リリカルBASARA StrikerS -The Cross Party Reboot Edition-   作:charley

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自らの宿敵・家康が協力する『機動六課』に西軍である自分が加わる事に葛藤を抱く幸村。そんな幸村の心中を察した家康は「気持ちだけでも自分達の勝負にケリをつける」べく、決闘を挑む事になった。

進むべく道を選ぶべく、互いに熱い魂をぶつける幸村と家康…だが、その一方で、西軍の皎月院は、同じく西軍武将の黒田官兵衛、後藤又兵衛を使い、ある暗躍を進めていたのだった……

果たして2人の"虎"の勝負の行方は…そして、皎月院達の魔の手が迫る六課は……

ヴィータ「リリカルBASARA StrikerS 第十一章、出陣だぁ!」


第十一章 ~決闘の決着と、襲いかかる刺客の刃~

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 

「はああああああああああああああああああ!!!」

 

家康は幸村に槍を返し、再びそれぞれが拳と槍による剣戟…ならぬ“拳戟”へと戻っていた。

幸村が家康の胴をめがけて槍を突き出すと、家康はそれを左フックで弾く。

槍がそれて、幸村がひるんだ隙に家康が正拳を彼の顔面にめがけて叩きもうとするが、すかさず幸村のもう一つの槍の柄によって防がれる。

 

「はあぁぁぁぁぁ…耐心盤石!!」

 

「なんとっ!?」

 

すると家康は、片手が槍で防がれた状態を物ともせず、額に金色の“気”のオーラを集中させると、その揺るがぬ心を示すように気合の頭突きを放ってきた。

幸村は後ろに飛び退くと、家康との間に数メートルほど距離を空けて着地し、再び体勢を立て直した。

 

「さすがは徳川殿! その身のこなし、見事で御座る! …されどこの幸村も、武田の御大将として自覚した今、貴殿に遅れをとっているだけではござらぬ!」

 

幸村はそういうと、両手に持った槍を掲げ、その矛先から炎を纏わせた。

炎を纏った二槍を構えた幸村の、足元の板間が気迫によって亀裂が走る。

 

「我が虎の魂の真髄!受けてみよ!」

 

幸村の宣言に家康も笑みを浮かべたまま、拳を掲げ、そこに光を収束させる。

 

「よく言った真田。しかし、ワシが受け継いだ虎の魂も負けてはおらんぞ。 虎の“強さ”に絆を守るべき“強さ”を得た我が魂…今こそお前に見せてやろう!」

 

それぞれに金と紅のオーラを纏わせた2人は、目にも止まらぬ速さで相手に向かって突進し、渾身の一撃を繰り出そうとする。

 

「天道突きぃぃぃぃ!!」

 

「火走ぃぃぃ!!」

 

 

ガキイイィィィィィン!!!

 

 

家康が金色に輝く拳を、幸村が炎を纏った槍を繰り出し…それぞれが激しいぶつかり合うと同時に、彼らを中心に巨大な衝撃波が起こり、彼らのいた櫓だけでなく、後方のなのは達のいた物見櫓や、遂には訓練所全体に衝撃が広がる程だった。

 

「「はぁ!…はぁ!…はぁ!…」」

 

巻き起こった粉塵が晴れた時、板間がズタズタに壊れた櫓の中心で、家康と幸村は互いに膝をついて息を切らしていた。

 

「どうした“甲斐の虎”。これで終わりか?」

 

「!? …まだだ! まだ倒れぬぞ! “三河の虎”!!」

 

家康の挑発を聞き、カッと目を見開いた幸村は再び二槍を手にとると、櫓の床を蹴って、宙高く舞い上がった。

それを追うように家康も櫓の床を蹴って、空高く舞い上がる。

今度は床から数メートル程上の空中でぶつかり合う2人。家康が拳を振るい、槍を弾くと、幸村はもう一方の槍を家康に向かって刺突し、それを再び弾く家康…攻撃の応酬を繰り返していく内に2人の動作はそれぞれ勢いを増してきた。

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

「はああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

それぞれ激情を顕にしながら、拳と槍をぶつけ、弾き、周辺に衝撃波を吹き荒らせながら互いに一歩も引かぬ攻撃のぶつけ合いを繰り広げる。

だがそれを繰り返していく事に、二人の表情は次第に疲労の色が浮かび上がってくる。

 

「……しまった!?」

 

「隙あり!」

 

一瞬の隙…家康が槍を弾いた際に、身体を僅かに後ろに仰け反らせてしまったところを幸村は見逃さなかった。

 

「灼熱…炎凰覇!!!」

 

幸村は槍を交差させるように構えると、それを左右それぞれに開くようにして振って、炎でできた鳳凰を家康に目がけてはなった。

 

「うわああああああああああああああああああああ!!」

 

炎の渦が直撃した家康はそのまま空中から櫓の床へと落下し、叩きつけられる。

爆炎と煙が上がり視界を満たす。

 

「家康さん!?」

 

スバルが思わず、声を張り上げた。なのは達も「この勝負あったか?」と息を飲んだ。

 

「ふぅ…今のは、危なかったな…」

 

だが、床に舞い降りた幸村の前で、煙の中から姿を現した家康にスバルは安堵の笑顔を見せる。

顔の前に腕を交差させダメージを最小限に留めた家康が煙が完全に晴れない内に、再び、助走をつけてジャンプすると、幸村に目がけて飛びかかりながら拳を構え…

 

「陽岩割り!!」

 

幸村の頭に向かって拳を振り下ろしてきた。

瞬時に横に身体を反らす事で、攻撃を躱す幸村。

空振りした家康の拳は地面にぶち当たり、その前方向の櫓の板間を完全にぶち抜き、破壊してしまった。

 

「くっ!…ならばこれでどうだ!?」

 

「効かぬ!!」

 

再び家康と幸村は拳と槍による拳戟に戻る。

実力はほぼ拮抗。どちらに勝気があるのかは、まったく予想できない状態となった。

 

 

「す、すごい……これが……“虎”の魂を持った“武士(もののふ)”の戦い……」

 

エリオは手に汗を握りながら、この激闘から目を離せずにいた。

この戦いは、エリオの今までの戦いに対する常識を覆す程に大きな衝撃を与えていた。

優雅かつ合理的な動きが基盤な『騎士』の武術とは違い、幸村の槍術や家康の拳術は一見斬新で豪快な動きだが、その矛先は確実に相手に届かせるといった精巧さも忘れていない。

 

(……もしも、僕が…幸村さん達のような猛々しい武士(もののふ)の戦術を身につけたら…)

 

エリオの中に眠っていた羨望心と好奇心、そして向上心が自然と湧いてきていた。

 

「さすが真田の大将! 総大将になったばかりの頃に徳川と戦った時と違って、動きに昔のキレが戻ってるじゃんか!」

 

「確かにな…上田でのpartyの時もそうだったが、すっかりふっきれて虎のSoulが戻ったって感じだな」

 

幸村の動きを見て、まるで子供の成長を喜ぶ母親のような事を言い出す佐助と、今にも乱入したくてウズウズしている政宗の言葉を聞き、エリオは我慢できなくなって2人に尋ねてみる事にした。

 

「あの。佐助さん、政宗さん」

 

「ん?」

 

「お前は……確か、エリオ…だったか? なんだ?」

 

「あの…幸村さんって一体どういう人なんですか? 自己紹介の時もあまりあの人自分の事を話していませんでしたし…」

 

エリオの質問に、佐助は首をかしげる。

 

「大将がどういう人かって? まぁ、『甲斐武田家』っていう俺らの世界じゃ名の知れた武家の軍師 真田家の次男坊なんだけど…お館様にその才能を見込まれて、子供の頃からずっとお館様の弟子として育ってきたお人…なんだけど、あの人の人となりを説明するのって一筋縄じゃいかないんだよねぇ」

 

「待ちな。あいつの人となりなら、Rivalである俺がよくわかってるさ」

 

佐助が苦笑を浮かべながら話していると、政宗が手で制しながら介入してきた。

 

「そう? じゃあ、独眼竜の旦那。代わりに説明してくれる?」

 

そう言って佐助が下がると、政宗は徐に語り始めた。

戦国屈指の強さを誇る騎馬隊を有し、『甲斐の虎』の異名で日ノ本全土にその名を轟かせていた名将 武田信玄―――

信玄の参謀として、その覇道を支えてきた『戦国の奇術師』 真田昌幸の次男として生まれた幸村は、幼き頃より見せていたその類まれな将としての才能を見込んだ信玄自身の希望で、幼少期から信玄の下で育てられ、その『虎の魂』を誰よりも強く受け継いだ心熱き若武者だった。

 

政宗とは、まだそれぞれが元服…つまり成人する前、“梵天丸(政宗)”“弁丸(幸村)”であった頃に、とある戦場で出会って以来、誰よりも互いを認め合う好敵手=『ライバル』として幾度となく戦いを繰り返してきていた。

単純で感情的になりやすく、時に安直過ぎると指摘される事はあっても、家康をはじめとした多くの武将達、中でも政宗には常に一目置かれる存在であった。

 

 

「だがな…あいつも一時『虎の魂』を失いかけた事があったんだ…」

 

家康と激闘を繰り広げる幸村を遠く見据えながら、政宗はしみじみと語り続ける。

 

家康が立派な青年となり、徳川軍も武田軍と対等に渡り合う力を持ち始めた矢先、徳川との決戦を控えていた信玄が病に倒れてしまう。

それは政宗や家康達にとっても大きな衝撃であり、とりわけその事に嘆いたのは幸村であった。

信玄は病床に付いた自分に代わって幸村に武田軍の未来を託した。

しかし、ずっと信玄を慕い続けた幸村にとって、自分が信玄の築き上げた栄光を守り、率いていかねばならない重圧は耐えられるものではなかった。

 

「あいつは苦労して、挫け、迷いながらも俺や徳川みてぇな将としての器を得るために努力した…そして…いろんな奴の導きを受けた結果、今のあいつがあるんだ」

 

家康と戦う幸村の表情は、生き生きとしており、その心の成長ぶりが伺い知れた。

 

「…………大切な人が突然いなくなるのって……辛いですよね?」

 

不意に、話を聞いていたエリオがポツリと零すように、そう呟いた。

エリオの言葉に政宗や小十郎、そして佐助も、この少年の抱える心の“闇”の存在に気づいたのかそれぞれ微かに眉を顰めた。

 

「僕は幸村さんとはちょっと違うんですけど………僕も一度大切な人に見捨てられて、自分の生きる意味が判らなくなった事があるんですよ」

 

「……どういう事なんだ?」

 

政宗が尋ねた。

エリオは半ば無理に作った様な穏やかな微笑を浮かべながら話しだした。

 

「実は僕は“クローン生命体”…つまり人の手によって作られた命なんです」

 

「ッ!? それはどういう事だ?」

 

「人の手で作られた命…って?」

 

それぞれ仰天する政宗と佐助。

まだこの世界に来て日は浅く、『クローン技術』など事についてはよくわからなかったが、それでも政宗達はエリオが想像を絶する出自の持ち主である事をすぐに察したのだった。

すると、エリオは語り始めた。

 

エリオはミッドチルダの上流階級の家 『モンディアル家』で生まれ、優しい両親にも恵まれ、裕福な暮らしを送っていた。

 

しかしエリオが三歳の時、事件は起こった……

家に突然現れた謎の科学者達に自分の正体は、モンディアル家で病死した息子のクローンであるという衝撃的な事実を告げられ、そのまま研究対象として両親と引き離されてしまった。

その際に事実を突きつけられた途端に両親が抵抗するのをやめてしまったのを見たエリオは大好きだった家族に裏切られた喪失感に追い打ちをかけるように、幽閉された研究施設では半ばモルモットの様な非人道的な扱いを受け続けた事が、彼の心を酷く蝕んでいった…

エリオは、誰を信じたらいいのか判らなくなり、自分自身もこの先どう生きればいいのかわからなくなり、ようやく研究施設から助け出された時には、自分以外の全てを敵と思い込み、我武者羅に暴れ続け人々を困らせ続けた。

 

そんなエリオを救ったのはフェイトだった。

彼女は魔法を行使して暴れるエリオに対しても決して怖気づく事は無く、体を張ってまで真摯な説得と献身を働きかけてきた。

それは氷のように冷たく固まっていたエリオの心を大きく動かすきっかけとなった。

 

「幸村さんも…その信玄さんって人が病気になって自分の前からいなくなってしまった時、この先誰を信じて、どう生きていけばいいのかわからなかったんですね……僕がそうであったように幸村さんもきっと辛くて苦しかったんだと思います」

 

エリオは政宗達を動じさせない様に優しく穏やかな口調で語るが、それが逆に彼の心に抱えていた傷の深さを実感させているように見えた。

現に、政宗達だけでなく、彼の事情を知っているなのはやフェイト、スバル達六課の面々も皆、どこか気まずそうな面持ちで話を聞いていた。

「だから…」っとエリオが言いかけた時、エリオの肩に佐助がポンっと手を乗せる。

 

「佐助さん…?」

 

「エリオ、お前はよく似ているな。真田の大将に」

 

「ッ!? 僕が…幸村さんに?」

 

キョトンとした表情で返すエリオに頷く佐助。

 

「あぁ。その考え方…まるで真田の大将そっくりだ。自分の辛い過去を下敷きにして他人に同情する。それ、まさに大将の十八番だな」

 

そう言って笑い出す佐助を見て、呆気にとられるエリオ。

すると、佐助はこんな事を言い出した。

 

「なぁ、エリオ。そんなにウチの大将に興味があるなら、いっその事、そこにいるスバルってお嬢ちゃんみたいに、真田の大将に弟子入りしてみたらどうだい? 似た者同士結構いい師弟関係になるかもよ? それこそお館様と大将みたいに…」

 

「弟子!? …僕が幸村さんの…ですか!?」

 

佐助の言葉に驚き、慌てふためくエリオ。

そんな冗談とも本気ともとれない態度で話す佐助を見かねた政宗が横から窘める。

 

「おい猿飛。 あんまり変な事吹き込んでんじゃねぇよ」

 

「あれっ? 独眼竜の旦那、もしかして真田の大将に弟子ができるかもしれないから焦ったりしてない?」

 

「んなわけねーだろ!!」

 

からかうように囃し立てる佐助に、政宗は鳥肌を立てながら怒鳴った。

そんな彼らに苦笑を浮かべながらも、エリオは激闘を続ける幸村の方に顔を向けた。

 

「幸村さんの…弟子…か…」

 

エリオは考えながら幸村の戦う姿を見入るのであった。

 

 

その頃、訓練所の一番端にある海に面した程近い場所で、突如地面が轟音と共に揺れ動いたかと思いきや、巨大なドリルのようなものが雨後の筍の様に地面から突き出たかと思うと、すぐにまた地中へと引っ込んで消えてしまった。

その後には人一人分が通れる程の穴が完成していた。

すると、穴の中から、奇刃をピッケルのように突き立てながら登ってきた後藤又兵衛と、その後ろから枷に繋がれた鉄球を抱えながら、縛られた手と、足を使ってどうにか穴を登り切る事のできた黒田官兵衛が息を切らしながら這い出てきた。

 

「はぁ!…はぁ!…なんていう岩盤の硬さじゃ…! 我が黒田軍屈指の駆動兵器“角土竜”でも小穴程度しか空けられんとは……」

 

「はぁ!…はぁ!…もうテメェのポンコツ兵器なんざ、二度と乗らねぇからな……!!」

 

皎月院から六課潜入と偵察の任務を受けた黒田主従は、用意していた坑道掘削用カラクリ装甲車『角土竜』で地中に潜り、海底の更に深くを進みながら、海を渡る事でここへ乗り込むという潜入方法を実行したまではよかったものの、日ノ本とは比べ物にもならないミッドチルダの土地の地盤の硬さに、苦戦し、採掘する度に車内は激しく振動し、官兵衛も又兵衛も右に左に、上に下にと、揺れに揺らされ、ぶつかって傷だらけになるわ、やっと機動六課の敷地に入ったは良いものの、潜入予定地の訓練所の地表付近は更に岩が固く、大型トラック一台分の大きさを誇る角土竜が進めるだけの大きさの穴を掘る事ができず、やむなく一人分の大きさの小穴を数十メートルかけて掘る事でようやく潜入経路を確保する事ができたのだった。

 

「ま、まぁ、無事に潜入できたからいいだろうが又兵衛。それよりも、小生らがこれからすべき事を確認しようじゃないか」

 

「あぁ? なぁに言ってんですかぁ? あの花魁女が言ってたじゃねぇか。この先で決闘中の徳川と真田を探って、万が一真田が徳川の仲間に寝返るなら…徳川共々、(バラ)しちまえばいいんでしょ?」

 

首を手刀でトントンと叩きながら、首を落とすジェスチャーを交えて嬉しそうに話す。

すると官兵衛はわかってないなといわんばかりに、頭を振った。

 

「バカ! それはあの怪尼(皎月院)からの命令だろうが! そんなもん、忠実に果たす必要なんかねぇ! それよりも、小生はこのまま隙を見て、徳川に取り入る方がいいんじゃないかと考えているんだよ!」

 

官兵衛の提案に又兵衛は目を見開いて驚いたが、すぐに見下すような目つきで睨み、罵倒した。

 

「あぁ!? なぁに、阿呆な事言ってんだ?! 阿呆官! テメェ、その枷の鍵欲しくねぇのかよ?」

 

「あぁ、確かに枷の鍵は欲しいさ。だが、さっきからよくよく考えていたんだが…どうもあの怪尼が、小生の枷の鍵を持ってるなんて怪しいと思う」

 

「あぁ? どういう意味だよ?」

 

又兵衛が怪訝な顔つきで尋ねた。

 

「いいか。コイツの鍵はいつも、三成が刑部のどちらかが持っていやがるのさ。あの疑り深い三成や、ずる賢い刑部が、自分達以外にあの枷の鍵を預けるなんておかしい。いくらあの女が三成や刑部に上手いこと取り入っているにしても、左近の奴より新参者なあいつが、アレを預けられる程、あの2人から信頼を得ているとは思えねぇ」

 

「……だからなんだってんだよ?」

 

「だから! 小生はこう考えてるんだよ! アイツの持っている鍵は“偽物”で、つまり小生らがこの仕事をバカ正直にこなしたところで、難癖つけられて褒美は反故にされるかもしれないって事だよ! 勿論、お前さんの直臣取り立てや“五刑衆”昇格の話だって、適当言って上手いこと動かそうってだけの方便に決まってる!」

 

官兵衛の推測に又兵衛は怒りと呆れ半々の表情を顔に浮かべた。

 

「あぁ?! そんなもんわかんねぇだろうが! なぁにビビっちゃってんのぉ!? 大体、なんで俺様が、徳川なんかに媚売る必要があんだよぉ!?」

 

又兵衛は官兵衛の提案した『家康に取り入る』という案に露骨な不愉快を隠せずにいた。

又兵衛は自分が気に喰わない人物…とりわけ、過去に自分にとって屈辱的といえる仕打ちを受けた相手に対して、文字通り執拗に付け狙う非常に恨みがましい一面がある。

その執念深さは恨みを抱く相手の名前を書き込み、執拗に付け狙うための帳面…『又兵閻魔帳』なるものを肌見放さず持ち歩いている程であった。

そして、家康はそんな『又兵衛閻魔帳』の中で2位に入る程に又兵衛にとって恨みの強い憎き相手でもあった。

 

「なんなら、ここでいっそ真田共々、(バラ)しちまったっていいんですよぉ? ねぇ? アイツは…いずれ「苦痛激痛鈍痛疼痛心痛悲痛あらゆる痛みで悶絶死の刑」にしてやるんだからよぉぉ!」

 

「き…気持ちはわかるが、落ち着け! いいか又兵衛! お前さんが権現(家康)を恨むのもよくわかる! しかし、あんな穴蔵で三成達にいいように使われるだけで終わるくらいなら、今はここで権現(家康)と手を結んで、三成や他の五刑衆ら、お前さんの邪魔者を皆纏めて排除してしまった方がいいんじゃないかと思うんだよ!」

 

「……………」

 

必死に説得する官兵衛に又兵衛は訝しげたまま聞いていた。

 

「どうせ今の豊臣には、お前さんの憧れだった半兵衛や秀吉だってもういねぇんだ! だったら、今は徳川の味方について、邪魔になる奴らを皆排除しちまって、その後にお前さんを大将に新しい豊臣を興せばいいだろうが! なっ?」

 

「………この又兵衛様が新しい豊臣の大将に…?」

 

又兵衛のつぶやきを聞いて、もう少しだと勝手に思い込んだ官兵衛はさらに畳み掛けるように諭す。

 

「あぁ、そうとも。五刑衆どころか、総大将さ! 総大将・後藤又兵衛様! 最高にかっこいいと思うぜ?!」

 

「……で? 徳川に取り入るっつったって…その手立てはあるのかよ?」

 

「あるとも! 真田が寝返るようなら、それに便乗して小生らもそれに加わる。言い訳は任せろ。三成達がこの世界でやらかそうとしてる事を餌にすれば、きっと権現(家康)達だって、小生らを受け入れてくれる! もしも、真田がこのまま西軍として権現(家康)を倒そうっていうのなら、その時は小生らが真田の首を取ってしまえばいい。それを手土産にすりゃ、権現(家康)達だって小生らを味方と信じる筈だ!」

 

「………………」

 

自分の計略を呆れともとれるポーカーフェイスで聞き入る又兵衛に、官兵衛は勝手に彼が自分の計略を受け入れているものと思い込んだ。

 

「賛成だな? 賛成してくれるんだな?! よし、決まりだ!! 後は、この小生に任せておけ!! 必ずや、我ら“西の二兵衛”! 主従共に大笑いで幕切れを迎える筋書きを立ててやるからな! 大船に乗ったつもりでいろ! 又兵衛! ハッハッハッハッ!!」

 

「………………」

 

そう言って、又兵衛の返答も待たないまま、官兵衛は又兵衛を連れ立って、家康と幸村のいる櫓のある方へと向かった。

 

 

機動六課司令室――

普段であれば、任務中の六課の活躍を映しだした映像や任務先周辺の地図、他部隊や地上本部などからの資料画像、解析データといった複数の画像が表示される中央の巨大モニターには今は、訓練所での家康と幸村の決闘の様子がフルスクリーンで生中継されていた。

部隊長、前線要員総出で訓練所に出向いている今現在、六課の運営はここに集った『ロングアーチ』と呼ばれる後援部隊が担っていたが、それでも特に大きな事件や災害が起きていない事から、集まった者は皆、モニターに映る決闘の様子に釘付けになっていた。

 

「改めてみて思うけど、なのはさん達とはまた全然違う迫力を感じるよね~」

 

先日、家康の初訓練で仮想敵シュミレーターの数を30の予定が300にするという大ミスを犯してしまった通信員兼メカニックのシャリオ・フィニーノ一等陸士が司令室の隅に用意されたコーヒーマシンからお気に入りのエスプレッソを自身のマグカップに注ぎながらそう言った。

それぞれのデスクにつきながら、モニターを見ていたロングアーチ通信員のアルト・クラエッタ二等陸士、ルキノ・リリエ二等陸士も頷き、同調する。

 

「しかもこれで2人共、魔力保有指数0っていうのだから、余計に信じられないわよね。ホント、どうやったら魔法なしにここまで派手に戦えるのかしら?」

 

「魔術師ランクの基準で計算すれば、2人共文句なしにAAAオーバー相当の強さだよ。万一にも研究機関とかに知られたら、即刻研究目的で拘束されちゃうかもね」

 

以前、家康達の身体を調べた健康診断のデータを解析しながらルキノが話す傍で、アルトは自分のマグカップからコーヒーを啜りながら、軽い冗談な感じに物騒な事を呟いた。

 

「アルト。少し、冗談が過ぎるぞ。部隊長も家康さん達の事は特に地上本部の研究機関や監察部の目に止まらないように色々と苦心しているのだからな」

 

眼鏡をかけた銀髪の青年…機動六課部隊長補佐のグリフィス・ロウランがそう言って、アルトの軽口を窘めた。

 

「それにしても…彼らが我々と同じ非魔力保持者というのが信じられないくらいの戦いっぷりだな。彼らを見ていると“非魔力保持者”ってなんだっけ?ってそう思いたくなるね?」

 

「あれぇ? グリフィスってば、ひょっとして憧れちゃってる~?」

 

シャーリーが満杯になったマグカップを片手にグリフィスをからかった。

 

「ぼ、僕は外で動きまわるよりはデスクワークや管制指揮の方が性に合ってるんだよ!」

 

少し赤面しながら、慌てて取り繕うグリフィスの意外な一面に、シャーリー、アルト、ルキノが顔を見合わせて、クスクスと笑った。

その時、司令室の扉が開き、一人のスタッフが入ってきた。

書類の束を小脇に抱えた、黒色の短髪に目つきの鋭いグリフィス以上に生真面目で融通の効かなそうな雰囲気を漂わせる長身の男性…機動六課ロングアーチ通信主任 ジャスティ・ウェイツは、モニターに映った家康や幸村の奮闘姿を見るなり、眉間に深々と溝を作った。

彼が入室した途端、それまで朗らかだったロングアーチの女性陣の顔つきが露骨に嫌悪感を隠さない雰囲気に変わり、彼女達がジャスティの登場を快く思っていない事をグリフィスはすぐに察した。

ジャスティは、自分の席に着こうとしていたシャーリーの姿を見つけると冷たい声質の声で言い放った。

 

「フィニーノ。今は公務中だぞ。司令室のモニターの私的な使用は慎めといつも言っているだろう」

 

「ど、どうもすみません…。ジャスティ主任…」

 

シャーリーがこめかみを青筋を浮かばせて、ヒクヒクと引きつらせながら、苛立ちをこらえている事が見え見えな声で謝り、中央のモニターの映像をいつもの仕様に戻した。

それでも尚も、ジャスティは険しい顔を崩さずにグリフィスの方を向いた。

 

「ロウラン。八神部隊長は…まだ訓練所か?」

 

「あぁ。家康さんと幸村さんの決闘がまだ続いているようだからね」

 

グリフィスの説明を聞いて、ジャスティの表情に落胆と苛立ちの感情がはっきりと浮かんでくるのが見えた。

 

「…全く。いつまでそんな“お遊び”に付き合っているんだ。こっちは部隊長に片付けて欲しい仕事が山程あるというのに……」

 

ジャスティの言葉にグリフィスは引きつった笑みを浮かべて宥めるしかなかった。

通信主任とシステム管理者であるジャスティはロングアーチにおいて、立場上ははやて、グリフィスに次いで権限を持った人物だが、経歴、階級共にグリフィスとはほぼ同じである為、実質的に2人揃ってロングアーチのナンバー2といっていい状況となっていた。

否、厳密には「ならざる負えない状況」だった。とにかく生真面目で融通が効かず、その上、プライドも高いジャスティは、グリフィスへの対抗意識からなのか、何かと日頃からロングアーチでも部下であるシャーリー、アルト、ルキノに必要以上に高圧的に接する事が多く、特に気が弱いルキノにはその風当たりが特にキツかった。

その為、シャーリー達が少しでもグリフィスをロングアーチのナンバー2として立てているものなら、たちまちそのあてつけの様に激務を押し付けられたり、嫌味、叱責を浴びせられてしまう事となった。そんな事を繰り返した結果、今では少なくとも本人の前ではグリフィスとジャスティ双方を『ロングアーチの二番手』として立てないといけないという余計な忖度を強いられる羽目になっていた。

 

「本当に部隊長の粋狂にも困ったものだな。決闘の為に訓練所を貸すだけでなく、前線メンバー全員で見学なんて…もし今、緊急任務が入ってきたらどうするというのだろうか?」

 

「気持ちはわかる。けど、念話はいつでも開通させているし…万一の時は皆、すぐに動けるようにしているのだから、決して何も考えずにあの決闘を主催しているわけではないぞ?」

 

そう宥めるグリフィスだったが、ジャスティは巨大モニターの端に小さい枠の映像に縮小された拳と槍を組み合う家康と幸村の姿を冷めた目で見つめながら、ボヤくように言った。

 

「……俺としては、そこまでして、あの連中の為に取り計らおうとする部隊長の考えがわかりかねる。そんなにも魔法も無しに隊の戦力になる存在が嬉しいものなのか?」

 

「ジャスティ…」

 

吐き捨てるようにそう言い残して部屋を出ていくジャスティに、グリフィスは呆気に取られた表情で見送るしかなかった。

 

「……あぁっ! やっと行ってくれた! もう、ほんとジャスティ主任って嫌味な奴! 最っ低!」

 

ジャスティの出ていったドアを冷やかな目で睨みつけて、軽蔑しながらシャーリーは僅か数分の間に数日分の疲労を溜めたかのように自分のデスクにドッと突っ伏した。

アルトもルキノも一先ずの安堵の息を吐きながら、強張っていた肩の力を抜いた。

 

「グリフィスさん! やっぱり一回部隊長補佐としてあの人にガツンと言ってやってくださいよ! このままじゃ、私達あの人のパワハラでストレス溜まりまくりですってば!!」

 

「う~ん…しかし、言うにしてもなぁ…彼のあの性格だから僕から言っても、逆に日に油を注ぐだけになって―――」

 

アルトの抗議にグリフィスが言葉を濁していたその時だった。

突然、モニターに赤い画面『ALERT』の文字が書かれたホログラムが投影され、同時に警報音が鳴り響く。

たちまち、司令室にいたロングアーチ全員の表情に緊迫の色が走った。

 

「隊舎敷地内に不審な人物の反応あり! 場所は……うそ!? 訓練所!?」

 

自分のデスクに備えた端末を操作しながら、情報を確認したアルトが驚嘆の声を上げる。すると、隣の席にいたルキノも青ざめた顔で叫んだ。

 

「隊舎より南南西およそ15キロの海上上空に、多数の未確認飛行体を確認! こちらに向けて移動中! このままではあと5分で訓練所に到達します!!」

 

「すると…敵の襲撃か!?」

 

グリフィスが冷や汗を浮かべながら叫んだ。

 

「大至急、部隊長達に連絡を!!」

 

 

 

 

司令室で緊迫した事態が起きるほんの数分前…

訓練所では家康、幸村の決闘がいよいよ佳境を迎えようとしていた。

 

「はあああぁぁぁぁぁぁ!」

 

「どうだぁぁぁぁ!!」

 

幸村が身体を前方向に回転させながら二槍を振り払う大技“大車輪”をジャンプで交わし、そのまま“天道突き”を繰り出しながら着地しようとする家康。

それを幸村は返す槍で弾くと、二人は後ろに飛び退いて戦いが始まってもう十数回目となる対峙の姿勢に入った。

既に二人共、息を激しく切らし、その額や腕には大量の汗がにじみ出て、砂埃やかすり傷によってすっかり汚れていた。

 

「真田、そろそろ決着を着けないか? そろそろお互いに残す力ももう僅かだろう」

 

「うむ…! ならば…次の一撃で決めようぞ!!」

 

 

幸村はそう言いながら二槍を構え直すと、ゆっくりと横へ歩み、最後の勝負に打って出ようと踏み込む構えを見せた。

対する家康も拳を構え、ゆっくりと横へ歩き、相手の動きを注意深く観察する。

二人の周囲に、互いの緊張を表現するかのような風が吹いた。

その風に揺られ、二人の額からそれぞれ一粒の汗が落ち…それが櫓の板間に弾かれると共に両者は、同時に動き出した。

 

 

「徳川……家康ぅぅぅぅぅぅぅぅーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」

 

「真田……幸村ぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」

 

 

二人の叫びと共に互いに黄金の光と紅蓮の炎をそれぞれ拳と槍から撃ち出し、2人の間の丁度ど真ん中で、ぶつけ合った。

光と炎は混じり合い、最初は巨大な渦のような形を作っていたが、少しずつその姿を変えていく。

 

「うそ!?」

 

「あれは…虎!?」

 

スバルとエリオが驚きの声を上げる。

光と炎は次第にそれぞれ巨大な虎のような姿となり、二人の『虎の魂』を具現化したように激しくぶつかり合っていた。

 

 

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

 

 

「はああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」

 

 

二人は互いに一歩も引かぬ根気で、自身の作りだした虎に力を送り続ける。

そして二体の虎がこれでもかと言わんばかりに大きくなったと同時に…

 

 

ドオオオオオオオオオォォォォォォン!!!

 

その両方が巨大な爆発を引き起こし、二人のいた櫓が一気に倒壊した。

 

「きゃあ!?」

 

「うわぁぁぁぁ!?」

 

その衝撃波は後方の櫓にいたなのは達も思わず顔を手で庇い、尚も転びそうになるのを必死で踏みとどまらなくてはいかず、この中の力の弱い部類に入るキャロに至っては耐えきれずに転んでしまった程だった。

 

「み……みんな! 大丈夫!?」

 

衝撃がようやく止んだ後、一番に声を上げたのはなのはであった。

他の皆はそれぞれ屈んだり、伏せたりして衝撃に耐えきっていた。

 

「わ…私達は大丈夫です…それよりも家康さんと幸村さんが―――」

 

「家康さぁぁーーーーーーん!!」

 

「幸村さん!」

 

ティアナが話しているのを他所に、スバルとエリオがそれぞれ家康と幸村の安否を気遣い、急いで櫓に備えていた階段を駆け下りると、二人の下へと駆け寄った。

 

「おい真田!徳川!」

 

「大将!」

 

政宗と佐助もスバル達に続いて櫓を降りて家康、幸村の下へと駆け寄る。

そしてその後ろからなのは、フェイト、はやて、ヴィータ、シグナム、ティアナ、キャロが続いた。

家康、幸村の居た決闘用の櫓は完全に倒壊し、今や巨大なクレーターへと変わっていた。

まさか二人とも塵も残さずに―――

スバル達の脳裏に最悪な事態が思い浮かんだ。

 

「家康さん!!」

 

スバルが目に涙を浮かべながら、クレーターの中を覗いた。

だが、その心配は取り越し苦労だった。

クレーターの中では互いに服をボロボロにしながらも大した傷を負っているわけではない家康と幸村が互いに大の字になって倒れていた。

 

「ハハハ……どうやら、この勝負は“引き分け”のようだな…真田」

 

「今回こそは…勝てると思っていたのでござるがな……」

 

二人は息を切らせながらも、その表情には爽やかな笑顔が浮かんでいた。

それを見たなのはや政宗達は、ほっと胸をなでおろした。

 

「ったく…この俺に心配なんてかけやがって…」

 

政宗は二人の様子に呆れながらも、その表情には自然と笑みが溢れていた。

 

 

「痛て!!」

 

「我慢して下さい。これでも魔法によるヒーリングですから、普通の治療より楽なんですよ」

 

すぐにクレーターの中から運び出された家康と幸村は、キャロに応急処置の回復魔法を施してもらっていた。

 

「それにしても随分派手にやったなぁ。これ当分訓練所は使えへんなぁ?」

 

はやては訓練所の真ん中にできた巨大なクレーターを見てため息混じりの苦笑いを浮かべる。

まるで隕石でも落ちたかのようなその惨状を見て、これでは当分この訓練所は使えそうにない事は一目瞭然であった。

佐助もこの惨状を見て自分の主が起こした事に罪悪感を感じた。

 

「大将、それに徳川の旦那も、ちゃんと埋め合わせは考えておきなよ」

 

「判ってるでござる」

 

「あぁ、そうしないとな……痛っ!」

 

「情けないわね。あんな派手にケンカしても、死ぬどころか大きな怪我すらしてない二人がそれくらいの怪我で痛いとか言ってどうすんのよ?」

 

キャロのヒーリングを痛がる家康にティアナが呆れる。

 

「はい。とりあえずこれで応急処置はできました。後で二人共医務室でちゃんとした治療を受けて下さいね」

 

「あぁ」

 

「ありがとなキャロ」

 

キャロの応急処置が終わり、二人が脱いでいた上着を着直すと、同じく応急処置を終えて立ち上がった幸村に問いかけた。

 

「どうだ真田。これで一応は『天下分け目の戦』において互いに奮闘を交わすというお前の誓…少しは果たせたのではないか?」

 

「……………」

 

俯く幸村に、家康は立ち上がりながら問いかける。

 

「真田。お前はまだ物足りない所はあるかもしれない…しかし、ここは戦国の世ではなく“ミッドチルダ”というワシらにとっては全く別の世界なんだ。つまり、ワシらの世界の事情を持込み、ワシらが互いに血を流すなんて必要は無いんだ。ここはひとまず、日の本へ戻れるその日までは、敵味方は関係なく、同じ“日ノ本”の人間として、ワシや独眼竜達共にこの機動六課に協力しないか?」

 

「家康殿……其は―――」

 

家康の言葉を黙って聞いていた幸村がその答えを返そうとしたその時だった…

 

「ケケケケッ!! 見ぃ~つけたぁ!!!」

 

「「「「「「「「!?」」」」」」」」」

 

突然、訓練所の中に響き渡る誰のものでもない声。

直後、家康達の斜め上からキラリと光る何かが回転しながら吸い寄せられるように飛んでくるのが見た。

 

「ッ!? 真田! 避けろ!!」

 

家康が警告しながら幸村の背中を押し、その場から飛び退くと同時に、2人のいた場所を巨大なブーメランのようなものが通り過ぎていった。

 

「な、何!?」

 

動揺するスバル。

一方、家康達を斬りそびれたブーメランのようなものはそのまま空中を円を描くように周り飛び、そして、先程までなのは達のいた物見櫓のど真ん中の柱の骨組みへと吸い寄せられるように戻ると、それを手慣れたようにキャッチする男の姿があった。

 

月の前立の付いた兜に薄汚れた袖のない羽織に爬虫類を思わせるようなデザインの甲冑と垂れ気味で濁った目つきをして陰気な顔つきと長めの手、猫背の姿勢で骨組みの上にしゃがむ姿が不気味なオーラを晒している。

 

「貴様! 何者だ!?」

 

シグナムが愛剣である片刃剣型デバイス『レヴァンティン』をセットアップさせながら、現れた男を睨みつける。

 

「どうやら、招かねざる客が来たみたいだな……」

 

政宗もそう言いながら、六爪の内一本を引き抜きながら、乱入者を睨んだ。

 

「チィッ! 運の良い奴ら……」

 

三日月型の巨大な刃を手に舌打ちをしながら顔をしかめる男の顔を見た幸村が驚愕、家康が警戒の色を含んだ声をそれぞれに上げた。

 

「貴殿は…!? 西軍の黒田官兵衛殿、御家臣の…」

 

「たしか……後藤…又兵衛だな?」

 

家康、幸村の決闘騒動はここへきて予想外の展開に発展したのだった。




こうして再編していると、私のオリキャラとして考えてた又兵衛も、公式キャラの又兵衛も結構共通してるとこ多かった気がします。自分で言うのもあれですが…(苦笑)

ちなみに今作での又兵衛はまだこの時は政宗に対して、狂気といえる復讐心は抱いていません。ではいつ政宗への復讐に取り憑かれるのか…それは本編のお楽しみに…w
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