リリカルBASARA StrikerS -The Cross Party Reboot Edition-   作:charley

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下衆な選民思想者 セブン・コアタイルとの見合いは、政宗ら奥州伊達軍の奮闘と、思わぬ乱入者、成実によって一先ず窮地を脱する事に成功した。

なのは達は結果の報告と今後の対応についてはやてと相談しようとするが……

一方、彼女達の知らないところでは、西軍もまた新たな動きを見せつつあった。

なのは「みんな大好き! 愛の魔導師!高町なのは!」

政宗「ってGenreが違う! それじゃ、別のtransform heroineだろうが!」

成実「そういう兄ちゃんだって、同じ時間じゃ蒼い狼の変身ヒーローだったくせに?」

政宗「誰が蒼い狼ガル!」

なのは・成実「「ほら、それ!」」

フェイト「リリカルBASARA StrikerS 第五十章 私…堪忍袋の緒が切れました!」


第五十章 ~一触即発!? ここは湯の街、カマサ=ワギ温泉~

時は、なのはの見合い前夜にまで遡る――――

 

ミッドチルダ某所 スカリエッティのアジト…その最深部にあるスカリエッティの研究室では、西軍総大将 石田三成が、自分達をここへ招集した張本人であるこの部屋の主を忌々しげに睨みつけていた。

 

「スカリエッティ、こんな夜更けに一体何用だ…? 貴様の常軌を逸する与太話の聞かせ役を作るために呼んだなどとふざけた理由を述べると、ここで今すぐ斬首だ」

 

三成の、その手に持った長刀の様に鋭利な視線と口調で構成された詰問に対し、ラボの中心にある自分のデスクに腰掛けたジェイル・スカリエッティは少しも臆する事無く、飄々とした物腰で返した。

 

「相変わらず、三成君は気が短いね。安心したまえ。さしもの私も、君が人の聞き相手になるほど器用でない事くらいは、既に承知しているよ」

 

「ふん…厭味な奴め…では、率直に用件を言え!」

 

「まあまあ、話は、彼らが来てからでも遅くはないよ」

 

スカリエッティが話しながら、チラリと三成の肩越しに目をやった。

その視線につられて振り返ると、そこには同じ五刑衆の第三席 小西行長、第五席 上杉景勝両名の姿があった。

 

「おっ? なんだ、お前も呼ばれてたのかよ? 三成」

 

「珍しいですねぇ。今この本陣に集っている五刑衆全員が一挙に集うだなんて…」

 

気さくに話しかけてくる景勝や、優雅な物腰で嘯く行長を無視して、三成は再びスカリエッティの方に視線を戻す。

一応は同じ豊臣の最高幹部としての“同志”である彼らの姿を見ても、三成は特別情を抱く事などはなかった。

 

三成にしてみれば“豊臣五刑衆”などという大層な肩書ですらも、秀吉やその創設者であった竹中半兵衛が亡き今となっては、掲げたところで意味のない無用の長物であった。

 

秀吉、そして半兵衛が生きていた頃であれば、五刑衆の席位は言わば、覇王・秀吉の側近…手足として認められた存在であるという証であり、自らの山よりも高く、海よりも深い忠義の心の象徴と思えた。

 

当時の五刑衆は、言うまでもなく半兵衛が筆頭格である第一席“主将”であり、自らは第二席“凶将”の地位に立ち、秀吉の為にその凶剣を奮っていた。

しかし、半兵衛が死に、秀吉が斃れた後……残された豊臣の残党勢力達から、秀吉の後継者として担ぎ上げられる形で、畏れ多くも半兵衛の座位であった第一席“主将”の座に座る事となったが、それは自らが敬愛した秀吉や半兵衛から認められたが故の名誉ではない…

秀吉の栄名と偉業に対して、未だに追い縋って、その威光を傘に着ようとする“弱者”達が祭り上げただけに過ぎない“虚構”の称号や名誉など、三成にとっては毛ほどの価値も見出す事が出来なかった。

 

故に、ここに集う“今”の五刑衆の面子もまた、そんな“虚構”の名誉の中で集った仮初の同志に過ぎない。

現に、第三席の行長は、まるでかつての豊臣の宿敵である“魔王”織田信長とその支配下の者達の如く、豊臣の覇業の為を名目にして手前勝手に殺戮と加虐を楽しみ、第五席の景勝は与えられる仕事こそキチンとこなせども、その実、豊臣の幹部には相応しくない程に義理や情に絆されやすい一面がある…

 

はっきり言って今の五刑衆は、設立当初の本分であったはずの『“覇王”への忠義・貢献』といった意義を失っている。

それはその忠節を捧げる相手となる筈の秀吉がいない事もそうだが、それ以上に“五刑衆”という看板が、秀吉が現役の頃以上に『豊臣の力の象徴』という印象を、良くも悪くも豊臣軍内外双方に、強烈に植え付けてしまったからだ。

 

自らの右腕にして、現在の豊臣派勢力の統合組織である『西軍』を取りまとめている筆頭参謀の大谷吉継でさえも、五刑衆の偉名を『力』として解釈しているのではないかと微かに疑心を抱く時さえもあるくらいだ。

 

「皆、揃ったようだな…結構…」

 

その時、別方面の暗闇から聞こえてきた声に、三成をはじめとする三人の五刑衆の視線が集う。

噂をすれば影…空飛ぶ腰に乗った西軍筆頭参謀 大谷吉継と、石田軍外交尼 皎月院が、並んで暗闇から現れたのだ。

 

「景勝…行長…そして三成よ……こうしてぬしら“五刑衆”に集まって貰ったのは他でもない…我ら西軍にとって、今後の方針を左右する“吉報”が入ったのだ」

 

「吉報?」

 

三成の脳裏に浮かんだ言葉をそのまま、景勝が代弁してくれた。

 

「私や景勝殿だけでなく、三成殿にまでご足労願う程ということは…我ら豊臣にとってこの上ない“獲物”を狩る好機(チャンセ)がきたとでも仰るので?」

 

行長が右手の人差し指で、左手に掴んだ愛用の凶器である蛇腹剣仕様の鞭“黒縄鞭”の鋭利な刃を撫でながら、邪悪な毒蛇の如き冷たい笑顔を投げかけながら尋ねる。

これに対して、皎月院がやはり見た者の背筋を凍らせるような薄ら笑いを浮かべて返した。

 

「残念ながら、まだアンタが想像している様な最高の内容の“吉報”が届いたわけではないさ。行長…しかし、事と次第によってはそうなる日がくるのが、一日でも早くなる……っとは言えるかもしれないね」

 

「…何度も同じことを言わせるな! うた! 報告は簡潔明瞭に伝えろ! 貴様の回りくどい吟詠は沢山だ!」

 

苛立たしげに叱責する三成に対し、皎月院は作ったような失笑を浮かべながら、頭を振る。

 

「わかったよ。やれやれ、偶には物事を遠回りした観点から見据える事も悪くはないと思うんだけどねぇ…」

 

そう話しながらも、皎月院はわざとらしく間を置いてから、口を開いた。

 

「三成…それに行長…アンタ達なら一度は聞いた筈だね? ロストロギア“クライスラの遺産”の話は…」

 

その単語を聞いた三成と行長がピクリと反応する。

 

「……確か、貴様らが此度の“計画”に必要不可欠だという太古の時代に滅びた魔法文明の遺物…だったな…?」

 

それは、以前スカリエッティ一派が時空管理局本局・無限書庫所属の考古学者 ユーノ・スクライアから強奪した無限書庫のデータベースを解析した際にスカリエッティや大谷、皎月院がその所在地を探し求めていた無人世界ドミナリアに存在したとされる古代魔法文明『クライスラ帝国』の聖遺物3点“アヴァロンの果実”、“エルドラドの古文碑”、“シャングリラの魔杖”の総称であるロストロギアの名であった。

 

スカリエッティ達はなにかの目的の為に、管理局が特に厳重に管理しているそのロストロギアを求め、その所在地を探ろうとしたが、その前に無限書庫側によってデーターベースを強制封鎖されて、『現在はある管理局員の一派の下に管理されている』という情報しか知る事が出来ないでいたのだが…

 

「その『クライスラの遺産』のひとつ…“エルドラドの古文碑”に関する情報が少し解明できたのだ」

 

「…なんだと?」

 

「ほぉ…」

 

三成が片眉を上げながら呟く様に返し、行長は興味深そうに声を漏らす。一方、三成達が『クライスラの遺産』について聞かされた際には、まだその場にいなかった景勝は、「何の話だよ?」と怪訝な顔をしながら尋ねる。

 

「私の片腕であるナンバーズの1番 ウーノが解析できたデータによると、本来ならこの手の品は本局の総合歴史技研において研究が行われるはずだが、今はなぜか地上(ミッドチルダ)の民間の考古学研究組織の下で保管・研究が進められているとの事だ。…おそらく元の担当だった局員が独占目的で手を回した結果だろうね」

 

「その考古学研究組織とは?」

 

行長が尋ねた。

 

「残念ながらそこまでデータの解析は出来ていない。ミッドチルダには管理局の委託組織だけでも1000以上の研究機関があるが…果たして、どの組織が管理しているのか…?」

 

「それが…貴様らが大々的に宣った“吉報”とやらの全容か? だとしたら、とんだ肩透かしであったな…」

 

三成が失望した様に重い溜息を漏らしながら踵を返そうとするのを、大谷が止めた。

 

「そう逸るな。三成よ…話の本題はここからであるぞ。…確かに品の所在地は掴めていないが、その手がかりとなる組織の名は掴む事が出来たのだ」

 

「…さっさと話せ」

 

三成が鋭い視線を投げかけながら威圧的に命じると、大谷はそれを慣れた様子で聞き入れながら頷いた。

 

「然らば……スカリエッティの話すところによれば、解析された情報の内に「“エルドラドの古文碑”を本局から地上へ護送する際には、ある“部隊”がその任務を担った」という記載があったそうな…その“部隊”とやらを探れば、ひょっとすると、より確信的な情報を掴む足がかりとなるやもしれぬ…」

 

大谷の話を聞いた景勝が、何かを感づいたのか、指をパチンと鳴らした。

 

「……なるほどな。話の筋が読めたぜ大谷。とどのつまりは次の五刑衆(オレ達)標的(マト)はその“部隊”って事になるわけだな?」

 

「ふむ…それも“情報を掴む”…という趣旨が目的とあらば、ある程度の捕虜と尋問は必要不可欠……素晴らしい。久々に刑吏奉行冥利に尽きる仕事になりそうですねぇ、フッフッフッフッフッ…」

 

行長はそう言うと、服の袖で口元を隠しながら、粘着質な笑みを上げた。

既にその頭の中には筆舌し難い程に残忍で猟奇的な拷問の手段を考えているのであろう。

 

「行長君。君の期待に水を差すようで申し訳ないがね。生憎と今回の出撃要員は、既に私と大谷殿、皎月院殿との話し合いの内に決定済みなのだよ」

 

「…!? これはしたり。こういう任務は私の専売特許である事は、貴方も十分ご承知の筈ですよね? セニョール・スカリエッティ」

 

行長は袖を顔から離しながら、大仰なくらいに肩を竦めながら、露骨に抗議の意志を顕にする。

それに対して、スカリエッティは実に落ち着いた様子で応対してみせた。

 

「勿論。君の実力とこの任務との相性の良さは私も十二分に存じているよ。しかしながら、今回の標的(獲物)には、わざわざ“絞め上げてまで”引き出せるような情報を持っていそうな重要な人物はいない。故に不必要に捕虜を作ったところで無駄骨だと考え、敢えて君を実行役(侍大将)から外したというわけさ」

 

それを聞いて筋は通っていると納得しながらも、尚も行長の不満は拭えない。

 

「……然様ですか。しかし、捕虜にならぬならば、この際殲滅戦(皆殺し)でも喜んで承るというのに…特に私と景勝殿とが組めば、半刻(はんとき)*1も頂ければ、敵を全員血祭りにあげる事など造作もありませんよ?」

 

「おい、小西! 冗談言うなよな! オレはテメェの鬼畜趣味とは違って、無駄な殺しはごめんだし、テメェなんかと組むのも絶対ごめんだからな?」

 

「ほう。景勝殿は同じ五刑衆の同志である私を信用できないとでもおっしゃるのですか? それとも、ご自分は私とは違って武士としての崇高な志を掲げていらっしゃるおつもりですかな? いやはや、流石は名門“上杉家”の御当主でありますな。“軍神の跡取り”の名に恥じぬその気高く美しい心意気…まさしく“女性”が如くですなぁ」

 

「―――ッ!?」

 

途端に、景勝は目を光らせて行長を睨みつけた。

その慇懃無礼な言葉に含まれた自分の琴線に触れるワードと同じ数だけ、眉間に青筋が浮かんでいる。

 

「テメェ…言うに事置いてオレにとって禁句をよくもベラベラと…それに、無意味に人を甚振ったり、ぶっ殺したりして楽しんでるような下衆極まる毒蛇野郎のテメェなんかの汚ぇ世辞聞いてたら、耳が腐るっつぅの」

 

「おや、それは大変ですねぇ。「腐る」というのであれば、その耳はいりませんね? 私が引きちぎって、貴方の大好きな酒か、塩にでも漬けて差し上げましょうか?」

 

「その前にテメェのその気障な面ぁ叩き潰して、脳みそぶちまけて、酒樽にでも詰め込んでやるよ…!」

 

いつの間にか、景勝の手には愛剣である大斧刀(だいふとう)砕鬼丸(さいきまる)”が、行長の両手には“黒縄鞭(こくじょうべん)”が握られていた。

2人の周囲に凍てつくような殺気が帯びる。

ここに左近か元親でもいたら、慌てて2人を仲裁しに入るであろうが、大谷も皎月院もスカリエッティも全くそれをしようとしない。

そればかりか、これから始まろうかという凄惨な修羅場をまるでショータイムの様に楽しみにしている様子さえも伺えた。

 

「いい加減にしろッ! 行長! 景勝!」

 

不意に、殺気に満ちた研究室内に三成の怒鳴り声が響いた。

 

「此度の術策について人選は刑部やうたの考慮もあっての事であろう? ならば、その采配、西軍総大将である私の権限の下、全て彼らに任せる事とする! これ以上、無駄な争いで豊臣全体の足並みを乱す様な真似は、この私が許さない!!」

 

景勝がギロリと三成を睨みながら物申した。

 

「けどよ三成! コイツは、オレの最も癇に障る事を平然と突いてきやがったんだ! 武人として許しちゃおけねぇ! ここで白黒はっきりつけてやらねぇとオレの腹の虫が収まらねぇんだよ!」

 

行長も負けていない。

 

「ほぉ…五刑衆末席の貴方が、第三席の私に楯突くおつもりですか? …いやはや、てっきり私は、太閤殿下亡き後の豊臣における序列など興味もないと思っていたのですが、やはり貴方も戦国の世を生きる武士でしたか。 それとも…“軍神の跡取り”という矜持(オルヴォーリョ)故…ですか?」

 

「テメェ……!!」

 

景勝が今にも行長を殺しにかからんと言わんばかりに大斧刀を肩に担ぐようにして振りかぶった。

 

「くどいッ!!」

 

三成の二度目の一喝が研究室に響き渡った。

見ると、その手には長刀が何時でも抜きにかかれるように握られている。

 

「二人共、大人しく引け…これ以上打って出るというのであれば、貴様らの序列に関わらず、先に動いた方を斬首の刑に処する」

 

三成は2人に負けず劣らぬ程の殺気を解放しながら、2人を鋭い眼光で睨みつける。

三成の本気の殺気を前に、いきり立っていた2人の五刑衆も急速に沈静していく。

 

「もう一度告げるぞ…此度の策の采配は刑部達に一任する。お前達は下がれ! それからこれは無用な諍いを起こした罰だ! 貴様達は今後、私の許可が下りるまで互いに接触を禁ずる!!」

 

「あぁ、上等だよ! 誰がこんな毒蛇野郎の面なんか拝みたがるってんだ! おとといきやがれ!」

 

景勝は失った怒りの矛先を当てつけるかのように構えていた大斧刀で、近くにあった何も入っていない等身大の培養カプセルを叩き壊し、走るように研究室から出て行った。

 

「……やれやれ…せっかく、これを機にあの小煩い武者気取りの跳ねっ返り娘を斬り刻めると思ったのに…っと、わかりました。下がっています」

 

行長も闘志と虐気を向ける先を失い、結局、一滴の血も与える事のできなかった愛鞭を見下ろして腰に戻しながら軽口を叩くが、三成から本気で睨まれた為、苦笑しながら一礼すると、同じく研究室を去った。

 

「いやはや…“仲よきことは美しきかな”。実に愉快な仲間が揃っているねぇ、豊臣五刑衆とは……」

 

一先ず最悪な事態こそ避けられたものの、仰々しく重々しい雰囲気が色濃く残る研究室に相応しくない程に、軽薄な声でスカリエッティが三成に向かって特大の皮肉を投げかけてくる。

大谷は、つくづくこのスカリエッティという男は、欲や狂気だけでなく、肝の図太さもまた常軌を逸していると思うのだった。

一方の三成は最早この程度の皮肉で目くじらを立てる事さえもなくなったのか、完全に無視しながら、カチンッと長刀を鞘に収めて、下ろした。

 

「とはいえ…三成君の意外な一面を見れたのは、なかなか興味深かったよ。まさか君が仲間内の揉め事を自ら裁くとはね。てっきり、西軍総大将や五刑衆主将の位もあくまで飾りとしか思っていないものとばかり思っていたけど…」

 

「…勘違いするな。スカリエッティ。私は彼らの為にやったわけではない…」

 

三成は淡々とした口調で語る。

 

「今の五刑衆は、所詮は“幻想”や“追憶”の上に集った同志とはいえ、一応は豊臣とそれを信じ従う者達の“主柱”を担っている…どんな強固な軍船も、竜骨となる骨組みが罅だらけでは、敵に攻められる前に自ずと沈み果てる…然様な無様な事で、家康や奴の尻馬に乗せられた東の将達に付け入られでもすれば…冥土にいる秀吉様や半兵衛様に対して、面目が立たぬであろう!」

 

「なるほどね。そういう事か…」

 

スカリエッティが愉快げに聞き入った。

個人的に関心はなけれども、五刑衆の存在が西軍を構成する上で根幹として重要な意味を成している事は三成自身も理解している。

故に、その土台を最低限固める為に、必要に迫られると柄ではないが、筆頭的立ち位置である“主将”の地位を利用し、こうして自ら詮議を開いて、裁きを下す事もあった。

 

「それよりも刑部、うた……一体、貴様達は誰を刺客に選んだのだ?」

 

「あんたにとっては皮肉かもしれないけどねぇ、三成。実は、此度の作戦はアンタが今しがた言っていた“ “幻想”や“追憶”の上に集った同志”の一人の、この世界における“初陣”なんだよ」

 

「………なんだと?」

 

皎月院が発した意味深な言葉の意図を察した三成が、ピクリと眉を上げる。

 

「…やはり五刑衆は全員この世界に飛ばされていたというわけか…馳せ参じたのは、どちらだ? “凱将”か?“妖将”か?」

 

「“妖将”の方だよ。“凱将”はまだ具体的な所在地もわかっていない…まぁ、知ってのとおり、あっちは五刑衆の中でも一番手に負えない奴だからね…合流したらしたで後が苦労するだろうけど……」

 

肩をすくめながらボヤく皎月院を窘めるように大谷が言った。

 

「…これこれ、うたよ…大事な戦力をそう無碍に評するものではない…それに、われにしてみれば “妖将”の方も、あれはあれで、なかなかに一筋縄にいかぬと思うがな…」

 

「…“彼”の事は2人から聞いたが……流石“五刑衆”に名を連ねるだけあって、これまた面白い逸材じゃないか。是非とも、早くここへ招いて直に話を聞いてみたい」

 

嬉しそうに語るスカリエッティに対し、大谷が言った。

 

「“あれ”はあまり群れる事を好まぬ故な…果たして素直にここへ参ずるかわからぬが…とはいえ本陣(ここ)の場所は伝えておいた故、おそらくは事を終え次第、報告に現れるであろう…」

 

「つまり…既に“奴”は動いているのか?」

 

三成が尋ねた。

 

「然様」

 

「………目標(マト)は、如何なる勢力だ?」

 

大谷は包帯に包まれた口元をニヤリと釣り上げながら応える。

 

「……時空管理局地上本部付き特殊作戦群『星杖十字団(せいじょうじゅうじだん)』R7支部隊…場所はその本拠点“ラコニア”と呼ばれる街ぞ……」

 

 

 

 

そして…時間は進み、現在―――

 

ラコニア市内の郊外にある小さな温泉街 “カマサ=ワギ温泉”。

巨大なイデアクリスタルの鉱山が近くにあるこの地はその天然の魔力炉を使った発電所と、それを起動する際に起きる自然地熱によって湧き出るという珍しい方法で出来た温泉が売りであるこの観光街は、賑やかな市内の中心部に比べると、人の入り様こそ変わらないが、やや落ち着いた雰囲気に包まれたラコニアを代表する観光名所のひとつだった。

山の峰を切り開く形で開拓された温泉街の一番高い場所に位置するのが温泉街屈指の有名ホテル『ピジョン屋』だった。

『Cassiopeia Plaza』に比べると大幅にランクダウンした庶民向けのホテルだが、値段は良心的で、少し値段を上げるだけで、街を一望できるパノラマビューが売りの中々良質な部屋に泊まれるという事で、人気の高いホテルであった。

そんなホテルの一室を借り、なのは、政宗、ヴィータ、小十郎、そして成実の5人が集まっていた。

 

ホテル『Cassiopeia Plaza』での騒動後、駆けつけた市内に配備されている陸士隊から軽く尋問を受けることになった政宗達であったが、なのはとヴィータが仔細を説明してくれたおかげで、然程時間をとられる事なく開放された。

 

政宗達がR7支部隊に対して働いた暴行行為については『正当防衛』が認められ、あまりやり過ぎると「過剰防衛」になるとお咎めがあった事以外は問題になる事はなく済んだが、これは見合いの仲人役だったエミーナ・メアリング執政総議長の口添えがあった事が大きかった。

尤も、口添えと言っても、乱闘騒ぎが集結した後、今更になって現れたエミーナはどうしたらいいかわからずに狼狽えてばかりだったが、なのはから

 

「セブン准陸佐やR7支部隊のやった行為は完全に管理局の部隊としての規律を逸脱する様な狼藉行為です。もしこれを地上本部に報告して、問題事案として取り上げなければ、貴方が叩かれるかもしれませんよ? 特にレジアス中将がこれを知ったら唯ではおかないと思います」

 

と遠回しに『自分の立場が危うくなる』とカマをかけられるなり、

 

 

「なんですって!? それはいけないわ! 安心して頂戴“さくら”さん! ちゃんとこの事はレジアス中将にきっちり相談して、ザイン事務次官にもお小言を言ってもらうようにするから!私にドン!と任せな―――ォエッ!ゲホッ!ゲホッ!!」

 

 

っと胸を叩いて激しく咳き込んでしまうというなんとも頼りにならなそうな様子でそう言い残して、早々に地上本部へと引き上げていってしまった。

 

当然、なのは達はエミーナを当てにするという“無駄な考え”は端からなかった。

彼女がコアタイル派、ゲイズ派双方から体の良い使いっぱしりとして軽んじて見られているという噂は、今日の見合いでの様子からして一目瞭然であった。

 

そんなわけで、『Cassiopeia Plaza』から脱出したなのは達は、一先ず場所を変えて、本部への報告と、今後について相談する為にどこかゆっくり話せる場所を探す事にしたのだが、正直言ってホテルを出るまでよりも難儀したのはそれからの方だった。

 

売られた喧嘩を買ったまでとはいえ、街の中心部にある一級ホテルで建物を半壊させる程の乱闘騒ぎ…それも街に駐留する部隊の中でも統括者的存在の精鋭部隊とそのメインスポンサーであるコアタイル家の御曹司相手に繰り広げ、あまつさえその御曹司を完膚なきまで叩きのめしたとなっては市民の関心を集めないわけがなかった。

ホテルの周囲には野次馬が集り、それらの目を盗んで脱出するまでに散々骨が折る事となったなのは達だったが、脱出したらしたで、苦労させられる事となった。

 

ホテルでの騒ぎは瞬く間に市内の各地に噂になって広がっており、下手にひと目につきそうな場所に寄ることもままならない事がわかったなのは達はそれから、しばらくの間落ち着いて話し合いのできそうな場所を探し求め…最終的に現地の警邏隊に相談した結果、郊外にあるこの『ピジョン屋』の一室を借してもらう事となったのだった…

 

こうしてようやくゆっくり話し合える場所にたどり着いた一行は、部屋に着くなり、早速ホログラムコンピュータで通信を開き、隊舎にいるはやてに事情を説明する事にした。

 

《さてと…成実君。ほんまやったら、あんたのやった事は重大な規則違反に値する事やってわかっとるかぁ?》

 

モニターの向こうからはやてにジロリと睨まれながら、成実は乾いた笑みを浮かべている。

半ば自分の父親的存在である兄貴分 小十郎の小言を連日のように食らっている為、はやての説教は、説教に思えないくらい優しく思えた。

とはいえ、この場所には小十郎もしっかりと居合わせている為、ちょっとでもふざけた態度をとると、忽ち脳天にゲンコツが降り掛かってくる恐れがある為、できる限り神妙な顔つきを浮かべるように努力しながら聞いていた。

 

「まぁ…そりゃ確かに勝手に着いてったのは悪かったけどさぁ…でも、おかげで兄ちゃん達の窮地を救ったんだからいいじゃねぇかよぉ」

 

《それはそうやろうけど…デバイス調節室に忍び込んで、刀を盗んだのは流石に問題やで》

 

実際、はやてが説教しているのは、成実が勝手に着いていった事ではなく、その前に政宗達が預けていた刀を盗んだ事であった。

いくら仲間内で、身近な人物の私物とはいえ、成実のやった事は、身も蓋もなくいえば『泥棒』と同じである。

 

《…まぁ、なのはちゃんやヴィータの言う通り、今回の騒動を凌ぐ事が出来たのは成実君のおかげでもあるし、その功労に免じて今回だけはお咎めなしで許しましょう。その代わり、もう勝手に任務に着いていったり、他人の武器持ち出したりしたらあかんで》

 

「へーい」

 

「『へーい』じゃねぇ! 返事は『はい』だろッ!」

 

「は、はいぃぃッ!」

 

気だるげな返事を返す成実だったが、即座に横から小十郎の鋭い視線と恫喝を浴びせられると、鞭を打たれたかのように慌てて背筋を延ばしながら、裏返った声でちゃんとした返事をする。

その様子を見て、政宗やヴィータは「やれやれ…」と呆れた様子で頭を振った。

すると、その様子を見て苦笑いしていたなのはが、思い出したように尋ねる。

 

「にゃはは…それにしても…成実君も、あの時よくあれだけの包囲網を掻い潜って駆けつける事ができたよね?」

 

あの時というのは、セブンがR7支部隊の隊長 オサムをけしけて人質をとって、政宗と小十郎を強引に無力化させた時の事である。

あの時に、『地中を掘って、足元から急襲』という予想を斜め上を行くようなゲリラ戦法で現れた成実によって、双竜主従の最大のピンチが脱せられ、その後の反撃の糸口につながったのだった。

 

「あぁ。俺さぁ、 “ひこうき”って奴の車輪に掴まって来たんだけど、そこがもう寒くってさぁ、危うくカッチカチになりそうになったんだけど、なんとか助かって、出てきたところに丁度、兄ちゃん達の姿が見えたから急いで後を追いかけようと思って、近くにあった“とらっく”…だったっけ? それにタダ乗りしようと忍び込んだんだけど、気がついたらあのでっかい館の地面の下に行っちまって…」

 

「あぁ、きっと地下駐車場の搬入口に行っちまったんだな」

 

ヴィータが補足を加えるように言った。

 

「それからなんとか上に出ようと思って地面に穴掘り進んでいたら、急に喧嘩の騒ぎみたいな音と兄ちゃん達の“匂い”がして、それに釣られて、掘って進んだ先で様子見たら、あのセブン(どてかぼちゃ)とその取り巻きのオサム(獅子唐野郎)が卑怯な手ぇ使って兄ちゃん達を追い詰めてたのを見て、慌てて、地面掘り進んで奴の真下から穴に引きずり込んで、タコ殴りにしてやったってわけよ!」

 

「う…うん…どこからツッコむべきかわからないんだけど、とりあえず大体わかったからもういいや」

 

「おいコラ、考える事を諦めるな」

 

頭痛を堪えるように頭を揉みながらなのはが、半ば強引に話を〆ると、政宗が呆れながらツッコんだ。

 

そんななのは達のやり取りを聞いていたはやてであったが、急にその表情が険しいものになる。

 

《…それにしても…セブン准陸佐も元々あまり良い評判がある人やないとは聞いとったけど…『聞きしに勝る嫌な奴』とはまさにこの事やな…まさか、そこまでやりたい放題やる人やったなんて…》

 

はやてが、そうセブンの事について話し出すと、政宗達は皆、一斉に不快感を全面的に顕にした表情を浮かべた。

 

「あぁ。根性が腐ってるどころか、ありゃ最早常識を疑うレベルだぜ。関係のない一般市民を平気で盾にするばかりか、仲間さえも平気で巻き添えにして魔法ぶっ放すなんてさぁ」

 

「俺にしてみれば、あんな無茶苦茶な事をしでかすような男を、野放しにするばかりか、あまつさえその走狗に成り果てているあの『星杖十字団(せいじょうじゅうじだん)』もどうかしていると思うぞ。特にあのリマックとかいう部隊長と、フェートンとかいう女副隊長に至っては、完全にあのバカ息子の舎弟のような有様だったからな」

 

ヴィータと小十郎がそれぞれ憤然としながら、改めてセブンとその一味の醜悪さを酷評した。

 

「ほら、お見合いの時や政宗さん達と戦っていた時にセブン准陸佐も言ってたじゃない? 『この街にR7支部隊が拠点を設けている縁で、街自体にコアタイル家が多額の資金援助をしているから、その好で自分はこの街で多少の無茶は許される』って……それで、尋問の時に、私この街の所轄の陸士隊の人から詳しく聞いてみたんだけど…この街でのR7支部隊とセブン准陸佐の横暴な振る舞いは、以前から街の人達の間でも悩みの種になってたみたい」

 

なのはが顔を顰めながら説明した。

 

「どんな事されてやがるのか…さっきのTravelを見ただけで、なんとなく予想はつくがな……」

 

「うん…まさに政宗さんの想像どおりなの」

 

なのはは頷きながら、長々と語り始めた。

 

セブン准陸佐の父親 ザイン・コアタイル統合事務次官は管理局でのポストの他に、コアタイル家が主体となって興したミッドチルダでも有数の巨大な財団『B(ビック).D(ディッパー)財団』の代表も務めているそうだ。

その財団の資金力は計り知れず、ミッドの方々の土地の所有権も有しており、特にこのラコニアの街周辺に点在する歴史的価値の高い貴重な遺跡や史跡の土地の大半を『B.D財団』が所有権を有しており、現在はそこからラコニアの市政庁に貸し与える形で、街の収入源を大きく貢献しているとの事。

そうして、今やザインやB.D財団の機嫌一つで、街の財政は大きく変わってしまうという天秤を握られている状態にあるそうだ。

 

「I get it…それをいい事にコアタイル家(あいつら)はこの街のInitiativeを完全に我が者にしているというわけか…」

 

政宗が、苦虫を噛んだような表情で呟いた。

 

「しかもその手口がまた狡猾でね…」

 

さらになのはが、続けた話を聞いた政宗達は更に不快さと憤慨な想いに駆られる事となった。

 

コアタイル家とその一派は、市側が完全にコアタイル家に逆らえない様にする為に、行政側に過度の資金援助をしたり、コアタイル家に通ずる者を要職に置くなどして、街を裏側から支配してしまった。

 

「言ってみれば…この街ではコアタイル家が何をしようとも好き勝手できるってわけなの」

 

「…とんでもない話だな」

 

小十郎が重々しい溜息を混じえながら呟いた。

 

「それにコアタイル派の実質的私兵である『星杖十字団』が付け込んで、“重要史跡の警護”を名目に、自分達の一部隊に街を管轄下に置いてしまって後は勝手三昧。それもよりによって、コアタイル本家の嫡男 セブン准陸佐が寵愛するR7支部隊が派遣されたせいで、今や当の本人も街の市長気取りでいるんだとか…」

 

「それで、街の住人…特に非魔力保持者をSlave同然に扱ってるってわけか…Shit! 聞けば聞くほど反吐が出るような七光り野郎だぜ」

 

「まったくもっ手羽の塩焼きだよ! やっぱあん時、首根っこ捕まえてでも一発ぶん殴っとけばよかったぜ…!!」

 

政宗、成実ら義兄弟はそれぞれ対照的な態度…政宗は静かに、成実は思ったことをそのまま顕にする形で、それぞれセブンへの怒りを顕にした。

すると、そこへ同じく憤慨しながら話しだしたのはヴィータだった。

 

セブン(飼い主)が飼い主なら、そのR7支部隊(飼い犬共)も酷いもんだぜ? アタシがホテルのスタッフ達から聞いた話じゃ、R7支部隊(あっち)はあっちで、バカ息子の傘を着て勝手放題。市内のあっちこっちの店で、ツケで飲み食いするばかりか、月に一度の頻度で金をせびって回ったりしているそうだぜ。 表ッ面は“部隊活動の為の資金援助”を建前にしてるらしいけど、実際は連中の汚ぇ小遣い稼ぎだろうよ」

 

「ミッド有数の金持ちを後ろ盾にしている部隊が、市民から“資金援助”だと? もうちょっと現実味のある嘘を考えろよな」

 

小十郎は最早怒りを通り越して、完全に呆れている様子だった。

 

「しかも例によって非魔力保持者には特に当たりが悪ぃらしい。ちょっとでも金を払うのを出し渋ったり、文句言ったりすると「非魔力保持者のくせにミッド最精鋭の魔導師である我々に歯向かうつもりか!?」っとかお決まりの台詞と共に、“違法経営”だのと適当な罪をでっちあげて、営業停止処分にしたり、酷い場合だと逮捕するとか…どうしようもねぇ連中だよ。 実際、Cassiopeia Plaza(あのホテル)も前々から連中にかなりの金巻き上げられて迷惑していた上に、今日の貸し切りだって、数日前に突然告げられて、前から入っていた宿泊予約とかを無理矢理全部キャンセルさせられてまでセッティングさせられたそうだ。「言うとおりにしないと無期限営業停止処分を下す」って脅し付きで」

 

「ひどいね…」

 

「あぁ。飼い主同然にホントにカスな連中だぜ」

 

「まっ、実際戦ったら腕っぷしもカスみたいな奴らだったじゃん♪ あのセブン(どてかぼちゃ)に至っては、しょんべんちびりながら「ぱぱー!」なんて泣き喚いてさぁ! 兄ちゃんから昔教えてもらったけど、「ぱぱ」って確か英語(竜の言葉)で「父ちゃん」って意味なんだよなぁ?」

 

なのはと政宗の周りに漂う不愉快な気分に満ちた空気を知ってか知らずか、不意に成実がケラケラと笑いながら言い添えてくる。

 

成実の一言で重く沈みかけていた場の空気が一変する。

 

「お、おい成実。政宗が言ったのはそういう話じゃなくてな……プッ!プププ!」

 

ヴィータが呆れの中にも笑いを耐えられぬ顔を浮かべながら、成実の見当外れな発言を窘めようとするが、話している間に自分もセブンが最後に見せた無様極まる醜態を思い出してしまい、思わず吹き出して笑いそうになった。

 

《ま…確かに「パパ」はないわぁ…プププッ!》

 

「高町…アイツ確か、政宗様と同い年とか言ってたよな…? クッ…クククッ…!」

 

「う、うん…今年“25歳”だって…プフッ! ウフフフッ…!」

 

「とぅ…“25(Twenty Five)”の男が「パパ(Daddy)」はねぇだろ…「パパ(Daddy)」は…プークックックッ!!」

 

成実の何気ない一言がきっかけで、モニター越しに話を聞いていたはやてだけでなく、小十郎やなのは、政宗でさえも、セブンが見せたまさかのファザコンぶりがツボに嵌ってしまい、それぞれ顔を背けたり、俯いたりしながら、必死に笑いをこらえ、場の空気を乱さないようにしていたが、それぞれ完全に吹き出してしまっており、それは最早無意味な努力と化していた。

 

そんなわけで、しばらく話し合いは中断して、皆の笑いが収まるのを待たなければならなくなってしまった…

 

 

 

「コホン…それじゃあ、本題に戻るけど……とりあえず、今回の見合い自体は破談に出来たけど…問題は、セブン准陸佐達がこのまま大人しく引き下がるとは考えられない事だね」

 

なのはが、そう今後の事について懸念を口に出すと、モニターに映ったはやてが言い加えてきた。

 

《いや、セブン准陸佐もそうやけど、それより今後用心せなあかんのは、ザイン統合事務次官や。 ここまで息子の見合いをメッチャメチャにされたんやで? きっと、私達に何かしらの仕返しをしてくる筈やわ》

 

はやての言う通り、コアタイル派はその権力の強さもそうだが、何より一度プライドに泥を塗られると徹底的な報復を仕掛けようと考え、その為には手段を選ばない程に相当、執着深い事でも有名だった。

それは今日の見合いにおけるセブンに従属していたR7支部隊の言動から見ても察せられた。

 

《クロノやロッサにも聞いたんやけど、本局のお偉い様方も良識ある人は、あのコアタイル親子を相手にしないそうや。中には「レジアス中将の方がまだ扱いやすい」って言う人もおるくらいやし…とにかくクロノ達も、これから本局だけでなく、いろんな方向の人達と力を合わせて、コアタイル家や魔法至上主義に毒されとる貴族魔導師達をなんとか抑えていくつもりでおるみたいやけど…》

 

「しかしだな八神、あのバカ息子も、ただのしつこいだけの七光りってわけでもなさそうだぜ。相当執念深そうな感じだったな…ましてや、今日は『見合い』という、奴にとっては人生の大きな転機を迎える筈だった門出を、コアタイル家(奴ら)にとっては最も忌むべき『非魔力保持者』である俺達にぶち壊された上に、自分の寵愛する兵隊を完膚なきまでに叩きのめされ、挙げ句に衆目の中であんな大恥までかかされたんだ…親子揃って、その恨みと怒りは凄まじい筈だ」

 

小十郎が渋面を拵えながら話している様子を見て、政宗も少しバツが悪そうな表情を浮かべた。

 

「Sorry…なのはを守る為とはいえ、俺達ももう少しCoolに行動すべきだったかもな…」

 

「そんな…! 政宗さん達は何も悪くないよ!」

 

《そうやで。例え政ちゃん達が暴れずとも、なのはちゃんが見合いを断った時点で、コアタイル派(あっち)から目ぇつけられてまう事は、端から想定内やったんやから。政ちゃん達は何も気にする事あらへんよ》

 

なのはとはやてがフォローを入れると、それを聞いた成実もバンバンと政宗の肩を叩きながら軽い口調を投げかける。

 

「そうそう。あのどてかぼちゃ共が、またちょっかいかけてきたら、もっかい返り討ちにして、今度こそたっぷりヤキ入れてやりゃいいんだってば! 気にしない、気にしない!」

 

「お前は『気にしなさすぎ』だ、成実。ちょっとは用心しろ」

 

政宗はピシャリと注意してから、モニターの向こうにいるはやてに疑問を投げかけた。

 

「大体……そのザインとかいう、奴のFatherも何を考えているんだ? 仮にもミッド有数の名家の後継者としている息子が、あそこまで無茶苦茶やってるのなら、普通は止めるなり、咎めたりしねぇと、それこそ御家のPrideに自分達で泥を塗りたくってるようなものだぞ」

 

《それがなぁ…これもまたロッサから聞いた情報なんやけど……》

 

はやてが溜息を漏らしながら、更に悪い補足を付け足してくる。

 

《どうも、ザイン統合事務次官もたちが悪い事に、嫡男であるセブン准陸佐を相当溺愛しているんやって。 なんでも、コアタイル家にとってはラッキーナンバーである『7』の数字を肖る記念すべき“七代目当主”を無事に襲名させる為に、息子の素行を咎めるどころか傷が残らない様、息子が問題を起こす度に、コアタイル家の権力を使って揉み消したりしているとか…》

 

「What?」

 

「どういう事だ?」

 

政宗と小十郎がそれぞれ顔を顰める。

 

「政宗さん達もわかっていると思うけど、セブン准陸佐達のやっている事は、時空管理局の局員としての規則を大きく背いた問題行為。このラコニア市内は勿論、ミッド各都市の市民の人達や所轄の地上部隊からも、何度も地上本部や本局の監査部に抗議や直訴した事があるみたい。通常なら、そんな触法行為を平気で犯すような素行不良な士官は、即解任して、階級と資格も剥奪した上で、海上隔離施設への勾留などの処分が課せられる筈なんだけど…」

 

なのはが言う『海上隔離施設』とは、ミッドチルダのとある海域の海上に設置された犯罪者収容施設の事である。

年少者や若年者の魔導犯罪者、または時空管理局内で違法行為を働いた者が収監され、適切な教育を施し、更正・社会復帰を目指す事が目的という、牢獄的な意味合いより更正施設としての性格が強い施設である。

 

《うん。 実際、ロッサらも何度か監査を行ったみたいやで。せやけど、いずれも『証拠はなし』っちゅう結論なって、何の処分も下せへんかったみたいやわ》

 

「証拠隠滅か…それだけコアタイル家には力があるって証拠だな」

 

はやての話を聞いた小十郎が歯がゆそうに唸り声を上げた。

 

「噂によると、ザイン統合事務次官は敵対者に情け容赦のない御方らしいけど、唯一家族に対してだけは人並み以上の愛情を持っているのだとか…でも皮肉にも、その数少ない愛情ある一面が息子のやりたい放題な振る舞いを増長させてしまっているみたい」

 

政宗は、なのはの弁を引き継いだ。

 

「…歪んだ愛情…っというよりは“親バカ”ならぬ“バカ親”ってとこだな…」

 

《いずれにしても、この先、何もないということはまずありえへんやろうね》

 

「はやて。これから、どうするんだよ?」

 

ヴィータが不安げに尋ねた。

 

《さっきも言ったとおり、幸い私達にはクロノやロッサ、リンディさんやレティさんをはじめとする本局の良識ある方々が多数味方に着いとる。コアタイル派(向こう)が何かしらの報復を仕掛けてきても、よほどの事がない限りは、今すぐに『部隊取り潰し』みたいな無茶苦茶な処分にかけられるような事はあらへんよ》

 

「それならいいんだけど…」

 

《とは言え…これ以上はコアタイル親子を下手に刺激せぇへん事が得策やろな。 今日のホテルでの乱闘騒ぎかて、政ちゃん達がR7支部隊だけやのぅて、セブン准陸佐にまで直接暴力を振るってしまっていたら、その場で問答無用にしょっぴかれて、もっとややこしい問題になってたやろうし…》

 

はやての結論を聞いて、政宗も安堵した様子で頷いた。

 

「それでいえば、今回の騒動はセブン(アイツ)が勝手に熱り立って、手駒共をけしかけて返り討ちに遭って、泣き喚いて小便漏らしながら逃げていっただけだからな……少なくとも、俺達は何も罪に問われるような事はしてねぇしな…」

 

「なぁんだぁ。結局、アイツぶん殴ってたらダメだったわけか…」

 

成実がガッカリした様子でボヤく隣で、小十郎が顎に手を当てて、何か考え込むような仕草をとっていた。

 

「しかし、政宗様。 目下のところ、R7支部隊の動向が気がかりです。特にあの部隊長のリマックにしてみれば、今回の一件でセブンからの信用を大いに失ったのです。意趣返しに政宗様に難癖をつけて、何かしらの報復を仕掛けてくる可能性もあるかと思いますが……」

 

「…確かにな。これ以上、連中を刺激するような揉め事を起こさない為にも、早々にこの街から退散(Dispersal)するのが良さそうだ」

 

政宗の意見も尤もだった。

 

「退散するったって、政宗。 アタシらが乗ってきた送迎機はもう使わせてもらえないし、この街の最寄りの空港だって、もうクラナガンに帰る飛行機は終わっちまった頃だぜ?」

 

ヴィータが部屋の壁にかかっていた時計を指差しながら話す。時刻は現在、17時30分過ぎである。

ラコニアの街の周囲は遺跡への振動や騒音などの負担を考慮し、他の土地に比べて非常に厳格な飛行規制が設けられている為、街の最寄りの空港であるラコニア空港も首都クラナガン方面への定期便の最終フライト時間が17時であり、空港自体も18時に閉鎖してしまうのだった。

つまり、今から空港に行ったところでクラナガンに帰る為の飛行機はもうないのだった。

 

「やはり…ヴァイスの奴にヘリで迎えに来てもらうのが一番手っ取り早いんじゃねぇか?」

 

そう提案する小十郎だったが、それを聞いたはやてがホログラムの向こう側で何故か失笑を浮かべ始める。

 

《い、いやぁ…それがな。小十郎さん…残念やけど、ヴァイス君は、今日はちょっと、ヘリを動かせる状況やないんよ…》

 

「「「「はぁ?」」」」

 

なのは、政宗、ヴィータ、小十郎が怪訝な声を揃えた。

 

「どうしたの? 何か具合でも悪くなったの?」

 

《いや…身体の不調っというよりは…なんて言ったらいいかな……? 心の不調…? って言うべきやろか…? 実は、R7支部隊がなのはちゃんを迎えに来た時に、(やっこ)さんのシャトルジェットにヴァイス君の、保険で返ってきたばかりやったバイクが潰されてしもうて…》

 

「What!? アイツまたMy Bikeを潰されたってのかよ!? よくよく運がねぇ奴だなぁ!」

 

「いや、その最初の一回は、お前がぶっ壊したんだろ!」

 

思わず吹き出してしまった政宗に即座に横からヴィータのツッコミが飛んでくる。

 

《まぁ、そういうわけで、ヴァイス君はショックのあまりに泡吹いて卒倒してもうてな…今、医務室で石膏像みたいに真っ白になって硬直しながら失神しとるわけ》

 

「なるほどね…それは確かにヘリを飛ばせるどころじゃないね…」

 

なのははそう言って、同情する様に苦笑を浮かべた。

 

「それじゃあ、アルトはどうなんだよ? アイツ確か、ヘリパイロットのライセンス取るって言ってなかったか?」

 

ヴィータが思い出したように提案したが、これもはやては頭を横に振った。

 

《確かに今、ライセンスはとってる最中らしいけど、まだ“仮免”の段階みたいなんよ。っとなるとやっぱり、ヴァイス君が回復するまで待つしかないやろうな》

 

「ダメか……」

 

ヴィータはアテが外れた様な顔を浮かべながら、そっぽを向いた。

 

《こうなったら…早くその街を出たいのはわかるけど、今夜一晩だけ、今いるホテルに逗留するしかないわ。なんとかこっちでもヴァイス君が早くヘリを飛ばせる状態にまで回復させて、明日の朝一にはそっちへ迎えに寄越すようにしとくから》

 

「おいおい、一晩、敵の目と鼻の先で過ごせっていうのか?」

 

政宗は呻く様に呟くと部屋の窓から見えるラコニアの街、そしてその向こうに聳える山の頂上一帯を切り開く形で聳え立つ古来の城塞のように高い壁に囲まれた建築物を見据えた。

なのはの話によれば、まるでラコニアの王宮の如く鎮座するあの建物こそ、星杖十字団R7支部隊の隊舎であるのだという。

流石は地上本部傘下で最も力のある部隊だけあって、その敷地の規模は機動六課隊舎の3倍はあろう事が遠目から見ても、一目瞭然であった。

 

《しゃあないやないの。幸いにも、今皆がおるカマサ=ワギ温泉は、ラコニアの市街地から少し離れた場所やし、一晩身を潜めるだけやったら大丈夫やろ。 それにせっかく、温泉に来たんやったら、この際、ゆっくりお湯にでも浸かって、お見合いで受けた心身共の疲れを癒やすのもまた一興やと思うで?》

 

「いや、こんな状況で疲れを癒せるとも思えねぇが…」

 

「いいんじゃないかな? 政宗さん」

 

政宗は尚も渋った様子を見せるが、そこへなのはの声がかかる。

 

「なのは…」

 

「帰る手段がない以上、下手にここから動く方がかえってトラブルを招くかもしれないし…それに今日は政宗さん達には特に苦労をかけちゃったから、せめてここの温泉にでも入って疲れを癒やすのも悪くはないんじゃないかなって思うんだ」

 

なのはが政宗の手を優しく握りながら、そう言うと、政宗もどう返答すべきか迷っているのか、気まずそうに小さな唸り声を上げた。

 

「お…お前がそこまで言うなら……別に構わねぇけどよ。まぁ、確かに俺も温泉自体は嫌いじゃねぇからな」

 

「ホント!? よかったぁ!」

 

政宗が了承してくれてどことなく嬉しそうに話すなのは。

その様子をモニター越しに見ていたはやてが、「おっ!?」っと何かを察したような顔を浮かべた後、面白いものを見つけたかのように意味深なニヤケ顔を浮かべだした。

 

「待て高町!」

 

そこへ小姑…否、小十郎の異議が飛んできた。

 

「なぜ、政宗様とこの温泉に湯治するとなった途端にそんなに嬉しそうにするんだ? まさか…まだ見合いの“芝居”を続けている気じゃねぇだろうな?」

 

小十郎は腕組みをして、鋭い目線でなのはを睨んでいる。

 

ところが、今回はなのはも負けてはいなかった。

 

「あれぇ小十郎さん? 潜伏とはいえ、私達はまだ敵の射程距離の中にいるんですよ? つまり、どこで敵の目があるかわかりません。この街を出るまでは政宗さんと“恋人”同士として振る舞っている事も別に可笑しいとは思えませんけど?」

 

なのははいつもの穏やかな声で返しつつも、その瞳にははっきりと小十郎に対する反骨意識が宿っていた。

 

「なんだと…? 高町。 お前、急に言動が大胆になったようだが…まさか見合いの席で政宗様から『恋人宣言』を受けた事で、勝手にのぼせ上がってるつもりじゃねぇだろうな?」

 

「何言ってるんですかぁ。あれはお芝居だって、耳にタコができるくらい言ってたのは小十郎さんでしょ? “4789回”も…」

 

「違う! “3678回”だ!」

 

「同じだと思いますけどねぇ…4000回も3000回も…そんなにまるで“お姑さん” の様に口喧しく言われたら…」

 

なのはのその言葉に小十郎のこめかみに青筋が浮かぶ。

 

「誰が“お姑さん”だ! 俺はお前を政宗様の“嫁”として認めたつもりはねぇ!」

 

「えっ? 私、別に“政宗さんの”なんて言ってないですけど?」

 

「ぬぉっ!? こ…コイツ…! 人をおちょくりやがって…叩っ斬られたいか?!」

 

「小十郎さんこそ…そんなに熱り立ったらダメですよ。少し、頭冷やしますか?」

 

しまいにはバチバチと火花をちらしながらメンチを切り始めた小十郎となのは。

正に一触即発の状態が暫しの間流れた。

 

そして、両者が動こうとした次の瞬間―――

 

「ストーーーーーップ!! 何やってんだよお前ら!!」

 

「兄貴! なのは姉ちゃんも、タンマ!タンマ!」

 

2人の間に飛び込んで来たヴィータがなのはを、成実が小十郎をそれぞれに制した。

2人の声を聞いた途端、なのはがハッと我に返った様な顔つきを浮かべる。

 

「お、おい…どうしたんだ? なのは、小十郎も…?」

 

突然喧嘩を始めかけた2人の挙動が把握できていない政宗が、困惑した様子で尋ねてくるのを見て、なのはは、堰を切ったように慌てて政宗と小十郎の双方に向かって頭を下げ始めた。

 

「…ご、ごめんなさい、政宗さん! 私ったら、つい“お芝居”に変に気持ちが入りすぎちゃってたみたい…小十郎さんも、ごめんなさい! なんだか失礼な事言ったみたいで…」

 

「あ、あぁ…俺もつい大人気ない対応をしてしまったな…すまない…」

 

必死に頭を下げる様子に、なのはが本心で謝っているのを察した小十郎は頭を掻きながら詫び返した。

 

(わ、私ったら…意識の内になんで小十郎さんにあんな強気に出ちゃったりしたんだろう…? 政宗さんと温泉に泊まれる事になったのが嬉しかったから?)

 

なのはは、決してしらを切っているわけではなかった。

本当に自分が突然、小十郎の小姑的振る舞いに対して無意識に強気に打って出た意味が自分でも理解できなかったのだった。

 

一方、モニターの向こうにいるはやては、一連のやり取りを見て、納得するように頷きながら、なのはの戸惑う姿をニヤニヤと楽しんでいるかのように見ていた。

 

「な、なに…? はやてちゃん……」

 

《…いいや別に…それよりも、ホテルに事情説明して、今夜そっちに5人泊まる様に部屋確保してもらうように頼んどかないとあかんで》

 

「あっ、う…うん……! そうだね! 私、フロントに行って話してくる。ヴィータちゃん、一緒に来てくれる?」

 

「お、おぉ…」

 

なのはは落ち着かない様子で頷くと、ヴィータを連れて、部屋を出ていった。

すると、小十郎も強く咳払いをしながら政宗に告げる。

 

「そ、それでは政宗様! 小十郎は政宗様の分のお召し替えを受け取りに参ります。先程、隊舎のシャマルから、転送便で我々のいつもの装束をここへ手配してもらったそうなので…! 成実! お前も手伝え!」

 

「えぇぇっ!? 俺今、腹四分目だからあんまり動きたく―――」

 

「いいから、さっさと来いッ!!」

 

「ひぇぇっ!? が、合点承知のはらこ飯ぃ!! …って、なんでそんなに気ぃ立ってんのぉ!?」

 

成実を半ば恐喝同然に引き立てた小十郎も部屋を出ていき、最終的に部屋に残ったのは、政宗のみとなった。

 

「…ったく。なのはも、小十郎も、一体どうしちまったっていうんだよ?」

 

わけがわからないと言わんばかりに頭を掻きながらボヤく政宗だったが、モニターの向こうにいるはやてはニヤニヤと笑いながら見つめていた。

その様子に気づいた政宗が思わずギョッとしてしまう。

 

「なっ…なんだよ…? はやて」

 

《いやぁ~政ちゃん……アンタも憎い男やねぇ。よっ! 伊達男な伊達政宗!》

 

「Ah? 何の話だよ?」

 

怪訝な顔を浮かべる政宗だったが、はやては笑いながら一人で喋り続ける。

 

《政ちゃん…アンタ、この先クセの強い嫁と姑に挟まれて苦労する運命やろうけど、せいぜい頑張りや。ほんじゃ、あとはこっちに任せて、そっちはゆっくり温泉で羽延ばしてきぃや》

 

「お、おいはやて―――」

 

はやては最後まで何かを楽しんでいるかのような笑顔を崩すことないまま、通信を切り、政宗の目の前でホログラムが消えた。

 

「……ったく。どいつもこいつも、わけがわかんねぇよ」

 

政宗は一人愚痴りながら、もう一度窓の外に広がるラコニアの街を見下ろすのだった。

*1
現代で言う30分。




政宗の「フィアンセ」発言でなのはも無意識の内にどんどん嫁モードに入りつつあり、小十郎とも熾烈な嫁姑バトルを展開していくことに!?

オリジナル版以上にアグレッシブになりつつあるなのはの恋路は果たしてどうなっていくのか…?!

そして、一連の騒動の裏で動き始めた新たな五刑衆『妖将』の正体とは…オリジナル版と同じ人物なのか…それとも違う人物か…!?
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