リリカルBASARA StrikerS -The Cross Party Reboot Edition-   作:charley

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独眼竜 伊達政宗、若き虎 真田幸村…次々とBASARAの勇将達が登場してきます。
そしてクロスオーバーの醍醐味…スバルがBASARA恒例の“あの技”を使っちゃたりします。

ティアナ「リリカルBASARA StrikerS 第六章出陣します」


第六章 ~参戦! 独眼竜と若き虎~

首都クラナガン第五航空監視塔 15階―――

下層階より建物の中へ侵入した家康達は、順調にガジェット達を破壊していき、1時間としない内に、建物内で一番ガジェットの数が多い地帯であるこの階までたどり着いていた。

 

「サンダーレイジ!」

 

小柄な体のエリオがストラーダを地面に突き立てると。雷の洪水が、ストラーダの先端より地面を伝播し、ガジェット達を薙ぎ払っていく。

 

「アルケミックチェーン!」

 

キャロが唱えると同時に、彼女の周辺に群がるガジェット達の下の地面に魔方陣が形成されそこからピンク色のチェーンが伸びて、陣内にいたガジェット達を次々に拘束していった。

 

「シュート…バレット!」

 

拘束されたガジェット達に、ティアナがクロスミラージュより魔力弾を発射し、ガジェット達を確実に撃ち仕留めていく。

一気に5機のガジェット達を殲滅する事ができた。

3人の連携力だけでも目に留まる活躍であるが、特にこの戦いですさまじい戦いぶりを見せていたのは、やはり家康とスバルであった。

 

「はああぁぁ!せぇやあああ!」

 

家康は立ちはだかるガジェット達にストレート、アッパー、ボディブロー、肘鉄を瞬時に繰り返しながらその機体を次々に破壊していき、敵がまとめて攻撃をしかけてこようとすると、その隙を突いて…

 

「一撃だ!!」

 

自慢の必殺技『天道突き』で一気に破壊する。

家康の拳から繰り出される風圧に絡みとられたガジェット達は次々に宙を舞いながらその機体を粉々に砕かれていく。

任務開始から一時間…この間にフォワードチームは200機程のガジェットの殲滅に成功していた。

っとはいえ、ティアナ、エリオ、キャロが倒したのは3人合わせて50機近くで、家康は既に100機程のガジェットを殲滅していた。

そして残りの50機は…

 

「はあああああああああああああああああ!!!」

 

リボルバーナックルを装備してマッハキャリバーでフロアを駆け巡りながら次々にガジェット達を正拳で突き、殲滅していくスバル。

だが今の彼女の動きは、今まで任務で見せていたものとは大きく異なる点があった。

スバルはこの戦いが始まってから、ほとんど魔法を使って敵を倒していなかった。

それどころか、今まで彼女の得意格闘技であったシューティングアーツの醍醐味ともいえた蹴り技も一切使わず、ほとんどを拳撃、掌打のみで切り抜けているのだった。

それでいて今のスバルの動きは今までよりもさらにキレがあり、明らかに彼女の急成長ぶりを伺えるようなものとなっていた。

そんな彼女に、今まで共に行動していたティアナをはじめ、エリオ、キャロも驚きが隠せなかった。

 

「スバル。アンタってこんなに強かったっけ?」

 

周囲にいたガジェット達が上層階へ退避し、その後を追いながら、ティアナはスバルに彼女の成長ぶりを問い詰めた。

 

「えっ!? 強いって? 私が?」

 

「そうよ! だってアンタ任務が始まってからほとんど魔法使ってないし、それでいて敵の殲滅数は家康さんに次いで多いし…一体どうしたっていうのよ!?」

 

「え~? 私はただ家康さんに教えてもらった通りにやってただけだよ。ねぇ家康さん」

 

スバルは一同の先頭を走る家康に尋ねる。

すると、家康は少し考えるように唸ってから…

 

「あぁ。だいぶワシの教えた通りに動けるようになってきたな。だがスバル、まだ所々の動きに無駄が多いぞ」

 

「えっ!? あっ!…すみません! う~ん…マッハキャリバーで速さを増幅させてたから自分では自信があったんですけど…」

 

「そうじゃなくて、私が聞いてるのは、なんで家康さんの訓練受けただけでそんな急に強くなったのかって聞いてるの!」

 

呑気に今のスバルの動きについての寸評談義をはじめた家康とスバルに、ティアナは制止するかのように吼えた。

 

「えぇ!? え~とそれは…」

 

突然口ごもるスバルに家康が釘を刺すように注意した。

 

「スバル。『あれ』の事は、もう少しティアナ達には黙っておいた方がいいぞ」

 

「は…はい!」

 

「「「『あれ』?」」」

 

ティアナ、エリオ、キャロは、二人の会話の中に含まれたある意味深なワードについて疑問に思う。

 

「スバル、家康さん。『あれ』って何?」

 

「え~と…なんて言うか…?」

 

「今にわかる事さ。それまで秘密だ」

 

スバルが返答に困っていると家康が淡々と説明した。

しかし当然ながらティアナは黙っていない。

 

「ちょっと!そんなんで納得できるわけないでしょ!」

 

ティアナは家康の頬をつねりながら問い詰める。

 

「ほら!話しなさい!この天然脳金!」

 

「あてててて! ひやは(ティアナ)ひはいっへ(痛いって)!!」

 

「ちょっとティア!やめてあげてよ!!」

 

慌てて止めに入ろうとするスバル。

その時、突然エリオとキャロが足を止めた。

 

「皆さん!!前を見て下さい!!」

 

「あそこの瓦礫の裏に何かいます!!」

 

2人の言葉を聞いた途端、即座に気を引き締め直して身構える家康達。

注意して見てみると前方の通路のいたるところに散乱した瓦礫の後ろになにか蠢く影が確認できた。

 

「負傷した民間人か?」

 

「いいえ。施設の中にいた人達は既に全員避難した筈ですが…」

 

家康とスバルがそんな事を話しているのを尻目に、ティアナは、エリオ、キャロにその場で待つようにサインを送り、一人クロスミラージュを構えて瓦礫の裏が視野に入りそうな場所へ移動しようとした。

するとティアナの行動に反応したのか、瓦礫の後ろから巨大なベルトアームのようなものが伸びてきて、そのまま家康達を凪払おうとする。

 

「!?…よけて!」

 

ティアナが叫ぶとすかさず家康達は後ろに飛び退けてアームの攻撃を回避した。

攻撃に失敗した影は、そのままアームで身を隠していた瓦礫を凪払い、家康達にその正体を見せる。

 

「!?…こいつは!?」

 

家康達の前に姿を見せた影の正体は、今までよりも大型でより丸みを帯びたガジェットドローンであった。

その姿を見た時、家康達はすぐさまこれが今までのガジェットドローンとは異なる存在であると察した。

 

「ティアさん。もしかしてこれは…新型のガジェットドローン?!」

 

「少なくとも私達が戦ってきたタイプのものではないのは確かね。どうするの?家康さん」

 

「そうだな。敵が初めて遭遇する種であるなら、あまりこちら側の手の内は見せすぎない方がいい。まずは相手の性質をよく知る事だ」

 

ガジェットとの戦闘経験はまだ浅い家康であるが、それでもこれまで様々なタイプの敵に遭遇し、幾多も戦ってきたわけではない。

家康は今までの経験から得たアドバイスをフォワードチームに送り、そして目の前にいる新型ガジェットを睨みつける。

 

「戦法は最初に指示したとおりに動け!スバルはワシと一緒に正面から奴を攻める! ティアナは奴を誘導し、エリオは側面から攻撃を加えろ! キャロとフリードはティアナとエリオを援護だ!」

 

「「「「了解!!」」」」

 

家康の指示に威勢のいい返事を返したスバル達は一斉にそれぞれのポジションにつく。

 

「ソニック…ムーブ!!!」

 

エリオが自慢のスピードを生かした攻撃で、壁を走りつつ新型ガジェットの側面へと回る。

当然新型ガジェットは、彼を止めるべく触手を伸ばしてくる。

 

「シュート!」

 

その触手をティアナが魔力弾で撃ち、触手を防ぐと共に同時に、それまでエリオのみに気のいっていた新型ガジェットをこちらに関心させる事に成功する。

新型ガジェットは再びアームを伸ばし、ティアナを攻撃しようとする。

 

「フリード! ブラストレイ!」

 

キャロが叫ぶと同時に、彼女の右手にはめられたケリュケイオンが光り輝き、傍に浮遊していたフリードに魔力を送る。

魔力を得たフリードは口に炎を溜めると、新型ガジェットに向かって火炎弾を数発放ち、ティアナに向かっていたアームの動きを止める。

するとアームが、今度はキャロを攻撃しようと、その目標を変えようとする。

だが、その直前アームは側面から攻撃に出たエリオのストラーダによって切断され、火花を散らしながら激痛を訴えるかのように暴れ狂う。

損傷したアームを収納した新型ガジェットは新たな攻撃に打って出るべくその場に浮遊し始める。

しかしそんな新型ガジェットの正面に現れる二つの影…

前方から攻めに入った家康とスバルがそれぞれ拳を握りしめながら新型ガジェットの近距離に迫り。

 

「はああああああああああああああああああああああああああ!!」

 

「とりゃああああああああああああああああああああああああ!!」

 

息を合わせるように。新型ガジェットの中心部にそれぞれ拳を打ちこみ。その巨体を一気に前方に吹き飛ばす。

激しい衝撃と砂埃を立てながら新型ガジェットはビルの端にある壁まで飛び、激突する。

 

「やったか!?」

 

家康達の表情に安堵の色が浮かびかける。

しかし、その表情は砂埃が消えると共に驚愕のものに変わった。

あれだけの攻撃をまともに受けたはずなのに、新型ガジェットは破壊されるどころか装甲にヘコミひとつついていなかったのだ。

 

「そんな!?」

 

「あれだけの攻撃を受けたのに…どうして!?」

 

キャロとティアナが亞然とした表情で話す一方、家康は冷静に敵の性質を分析する。

 

(ワシの拳で砕けないとなると敵の装甲力は忠勝と同じ程とみた。…っとなると天道突きや虎牙玄天では破壊することは不可能か…)

 

家康は考える。必ずある敵を確実に討ちとる方法を…

家康の忠臣 本多忠勝は『戦国最強』の名に等しく、その戦闘能力もさることながら、何よりも優れているのは、もはや装甲ともいえる彼の鎧である。

その防御力はすさまじく並みの武将では傷一つ付けることができず、優れた武勲を誇る武将でも倒す事など容易ではない。

その身体を一撃で貫けるとしたら武田軍が大坂防衛の為に構えた要塞『真田丸』の最終兵器『天覇絶槍砲』くらいである。

 

「(……いや…待てよ!?)」

 

ここで家康はひらめいた。

『天覇絶槍砲』には及ばずとも、なにか強力な力を至近距離から撃ちこめば破壊できるのではないのか?

しかしティアナのクロスファイアシュートでは装甲を貫ける程の威力は無いだろうし、エリオには砲撃系の技がない。フリードの砲撃ならばもしかしたら行けるかもしれないが、その前にキャロとフリードを敵の正面に送るのは危険すぎる。

 

「やはり…ここは『あれ』を試すしかないな…」

 

「え…?」

 

家康がそうつぶやくと、傍に居たスバルに声をかける。

 

「スバル」

 

「なんですか?」

 

「少し耳を貸してくれないか?例の『あれ』の成果を試してみようと思う…」

 

そう言われてスバルが家康の方に耳を傾けると家康はスバルに背を向けたままできるだけ小声で話しだした。

 

 

 

 

その頃、第五航空監視塔の周辺上空では、なのは、フェイト、ヴィータが、空中を飛行するエイのような形状のガジェット…ガジェットドローンⅡ型300機あまりの大編隊相手に奮戦していた。

 

「ブチ抜けぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」

 

ヴィータがグラーフアイゼンで向かってくるガジェット達を次々に撃破して周り、その後方ではなのはが、幼少期より愛用してきた杖型デバイス『レイジングハート』を構え、先端に大量の魔力を溜めつつ、その目標を、ヴィータを狙って飛行するガジェット達に向ける。

 

「ディバイン…バスター!!!」

 

なのはが叫ぶと同時に、桃色に輝く閃光がガジェット達に向けて発射され、その機体を確実に撃ち落としていく。

彼女の反対側ではフェイトがやはり長年使い慣れた鎌型デバイス『バルディッシュ』を使い、すばやく空を駆け巡りガジェットドローンを破壊し、群がって飛行するガジェット達には砲撃魔法で一気に殲滅する。

 

「プラズマスマッシャー。ファイア!」

 

フェイトの指し出した腕の先に魔方陣が形成され、そこからガジェットの群れに向けて金色の電撃を帯びた砲撃が放たれ、一気に数機のガジェットを撃墜する。

 

しかし、それでもガジェット達は次々に現れては攻撃を繰り出して来る。

 

「ちぃ!倒しても倒してもキリがないぜ!!!」

 

ヴィータは終わりの見えない戦闘にイラつき、舌打ちをする。

なのはやフェイトも、その表情からはいつもの余裕があまり感じられない。

 

「ほんと、ここまで大群のガジェット達を同時に相手にするなんて初めてだよね」

 

「確かに…空中だけでここまで大量にいるとなれば、建物の中は相当数のガジェットがいるはず」

 

なのは達はスバルや家康達が戦っているであろう監視塔の方に目を向ける。

 

「スバル達…大丈夫かな?」

 

心配するなのはを、ヴィータがぶっきらぼうに励ます。

 

「心配することはねぇよ。だってアイツらには、家康がついてるんだぜ。これ程の数に近いガジェット達を一人で魔法も使わずに片づけちまった男がいるんだからそう心配する必要はねぇだろ?」

 

「まぁ。言われると確かにそうかもしれないけど…」

 

すると、突然なのは達に念話で連絡が入る。

 

≪陸士072部隊から機動六課スターズ01、02、ライトニング01へ!繰り返す!陸士072部隊から機動六課スターズ01、02、ライトニング01へ!!≫

 

慌てたような口ぶりで話して来る念話相手にただ事ではないと感じたなのは達はすぐに察した。

 

(こちらスターズ01。どうしましたか?)

 

なのはが代表して応答すると、入って来たのは予想もしてなかった報告だった。

 

≪民間人らしき人物が2人、地上鎮圧を行っていた我がチームを襲撃し、そのまま監視塔内に侵入したんです!≫

 

(な…なんですって!?)

 

対応していたなのははもちろんの事、同じく念話を聞いていたフェイトとヴィータに動揺が走る。

 

(こちらライトニング01。それで襲撃を受けた部隊と被害総数はどうなっていますか)

 

フェイトが念話で地上部隊の状況の確認をとる。

 

≪我が072部隊の戦力の半数と069、070、077の各部隊の精鋭チームが一撃で壊滅しました。しかし敵は非殺傷魔法を使ったのか死者や重症者は出ていません≫

 

(((死者や重傷者がでてない!!?)))

 

明らかにおかしすぎる話になのは達は一瞬耳を疑った。

武装隊を4チーム相手にして、それでいて死者や重傷者を出さずにまとめて戦闘不能に追いやるなんて…

今まで活動中の武装隊を不意打ちする犯罪者は何件かいたのだが、こんな事は初めてである。

しかも襲撃者は監視塔に侵入した…もしかしたら家康やスバル達が狙われてるかもしれない。

 

(わかりました! 直ちにこちらから襲撃者の捜索と逮捕に向かいます!)

 

フェイトはそう言って念話を切ると、なのは達の方に顔を向ける。

 

「なのは!ヴィータ!襲撃者は私に任せて!必ずフォワードの皆や、家康さんを襲う前に確保するから」

 

「うん!お願いねフェイトちゃん!」

 

「気をつけろよフェイト!」

 

フェイトはすぐに建物内へと向かうべく、その場から離れた。

 

「さあ、私達はこのままガジェットの殲滅を…」

 

「助けてくれぇぇぇぇぇ!!」

 

「「!!」」

 

戦闘を再開しようとしたなのは達の耳に、突然悲鳴が聞こえた。

なのはとヴィータが声のした方を向くと、ビルの屋上でガジェットドローンⅠ型数機に囲まれて、しかもデバイスを破壊された武装隊の隊員が追い詰められていた。

 

「大変!助けないと!!」

 

なのはは、すかさずビルの方へと急行する。

ビルでは隊員を追い詰めたガジェット達が隊員にトドメを刺そうと触手を伸ばして来る。

 

「ひいいい!」

 

隊員が自身の最期を悟り目をつぶった。

 

「アクセルシューター!!」

 

だが間一髪、上空から駆け付けたなのはがガジェット達に魔力弾を撃ちこんで全機破壊した。

 

「大丈夫ですか!?」

 

なのはがビルに降り立ちながら隊員に声をかける。

 

「あ…ありがとうございます! おかげで助かりました!」

 

隊員は恐怖で震えながらもなんとか立ち上がってなのはに頭を下げる。

それを見たなのはは、ほっと胸をなでおろす。

 

しかしこれで終わったわけではなかった…

突然屋上の床を突き破られ、崩壊した穴から新たに数機のガジェットⅠ型がなのは達の前に現れた。

 

「!?…早く逃げて下さい!!」

 

「は…はい!!」

 

なのはは、すぐに隊員の避難を促すと、隊員は慌てて屋上の入り口へ向けて走り去った。

 

「いくよ!!」

 

なのははレイジングハートを構えてガジェット達に向けて魔法を放とうとする。

 

「ディバイン…バス…!!?」

 

だがその時、なのはの足元の地面からベルトアームが伸び出してくると、なのはの身体に巻き付いた。

 

「し…しまった!!」

 

なのはが慌てて障壁を出してアームをほどこうとするが、続いて伸びてきた触手にレイジングハートを握った腕と口元を押さえられてしまい、身動きがとれなくなってしまった。

 

「なのは!!」

 

それを見たヴィータがすぐに助けに行こうとするが、上空を旋回するガジェット達が邪魔してなのはの下へ行けない。

 

「どきやがれ! なのは!今助けるぞ!!」

 

ヴィータは叫びながらグラーフアイゼンでガジェット達を破壊するが、破壊すればするほど多くのガジェットが襲いかかってくる。

一方のなのはは、自分を襲った正体…監視塔内で家康達の遭遇した新型ガジェットこと、ガジェットドローンⅢ型に捕まったまま、徐々にその身体は締め上げられてくる。

なのはが喉元を抑え苦しげに呻いた。人間の脳はその機能の維持のために常に新鮮な酸素を必要としている。このまま酸素の供給がストップしたままだと細胞が壊死し、脳に重大な障害が発生するおそれもある。

それはわかっているが今のヴィータは無数のガジェット達に囲まれて助けに行く事ができない。

何か方法は…ヴィータが戦いながら必死に考えているとさらに事態は最悪になっていく。

なのはを取り囲んでいたガジェット達が一斉になのはに向かってレーザーを撃つ準備を始めたのだ。

 

「くそったれ! なのは!」

 

ヴィータは叫びながらグラーフアイゼンを振り回してガジェットを破壊しながら必死にビルに向かって突き進もうとする。

だが、そんなヴィータを嘲笑うかのようにガジェットは捕らえたなのはに向けてレーザーを撃ち放とうとした。

 

その時だった…

 

「Yaaaaaaaaaaahaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!」

 

突然レーザーを放とうとしたガジェット達の背後から叫び声と共に蒼い影が飛び上がり、片手に3本ずつ、合わせて6本の刀をガジェット達に向かって振り下ろした。

同時に青白く輝く斬撃がガジェット達に降り掛かり、次々と木端微塵に粉砕していく。

 

「えっ!?」

 

ヴィータとなのはの目が驚きで見開かれる。

そして、ガジェット達の爆発する中で、その影は颯爽と屋上に降り立って正体を見せる。

 

「Ha!楽しそうなPartyじゃねぇか!俺も混ぜな!」

 

英語交じりの言葉を話す蒼い影の正体…言うまでもなく独眼竜 伊達政宗である。

政宗は自慢の愛刀『六爪(りゅうのかたな)』を構えながら久々の戦場に心を躍らせる。

 

「な、なんだお前ら!!?」

 

突然の乱入者にヴィータは思わず動きを止める。

そして拘束されていたなのはも声も出せないまま驚愕の表情を浮かべる。

すると、なのはを拘束していたアームや触手が突然バラバラに斬られ、なのはの身体はようやく拘束状態から解放される。

深手を負ったガジェットはそのままビルの中へと退避した。

地面に投げ出されたなのはが状況を理解できず混乱していると、いつのまにか彼女の目の前には刀を構えた男が立っていた。

 

「Ha! nice playだぜ!小十郎!」

 

政宗は男…片倉小十郎の剣技を誉めると、小十郎はいつものように軽く政宗を注意する。

 

「政宗様。一人で先に行かれるのはおやめ下さいと忠告していたはずです」

 

「Ha…sorry小十郎。でもおかげでPartyの最高のtimingに出くわしたみたいだな」

 

政宗は軽口を飛ばしながら、六爪を上空に居るガジェットの群れに向ける。

 

「奥州筆頭 伊達政宗…押して参る!!」

 

政宗の名を聞いたなのはが一瞬、頭の中が真っ白になりそうな感覚を覚えた。

 

「だ…だ、て…まさ…むね……? えっ、え、えええええええぇぇぇぇぇっ!!? だ…伊達政宗えええぇぇぇぇぇぇぇ!!?」

 

そして、一週間前、家康の名を聞いた時と同じような反応をするのだった。

蒼い龍と「エース・オブ・エース」…決して会うはずのなかった2人の英雄(ヒーロー)が巡り合った瞬間であった。

 

 

 

自分を助けてくれた青年の名を聞いた時、なのはは一瞬自分の耳を疑った。

伊達政宗…彼は確かにそう名乗った。

 

場合によっては学校の歴史の時間ではあまり出てこないが、それでも一般的には非常に有名な武将の名である。

なのはも、家康の時とは違い彼の事はその名前しか知らなかったのだが、それでも名だたる戦国武将の登場に、家康の時同様、激しく驚いたのだった。

 

「なのは!!」

 

そんな彼女のもとになんとか自分を取り囲んでいたガジェット達を撃墜したヴィータが駆けつける。

 

「なのは!大丈夫か!」

 

「う…うん。私は大丈夫。あの人達が助けてくれて…」

 

なのはがそう言うと政宗達の事を思い出したヴィータは、すぐさま政宗と小十郎にいつもの高圧的な態度で問い詰め出す。

 

「おい、お前ら! 一体何者だ!!? まさかお前らが地上の武装隊を襲撃した乱入者共か!?」

 

ヴィータの挑発的な言葉に、政宗が不機嫌そうな目つきになってなのはやヴィータの方を向く。

 

「Ah?なんだ? 人がせっかく久々のpartyを楽しもうって時にcoolじゃねぇぞ」

 

「!? 質問してるのはこっちだぞ!!」

 

「ちょっと、ヴィータちゃん落ち着いて!」

 

「政宗様も、そんな気短くならないでください」

 

危うく言い争いになりそうな状況を危惧したなのははヴィータを、小十郎は政宗をそれぞれ諌める。

そして、ヴィータに変わってなのはが政宗達に話し始めた。

 

「あの…さっきは助けてくれてありがとうございます。私、高町なのはといいます。貴方方の名前を教えてくれませんか?」

 

ヴィータと違いかなり畏まったなのはの態度に、政宗も素直に答えることにした。

 

「俺は奥州伊達軍筆頭 伊達政宗だ」

 

「同じく副将の片倉小十郎…」

 

もう一度政宗達の名を聞いた時、なのはは、すぐに政宗が家康と同様、自分達とはパラレルワールドの地球の戦国時代から飛ばされた人間であると察した。

派手な色合いの服装、常識外れの戦力、そして本来ならば歴史上の人間であるはずの人物…どれをとっても政宗の特徴は家康のものと同一している。

なのはは、小十郎の事は知らなかったが、それでも彼もまた政宗同様に戦国時代の有名人の一人であると予想できた。

 

「政宗さんに…小十郎さんですか。……もしかして二人は家康君のお知り合いでは…」

 

試しに家康の名を出してみると、二人は即座にその名前に反応した。

 

「家康? まさか…徳川家康の事をいっているのか?」

 

「はい」

 

小十郎の問いになのはが頷くと政宗は…

 

「なんでアンタが家康の名前を知ってんだ?」

 

「えっと、それは…」

 

なのはが家康の事を政宗と小十郎に話そうとすると、突然屋上全体に地響きが起き、衝撃と共に先ほどなのはを捕縛したガジェットドローンⅢ型が再びその姿を見せ出し、それに答えるかのようになのはや政宗達のいるビルの周辺にガジェット達が集まってきた。

 

「おっと。今はPartyの最中だって事を忘れてたぜ」

 

政宗は口笛を吹きながら六爪を構え、すぐさま小十郎も刀を構える。

 

「政宗様。ひとまず話はこいつらを退けてからにしましょう! それから高町とか言ったな? お前達も戦えるのなら手を貸してくれ」

 

「は…はい!」

 

小十郎に発破を掛けられ、なのはもレイジングハートを構える。

 

「チッ…しかたねぇ。とりあえず尋問は中断してやるよ。でもこれが終わったらみっちり話を聞かせてもらうからな!」

 

ヴィータも政宗、小十郎を睨みながらそう言うと、グラーフアイゼンを構えなおす。

 

「ほんじゃまぁ、出会ったばかりだがさっそくTeams playといくか…」

 

政宗がそう言うと彼の全身に蒼い稲妻が走る。

 

「クセになるなよ! なのはに、いつき!」

 

「ってまたいつきかよ!? 私の名前は“ヴィータ”だぁぁ!」

 

以前の家康と同様にまたも『いつき』と呼ばれ、顔を赤くしながら怒鳴るヴィータ。

 

「ハハハ…確か家康君に初めて会った時も同じ事言われてたよね? 結局、誰なんだろう? いつきちゃんって…」

 

なのはがそう言って苦笑を浮かべていると、周囲に展開していたガジェット達が一斉になのは達に襲い掛かる。

それを合図にすかさず政宗やなのは達が凛とした表情に変わる。

 

「Ha!威勢のいい事だぜ!DEATH BITE!!」

 

政宗は六爪を振り上げて、ガジェットⅠ型を数機程空高く打ち上げ、上空を旋回するⅡ型の編隊にぶつけて爆発させる。

 

「OK! it great!」

 

政宗はそのまま少し高い位置に浮遊していたⅠ型二機に両手に持った六爪をそれぞれ振り下ろし、一刀両断にする。

着地した政宗はすぐさま両腕を激しく振り回し、スパークと共に周りにいるガジェット達を薙ぎ払う。

 

「CRAZY STORM!!」

 

電気の帯びた斬撃と共に次々とガジェット達が破壊されていく。

だがその中の一機がなんとか斬撃を掻い潜り、政宗の背後に回って触手を出して政宗を捕らえようとする。

しかし、触手は政宗に届くことなく、横から乱入した彼の『右目』によって斬りおとされ、そして触手を放っていたガジェットも容赦なく斬られる。

 

「からくりにしては…随分頭が回るみてぇじゃねぇか…だが、この竜の右目を差し置いて、政宗様の背後をとろうなんざ、百年早ぇぜ!」

 

小十郎が刀を天に向かってかざすと、刃に電流が流れ始める。

それを確認した小十郎は、さらに政宗の背後を狙ってくるガジェットⅠ型3機に向かって素早く踏み込んでいった。

 

「喰らえ!穿月!!」

 

小十郎はガジェット達の正面に立つと、鮮やかな剣技でガジェットを切り崩す。

さらに小十郎は、続けてその背後を浮遊していた数機のガジェット達に刀を向ける。

 

「唸れ!鳴神!!」

 

小十郎が叫ぶと共に、剣先から青白く輝く電撃がガジェット達に向かって放たれ、ガジェット達を撃墜していく。

 

 

「す…すごい…」

 

なのはは、ガジェット達を撃墜しつつも、政宗達の戦いぶりを見て、思わず感心してしまう。

 

家康の訓練の時もそうだったが、彼らからは微塵の魔力も確認する事できない。

しかし、今の彼らは雷を自在に操り、研ぎ澄まされた剣技を駆使してガジェット達を次々に倒していく。

間違いなく、魔導師であればAAAクラスの実力者だ。

 

「な…なんなんだよアイツら!? デタラメみてぇな強さだぞ!」

 

グラーフアイゼンで上空にいるガジェットを叩きつぶしながらヴィータも、政宗達の戦いぶりを見て驚く。

 

「たぶん政宗さん達も、家康君と同じ戦国時代から来たんだと思う。あの強さもそうだけどいろいろと家康君と共通する事が多いし、なにより家康君の事を知ってたんだから」

 

「全く、家康の世界はホントどんな世界なんだよ!!?」

 

ヴィータが呆れたように叫びながら近づいてきたガジェットⅡ型を破壊する。

 

「こうなりゃさっさと終わらせて、アイツらの尋問続けるぞ!あいつらが家康と同じ世界から来たって事は、元の世界に帰る情報を知ってるかもしんねぇしな!!」

 

「そうだね。被害もこれ以上酷くならないようにしないといけないし…」

 

なのはが話したその時、突然一閃のレーザーがなのはとヴィータの間を横切った。

2人がレーザーの飛んできた方に顔を向けると、そこにはガジェットⅢ型が、なのは達に向けて次のレーザーを放とうとしていた。

先程の小十郎の攻撃で触手とアームが使えなくなった為、唯一残されたレーザー兵器で攻撃をしかけてきたのだった。

 

「さっきのお返しだよ!ディバインバスター!」

 

なのはは、間にいる数機のⅠ型機体諸共、ガジェットⅢ型に向けてレイジングハートを構えると砲撃魔法『ディバインバスター』を放つ。

だが、ディバインバスターはⅠ型達は一掃したものの、ガジェットⅢ型に届く前にバリアのようなものに阻まれて消滅してしまう。

これがガジェットの持つ技術の中で最も厄介なシステム『AMF』。正式名称『アンチマギリンクフィールド』―――

効果範囲内の魔力結合を解いて魔法を無力化するフィールドで、このシステムが起動している範囲内では攻撃魔法や移動魔法も妨害される。

いわば魔導師にとっては天敵ともいえるスキルである。

 

「どいてろなのは!こうなりゃアイゼンで直接ぶっ潰す!!」

 

ヴィータはそう言って、一気に急降下しつつ巨大化な鉄槌へと変わったグラーフアイゼンを構える。

 

「ギガント…ハンマー!!」

 

叫び声と共にヴィータがガジェットⅢ型を叩き飛ばす。

激しい衝撃と共にガジェットは数十メートル程後ろに吹き飛ばされる。

しかし、その装甲には攻撃を受けた際についた凹みを除いては傷がついておらず、その動きには全く支障が出ていなかった。

 

「ウソだろ!?ギガントハンマーが効かない!」

 

予想以上に固いガジェットⅢ型の装甲力に驚愕するヴィータ。

しかしなのはは冷静にガジェットがヴィータの一撃に耐えられた理由を探る。

ガジェットの装甲力もそうだが、おそらく理由としてはAMFで大部分の魔力を削がれてヴィータの腕力のみとなったギガントハンマーではガジェットの装甲を砕く威力が出せなかったのだろう。

それでも凹みは激しいとなるとそれなりに装甲力を減らす事はできたはずだ。

あとは…なにかあの部分に強力な一撃を決めれば…

 

「政宗さん! あの敵の損傷してる部分に攻撃してください!」

 

なのははガジェットⅢ型の居る場所と反対側で戦っていた政宗に声をかけてガジェットⅢ型のトドメを決めるように頼んだ。

 

「Ah、あいつか? OK!飛びきりの奴をお見舞いしてやる。準備はいいか?小十郎」

 

「はっ!守りはこの小十郎にお任せ下さい」

 

小十郎に確認するや否や、政宗はガジェットⅢ型に向かって勢いよく踏み出し、素早い動きで迫って行く。

当然ガジェットⅢ型や他のガジェット達もレーザー攻撃を放ち政宗を近づけまいとするが、それらはすべて並走する小十郎によって阻まれる。

そしてガジェットⅢ型の数メートル先まで到達した政宗は、ガジェットⅢ型の中心にできた凹み目がけて一気に飛び上がり…

 

「PHANTOM DIVE!!」

 

そのまま電流を纏った六爪を一気に振り下ろして凹み部分に斬撃と電撃両方を放つ。

魔力を持たないその技はAMFで防ぐ事も威力を減らす事も出来ずガジェットⅢ型はまったく威力の劣っていないそれを先程の損傷部分にまともに受けてしまい、その装甲は徐々に焼け焦げ、はがれていく。

そして装甲の一部が破れかけた時、斬撃と電撃はガジェットⅢ型の内部に入り、その動力源を破壊する。

一瞬のスパークの後、ガジェットⅢ型は大爆発を起こし、その巨大な機体は煙まじりの爆風と無数の破片を飛び散らせながら失散した。

そして爆風が止んだ時、ガジェットⅢ型の居た場所は巨大な空洞と化し、屋上周辺に群がっていたガジェットの群れの残りも、爆発に巻き込まれるか爆発の際に飛び散った破片を受けてすべて破壊されたのだった。

 

「なんだよもう終わりかよ?ちょいと温くねぇか?」

 

敵が全滅した事を知ると政宗は物足りなさげに話しながら六爪を仕舞った。

 

 

 

 

その頃、第五航空監視塔内部では…

 

「くっ…!!」

 

「うわぁ!?」

 

「きゃあ!」

 

ティアナ、エリオがガジェットⅢ型のアームによる薙ぎ払いを必死に回避し、後方でティアナ達の援護を行っていたキャロが、薙ぎ払いの際に生じた突風を受けてこけそうになる。

 

「ちょっと家康さん!スバル! 「時間稼げ」って言ったけど一体いつまでやらせる気よ!相手は普通のガジェットじゃないんだから囮になるこっちの身にもなってよね!!」

 

ティアナはクロスミラージュから魔力弾を撃ちつつ後ろに飛び退きながら、キャロの後ろで何やら片方の拳を顔の前に上げて、それを見つめながら気持ちを集中しているスバルと、横から小声で彼女に助言している家康に文句を言う。

 

「ちょっと待ってくれ!これは余程の集中力が必要なんだ。もう少しだけ敵を誘導してくれ!」

 

「だ~か~ら~!その集中力の必要なものってなんなのですか!? まさか敵の名前を忘れたから思いだしてるとか言うんじゃないでしょうね!!」

 

ティアナがそう言うと、家康がムッとした表情になる。

 

「集中してるのはワシじゃない!スバルだ! それに、いくらワシでも“ガシャットクローン”の名前を忘れるような抜けた真似はしないぞ!」

 

「いや、家康さん…ガシャットクローンじゃなくてガジェットドローンですよ」

 

「やっぱり覚えてないじゃないの!!」

 

もはや定番となった家康の覚え間違いボケにエリオがソフトに、ティアナが激しく、それぞれツッコんだ。

 

「家康さん! 少し静かにしてください! ティアもちょっと黙ってて! 気持ちを集中できないから!!」

 

「「あ…す…すまん(ご…ごめん)」」

 

そんな家康、ティアナのやりとりが気が散ったのか、スバルが二人を叱り、二人はまさかのスバルの剣幕に思わず縮こまってしまう。

二人が静かになるとスバルは再び拳を顔の前まで上げて、それを見つめながら目を閉じ気持ちを集中させる。

そんなスバルにガジェットⅢ型は気付いたのか、スバルに向けて触手を放ってくる。

 

敵の攻撃に気付いたエリオがソニックムーブで触手の前に立ちふさがり、ストラーダを振るって触手を斬りおとし…

ティアナはクロスミラージュでガジェットⅢ型本体を撃って攻撃の手を止めさせる。

AMFが起動して敵を損傷させる事はできないが、敵の気を引かせる事で陽動にはなった。

そんな中でもスバルはジッと気持ちを集中させ続ける。

身体の奥から強力な何かを込み上げさせるように…突然スバルの身体から青色のオーラが放ち始めた。

 

「!! やった!家康さんやりました!!」

 

「おぉ!やったなスバル!戦極ドライブだ!!」

 

感喜の声を上げるスバルと家康。一方のティアナ達は何が起き出したのかわからず混乱する。

 

「スバルさん、家康さん。一体これは何なのですか?」

 

キャロが家康達に問うと家康は得意気に答える。

 

「これは、ワシが密かにスバルに教えていたワシの世界の究極の奥義のひとつ…その名も『戦極ドライブ』だ」

 

 

戦極ドライブ―――

 

戦極ドライブとは、家康がいた戦国時代の有名武将が全員持っていた特殊な技能だ。

敵を倒すことで溢れ出す自分の中の「気」の力を興奮状態にさせたままそれを体内で必死に抑え続ける。

そして気を集中させる事で抑えていた気を一気に開放する。それが戦極ドライブという能力だ。

これを発動すると何のデメリットもなしに移動、攻撃、防御などのすべての身体能力などが上がる。

 

「ワシがこの数日スバルの訓練をやっていた際に、彼女の『気』の力の潜在能力は機動六課の中でも随一のものだとわかったんだ。だから、もしかしたらワシら特有のこの技を仕えるのではないのかと思ってもしもの切り札として教えてきたのだが…」

 

家康は話しながら、スバルから放たれる『気』の力の半端なさに正直驚く。

 

「(まさかこれほどまでとはな…やはりスバルを弟子にしたのは正解だったな)」

 

家康がそう考えていると、ガジェットⅢ型の背後に新たなガジェットⅠ型達が10機程増援にやってきた。

それを見て我に返った家康はスバルに短く指示する。

 

「スバル! 戦極ドライブの力をさっそく試してみろ!」

 

「はい! 家康さん!」

 

スバルはそう返すと、次の瞬間にはガジェット達の数メートル先まで瞬速移動していた。

これにはティアナや、スピードが自慢のエリオも目を丸くする。

 

「は…早!? なにあれ!? 強化魔法でもあそこまで脚力を早くできないわよ!!」

 

「それどころか僕のソニックムーブより早いですよ!もしかしたらフェイト隊長並みかも?!」

 

ティアナ達が驚いているのを尻目に、スバルは右腕を振り上げリボルバーナックルに竜巻状のオーラを纏わせるとそれをガジェット達に向けて放つ。

 

「シューティングエアァァァ!!」

 

スバルは、拳に気の力を乗せ、それをガジェットⅠ型の中の一体に打ちこむことで吹き飛ばし、それを後方にいるガジェット達にぶつける事で一気に爆破させる。

この技自体はスバルの会得していた攻撃魔法『リボルバーシュート』の派生技であるが、最大の違いは気の力を全面的に使っている為魔力をほとんど使用しない点だ。

この一撃だけでⅠ型の群れは全滅し、残るⅢ型は再びベルトアームを放って攻撃しようとする。

それを難なくかわしたスバル一気にⅢ型の正面まで迫り、カートリッジをリロードさせながら気のオーラを拳に纏わせる。

 

「ディバインバスター・アボンド!」

 

掛け声と共にスバルがリボルバーナックルを突き出し、ガジェットⅢ型の中心部に拳を打ちこむ。

そのまま突き刺す形になったスバルの右腕に魔力と気が混合された強力なオーラが集い、右腕全体が蒼白く輝くと同時に、ガジェットⅢ型のボディを巨大なレーザーが貫いた。

動力源を内部もろともを一気に吹き飛ばされたガジェットⅢ型はそのままゆっくりと倒れ込んだ。

同時にスバルを纏っていた蒼のオーラも消えた。

 

「す…すごい…」

 

エリオが呆気にとられた表情で話し、ティアナやキャロも茫然と立ち尽くす。

技を放った本人であるスバルも、しばらく技が成功したことが信じられないような表情になっていたがやがてその表情は笑顔に変わっていく。

 

「や…やったぁぁぁ!家康さん!私、戦極ドライブを完璧に使う事ができました!!」

 

スバルは喜びながら家康に駆け寄り、その身体に飛びついた。

 

「んな!?」

 

「わあっ!?」

 

「あわわ…!?」

 

予想外のスバルの行動にギョッとするティアナ達。

しかし、当の家康はまるで自分の事のようにスバルと一緒に喜ぶ。

 

 

「凄いじゃないかスバル!まさかこんな短時間で会得するだなんて思ってもみなかったぞ!」

 

「はい!これもすべて家康さんのおかげです!」

 

 

二人の間になにやら甘い雰囲気が漂い始める。

 

 

「スバル!」

 

「家康さん!」

 

「ってやめんかぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

 

「「へぶうううぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!?」」

 

抱き合って喜ぶ家康とスバルにムカついたのかティアナが二人に飛び蹴りを食らわす。

 

「「えぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーーーーーー!!?」」

 

それを見ていたエリオとキャロが驚きの声を上げる。

 

「任務中になにやってんのよアンタ達!!新しい力手に入れて喜ぶのはいいけどもうちょっと喜び方を考えなさい!!」

 

「痛てて…だって家康さんと同じ技が使えられるようになったからつい…」

 

「弟子の成長を喜ぶのは師匠の務めなのだぞ。 何を怒ってるんだティアナ?」

 

「うるさい!! だったらもうちょっと普通の喜び方しろ! バカスバルにボケヤス!」

 

顔を赤くしながら怒るティアナ。

 

「そうか? ではワシの良き好敵手の真似をして互いを殴り合いながら喜びを表現して…」

 

「それもやめ!! ってかどんな喜びの表現よそれ!? 本当にやってる奴がいたとしたら、そんな奴相当なバカなだけでしょ!!」

 

ティアナがそんな事を話してる頃…

 

「あっくしゅん!!」

 

「大将~。今日は、くしゃみばっかしてっけど大丈夫?」

 

その『相当なバカ』が、家康達の居る階の数階層下に居るという事に、家康達はまだ気づいてなかった。

 

 

 

 

スバルが戦極ドライブを成功してガジェットドローンⅢ型を倒した頃…

彼女達のいる階の数階下の階では…真田幸村と猿飛佐助の二人がガジェット達を撃破した後、つかの間の休息をとっていた。

 

「あっくしゅん!!」

 

幸村はフロア中に響くほどの大きな声でくしゃみをする。

 

「大将~。今日は、くしゃみばっかしてっけど大丈夫?」

 

「いや。風邪などひいた覚えはないのだが…」

 

幸村は破壊したガジェットの残骸に腰掛け、鼻をこする。

 

「それにしても大将~。さっきは派手にやっちゃったね。外でこの建物守ってた奴らあんだけぶっ飛ばしちゃって…絶対今頃連中血眼になって大将の事、探してるぞ」

 

幸村の傍に立った佐助が呆れながら話している。

 

「大丈夫だろ佐助。手加減はしたから死人は出てない筈だ。こけおどし程度に収まってると思うが…」

 

「そういう問題じゃないと思うんだけどなぁ…」

 

相変わらずの幸村に、ため息をつく佐助。

すると幸村は周辺に転がるガジェット達の残骸を見つめながら話し始める。

 

「しかし佐助。お前はこんなカラクリに見覚えはあるか? 俺は見覚えはないが」

 

「ん~…少なくとも日の本では見たことがない代物だねぇ。 カラクリの宝庫の長曾我部軍でもこんな兵器は持ってなかったはずだぜ」

 

佐助は足元に落ちていたガジェットの破片を拾い上げる。

 

「それに材質も、俺らの知ってるカラクリとは全く違う…ここは相当、技術の発達した異国みたいだぜ」

 

「そうか。いやこの国の街の造りにも驚かされたが、このような兵器まで…一体ここはどこでござろうか?」

 

幸村が顎に手を当てて考えている。

 

 

ザ~ビザビザビザビザビザ~~~~~~!

 

 

「「!?」」

 

ふと、2人の脳裏に忌まわしき異国のBGMが響き渡る。

 

「た…大将! まさかとは思うけど、ここ南蛮じゃないよね?」

 

「い…いや…た…多分違うとは思うでござるが…」

 

顔を青ざめながら、2人は必死に首を横に振ってそれぞれ頭に過ぎった事を忘れようとした。

その時、突然上の階から轟音が聞こえてくた。

 

即座に上を見上げる幸村と佐助。

 

「!?…大将!」

 

「おぅ! ついてこい佐助!」

 

幸村は二槍を手に持つと、再び立ちあがってこの階の階段を目指し走りだし、その後から佐助も続き、二人は上の階へと向かった…

 

 

 

 

「はぁ…はぁ…はぁ」

 

侵入者捜索の為、監視塔に入ったフェイトを待ちうけていたのは他の階から逃げてきたと思われるガジェットの大群だった。

フェイトは壁際に追い詰められながらもバルディッシュを振るって次々と破壊して回るが敵の数は増えるばかり。

いつもならこれくらいの数なら余裕であるが、今は先ほどの空中での戦闘で魔力を消費していた為、正直きつかった。

 

「はああぁぁぁぁ!!」

 

それでもここで退くわけにはいかず、フェイトはバルディッシュを薙ぎ払い、金色の刃をガジェット達に放ち、次々に撃墜していく。

破壊されたガジェット達は次々に大爆発を起こし、周囲に火炎と爆風が噴き上がる。

その時、その炎の中から何かがフェイト達に向かって飛び出してきた。

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」

 

中から出てきたのは赤い服、赤いハチマキに槍二本。首にかけているのは六文銭…言うまでもないが真田幸村である。

 

「そこの女子よ!助太刀いたすぞ!天!覇! ぜっそ…グガッ!!?」

 

幸村はフェイトの隣に着地すべく勢いよく飛びあがったはいいが、勢い余ってフェイトの隣を通り過ぎて壁に激突してしまった。

 

「えっ!? えぇぇぇっ!?」

 

その姿に呆気にとられるフェイト。

ガジェット達はそんな幸村を狙ってレーザーを撃とうとする。

だがガジェット達がレーザーを発射する直前、背後から大型の手裏剣がガジェット達を両断してそれを防ぐ。

 

「あぁ~あ、何やってんの旦那~。せっかくかっこいい登場場面が台無しじゃん」

 

手裏剣を投げた張本人…佐助が呆れながら、地面にできた影より現れフェイトの前に姿を見せる。

 

「だ…誰ですか?!貴方達は?」

 

フェイトが思わずバルディッシュを構えて警戒する。

そんな彼女に壁から離れた幸村が制する。

 

「安心なされよ! 其達はそなたの味方でござる! 其の名は真田幸村。この者は其の配下の忍で…」

 

「どうも~、人呼んで猿飛佐助で~す。以後お見知り置きを♪」

 

「えっ!?」

 

フェイトは、なのはが政宗の名を聞いた時のように声を張り上げる事はしなかったが、それでも聞き覚えのなる名前に思わず呆けた表情になってしまう。

 

(さ…真田幸村って…あの『戦国一の兵』って言われてる戦国武将!? それに猿飛佐助って…えっ!?…どういう事?…これどういう状況?)

 

フェイトはなのはと違って冷静だが、その内心ではこの予想外過ぎる助っ人に激しく動揺し混乱してしまった。

そんな彼女を尻目に、幸村は二槍を構え、佐助も二つの大型手裏剣をガジェット達の方へ向けて構えた。

 

「この戦い、我らも共に加勢いたそう!」

 

「さぁて、久しぶりにやりますかねぇ」

 

佐助は軽い調子でそう言うが、一方のフェイトはますます戸惑ってしまう。

 

(もしかして武装隊が言っていた侵入者ってのは…いや…それ以前にこの人達も…もしかして家康さんの世界から…)

 

「も…もしかして貴方達は…」

 

「まあまあ。お喋りはこいつらを倒した後からって事で」

 

フェイトは幸村に問おうとしたが佐助に止められてしまう。

その時、幸村達の背後から一機のガジェットが触手を伸ばして彼らに襲いかかろうとした。

すかさずそれに手裏剣を突き立てる佐助。

その表情は冷徹な忍の顔になっていた。

 

「おっと。名も名乗らずに奇襲かい? だったらアンタらに礼儀は必要ないみたいだな…大将! 派手にやっちまおうぜ!」

 

「おお! ではいくぞ!!」

 

すると幸村は両腕を広げ、二本の槍を構える。

 

「燃えよ! 燃えたぎれぇぇぇ!」

 

幸村が叫びながら槍を回転させ始めると、次第に槍の先から炎が上がり、やがてそれは幸村の両腕に炎でできた輪っかに変わっていく。

 

「大っっ車輪!!」

 

幸村は炎の輪を作ったままガジェットの群れの中へと飛び込んでいき、次々とガジェット達を斬り、焼き、吹き飛ばしていく。

そのたびに周辺には火の粉が飛び、それは傍で手裏剣を振るっていた佐助にも振りかかった。

 

「あっちぃ!? ちょ大将! ここ狭いんだからもっと周りを見て戦ってよ!」

 

幸村に文句を言いながらも、佐助は幸村の隙をつこうとするガジェット達を手裏剣で斬り、幸村を守る。

すると目標を幸村から佐助に変えたガジェットの一体が伸ばしてきた触手が佐助の片腕を捕まえ、続けて別のガジェットが伸ばしてきた触手が佐助の両足を縛りあげる。

佐助は身動きがとれなくなってしまったが、それでも佐助の表情には微塵の焦りも浮かぶ事は無い。

 

「やれやれ。俺様を捕まえたって無意味な事なんだけどねぇ…」

 

佐助がそう言ったと同時に、彼の身体が足元の影へと吸い込まれ始め、あっという間に姿を消してしまった。

ガジェットは機械なので感情などはないが、それでも確かに拘束したはずの標的が消えた事に戸惑っているのか辺りを模索しようとする。

すると佐助を拘束しようとした二機のガジェットに佐助の手裏剣が貫通し、機体が爆発する。

 

「これぞ忍術…空蝉の術…ってね♪」

 

地面に落ちたガジェットの残骸の中に佐助がひょいと降り立つ。

佐助は影に隠れてガジェットの拘束から逃れた直後、ガジェット達の真上まで移動し、そのまま隙をついて上空からガジェットを攻撃したのだった。

 

「佐助!大丈夫か!!?」

 

「俺の事は心配すんな大将!今は前を見るんだ!」

 

幸村が槍を振るいながら佐助を心配する。

佐助はそれをちょっと突き放すように答える。

すると佐助の視線に入ったのは、背後から幸村に向けてレーザーを撃とうとする三機のガジェットだった。

 

「大将!危ない!!」

 

「なに!?」

 

佐助の叫びに幸村が振り向いたと同時に、ガジェット達からレーザーが放たれて幸村の身体を貫こうとする。

幸村が目を瞑りながら槍を構えて防ごうとした時、幸村とガジェット達の間にフェイトが入り込み、障壁を張ってレーザーから幸村を守った。

 

「!?」

 

「貴方だけに戦わせるわけにはいきません……!」

 

凛とした表情だが少し頬笑みを浮かべて幸村の方へ振り返るフェイト。

それを見て一瞬亞然としていた幸村だが、すぐにその表情に笑みが浮かぶ。

 

「申し遅れました。私はフェイト・T(テスタロッサ)・ハラオウン。時空管理局 機動六課所属の執務官です」

 

「ん? て、てっさ…ろっさ…? はらを…うん…? ぶ、不躾ながら少々風変わりな名前でござるな…」

 

「あっ、いえ。ハラオウンです。まぁ、呼びにくいなら“フェイト”って呼んでください。そっちが名前なので」

 

聞き慣れない横文字の名前に困惑する幸村に、フェイトは思わず吹き出しそうになりながら、優しく訂正した

 

「左様でござったか! フェイト殿。危ういところを助太刀下さって感謝いたす!」

 

そして、また真剣な表情となった二人はそれぞれ二槍とバルディッシュを構え、ガジェット達と対峙する。

 

「助けてもらったばかりで厚かましいでござるが、ここはひとつ共闘を御頼み申したい!」

 

「わかりました。私も貴方にはさっき助けられましたから」

 

二人は話ながら、ジッとガジェット達を睨みつける。

するとガジェット達が一斉に二人に向かって襲いかかる。それに対し、まず先手を切ったのは幸村だった。

槍から炎を吹き出し、自身は回転。回る速さはどんどん増していき、ガジェット達に近づく。

ガジェット達はレーザーを放つが炎に守られ、レーザーは幸村に当たらない。

幸村は群れの中心に突っ込んでそこにいたガジェット達をまとめて吹き飛ばすと同時に、群れとなっていたガジェット達をバラバラにする。

そこへ高速で接近したフェイトが鎌状の形になったバルディッシュでガジェット達に斬りかかる。

 

「ハーケンセイバー!」

 

フェイトの振るう斬撃で次々に撃破されていくガジェット達。中には数機程、フェイトの攻撃を掻い潜って逃げようとするが、その前に幸村が立ちはだかる。

幸村は炎を纏った槍を構え、ガジェット達を待ち受ける。

そして幸村の目の前にまでガジェットが迫った時…

 

「千両花火ぃ!!」

 

幸村が槍を振り上げると、穂先から炎が噴きだし、ガジェット達を飲みこんで黒焦げのスクラップへと変える。

一方、まだしぶとく残ったガジェットが2、3機、フェイト、幸村の両方の攻撃を掻い潜って逃げようとする。

しかしそんなガジェット達の前で強い光が輝き、ガジェット達は思わず動きを止めた。

 

「逃がしはしないよ!カラクリ君達」

 

閃光を放った張本人、佐助はそう言うと自分も攻撃で目くらましを受けないように、急いでその場を去る。

ガジェット達が混乱していると背後から穂先が燃え上がったままの槍を構えた幸村が迫ってくる。

 

「はぁぁぁぁあぁぁっ!大…烈火!!」

 

幸村がガジェット達に超高速ともいえる速度で連続突きを繰り出していき、ガジェット達は穴だらけになってその場に落ちる。

勝負はついた。

フェイトの表情に安殿色が浮かびかけたその時、フェイトの真上の天井が戦いの余波で崩れ出し、その瓦礫がフェイトに向かって落ちてきた。

 

「!!?」

 

「フェイト殿!?」

 

瓦礫がフェイトの頭に振りかかろうとしたその時、幸村がフェイトに向かって走り、飛びかかって彼女の身体を抱きとめるとそのまま瓦礫の下から退避する。

 

「大将!大丈夫か!!?」

 

佐助が急いで瓦礫の崩れた場所に駆け寄る。

すると、幸村とフェイトはギリギリ瓦礫の山から離れた場所で倒れていた。

 

「うっ………た…助かったでござる…」

 

幸村は砂埃にまみれた身体をゆっくりと起して、自分の下で倒れているフェイトに声をかける。

 

「フェ…フェイト殿?大丈夫でござるか?」

 

「はい。なんとか…助けてくれてありがとうございます。幸村さん」

 

フェイトが笑顔を浮かべながら礼を言うと幸村の表情も笑顔に変わる。

すると、幸村が自分の手に違和感を覚え、ふと自分の手元に目をやってみると…

 

「えっ…!?」

 

「あ…!?」

 

幸村はガッシリと掴んでいた…

フェイトの胸を……

 

「大将。よかったぁ、大丈夫そう―――でぇ!!?」

 

幸村に近づこうとした佐助の身体が硬直してしまう。

 

「そ……そ……そ……」

 

気まずい空気の中、幸村が声を震わせ…顔を真っ赤に染め…

 

「其はなんて破廉恥な事を…ぶふううううううううううううううううううぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!?」

 

まるで沸騰したやかんの如く、頭から蒸気を噴き出し、そして盛大に鼻血を吹き出しながらその場に倒れ込んだ。

 

「だ…旦那ぁぁぁぁ!!? しっかりしろぉぉぉ!!」

 

驚いた拍子に呼び方が昔に戻ってしまった佐助。

フェイトも恥ずかしさで赤くなりながらも、倒れた幸村を介抱しようとした。

 

「幸村さん!?しっかりしてください!幸村さん!」

 

フェイトは必死に声をかけるが、幸村は頭から蒸気を吹き出し、顔をトマトみたいに赤くしながら痙攣を起こしていた。

当然ながら鼻血はとまらない。

 

「こいつはひでぇ…早く鼻血止めないと全身の血が無くなっちまうぞ」

 

「い…急いで救護班を呼びます!」

 

フェイトがそう言って急いで、念話を使って救護班に連絡しようとすると…

 

「さ…真田!?もしかしてお前なのか!?」

 

フェイトと佐助の耳にそれぞれ聞き覚えのある声が聞こえた。

二人が声の聞こえた方を見ると、そこには家康とスバル達フォワードチームが立っていた。

すると家康の姿を見た佐助も驚愕の声を上げる。

 

「アンタは……徳川家康!? どうしてここに!?」

 

「えっ!? 家康さん。あの人達の事知ってるんですか?」

 

「やっぱり…貴方達も家康さんの世界から…」

 

事情がよくわからないスバル達は家康に聞くが、フェイトは二人の態度から、幸村、佐助も家康の世界の人間であると確信づいた。

 

「あの者達はワシの良きの好敵手で甲斐武田軍の武将 真田幸村とその忍 猿飛佐助というのだが…一体どうしてここに?」

 

「それはこっちが聞きたいところだって、東の大将 徳川さんよぉ。ってかここどこ? つーかそこのお嬢さん方は一体何?」

 

佐助は家康にそう問いかけると、フェイトが家康に変わって佐助に説明する。

 

「え~と…あの子達は私と同じ機動六課のメンバーで、家康さんはこの世界に飛ばされてから私達に協力して、この機動六課に入っているんです」

 

「は?…えぇっと…あの悪ぃんだけど…フェイトさんだっけ? 俺様全然話がよくわからないからもっと詳しく…」

 

全然理解できない佐助が、フェイトにさらに細かい説明を求めようとしたその時―――

突然天井が再び破られ、そこから六爪を構えた政宗が一同の前に降り立った。

 

「ちぃ!ここももう片づけられた後か…一体どんな野郎…が…!?」

 

政宗は周囲を見渡そうとして、亞然とした表情で自分を見つめるフェイトやフォワードメンバー。

そして佐助、家康に気づく。

 

「政宗様!お待ちください!」

 

「危ないですから一人で進んじゃダメですって!」

 

「ってか床を壊して進むなよ!」

 

さらに天井の穴から小十郎、なのは、ヴィータが下りてくる。

 

「政宗様?一体どうなされ…!!?」

 

「あれ?フェイトちゃん?家康君?スバル達も…どうしたの?」

 

「なんだぁ…この空気は?」

 

政宗に追いついた小十郎も、幸村、佐助、家康の存在に気付き、言葉を失う。この亞然とした空気に違和感を覚える。

 

「ウソだろ…家康に…!? 真田…幸村…?」

 

「独眼竜に…片倉殿?」

 

「あっちゃ~…よりによって伊達軍の大将と副将両方お出ましかよ? もしかしてここって東軍の領地?」

 

政宗と家康は互いの名を呼び合い、佐助は勘弁してくれと言わんばかりに顔に手を当てる。

混沌とした思念がその場に溢れかえる中で、ゆっくりと動き出そうとする人物が一人…

 

「ま…政宗殿の声が…聞こえるでござるぅぅぅ~~~~~……」

 

鼻血の出し過ぎで全身蒼白になった幸村がよぼよぼになりながらも槍を杖代わりにして立ちあがろうとする。

しかし、血の気のなくなったその姿はもはや老人を越えてミイラとも言える姿であった。

 

「Oh!だ…誰だこいつ!?」

 

「さ…真田よせ! 死んでしまうぞ!」

 

幸村のあまりに変わり果てた姿を見て、いつもなら喜んで戦いを挑む政宗ですら、思わず引いてしまう。

家康も慌てて幸村を押されるべく駆け寄ってしまう。

 

「と…とりあえず今はこの人を何とかしないと!!」

 

ティアナがそう叫ぶと、それまでの気まずい雰囲気はなくなったが、その代わりに幸村の介抱などでその場は騒然となった…




今回はあんまり改変点はないかもしれません…
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