転スラ世界に転生して砂になった話   作:黒千

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154話 悪魔三人娘

 

 ディアブロが帰って来た。

 そう報告を受けて書類仕事を切り上げた俺は、ダッシュでリムルの執務室へ急ぐ。執務机の前に立ったディアブロがリムルに労われ、じーんとしている最中だったが──

 

「ディアブロ、おかえり! 待ってたよ!」

「! ……レトラ様……っ」

 

 振り向いたディアブロは感激か何かで胸が一杯になってしまったようで、俺を見た途端それ以上言葉を続けられなくなり…………乙女かな? 乙女だったわ。

 少しして、落ち着いたディアブロが俺にも「ただ今戻りました」と笑顔で挨拶してくれる。

 

「それで、ディアブロ。仲間集めは順調に終わったんだな?」

「ええ、つつがなく。ひとまず三名──リムル様とレトラ様にお目通りするだけの資格を有すると、私が判断した者のみを連れて参りました」

 

 早速、面接会場となる応接室へ向かう。ディアブロが開けてくれたドアを通って室内に入ると、そこでは三名の女性が俺達を待っていた。

 あの……あの! 悪魔三人娘が! とうとうテンペストに……! 

 

 名付け前なので、全員(予定)ではあるけど──

 まずはテスタロッサ。ヴェルザードさんの真珠色(パールホワイト)とも違う純白のロングヘア。真っ白な肌に赤い瞳と唇が印象的な、貴族令嬢のように大人っぽい立ち姿だ。

 次にウルティマ。三人の中では一番背が低く年下に見える外見で、紫色の髪をサイドでポニーテールにしている。押し黙った姿よりも、早く元気に喋っているところが見たい。

 そしてカレラ。黄色というか金髪のミディアムボブだ。衣装もちょっとパンク系が入ってて、本人の快活な気質が表れている感じがする。

 

 テスタロッサ達の妖気(オーラ)の抑え方は完璧だった。面接会場とは言ったが、三人も自分達の正体を見破れるかどうか、リムルをテストするつもりでここへ来たのだ。

 もしかすると俺も対象かもしれないけど……俺には原作知識しかないから、まだ口に出せないんだよな……と思っていたら、ウィズが教えてくれた。

 

《告。この三名の上位魔将(アークデーモン)は、個体名:ギィ・クリムゾンと同様に魔素を制御し人間に擬態しています。恐らくは支配者階級──原初の白(ブラン)原初の紫(ヴィオレ)原初の黄(ジョーヌ)に該当すると思われます》

(ディアブロやギィと同じくらい凄い悪魔ってことだよな?)

《是。その認識で問題ありません》

 

 オッケー確認完了! これでいつでも答えられる! 

 まあ、ここはリムルの出番なので俺は黙ろう。ラファエル先生にお任せしておけば間違いない。正体を知ってても知らなくても、リムルの反応は変わらないだろうしな。

 リムルはカレラからの御茶目な『威圧』を受け流し──

 

「へえ、すごいな。彼女達は上位魔将(アークデーモン)だろ? 魔素で作った仮初の物質体(マテリアル・ボディー)が完璧だな、人間にしか見えないよ」

 

 事もなげに正解を口にした。

 まさか看破されるとは思っていなかったらしい三人の顔に、動揺が浮かぶ。

 誇らしげに笑うのはディアブロだ。

 

「クフフ、リムル様。やはり簡単に見抜かれましたね。度し難いことにこの者達はリムル様の御力に懐疑的でしたので、御力を試すことを許しました。申し訳ございません」

「ああ、気にしてないよ。会ったこともない相手を信用しろってのも無理な話だしな」

 

 自然体で度量の広い、強者の態度。

 いいぞ、これでリムルの評価は爆上がりだ。弟の俺への判定も甘くなってくれればいいんだけど──いいんだけど、初対面の礼儀ってものがある。重要なのは第一印象だ、ここで浮かれて失敗するわけにはいかないぞ……! 

 

「さて、これで貴女達にもリムル様の偉大さが身に染みて分かったことでしょう。そしてこちらの御方が、リムル様と同格の弟君であらせられるレトラ様です。リムル様と同様に至上の存在でいらっしゃることは当然理解出来ているかと思いますが語り聞かせましたようにリムル様がこの世の誰よりも慈しみ大切に思っていらっしゃる最愛の御方であるということをよく心に刻み付けながら敬い仕えるよう」

 

 長セリフは途中から聞き流し、三人娘への対応に専念する。

 キラキラしてても意味がわからないだろうから、まずは全力で我慢だ。俺だけじゃ我慢出来ないのでウィズに協力してもらってるけど……なあ、『精神感応』効いてる? 

 

《解。ユニークスキル『夢現者(マドロムモノ)』の『精神感応』を実行中です。しかし主様(マスター)の興奮状態によっては、即座に感情制御が不能となる可能性があります》

(ごめん、無理になったらもう放っといていいから……)

 

 三人からジッと俺に集まる視線。

 よし、良い感じの緊張感が保てている。このまま心を落ち着けて…………

 

「初めまして。リムルの弟のレトラ=テンペストだよ」

 

 コツン、と。

 ブーツが鳴った。

 俺に向かって足を踏み出したのは…………え? カレラ? 

 何だ? こっち来る? まさかリムルだけじゃなく、俺のことも試そうと……? 

 

 ──ジャッ、と耳に障る金属音。

 瞬時に動いたディアブロが爪挟刃(シザーズ)に変えた片手を突き出し、カレラの進路を遮っていた。いや違う、カレラの後退が一瞬でも遅かったら、横から突き刺さっていた……

 カレラの無言の一瞥に対して、ディアブロから爆ぜるような殺気が立ち昇る。

 

「死にたいのですか? 許可もなくレトラ様に近付くなど、身の程を弁えるがいい」

 

 瞬間湯沸かし器並みの早さでキレた……! 

 ディアブロは俺達に接する時と、怖い時のギャップが激しいんだよなー……しかし怯えている場合ではない。これは、俺へのテストかもしれないのだ。

 

「ディアブロ。俺、何もされてないけど」

「いいえ、このような無礼極まる愚か者など──」

「敵意も威圧もなかったよ。いいから、爪しまって?」

「……は、はい……」

 

 しゅん……と爪を戻して引き下がる姿に、ありがとうとフォローを入れた。

 それから、先程カレラが動き出したと同時にリムルが僅かに左手を持ち上げ、斜め後ろの俺を庇う動作をしていたので、それをそっと下ろさせる。

 

「リムルもありがとう。大丈夫だよ」

「ああ」

 

 お許しが出た。

 俺の方から進み出て、少し背の高いカレラと対峙する。

 リムルを試した時とはやり方を変えたのかもしれないが、威圧すら見せていない者にビビるようでは魔王の弟が聞いて呆れる。ディアブロの殺気の方が怖かったしな! 

 

「それで、どうしたの? 俺に用があるんだろ?」

「──……レトラ様」

 

 あれ、様付け。その程度には認めてくれてる……? 

 意外な態度に内心驚く俺を、カレラは真っ直ぐ見つめながら──こう言った。

 

「私達は……どこかで会ったことがあったかな?」

 

 いや。

 自信を持って言える。そんな事実はない。

 ウルティマの方がまだ会うチャンスがあったレベルで、カレラなんてもっとない。けど、これは……もう少し情報が欲しいかも…………? 

 

「ごめん、俺には覚えがないな。どこで会ったと思うの?」

「私が顕現するならエルドラド……いや、しかし……?」

 

 レオンの国か……カレラがよく暴れてたのはその辺らしいからな。もしかすると将来役に立つかもしれないので、ちょっと覚えておこう。

 うーん……と顔を顰めて悩んだカレラだったが、三秒後にはそれを放り投げた。俺が知っている感じの、自由気ままで尊大な笑顔になって。

 

「きっと気のせいだな、忘れてくれ。それよりもレトラ様、リムル様のように全く物怖じせぬその態度、我が君に相応しい! 貴方様方を主君と仰がせてもらおうじゃないか!」

「あっズルい、ボクも! リムル様とレトラ様にお仕えしたいです!」

「勿論わたくしも。クロが御二方に心酔しているのも頷けますわ……だってわたくし、先ほどから胸のトキメキが治まりませんもの」

 

 おおっ、俺も合格した! カレラがとんでもなく気になること言い出してくれたから、ビックリしてキラキラが抑えられたかな? よかった、良い感じの顔合わせになって。

 

「リムル様、レトラ様。名もなき身でお恥ずかしい限りですが……わたくしとその配下二百、是非とも配下へとお加えくださいませ」

「ボクも同じだよ──です! ボクのシモベ二百と一緒に、全力でお仕えします!」

「私も異議なし! 我が軍勢二百を引き連れ、軍門に降るとしよう!」

「いいだろう。君達とその配下を魔国連邦(テンペスト)へ迎え入れる。これからはディアブロの傘下に入り、その力を存分に尽くしてほしい」

「は……!」

 

 うわ──! やったぞ、悪魔三人娘が仲間になった! 知ってた場面をこの目で見られるのは言葉にならない感動がある……原作知識って良いことばかりじゃないけど、こういう時の充実感は本当に! ええと次は何だ、三人の名付け、それに進化と受肉と、いや配下の悪魔達とも会って……これでとうとうテンペストの最大戦力、黒色軍団(ブラックナンバーズ)が誕生するんだ……! 

 

 どうしてもニコニコしてしまうけど、心のお祭り騒ぎはなるべく隠して隠して──

 ヒョイ、とリムルに覗き込まれる。

 

「レトラ、お前もキラキラしてないで……って、新記録出してるな……?」

 

 即バレだった。軍団一つ分嬉しいんだから仕方ないよ……きっともう『夢現者(マドロムモノ)』も機能してないだろ、俺に跳ね返されてペタンとなってるよたぶん! 

 ほらお前からも、とリムルに促され、俺は上機嫌を隠せないまま口を開いた。

 

「三人ともようこそ魔国へ! 配下になってくれて嬉しいよ、ありがとう! これからよろしく!」

 

 まあ、とテスタロッサが目元を和ませて微笑む。ウルティマは擽ったそうにソワソワしているし、カレラも腕組みして満足そうに頷いている。

 じゃあこれから地下迷宮(ダンジョン)に行って悪魔の軍勢を──

 

 コホン、と小さく咳払いがした。

 ちなみに今この部屋に、咳をする必要のある生命体は存在しない。

 顔を向けると、ディアブロが……チラッ、チラッと俺を見て…………ああ、そうだアレだ! 忘れてないよ大丈夫! リクエスト通り、ちゃんと考えてきたから! 

 ところでと話し掛けると、三人はしっかり俺を見てくれた。

 

「話は少し聞いてるけど、ディアブロも含めて皆知り合いで……その縁で、今回ウチで働かないかってスカウトされたんだよね?」

「ええ。あのクロが主に仕えていると聞き、とても驚きましたのよ」

「そんなことするヤツじゃないと思ってたのにね。ま、ボクも誘ってくれたことは感謝してるかな」

「ああ、まったくだ。腹立たしいが、主君に引き合わせてくれた恩があるからね」

 

 仲が良いのか悪いのか。ディアブロの方は眉間に皺を作っただけで、何も言わなかった。

 しかし、流れは俺に向いている……やっぱり皆はディアブロが誰かの下で働いてるってことが信じられないようだ。レイン達にも、誰それ? みたいな反応されたし……

 

「じゃあさ、ディアブロがここでどんな風に働いてるか、ちょっと紹介するよ」

 

 それは面白そうだと、三人は興味を引かれてくれたようだった。

 よし! ディアブロの名前を入れて、具体例を交えて、今度こそ……! 

 

「ディアブロはリムルの第二秘書で万能な執事だよ。自分から配下になりたいって来てくれたくらいで、他国での戦後処理でも政権交代の補佐でも頼んだことは全部完璧にやってくれるんだ! ディアブロがいないと困るからずっとここにいて欲しいって思ってるし、リムルや俺のことはすごく大事にしてくれて優しいんだ。あ、よく美味しい紅茶を淹れてくれるけど、それもディアブロが時間を掛けて練習してるからで、本当に努力家なんだよ!」

 

 どうだ! ここまで言えば伝わっただろ……! 

 ディアブロの反応は──あれ? ディアブロ…………? 

 

《告。個体名:ディアブロの状態:失神を確認しました》

(気絶した!?!?)

 

 振り向いてみれば本当に、リムルの後ろに控えていたはずのディアブロが儚く倒れ伏していた。精神生命体が何でだよ! 俺の所為!? 大丈夫!? 

 慌てて駆け寄ろうとした俺は──タイルを鳴らしたヒール音に阻まれた。白い髪がサラリと揺れて、甘い香りが降ってくる。

 

「レトラ様。つかぬことをお伺いしますけれど」

 

 会話をするにはちょっと近い距離に、テスタロッサが迫っていた。ウルティマもカレラもその脇に並び、俺の前に立ち塞がっている。

 そうか、ディアブロが倒れてしまったら、もう三人娘を止めてくれる人はいないんだな……リムルは大人しくコチラの様子を窺っているだけで、しかも一歩下がった。ひどい。

 

「もしかして、レトラ様は…………クロがお気に入りでいらっしゃいますの?」

 

 テスタロッサの赤い瞳がしっとりと俺を見つめる。

 お気に入りっていうか。

 

「うん、ディアブロのことは好きだよ」

 

 その途端、ピシッ──と三人の纏う気配が変わった。妖気ではないけど、ガラスにヒビが入るような……『境界侵食』みたいな……流石に違うか。テスタロッサは薄く笑みを浮かべているが、他の二人は唇を尖らせたり眉を上げたりと、不満そうにして……? 

 そういえば、リムルに言われたことがある。上司が古参を優遇し過ぎると、新人のやる気を削ぐからお前も気を付けろって…………しまった! 贔屓してると思われた!? 

 

「ちょ……ちょっと待って! 違うから聞いて!」

 

 魔国に欠かせない悪魔三人娘の足を俺が引っ張るのはダメだ……! 

 そうだ、悪魔が相手ってことは──

 

「ウチの幹部達の中では、ディアブロは比較的新しい仲間なんだけど……実は俺、最初はちょっとディアブロのこと怖かったんだよ!」

 

 思い出してみると俺、初対面でそんなことを言ったはず。リムルじゃなくて俺の秘書にさせられそうだったディアブロのために吐いた嘘だけど、それが却ってディアブロに誤解を与えていたみたいで……ちょっと反省してる。

 

「でも話した通り、ディアブロは新人の頃から遠征任務にも文句言わないで真面目にやってたし、先輩秘書のシオンにも心得を教わったり仲良く特訓したり、いつも頑張ってるしめちゃくちゃ優しいし、それで好きになったってだけの話で!」

 

 まあ、最初から好きだったよね。ディアブロは強くて格好良いからな、何なら会う前から好きだったけど──いくら事実でも言えないやつなので自重する。

 とにかく悪魔なら、正当な対価には納得してくれるはず! これはディアブロの努力の結果であって、ズルじゃないってことが伝われば……! 

 

「俺がディアブロを好きなのは、今までの働きぶりとか生活態度とか、そういう積み重ねを正しく評価してのことだから! 贔屓じゃないんだよ……!」

 

 三人娘の目が真ん丸い。

 ポカンとした表情が、空気を緩和してくれている。

 

 ふと気付くと、リムルが気絶中のディアブロの傍にしゃがみ込んでいて、あ、良かった介抱を……ん? 耳を押さえてあげてる? その介抱間違ってない? 後で何をやってたのか聞いたところ「下手したら魂が砕け散るんじゃないかと思ってな……」とか言っていた。

 

 それは一旦置いといて。

 テスタロッサの熱の籠った視線が、俺へと注がれる。

 

「レトラ様、今のお話からしますと……つまりはクロと同じように功績を重ねれば、わたくしもレトラ様から正当な評価を頂けると考えてよろしいのかしら?」

「もちろん! 頑張ってる人は評価されないとね」

「フフ、本心で仰っているのね……わたくし、張り切ってしまいそうですわ」

「なるほど、であれば私も望むところ! 我が君の寵愛を受ける"黒"を追い落とし、その座に着くことも可能だと──」

「いやそういうシステムじゃないから」

 

 怖いこと言うんじゃありません。ディアブロへの堂々とした下剋上宣言だったが、本人はまだ寝てるのでノーカウントだ。今のうちにと、首を傾げるカレラに頑張って言い聞かせる。

 

「誰かを蹴落としたからって、好きになってもらえるわけじゃないんだよ……ディアブロの言うこと聞いて、この国を好きになって、皆と仲良く働いてくれたら俺はすごく嬉しいけど」

「そうかい? 我が君が喜んでくれるなら、やってみようかな」

「ねえレトラ様、ボクは?」

 

 ウルティマの目が俺を見上げていた。

 

「良い子にしてたら、ボクのことも……好きになってくれる?」

「うん。きっと好きになれると思うよ」

「そっかあ……レトラ様、ボク頑張るね!」

 

 えへ、と嬉しそうに笑うウルティマが可愛い。妹ってこんな感じなんだろうな。ウルティマのことはもう好きだけど──とか軽すぎるので、言わなくて大正解である。

 っていうか大人なテスタロッサは別として、ヤンチャなカレラとウルティマにこんな風にお仕事しましょう、という指針を示してあげられた俺って結構偉いんじゃ? と、こっそりリムルを見ると…………深く深く、溜息を吐かれた。

 

「三人同時にタラシ込むんじゃない…………」

 

 いやそんなことしてないよ。

 皆、リムルのこと大好きだと思うけど……? 

 

「──……ハッ!? わ、私は一体……至福の時間が……記憶が途切れて……!?」

 

 あ、ディアブロ起きた。

 失神したのは初めてだったようでパニクっている。三人にはちゃんと紹介しておいたよと説明すると、ディアブロは何故かサァッ……と青褪めた。本当に何故? 

 

「も……申し訳ありませんレトラ様! 襟を正して一言一句噛み締めねばならない貴重な御言葉だったと言うのに! こ、今度こそ最後まで意識を保ってみせますので、どうか……どうか! もう一度だけ私にチャンスをお与え下さい……!」

「そんな会議で居眠りやらかした人みたいに……もう一回聞きたいってこと?」

「また気絶するだろ後にしろ」

 

 リムルが冷静に止めに入り、ディアブロは渋々聞き分けてくれた。まあテスタロッサ達の仮初の肉体には活動限界があるので、これ以上はね。

 

 

 

 

 その後は地下迷宮(ダンジョン)の百階層で、ディアブロの配下も含めた総勢七百名の悪魔達から、主人に従い俺達に忠誠を捧げるという意思表示を受けた。一人だけズタボロの悪魔とか、ハクロウそっくりの侍の悪魔とか、気になることは色々あったがそれはまたゆっくりと。

 

 研究所の培養カプセルには、リムルがディアブロに頼まれて用意していた受肉用の人型骨魔人形(ボーンゴーレム)がある。特に三人娘に与えられた依代は、リムルが自ら整えた神輝金鋼(オリハルコン)製だ。カプセルを満たす魔水の中で、黄金の骨格に受肉しつつある彼女達へ向け──

 

「じゃあ君達は今から、テスタロッサ、ウルティマ、カレラだ」

 

 リムルがそう名付けると同時に、三人は受肉を完了させた。

 膨れ上がる妖気に耐え切れなくなったカプセルが弾け飛び、美しい身体を新しい衣装で覆った──三柱の悪魔公(デーモンロード)が誕生したのだ。

 

「ああ、リムル様……素晴らしき名前と力を授けて頂き、歓喜の念に堪えません。今後とも忠誠を誓うことを、是非ともお許しくださいませ」

「ボクもです。こんなにキレイで最高の依代をありがとうございます!」

「何でも命じてくれ、我が君。貴方の期待に応えてみせよう!」

 

 ほら、三人ともリムルのこと大好きじゃん? 

 

 

 

 

 余談だが、ちょうど研究所で作業していたディーノとベスターがその場面を目撃し、「ちょっ……ちょっ!? そいつらにそんな軽々しく名前を……!」とか「私は何も見ていない見ていない見ていない」とか、何だか可哀想なことになっていた。

 ヴェルドラとラミリスみたいに、「リムルだしな、そんなものだろ?」「リムルだったら当たり前よね!」ってサラッと流しちゃえばいいと思うよ! 

 

 

 

 

 




※ようやくの三人娘
※今回の本編更新は終了です。次回は可能だったら小ネタ集。



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