リリカルBASARA StrikerS -The Cross Party Reboot Edition- 作:charley
序章 ~関ヶ原の戦い 光の果てに消えた”太陽”と”月”~
慶長五年 九月十五日---
日ノ本の国…その中心に程近いその地は今、くすんだ灰色の雲が不気味に空にある全てを包み隠していた。
その真下に広がりし、荒野に禿山、さらにはところどころに点を散りばめたように広がる僅かばかしの溜池に至るまで、全てがどこからともなく湧き立った何千、何万もの殺気に覆われ、曇天の空気をより重苦しく濃縮させていた。
胸を押しつぶされんばかりに鈍重な空気に乗って運ばれてくる硝煙と生々しい血の香り…それはこのそこに集った人間達が行っている事が“荒立たしい”という言葉では言い表せない殺伐としたものである証拠だった。
色鮮やかな荒々しい装飾の甲冑、具足を身に着けた人間達が槍、刀、といった武器を手に己の持ちうる全ての激情を顕にしながら、声を張り裂けんばかりに叫び、駆け出すと、まさに“死力”を尽くしながら躍動し、やがてそれぞれにぶつかり合い、互いに強く握りしめた武器を力の限り振るい、そして殺し合う…
そこへ木霊するのは、銃声、砲音、怒号、そしてこれから死にゆくという絶望と身に悶える苦痛を顕にした断末魔の悲鳴…
平凡な感性を持ち主であれば、本能的に身体がこの場に留まる事を強く拒絶し、逃げ出してしまう事であろう。
行われていたのは“戦”…それもこの国の天命を分けるであろうある大きな合戦―――
幸か不幸か…その誉れ高き歴史の大舞台として選ばれたこの地の名は…
美濃の国・“関ヶ原”
その幾万人分の殺気を秘め、この地を挟んで対峙するは二つの勢力――――
「皆の者! 必ずやこの戦に勝ち、家康様が齎す“絆”の世を実現させるのだ!!」
「その為にも、未だにあの忌まわしき覇王の亡霊に追いすがる豊臣の亡者共を蹴散らすのだぁーー!!!」
東方に陣するは “東照権現” 徳川家康が率いる“絆”と“義”の象徴―――“東軍”
「三成様の名の下に…恩知らずの東の逆賊共に誅伐を与えるのだーー!!」
「我らこそが豊臣の遺志を継ぐもの…すなわち、次の日ノ本を率いていく資格を持つ者なのだぁぁぁぁ!!!」
対して、西方に陣するは“君子殉凶” 石田三成が率いる“狂気”と“忠節”の象徴―――“西軍”
お互いに敵への怨嗟と怒りの言葉で味方を鼓舞しながら、それぞれの兵士達は一人でも多くの敵を屠らんと己を顧みる事なく向かっていく。
後の世に生きる人々から、日の本の国の未来を分けた一戦…天下分け目の大戦『関ヶ原の戦い』と呼ばれる事となるこの大戦は今、大詰めの時を迎えようとしていた…
戦国最強と謳われる鋼鉄の武将 本多忠勝を始め、多くの勇猛な義将達を有する東軍と、寥星跋扈の異名を持った恐るべき妖術の使い手 大谷吉継を始め、狂気とも称せる『忠誠』の名の下に突き進む魔の軍勢 西軍…
互いに相手がこの世に存在する事を許さぬ2つの勢力も、下はある一人の男の下に集っていた同志であった…
かつて、戦乱の国であるこの日ノ本を一度は己の掲げる信念“武力”を持ってして、ひとつにする事に成功した天下人の名前である。
誰が呼んだか『覇王』というその強大な二つ名を持つに相応しい圧倒的な己の力を武器に、武の力を持って人の世を制するという指針を掲げつつ破竹の勢いで日の本の各地を侵略していき、ついに初めて天下統一という誰もが焦がれた夢を成し遂げるとともに、多くの強大な臣下達を得る事ができたのだった。
石田、そして徳川もその一角を担っていた。
しかし、その天下は長くは続かなかった…
日ノ本を統一した秀吉は世界へと進出し、異国の地をもその手の内に収めようと目論み、配下につけた強大な軍勢をもって、海を渡ろうとした。
その矢先、これを良しとしない一人の若武者が秀吉に反旗を翻したのだった。
その若武者こそ東軍を率いる総大将 家康だった―――
家康は秀吉の前に立ちはだかり、壮絶な拳と拳の交じり合いを繰り広げた。
激闘の果てに、最後に佇んでいたのは家康一人だった…
それは覇王・豊臣秀吉が手にした天下が終わると同時に、一度は一応の平穏を手に入れかけた日ノ本が再び戦乱の世へと戻った事を意味していた…
秀吉の死は、彼の力に惹かれた多くの
再び立ち戻った戦乱の世に、一度は潰えたかに思えた自らの野望を再び開花させる好機を得られたからだ。
同時に、彼らには豊臣の瓦解と同時に大きく二分された2つの勢力のどちらかに付くべきか選択を迫られる事となった。
迷い、考え、そして答えを出した武士達は、この関ヶ原に集い、己の選択した道が正しかった事を証明する為にそれぞれ死力を尽くし戦っていた。
戦いは互いに一歩も譲らず、戦況はしきりに両勢力の間で有利不利が行き違いながら、時は刻々と過ぎていくばかりだった。
既に合戦の陣触れが出てから数時間が経過していた。
戦場の方々から響き渡る怒号や断末魔…
刀と刀の鍔競り合う金属音。火縄銃や大砲の放たれる爆音。弓矢の飛び交う風の音…
その喧噪はどこも鳴り止む事はなく、それどころか時が過ぎるに連れてより一層の事、激しさを増していくのだった。
「伝令! 調略に応え、我が軍に寝返った小早川秀秋殿の隊が、西軍の宇喜多秀家隊の追撃を受け、壊滅の危機!!」
「島津義弘隊、立花宗茂隊も依然抗戦を続け、苦戦を強いられているとの所存!」
関ヶ原東部・桃配山にある東軍本陣では慌ただしく駆け込んできた伝令役の足軽からの報告に、陣の真ん中に置かれた関ケ原周辺の地図の上に広げられた兵棋を囲んでいた徳川軍の幹部達はそれぞれ苦い顔を浮かべていた。
「くそ…小早川さえ寝返らせれば、西軍を切り崩す事など容易いと見ていたのだが…連中も思った以上に粘るな…」
徳川軍重臣・酒井忠次は自分の予想していたものよりも芳しくない報告に苛立ちを抑えられない様子で兵棋を睨みつけていた。
「こうなった以上、アイツらもやけくそになっているのかもねぇ? それか、またしても裏切り者が現れて、みんなあの凶王みたいに怒り狂って、後先考えずに突撃しまくっちゃったりしてさ?」
同じく伝令からの報告を聞きながら、兵棋の位置を修正していた同じく徳川の重臣・榊原康政は冗談めいた口調で語り、少しでも場を和ませようとしたが、あいにくそれで緊張がほぐれる者は一人もいなかった。
「こんな時に冗談はやめろ小平太。それより、小早川の救援は誰が向かっている?」
康政を窘めながら、忠次は伝令に来た足軽に尋ねる。
「はっ! 既に福島正則殿、加藤清正殿がそれぞれ隊総出で向かわれたとの事ですが、肝心の小早川殿の姿は未だ見つからないと…」
「そうか…相手はあの“五刑衆”の宇喜多…小早川一人ではまともに太刀打ちできる相手じゃないからな…正則や清正が間に合ってくれたらいいんだが…」
「そういえば“ナオちゃん”はどうしてるわけ?」
兵棋を全て移動し直した康政が足軽に聞いた。
「ナオちゃん…? あっ!あぁ、井伊直政様の事ですか!? 井伊様の隊は現在島津隊の追撃を行っているとの事ですが、どうやら島津方の抵抗だけでなく同じく西軍の小西行長隊からの妨害もあってか追撃はかなり難航しているとの事で…」
「あちゃちゃ~…そっちもかぁ…ホント“五刑衆”ってのはどこまでもクセの強いというかしぶといというか…」
康政が軽い調子を崩さないままそうぼやくが、その目にははっきりと怒りの炎が宿っているのを長い付き合いである忠次は見抜いていた。
「家康はどうだ? 小早川の裏切りで混乱した西軍の隙を突いて一気に石田の本陣まで向かったはずだが?」
「は、はい! 未だ本陣隊から敵大将を討ち取ったとの報告は来ていませんが…」
伝令の言葉を聞いて、忠次は本陣から望む関ヶ原の西方…西軍総大将・石田三成が本陣を置いてあるという笹尾山の方を見据えた。
そして、今まさにその敵本陣へと自ら殴り込んでいった主の事を思い、案じた。
「なぁ、つぐにぃ…やっぱりボクらもさぁ、“タケちゃん”と一緒に行った方がよかったんじゃないの?」
「小平太。何度も言ってるだろ? 陣中では『家康』か『総大将」と呼べ。 …それに他ならぬ家康直々の命令だったんだぞ。「この戦いに手出しは無用。例え自分が窮地に陥ようとも誰も助太刀するな」って…」
「そりゃ、そうだけどさぁ…」
康政は忠次の横に立ち、同じ方向を見やりながら、不安げに呟いた。
そんな康政を諭すように忠次は穏やかな口調で語りかけた。
「心配するな。いざって時に備えて“忠勝”の奴が近くに控えているはずだから、万が一にも家康の首を西軍に渡したりなんざさせないさ」
しかし、口から出たその言葉とは裏腹に、忠次の脳裏の奥には理由のわからない不穏な気を感じていた。
(まさかとは思うが…)
忠次はもう一度、笹尾山の方向を一瞥した、岩肌が荒く削られ、草木の一本も生えていない笹尾山は、この関ヶ原のどの場所よりも一層、殺気が立ち込め、最早人の手で作られた瘴気のように薄黒い曇天の下佇んでいた。
*
混沌に包まれた関ヶ原の戦場の中、その場所だけは、人の叫びも金属音も爆音も一切聞こえず、まるで時が止まったかのように静寂に満ちていた。
関ヶ原西部・笹尾山 西軍総大将 石田三成の本陣―――
西軍本軍の要ともいえるこの陣地を守る本陣隊は既に全員が地面に倒れ伏し、死屍累々の光景を成している。
守るべき者達がいなくなり、空っぽとなったこの場所で佇んでいるのは2人の若武者達だけだった―――
「どんな強固な軍を築いても…どんな綺麗言を嘯いても…私は…この目で見ている…家康…貴様の罪を!!」
西軍総大将 石田三成は、手にとった二重の鍔を拵えた長太刀を握り締めると、地の底から響くような怒号を静寂に向かって言い放った。
鳥の嘴の如く鋭利に尖った銀色の髪の両脇から拭っても拭いきれない程の恨みを込めた眼光を覗かせ、目の前に立っている “宿敵”を捉えていた。
「三成…」
生半可な心の持ち主ではその視線に射抜かれただけで倒れてしまいそうな気迫を向けられて尚、その青年は決して動じる事はなかった。
東軍総大将 徳川家康は自分を今にも殺さんとする三成に向かって、憂い…そして哀れみの念の籠もった視線を返すばかりだった。
黄金色の袖のない薄着と金色に輝く鎧を着込んだその手には武器となる物は何も握られていない。
避けられない戦の苦行を自ら背負うため、己も傷つく事を選び、武器を捨てたその素手を唯一覆い守っている手甲は、ここへ辿り着くまで必死の想いで凌いできた壮絶な苦難を物語るかの様に、へこみや敵の返り血、刀傷などで既にボロボロになっている。
二人の周囲は水を打ったような静寂に満ちており、かすかに遠くから聞こえる銃声や大砲の音のみが2人の耳に入っていた。
「さぁ…秀吉様に頭を垂れろ!!許しを望んで請い願え!!…そして!!首をはねられろ!!」
三成が再び叫び、長太刀の鋒を突きつけると、家康はそれに応えるように左の拳に力を込める。
「ワシに……そのつもりはない!」
家康が憮然とした態度で言いきると、三成の表情はさらなる怒りによって歪んだ。
「貴様は昔からそういう奴だった!! 己の野望を『夢』と言う言葉で飾り立て…秀吉様の天下を汚したのだ!!」
墳怒の表情に満ちながら三成は自分が神のように崇めた人間の名を口に出す。
覇王・豊臣秀吉こそ三成にとっては己の全てであり、そして自分の生きる意味そのものであった。
秀吉が豊臣軍を結成した当初から秀吉の傍らに仕え、秀吉の覇業を傍で見続け、その背中を追い、そして自らの持つ全てを捧げ、力になる事こそが生きがいだった三成の“希望”は、家康が秀吉を討ち果たした事で全て水泡と消えた。
神の如く崇拝した主君・秀吉を失い、三成は怒り、狂い、嘆き、悲しみ…そして、主君の怨敵 家康に対する激しい恨みと復讐心へと身も心も染めて、消して明ける事のない“夜闇”へと堕ちていった。
その絶望を誰よりも理解していたのは他ならぬ家康だった。
“絆”による世を掲げながらも、一方では三成と秀吉というひとつの“絆”を壊してしまった自分自身の矛盾…その葛藤に苦悩することもあった家康だからこそ、目の前で自分に向けて放つ三成の狂気的な怒りの理由もわかっていた。
しかし、それを黙って受け入れるわけにはいかない。自分の、そして徳川軍の皆をはじめ、自分の理想を信じ、力を貸してくれた全ての者達への想いに応える為にもここで拳を引くわけにはいかなかった。
「それがワシの決意だ!! 三成…お前にも秀吉にも、天下は譲らない!!」
家康を自らの意志を示すべく、拳を高く掲げた。
すると掲げられた拳は光り輝き、二人の周囲を照らし出す。
この光こそ、自らの手を汚し、傷つきながらもこの世に平穏を齎そうとした家康の想いの結晶であった。
主君に対する謀反…友に対する裏切り…それは決して許されない罪である事は家康自身が誰よりもわかっている。
自分は言わば「太陽」だ…それは秀吉に対する謀反を起こした事で行き着いた家康の考えだった。
憎しみや武力ではなく“絆”の力を持って、泰平の世を作る事―――それは家康にとってまだ“竹千代”と名乗っていた子供の頃から抱いていた理想であったが、年と経験を重ねる事でそれは決して綺麗言だけで果たせる様な容易な夢ではない事を、身をもって知る事になった。
今川、織田、武田、上杉…幾多の強豪の武家に時に捕らわれ、時に圧倒され、時に屈服させられた事で理想と現実の違いに苦しんだ家康が、秀吉の天下統一を前に導き出した答えは、自らが抱いた“夢”を後の世に継がせる為に己自身が汚れ役になる事だった…
それはまるで、星の海の真ん中でただひとつ永遠の輝き、近づくものを果てしなき高熱で焼き消しながら、幾多の星を眩い輝きで照らし続けていく孤独の存在…太陽の如く…
決して崇高される存在でなくていい、“偽善”と蔑まれても構わない…すべては自分の理想を後に続く者達に残す為に、自分は“太陽”となって皆を導いていく。
そんな決意を胸に、“太陽”は“夜闇”と向き合おうとしていた。
「貴様はそれで満足だろうな!!…だが私は貴様に全ての絆を奪われた!!」
“太陽”の放つ輝きを恨めしく睨むと“夜闇”は慟哭を上げる。
「どうやって生きたらいい!?どうしたらよかったんだぁ!!?」
怨嗟の叫び声と共に三成の身体が紫色のオーラに包まれた。
「屈するものか…貴様にだけは決して……」
目を赤く光らせながら、三成が長刀の柄に手をかけると、家康も拳を構え臨戦態勢をとる。
「たった一人になろうとも……死にゆくその寸前まで…貴様を許さない!!!」
その叫びを合図に三成は家康に向かって駆け出し、家康も三成に向かって駆け出す。
“夜闇”の凶刃と“太陽”の光拳…互いに抱く想いを込めた一撃がぶつかろうとした。
その時―――
「―――ッ!? なんだ!?」
「こ、これは…!?」
突然、二人の足元を中心に本陣を包み込まんとする金色の光―――
そこにある全てを包み込まんとする突然の現象に、思わず二人の攻撃の手が止まった。
「くっ!? 家康! 貴様!金吾の調略だけにいざしらず、この大事な決着の場にまで、まだ斯様な小細工を使うつもりか!?」
「違う!三成! これはワシの憚りなんかではない!……一体これは!?」
動揺しながら、周囲の地面に広がる光を見まわす家康の隙をついて、三成は長刀を抜きながら飛びかかった。
「死ねぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーー!! 家康ぅぅぅぅーーーーーー!!」
「!?…しまった!?」
家康が気付いた時には、三成は家康の数歩先にまで迫り、家康の首にめがけ、白銀に輝く刃を振り下ろそうとした。間に合わないと判りながらも家康が拳を交差させて刀を防ごうとすると…
「……………………ッ!!」
突然家康と三成とのわずかな距離に巨大な身体が割って入った。
その姿を確認すると家康と三成が同時に口を開く。
「忠勝!」
「ぐぅっ!? 本多…忠勝か…!?」
2人の間に入ったのは、全身を鋼鉄の鎧で固め、手に巨大な
家康が幼いころから彼を護衛し続けてきた徳川軍最重臣にして戦国最強の異名を誇る猛将 本多忠勝であった。
「―――――ッ!!」
「ぐぅっ! おのれ――――」
忠勝は
三成は忌々しげに歯を食いしばりながら、身を翻そうとした。
「三成様!!」
そこへ新たに一人の人間が介入してくる。
曲芸のような鮮やかな動きで三成の身体を捉えんとした
「三成様! よかった! 本陣が襲われたって聞いて慌ててすっ飛んできたらなんかヤバそうな事になってるッスね!」
「左近!? なぜ貴様がここにいる!!」
三成を守るように立っていたのは一人の若武者だった。
茜色を基調とした鮮やかな色の戦装束に身を包み、頭部の左のもみあげを紅く染めた明るい茶髪の髪型に双刀を携えた彼の名は島左近―――
石田軍の切り込み隊長にして西軍総大将である三成直参の部下であった。
「詳しい話は後で! そんな事よりも、本多の野郎は俺が相手しときますから今のうちに三成様は家康の野郎を…」
そう言いながら、左近は三成を連れて距離を保ちながら、目の前で
しかし…
「ってッ!? あっ、あれれ!? な、なんか俺達…身体が地面に沈んでってません!?」
「なっ…!? これは一体…!?」
左近、そして三成の身体は突然、輝きを増す地面の底へと吸い込まれ始めた。
それは三成達だけではなかった。
「…なんと!? ワシ達も!!?」
「……………………ッ!?」
対峙する家康や忠勝も、三成達と同じく足から徐々に光の中へと引ずり込まれはじめていた。
4人はそれぞれ悶えながら、光から這い上がろうとするも、抵抗すればするほどその身体はどんどん光へと引きずり込まれる。
「うぅ………み、三成………!!?」
とうとう首元まで光の中へと飲まれかけた時、家康の白光に包まれた視界の先に見えたのは同じく光の中へと消えていく忠臣、そして宿敵達の姿だった。
「おのれぇぇ!…家康ぅぅ!!…いえやすぅぅぅぅぅーーーーーーーーーー!!!」
「おわああああああっ!? み、三成様あああぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「……………………!!」
宿敵達と家臣、それぞれの声を聞きながら、家康の視界と意識はは少しずつ薄れていき、そして目の前が完全に真っ白に染まった時、家康の意識は完全に途切れたのであった。
そして光が収まった時、本陣からはそこに居るはずの人間達が完全に消えていた…
否…厳密には一人だけ姿があった。
誰もいなくなった本陣の様子を伺うように覗いていた一人…
明らかに戦場には場違いなフードで顔を隠し、全身を包み隠すようなボロの羽織を身に纏ったその一人は、深く被った羽織の頭巾から僅かに望む、紫色に染まった唇が辛うじてそれが女である事を証していた。
女はニヤリと引きつらせて笑いながら、呟いた。
「上手くいったみたいだねぇ…さぁ、大いに楽しませてもらおうか。時空を超えた“狂宴”を…」
すると羽織の女はどこからともなく燃え上がった緑色の炎に包まれるようにして、まるで煙の如くその場から消え失せ、それと同時に、本陣から輝く光に異変を察知した左近配下の応援の兵士達が遅れて到着した。
しかし、今度こそ本当に誰もいなくなった本陣に残されていたのは兵士達の亡骸の山だけだった…
「伝令ーーーー!!伝令ーーーー!! 東軍総大将・徳川家康!西軍総大将・石田三成!共に消息不明ーーーーー!! 双方共に大将不在故、この戦は一旦休戦とする!! 関ヶ原にいる全ての兵は、それぞれの陣に引き上げよーーーーー!!!」
まもなくして、伝令役の足軽から発せられた衝撃的な内容の伝令に、関ヶ原にいた全ての兵士達に驚愕と戸惑いが走った。
東軍総大将 徳川家康、西軍総大将 石田三成―――
日ノ本の天下を掌握せんとした2つの軍勢の総大将が共に忽然と姿を消すという前代未聞の事態―――
だがそれから数刻と経たぬ内に、更に衝撃的な事態が判明する―――
ひとつは、家康達を消した時同じ頃に、関ヶ原だけでなく、日ノ本各地で同様の謎の来光が目撃されていた事…
もうひとつは、不思議な事にそれぞれ光が目撃されていた場所はどこも関ヶ原と並行して勃発していた“天下分け目”の戦場であった事…
そしてもうひとつが…光が発生した場所において、東軍と西軍、それぞれの軍の中核を担っていた有力な武将達が幾人も家康、三成達と同じように忽然と姿を消したという事だった―――
ハーメルンの皆様。はじめまして。pixivでご贔屓にして頂いている方はご無沙汰しています。charleyです。
この度、pixivにて数年(厳密にはまだ二次創作が締め出される前の『小説家になろう』の頃から)かけて連載させていただいていた『リリカルBASARA StrikerS-The Cross Party-』をこの度、設定や一部登場人物を改変・追加させるなどして、新たにリブートさせる事となりました。
そもそもは私がここ数年にわたり、様々な諸事情から連載の手が滞りがちになってしまって、完全に行き詰まっていた事に始まります。
色々とモチベーションを上げる為に努力してきたのですが、それでも思うように執筆手が捗らず、さらに追い打ちをかけるかのように『鬼◯の刃』『刀◯乱舞』などBASARAのライバルともいえる作品群の台頭によるBASARAブランドの低迷や、私自身のプライベートでの不幸が相次いだ事でここ1、2年はすっかり、『リリカルBASARA』の更新がストップする事となってしまいました。
そんな中で『戦国BASARA』『リリカルなのは』共に15周年という節目を向かえた事や、昨今の新型コロナウイルス騒動などを受け、今一度自分の二次創作、そしてアニメ・マンガ・ゲーム文化にのめり込む上で大きな影響となった『リリカルBASARA』をこのまま有耶無耶に終わらせてしまうのはもったいないと考え、今一度心機一転させる為に思い切って、作品そのものを一から改変して新たな境地で投稿しようと考え、ここに『Reboot Edition』として再投稿する事を決めました。
この投稿にあたって、pixivでは読者の皆様にアンケートをとり、考えた末にこの『Reboot Edition』の投稿を決定しましたが、一先ずpixivで現在連載中(実質、休載中)の『リリカルBASARA StrikerS-The Cross Party-』につきましては、一先ず『Reboot Edition』が現在投稿中の話数に追いつくまではそのまま残し、場合によっては続きを連載するかもしれません。
その後の扱いにつきましては、またアンケートを集計して考えるつもりです。
最後になりましたが、体たらくな不肖者ですが、なんとか心機一転頑張ろうと思いますので、初めての方もそうでない方も、何卒よろしくおねがいします。
charley