リリカルBASARA StrikerS -The Cross Party Reboot Edition-   作:charley

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関ヶ原の戦いで謎の光に飲まれ、異世界ミッドチルダにやってきた徳川家康は、そこでスバル・ナカジマをはじめとする時空管理局の特殊部隊 機動六課のフォワードメンバー達に出会う。
家康が次元漂流者だと知ったスバル達はひとまず、家康を機動六課へと案内する事となるが…

スバル「リリカルBASARA StrikerS 第弐章出陣します」


第弐章 ~入隊! 機動六課~

スバル達フォワードチーム。そして新たに合流したヴィータに連れられて家康が連れてこられたのは、先ほどまで家康がいた「ビル」と呼ばれる建物とは、また形状の違った横に面積の長い、海に面した建物だった。

聞けば、そこがスバル達の所属する部隊『機動六課』の拠点らしい。

 

ちなみにヴィータと共にいた女性…なのはは、事後処理作業がある為、少し遅れるとのことだ。

 

「おぉ。中々立派な城塞だなぁ。ここを治めているという事は、相当な国主なのだろうな」

 

自分の知りうる城郭などとはまるで造りが違うミッドチルダの建物に家康が感心していると、すかさず横からスバルが補足の説明を入れてあげる。

 

「家康さん。あれはお城じゃなくて私達、機動六課の“隊舎”ですよ」

 

「たいしゃ?…あの建物では天神でも祭っているのか?」

 

「いや、それは“大社”。そうじゃなくてこれは“隊舎”! っていうか小説でしかわからないようなボケを言うな!」

 

スバルとは違い、少々強めのツッコミを入れるティアナ。

それを見たヴィータが呆れたように話す。

 

「お前さぁ、さっきからビルを見て「四角い城だ」とか、車見て「引き手の馬はいないのか?」とかさっきからボケてばっかりだけど、ほんと一体いつの時代から来た人間なんだよ?」

 

彼女の言うとおり、家康はここに連れてくるまでに高層ビルや自動車やヘリなど現代文明の産物ともいえる機械や建造物に対して様々な表現で驚きと感心の言葉を放ち、その都度ヴィータやスバル達は補足の説明やツッコミに追われて四苦八苦していたのだった。

 

「いやぁ、この世界にあるものの全てが、ワシが見たことのないものばかりだからな。つい興奮してしまって」

 

家康が面目なさそうに、頭にできた一つのタンコブをさすりながら言った。

ちなみに、どうして家康の頭にタンコブができるのかというと…

 

 

―――――数分前…

 

先ほどのビル(家康によって前半分が崩壊)にて…

 

「おいお前!お前のせいでビル半分ぶっ壊れちまったじゃねぇか!なにやってんだ!!」

 

ビルの壁を崩壊させた家康に怒鳴りながらいの一番に詰め寄るヴィータ。

すると出てきたばかりの家康が、ヴィータに気付き、その姿を見た途端に驚いた表情を浮かべ出した。

 

「な…なんだよ?」

 

急に見つめられて戸惑うヴィータ。

一方、家康は彼女の特徴を見て頭の中にある人物の姿を思い浮かべる。

 

武器にハンマー…

三つ編みのおさげ…

小さい等身…

 

「き…君は…」

 

家康の声が若干振るえる。

 

「ん?」

 

「……いつき殿か!!?」

 

「はぁ!?」

 

家康は、かつて自分が幼少期の頃に出会った東北のとある一揆勢を率いていた農民の少女の名を切り出して、ヴィータに詰め寄る。

一方のヴィータは、突然聞いたことのない名前で呼ばれて亞然となる。

 

「久しぶりだなぁ!もう数年近く会ってなかったなぁ。元気にしていたのか?」

 

「おっ…おい。ちょっと待てよ…」

 

ヴィータは困惑するが、それに気づかない家康は親しそうにヴィータに近づいていき、

そして彼女目の前まできたところで、彼女に対して最も言ってはならない一言を言ってしまう。

 

「でもいつき殿、まだ随分と背が小さいな。むしろ最後に会った時より、幾分か小さくなってる気がするのだが?」

 

 

ブチィッ!

 

 

その言葉を聞いて、忽ち堪忍袋を切らしてしまうヴィータ。

 

「身長の事を言うんじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

「ぐはあああ!!?」

 

…ってな感じで家康は、ヴィータの怒りを買って彼女の愛用の鉄槌型デバイス グラーフアイゼンで痛いツッコミを頭に受けたのだった…

 

 

好奇心冷めやまぬ間に、スバル達に連れられて、隊舎の中へと入った家康はそのまま、機動六課の最高権力者である“部隊長”のいるオフィスへと案内された。

 

「八神部隊長。例の次元漂流者を連れてきました」

 

スバル達が先導して部屋に入り、それに続く形で家康もオフィスに入室する。

家康は少し緊張していた。

なにしろ異国の土地であり日の本とはまったく異なる技術や礼儀によって成り立っている地で初めて遭遇する武将なのだ。今まで数々の異郷の地を治めていた武将達と相対する時の作法では全く通じないかもしれない。

もちろん、これから会う人物は“武将”などではないが、戦国の世を生きてきた家康の中では偉人は全員武将だという思い込みがあったのだった。

それ故に家康も相手に失礼のないように、されど警戒を緩めないように態度を考えなければならなかった。

 

「お~、やっとご到着かいな? どれどれ、ほなさっそくお顔を拝見とさせてもらいましょっか~」

 

そう言って部屋の窓際にある机に座っていたのは、ボブカットのショートヘアーで童顔の女性であった…

 

(!?…ワシとあまり歳の差が無さそうな女子(おなご)だな…)

 

家康は、「部隊長」という人物は、もっと強面で屈強そうな人物を想像していただけに、意外にもあまり自分との歳の差がない、寧ろ幼さの残す外見の少女であった事に意外そうな顔を浮かべる。

 

「君がスバル達の言うとった次元漂流者? なるほどな~、確かにこの世界じゃあまり見かけへん服装やなぁ」

 

家康の顔を見て、次に服装を確かめながらあまり上官職らしくないおっとりとした口調で話す少女。

 

「ふむふむ。スバルの言う通り見た感じ魔導師ってわけやないようやなぁ~。かといってただの民間人という格好でもなさそうやし~」

 

話しながら女性はジッと家康の胸元や袖のない二の腕をジッと見つめる。

 

(えっ!? ちょっと…あの…)

 

突然自分の身体をじっと見つめてくる少女に,思わず妙な緊張感を抱く家康。

 

「ふ~ん……それになかなかえぇ体格やない。わたしけっこうタイプかもな~♪」

 

「えっ……」

 

少々良からぬ事を企んでそうな含み笑いを浮かべて見つめてくる女性に家康は若干の恐怖を覚えた。

すると、後でその様子を見守っていたヴィータが呆れた表情を浮かべながら止めに入ってきた。

 

「はやて。さっきから、色々と危ねぇ雰囲気になってんぞ…」

 

「はっ!?…すまん、すまん。なにしろ久々にえぇ男が現れよったからついな」

 

ヴィータのツッコミに頬を膨らませながら拗ねたように話す女性。

その隙に、家康はスバルに向けて小声で問いかけた。

 

「な…なぁ、スバル殿。この人は一体…?」

 

「この人は私達『機動六課』の部隊長 八神はやてさんです」

 

「!?…なるほど、つまりこの人がスバル殿達の君主というわけだな」

 

「いや、君主というわけではないのですけど…まぁ要するに私達の上司でこの部隊では一番偉い人っていえばいいでしょうか」

 

家康とスバルがそんな会話をしていると…

 

「あ~、皆集まってたんだね。ゴメンはやてちゃん遅れちゃって」

 

「ちょっと現場の処理が長引いちゃったから…」

 

先ほどとは違い、サイドポニーに管理局の制服姿に着替えたなのはと、新たにロングヘアーの金髪の女性が部屋に入って来た。

それを見た家康はある事に気がつく。

 

「スバル殿。もしかしてこの部隊にはエリオ殿以外では女性しか在籍していないのか?」

 

「いや。そういうわけではないですよ。今この場にはいませんが、ちゃんと男性の職員も何人か在籍してますよ」

 

「そ…そうか。それを聞いて安心した。いやぁ、どうもワシはこういう女所帯には慣れてなくてな…」

 

顔を少し赤くしながら家康は少し恥ずかしそうに話す。

その姿を見て、ヒソヒソと耳打ちで話し合うティアナとキャロ。

 

「もしかして家康さんって…」

 

「女の人が苦手なんでしょうか?」

 

ティアナとキャロは少しだけ笑いそうになった。

 

 

 

「ほな。なのはちゃんやフェイトちゃんも来た事やし、さっそくお話聞かせてもらおっかな?」

 

すると、先程までとは違って凛とした表情に切り替わったはやてがここへ一同を集わせた本題を切り出し、家康の尋問は始まった。

 

「じゃあまず、貴方の名前教えてくれませんか?」

 

「わかった」

 

金髪の女性…フェイト・T・ハラオウンが家康に聞くと、家康は失礼のないように軽く身なりを正すと、自らの名を名乗った。

 

 

「某の名は“徳川家康”。三河の国の国主にして徳川軍及び東軍の総大将だ。以後お見知り置きを頼もう」

 

 

そう言って一度頭を下げた家康。

東軍結成の折に数々の諸国を巡っては国主と面会し、その都度礼儀をわきまえてきた為か、誰に対しても初対面は頭を下げて挨拶するのが家康の癖になってしまっていた。

 

「「「えっ!!?……………」」」

 

だが、家康が一礼を終えて頭を上げた時、なのはを始め、フェイト、はやての三人がまるで雷を受けたかのように口をあんぐりと開き、目を丸くして亞然とした表情になっているのに気付く。

 

「えっ?あれ?あの…皆…ワシ…もしかして今変な事…言ったのか?」

 

硬直する三人に家康は思わず動揺してしまう。

そしてスバルやヴィータ達も三人の異変に気付き…

 

「おいはやて?どうしたんだよ?」

 

「フェイトさん?どうかしたんですか?」

 

「あの~…なのはさん?」

 

ヴィータ、エリオ、スバルがそれぞれはやて、フェイト、なのはに声をかけようとした。

すると突然…

 

 

 

 

 

 

 

「「「うぇぇええええええええええぇぇぇぇぇぇ!!?」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

なのは、フェイト、はやてがほぼ同時に声をそろえて大絶叫を上げた。

 

 

「えっ!?…な…何?!」

 

「な…なんだよ!? はやて!」

 

「どうしたんですか!?はやて部隊長!フェイトさん!なのはさん!」

 

その突然の仰天ぶりに思わず引いてしまう家康やスバル達。

一方、なのはもフェイトもはやても、思わず腰を抜かしながらあたふた、オロオロと挙動不審な行動を繰り返す。

 

 

「と…とととと…と…徳川家康ってあの…“徳川家康”ぅぅ!!?…う…嘘でしょ!?…き、ききき、君が!?」

 

普段の彼女を知る者達は滅多に見た事がない程の動揺ぶりを見せ、慌てふためくフェイト。

 

「いやいやいやいやいや!おかしいおかしいおかしい!!絶対おかしいって!…だってわたしらが知ってる“徳川家康”っちゅうんは、もっと狸みたいなおじいさんやった筈やで! こんなわたしらと同い年くらいで、メッチャさわやか系なイケメンアスリートみたいなお兄さんなはずやない!!」

 

動揺のあまり自然と早口になりながら必死に混乱する頭を整理しようとするはやて。

 

「で…でも、はやてちゃん! この人今確かに“三河の領主”とか“徳川軍総大将”って!…確かに言ったよ!」

 

三人の中では一番冷静を保とうと努力しながらも、それでも明らかに混乱している事が一目瞭然ななのは。

三人はもう一度家康の姿を確認して見た。

しかし見れば見る程、3人の頭は混乱していくばかりであった。

それもその筈…第97番管理外世界“地球”・日本出身(フェイトは少女時代の6年間滞在)の3人にとって“徳川家康”といえば戦国の世の勝利者と言われ、後の東京である江戸に徳川幕府を築き、以後265年に渡り、その子孫15代に渡って繁栄させた天下人としてその名を轟かせ、小中高とすべての学校の歴史の教科書で嫌ほどその名前を見て、そして先生から教えられてきた。

それ故にその日本の歴史に欠かせぬ大偉人『徳川家康』が、目の前に立つ自分達と同じ年くらいの青年とは到底信じられなかった。

 

「あ…あの……い…い…家康…様…って言ったらいいのかな…?! ほ…本当に貴方は、あの江戸幕府の初代征夷大将軍の徳川家康なのですか!?」

 

一番近くにいたフェイトがしどろもどろになりながら家康に問う。

家康はフェイト言葉の中で聞いたことがない単語がいくつかある事に違和感を感じながらも、とりあえず頷いた。

 

「その『江戸幕府』や、『征夷大将軍』とかいうのは何の事なのかよくわからないが…確かにワシはまぎれもなく徳川家康に間違いないぞ」

 

そう言って、家康は服の袖に記された徳川家の家紋である“葵の御紋”をなのは達に見せた。

 

「そ…それって、まさか『葵の御紋』!? って事は…ほ…本物の!?」

 

「ひええええぇぇ!! み、皆の者!頭が高い!控え! 控えおろうぅぅぅぅ!!!」

 

「ははあああああああああああああぁぁぁ!!」

 

フェイトが震えながら葵の御紋を指差すと、何故かその場で土下座して平伏し始めたはやてとなのは。

 

「ちょ…!? 本当にどうしたんですか!?」

 

「とりあえず、一回落ち着きましょう!」

 

「そ、そう! まずは、頭を上げてくれ!」

 

突然のなのは達の挙動不審ぶりに困惑しながらスバルとティアナ、そして家康がどうにか宥め、一先ずもう一度立たせる事はできたが、尚も3人はパニック状態から脱せずにいた。

 

「絶対信じひん!こんな狂ったような日本史…私は絶対信じひん!!」

 

頭を抱えながら、必死に自分に言い聞かせるようにして叫びだすはやて。

なのはやフェイトも、衝撃があまりにも大きすぎたのかそれぞれスバル、ティアナに支えられて尚も、足元が覚束ない様子だった。

一方、日本史の事など全く知らないヴィータとフォワード陣は話についてこれずにいた…だが、一番この状況がよくわからないのは、紛れもなく家康本人であった。

 

「ワシって…いつの間にこんな有名人になってたんだ?」

 

家康は何故ここまで驚かれ、畏れ敬われるのか理解できないまま、なのは達の様子をただ唖然と身守る事しかできなかった…

 

 

 

 

しばらくして、ようやく落ち着いたなのは達は家康への尋問を再開する。

もっとも家康の名を聞いた途端になのは、フェイト、はやての三人はすっかり萎縮してしまい、もっぱら尋問とは呼べなくなってしまったのだが…

まず初めにはやてが恐る恐る手を上げて、家康に質問してきた。

 

「えっと…それで、家康…様は、如何にしてこの世界に来たのでしょうか…?」

 

急に敬称付きのたどたどしい敬語で話し始めたはやてにむず痒いものを感じながらも、一先ず家康は言われた事を応えるのに集中する事にした。

 

「うむ…話せば長くなるのだが…」

 

家康は全てを語った…

 

 

家康はその昔、日ノ本に天下布武を掲げた第六天魔王 織田信長に仕えていたが、小牧、長久手の戦いにて豊臣秀吉に敗れたことがきっかけで、豊臣軍の家臣となり、彼の天下統一の為に力を尽くしてきた…

 

しかし、武力を持って全てを征する事を信念とする秀吉が世界侵攻という野望を抱いたため、それにより日ノ本はおろか、世界すらも戦乱に巻き込まれてしまうという事を防ぐために世界遠征に乗り出す直前だった彼を討ち倒し、それがきっかけで同じく彼の家臣であった“凶王”石田三成と対立し、そして天下分け目の大戦…『関ヶ原の戦い』にてその雌雄を決しようと西軍本陣にて三成との最終決戦に臨んだ。

 

だが、その途中で突然地面から放たれた光に包まれ、石田やその側近・島左近、さらには自分の援護にやってきた家臣 本多忠勝と共に光の中へ吸い込まれてしまった…

 

「…気がついたら、ワシはあの建物にいた。だがそこにいたのはワシ一人だけで、三成達や忠勝の姿はそこになかった」

 

話が終わった時、スバル達は神妙な面持ちで家康の壮絶な経歴に驚く中、なのは、フェイト、はやては「自分達の知ってる戦国時代と全く違う」っと別の意味で驚いていた。

 

(ねぇ、フェイトちゃん…一体、何がどうなってんのかさっぱりわからんわ…家康様の言うてる戦国時代って、私達の知ってる日本史とはまるで違ってると思わへん?)

 

(確かに…豊臣秀吉が織田信長の家臣じゃなくて別勢力だったり、挙げ句に家康様に直接倒されたり…極めつけは家康様と石田三成が一騎打ちって…まるで私達の知ってる歴史と違う…)

 

はやてとフェイトが念話でそんなやり取りを交わしながらも、尋問を続けた。

 

「じゃあ…その一緒に居た忠勝さんっていう人も、もしかしてここにきているかもしれないという事ですね?」

 

「あぁ。それに三成や左近もこの世界に来ている可能性が高い…」

 

なのはの言葉に家康が表情を険しくしながら答える。

答えながら家康は考えていた…

あの時、関ヶ原で同じ光に吸い込まれた宿敵の顔を……

 

(三成…お前は一体どこにいるんだ? 今も…お前はワシを斬首したい程に憎んでいるのか…?)

 

家康は虚ろな表情で、三成の事を想う。

そんな家康に、スバルが心配そうに声をかけてきた。

 

「家康さん?」

 

「!!?…あぁ!すまん!ちょっと考え事をしていたんだ。続けてくれ」

 

家康がそういうと今度はヴィータが家康に質問する事にした。

 

「じゃあ私からも聞かせてもらうぞ。お前、さっき魔法を使えないというが、スバル達の話ではガジェットの群れを素手で全滅させたそうじゃないか。しかも、アタシらの目の前でビルを半分吹っ飛ばすパフォーマンスまで決めていた…あれはいったい何の力を使ったんだ?」

 

ヴィータが強気の姿勢で聞いてくる。

どうやら魔法に似て非なる力の使い手という家康に対し、少なからず警戒心があるのかもしれない。

 

「あれは…ワシの住む日ノ本でも限られた者のみが使うとされる秘力“気”だ。大陸では“陰陽”とも言われるそうだが…まぁ毛色は少し違うが、お主達の使う魔法とは近い力なのかもしれないな」

 

家康はなのは達にわかりやすいように言葉を選びながら、自分の力に関しての説明を始めた。

家康は避けられない戦の苦行を自ら背負うため、己も傷つく事を選び、武器を捨て素手で戦うようになった…その際に家康は『気』の力を活性させて常人の数百倍ともいえる破壊力と、殺傷力までも得ることのできた特殊な格闘術を身に付け、以来戦では自信の鍛えぬいた肉体と『気』の力を活用した技の両方を合わせて超人的な格闘のみで様々な戦地を乗り越えてきたのだった。

 

「征夷大将軍の次は『ドラ○○ボール』? ますますカオスな戦国時代やなぁ…」

 

「気で強化させた技を使って戦う格闘術かぁ…なんだか私のシューティングアーツに似てるかも…」

 

はやてが、ぼそりと呟く傍らで、スバルは家康の力の源を知って少し憧れ眼差しで彼を見つめる。

ヴィータはまだしっくりこない表情だが、それでも家康が悪人でなく、その力も違法なものではない事は理解したのか、一先ず彼の説明を信じることにした。

 

その後も様々な質問(なのは、フェイト、はやては主に家康の世界での他の戦国武将に関しての質問だった為、ヴィータによって強制的に却下された)が家康に飛んだが、どの質問にも家康は問題なく答えていった。

 

 

「じゃあ、問題はこれから家康様をどうするかだけど…」

 

皆の質問がある程度済んだ頃、フェイトが今回の尋問で最も重要な『家康の今後』について話を切り出す。

 

彼が「次元漂流者」だと判った以上、機動六課に課せられた選択は二つだった。

 

ひとつは『正式に管理局の専門機関に任せる事にして家康の身柄を差し出す』。

 

そしてもう一つは…

 

「そんなん決まっとるやろ!」

 

説明する間もなくはやてが言った。

 

「家康様!よかったらこの『機動六課』に入って、私達と一緒に戦ってもらえないでしょうか?!」

 

「「「「「「「ええぇ!!?」」」」」」」

 

はやての言葉に、なのは達が驚き声を上げる。

 

「ちょっと待ってよ!はやてちゃん!確かに家康様は強そうだけど、その気の使い手は魔法とはまた違う力なんだよ! ここに置いとくのはいいけどいきなり戦力に加えるのは流石に…」

 

なのはが慌てふためきながらはやてを問い詰める。

 

「なに言うてんねん、なのはちゃん!魔法も気も似たもん同士や!せいぜい『いとことはとこ』の違いくらいに考えたらえぇんちゃうの?」

 

「はやて…それ、全然違うと思う…」

 

フェイトが苦笑気味にツッコミを入れた。

 

「と・に・か・く! なにせあの天下人の豊臣秀吉をその手で倒して、あまつさえ『関ヶ原の戦い』に素手で挑んどったなんてとんでもない無茶苦茶設定やろ! それ程、力があるなら戦力に加えたらまさに百人力やで!! それに…」

 

「それに?」

 

ここまで話し、突然憮然とした表情になったはやてに、一同がただならぬ雰囲気を感じ息をのむ。

 

数秒の沈黙の後、静寂を破ったはやての一声は…

 

 

「まだ家康さんが征夷大将軍でないのなら、ここで私らが世話してやって、無事関ヶ原に帰したらもしかしたら日本での歴史の教科書が変わるかもしれへんやん!『天下の勝利者 徳川家康と、それを助けた謎の絶世の美女救世主 八神はやて!』…ってな感じで!」

 

日本史の教科書の家康の肖像画に並んで、(かなり美化された)自分の肖像画が貼られているイメージを思い描きながら、はやてが自信満々に叫んだ。

 

 

「「「「「「「な…なんじゃそりゃあぁぁぁ!!?」」」」」」」

 

 

はやてのあまりに間の抜けた理由に全員がずっこけた。

何故か家康も…

 

というわけで家康は元の日の本へ帰る方法が見つかるまでは臨時の民間協力者という形で、機動六課に入隊する事になり、はやてや、なのは達によると、当分はスバル達、フォワードチームと一緒に行動してほしいとの事だった。

一方の家康もまだまだこの世界の事がよくわかっていない身の上故に、少々クセの強い面々とはいえ善良な機動六課の皆の好意を特に断る理由もなかった為、一先ず素直に従う事にしたが、その際にひとつだけなのは、フェイト、はやての3人に条件を出した。

 

「その、家康“様”という敬称と敬語はやめてくれないか? なのは殿達の住む“ニホン”という国における“徳川家康”という人間は天下を統一した偉人であるのだろうが、このワシはまだ天下どころか三成と決着さえつけていないんだ。即ち、ワシ自身はまだ一介の若武将・家康に過ぎないのだから、変に敬ったり、遠慮したりする事はないんだ」

 

「そ…そう…? そ、それじゃあ…“家康君”って呼ぶね? フェイトちゃんも、はやてちゃんもいいかな?」

 

「う、うん…家康…君がそういうのなら…」

 

「そっか。変に敬ったり、遠慮したりする事は無し…って事は…」

 

なのはの確認にフェイトが頷いて承知する中、はやては少し考えた後、ニヤッといたずらっぽく笑い出し…

 

「それじゃあ…家康君の事を思いっきりこき使っちゃってえぇんやね? じゃあ早速………おい、家康!焼きそばパン買ってこいよ~~~♪」

 

部隊長用のデスクにふんぞり返りながら、偉そうに命令口調になるはやてに、なのはとフェイトが電光石火の速さで両脇からはやての頭を掴み…

 

「「調子に乗るなーーーーーー!!!」」

 

「へぶうぅぅぅぅぅ!!?」

 

そのままデスクに罅が走らんばかりの力で捩じ込んでしまった。

2人の握力に、スバル達もヴィータも、そして家康もあんぐりと口を開きながら見つめるばかりだった。

何はともあれ…『東照権現』徳川家康のミッドチルダでの新たな絆で結ばれる仲間達との生活…そしてこの先に待つ宿命の戦いへの日々が今、始まったのだった…

 




家康の名前を聞いたなのは達が慌てふためくシーン…実はリリバサ執筆の際に最初に考えついていた場面でした…w
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