気になる商品は沢山あることだろう。俺はリムルがゲスト達を連れて戻る前に業務チェックを終わらせたいので、ここで別れることになった。

 

「じゃあレトラ、また後で──そういえば貴方、忘れていないでしょうね? ルミナス様は楽しみにしていたわよ?」

「うん、大丈夫。約束は覚えてるよ」

「それとさっきの貴方の格好、ルミナス様に伝えてもいいかしら」

「言わなくていいよ」

 

 

 




※約束があるらしい

※お詫び※
開国祭のスケジュールを勘違いしていたため、本文を一部修正しました(2023.10.13)



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