リリカルBASARA StrikerS -The Cross Party Reboot Edition- 作:charley
ラコニア市内中心部で遂に集ったなのは達機動六課の“エース”達…
しかし、魔竜アルハンブラの圧倒的な実力は集ったエース達をも翻弄していく。
更にシグナムがアルハンブラの放った呪いを伴った一撃により、魔法を封じられる事態が起きるなど、大苦戦を強いられる事となるなのは達だったが、それでもなんとか長年の経験から得た知識、そして仲間同士の連携を武器にする事で、遂にアルハンブラの首を落とす事に成功した。
しかし、そこへ突如として鳴り響いた笛の音に導かれるようにして、倒した筈のアルハンブラの身体から新たな異形の怪物が現れ、戦いはさらなる泥沼へと続く事となってしまう…!!
政宗「リリカルBASARA StrikerS 第六十章。Let's Party!」
激闘の末にようやく魔竜アルハンブラかを討ち果たす事に成功したと安堵していたなのは達は、目の前で起きた事態を前に、まさに青天の霹靂を目の当たりにしたかの如く、一瞬目の前が遠くなりそうな感覚を覚えた。
首を切断されたアルハンブラの巨体から、容姿も大きさも全く尋常でない巨大ムカデが5匹も、喪失した首に代わる新たな首を担うかのように、うねうねと蠢き、それに伴い、倒れ伏して動かなくなっていた筈の魔竜の亡骸が再び動き出したというのだ。
「うわっ……うわあああっ!!」
「気持ち悪ぃッ! 今度はなんだってんだよ!?」
「くっ! どおりで私の魔法も封じられたままだったというのか!?」
その光景を目の当たりにしたフェイト達は、思わず戦慄し、驚愕した。
遠まきで見守っていた野次馬の方からも再び悲鳴が上がり、「武装隊を早く呼べ!」と叫びながら、さらに遠くへと逃げだすのだった。
5匹の巨大な蜘虫類の化け物が一斉に鎌首を持ち上げると、その頭部にある赤い3つの眼を光らせる。
次の瞬間、それぞれの個体が凄まじい勢いでその巨体を空中へと躍らせたかと思うと、そのまま上空からなのは達に向かって襲いかかってきた。
「くそったれが!! 腐ったゴリラみてぇな動く死体に、牛や馬の顔した巨人、得体のしれない呪いをかける古代竜ときて、お次はバカでかいムカデ型の寄生虫かよ!? ハロウィンでも、もうちょっとマシなお化けが出てくるってもんだろうが!」
迫りくる巨大な蜘虫類に対して、ヴィータはグラーフアイゼンを手にとりつつ横に飛び退きながら、うんざりした様子で毒づいた。
「言ってる場合じゃないよ! とにかくまた暴れだして被害がさらに広がる前に、もう一度倒さないと!」
なのはもヴィータと同じく横に飛んで攻撃を避けつつ、左手に握る
政宗も同じように身を屈めながら、愛刀の六本の刀を全て指の隙間に挟み、独特な六爪流の構えを取る。
「なるほどな…あのMonster tamerがこんなバカでかいDragonをどうやって操っていたのか、これで合点がいったぜ…
「おいおい、”得体のしれないバケモノ”とは言ってくれるじゃねぇか。せめて、”人の歴史の業を司る妖神”とでも呼んでくれたらいいのによぉ」
政宗の零した呟きに、どこからともなく響いたおどろおどろしい声が応じた。
突然聞こえた聞き慣れない声に、フェイト、ヴィータ、シグナムは虚をつかれたように背筋を伸ばし、一瞬の後に、「誰!?」と叫んだフェイトの声を合図に辺りを見渡した。
同時に政宗となのはも弾かれた様に反応し、声の聞こえてきた方を振り向くが、2人は他の3人と違って、聞こえてきた声に対し、先程の笛の音と同様聞き覚えがあった。
「あっ! あそこ!」
「んな!? いつの間に!?」
気がつくと、なのは達の向かい、5匹の巨大な蜘虫類の化け物が首から伸びたアルハンブラの骸の前に立ちふさがるようにして、左右で色が分かれた黒白の道服、上半身を拘束するかのように巻かれた長い数珠を着けた白い長髪の美少年…政宗がR7支部隊隊舎で打ち破った筈の豊臣五刑衆・第四席 宇喜多秀家が殆ど無傷の状態で佇んでいた。
「……あの子は…!? スバル達と同い年くらいに見えるけど、どうしてこんなところに…!?」
本能的にバルディッシュを構えつつ、フェイトが訝しむ。
しかし、その直後、目の前に立つ少年の肩に霞が浮かぶようにして、リインフォースⅡと同じ程の大きさの烏の頭部を持った僧衣を纏った小獣人が現れるを見た瞬間、彼が唯の戦いの場に迷い込んだ一般人などではない事に気がついた。
一方、既に彼らの正体を知っている政宗となのははこの時点で顔を顰めながら臨戦態勢をとっていた。
「皆、気をつけて! あの子、あれでも”豊臣五刑衆”の一人だから!」
「「「えっ!?」」」
なのはの言葉を聞き、フェイト達は思わず耳を疑う。だが、その直後には彼女らはすぐに納得していた。
何故なら、目の前にいる謎の少年から発せられる冷たく、重々しい殺気、闘気はまるで、並の違法魔導師や次元犯罪者などのものとは異なる。
特に実際に同じ”豊臣五刑衆”の第三席 小西行長と一戦交えた経験のあるヴィータは、目の前に立つ少年の放つ猛者としてのオーラが、自らが目の当たりにした行長が発していたものとよく似ている事に気づいていた。
一方、政宗は先のR7支部隊隊舎で交戦した際に、倒した筈の
「Hu~…生身の人間だったら、とっくにくたばっているか、当分動く事もできねぇ重症Levelの一撃を与えてやったってのに、もう復活しやがったのか? crow野郎。 流石はMonsterとはいえ神様だな」
「当たり前だろうが。俺達屍鬼神は魂の宿った珠さえ砕けなない限り、不死身の存在なんだよぉ。っといっても、さっきの一撃は聞いたぜぇ、おがけで今宵はもう、主様の身体に
政宗の皮肉に対し、秀家の肩に乗った半霊体の小獣人 屍鬼神”烏天狗”はせせら笑いながら返した。
「
「あのSpider Ladyか? 刀の数に物言わせるだけの三流剣士じゃ、シャバに出たところで出来る事なんざたかが知れてるとでも伝えてやっておけ」
更に皮肉を含めた軽口で返してみせる政宗に対し、シグナムが尋ねた。
「政宗…一体何者なんだ? あの少年といい、肩に乗っている異形の者といい…」
「…奴の名前は“宇喜多秀家”。豊臣五刑衆・第四席で、奴の肩に乗っているcrow野郎も含めた“
政宗はそう答えつつも、目の前に立つ秀家を油断なく見据える。
すると、その話を聞いたヴィータが鋭い眼光で秀家を睨みつけながら、スッと一行の前へと躍り出た。
「やっぱりそうか…今夜の騒ぎ…全て西軍が裏で糸を引いてやがったって事か!」
「ヴィータ! 血気に逸るな! いくら、子供といえども相手は―――」
「皆まで言うんじゃねぇよ!シグナム!
ヴィータがシグナムの忠告を押し退けて、グラーフアイゼンを構える。
鈍重な得物を使うのに反し、小柄な体躯を生かした身軽なフットワークが身上の”紅の鉄騎”が、地面を蹴って勢いよく少年…秀家に殴りかかろうとした。
だがその前に、秀家の背後に立っていた巨大蜘虫類がその大きな口を開けて5匹同時に飛びかかってきた。
「おっと! 危ね!」
ヴィータは咄嗟に後ろに身を翻す事で、ムカデ達の毒牙を避ける事に成功したが、ムカデ達の操るアルハンブラの骸は再び起き上がると、秀家を庇うようにその真横に佇み、こちらを警戒する様子を見せた。
「ちっ! 死んだ竜なんざ手懐けやがるとは、小西行長とは違う意味で悪趣味な奴だぜ! しかも頭が落ちた首から5匹の大ムカデが生えているとか、どんなホラー映画のクリーチャーかよ!!」
地面を滑りながら着地しつつ悪態をつくヴィータの下へ、なのはが、慌てて駆け寄る。
「ヴィータちゃん! 大丈夫?」
「あぁ、視覚的に気分が悪い事以外は問題ねぇ…にしてもあのガキ。さっきから一言も喋らねぇどころか、まるで人形みてぇに感情がねぇな」
ヴィータは不気味そうに顔を歪めつつ、改めて秀家と向き直った。
彼女の指摘する通り、秀家はR7支部隊隊舎でなのは、政宗と会遇した時と同じく、この場所に現れてからも屍鬼神を取り込んだ時を除いて、絶えず、その表情には喜怒哀楽全ての”感情”がまるで浮かんでこない。
文字通り、輝きのない瞳のまま、無気力な表情で佇んだままだった…
そんな秀家の様子を見つめていた政宗は小さく鼻を鳴らす。
「Hum…さしずめ、屍鬼神共を取り込む為に何か特殊な呪法でも使って感情を殺したか封印したか…したんだろうな。アイツからは『死』というものに対する恐怖心はおろか、そもそも関心というものが完全に欠落しているように見えるぜ」
「それは……どういう意味なのだ。政宗?……」
政宗の言葉に、シグナムが怪訴そうな顔を浮かべて尋ねてきたので、彼は肩越しに振り返りながら言った。
「言葉の通りの意味だぜ、シグナム。つまりはあのガキ自身が、Monster共に動かされるだけの傀儡みてぇなもんだって事だよ」
「「「「……!?」」」」
政宗の告げた真実を聞き、シグナムのみならず、なのは達も息を呑む。
「豊臣五刑衆……知れば知る程に身の毛もよだつ集団だな」
「スバルやティアナとあまり変わらない歳くらいな子を…そんな兵器みたいにするなんて…」
改めて、『豊臣五刑衆』ひいてはそれを組織した豊臣軍やその後継組織である西軍の非人道的なやり方にヴィータやフェイトはそれぞれ不快感や哀れみを覚えていた。
だがその時、秀家がおもむろに口を開いた。
「……お喋りは済んだ…? 僕もそろそろ今宵の仕事の”仕上げ”にかかりたいんだ…………」
抑揚の無い声で話す秀家の声を聞いたなのは達は思わず身構えた。
「仕上げ? 一体何をするつもり?」
バルディッシュ・ザンバーを構えたフェイトが警戒心むき出しで問う。
「………ひとつはこの魔竜アルハンブラの血肉を得て、養分と共に様々な”記憶”を吸い上げた屍鬼神”
「本当は、生きた魔竜を回収するつもりだったのに、お嬢ちゃん達に倒されちまったからなぁ」
秀家の肩に乗った烏天狗が皮肉のような補足を言い添えてくる。
「そして…………もうひとつは……」
「「「「「―――ッ!!!?」」」」」
不意に、秀家から発せられた禍々しい殺気になのは達は、(魔法を封じられているシグナムを除いた)全員が反射的にカートリッジをロードしながら後退して距離を取った。
しかし、この中で唯一魔導師ではなく、気の力を行使する政宗は、後退しつつも既に、六爪を顔の前に交差させるように構え、守りの姿勢をとった。
その次の瞬間には、政宗の目の前に愛武器である黒鋼の如き質感の長笛を振りかぶった秀家の姿が現れたかと思うと、容赦なくその脳天を目掛けて身の丈以上の長さを誇るそれを振り下ろしてきた。
激しい金属音と共に火花が飛び散る。政宗は秀家の一撃を受け止める事に成功すると、そのまま鍔迫り合いに持ち込むべく押し返そうとしたが、秀家はピクリとも動かないばかりか、徐々に政宗の方へと押されていく。
「屍鬼神達…特に烏天狗が君に受けた雪辱をどうしても晴らしたいんだってさ……奥州筆頭・伊達政宗…!」
次の瞬間、秀家の全身から凄まじい量の気が噴き出したかと思った刹那、彼の身体はまるで重力に逆らうかのように軽々と宙に浮かび上がった。
「ぬぉ!?」
政宗が驚く間もなく、秀家は空高く舞い上がると…
「“
長笛の筒先を口に宛てがい、気をコーティングして遥かに射程距離と威力を増強させた吹き矢を連続で発射してきた。しかも、ただ連射するだけでなく、時には回転させながら四方八方から政宗に向かって撃ち込んでくる。
「ちぃ!!」
政宗は舌打ちしつつ、身を捻って紙一重でそれらをかわしていく。
「「政宗(さん)ッ!!?」」
「お、おい! あの吹き矢って確かR7支部隊隊舎でアタシを襲った…!?」
「大変! すぐに援護しないと―――」
ヴィータとシグナムが叫ぶ中、なのはが、政宗を翻弄する様に跳ね回りながら攻撃を仕掛ける秀家に向けて、どうにかレイジングハートの穂先を向けようとするが…
「おっと! お前らの相手はコイツだぁぁ!!!」
そこへ先程、秀家が”
よく見ると、真ん中の
「くっ!?」
なのはは咄嵯にレイジングハートを構え直し、
「仕方ねぇ! まずはこの気持ち悪ぃムカデの化け物をなんとかするぞ!!」
「で、でも政宗さんが…!?」
ヴィータの言葉になのはが焦りを見せるが、そこへシグナムがレヴァンティンをの剣尖を下に向けて切っ先を地面に向けた状態で鞘に納めたままの状態で両手に握り締め、いつでも抜刀できる体勢を取った。
「ちょ!? シグナム!?」
シグナムの行動を見たなのはとフェイトは、慌ててシグナムを止めようとするが、その前にシグナムはそれを手で制する。
「心配は無用だ。さっき、なのはが寄越してくれた応急用アンプルのおかげで、やっと身体の痺れも取れて、出血も止まった。”紫電一閃”をはじめとする剣技魔法が使えない事こそ痛手ではあるが、剣戟同士の渡り合いであれば、少なくとも足手纏いにはならないだろう…」
「シグナムさん…」
シグナムの言葉の意図を悟ったなのはが驚いた様子で見つめる。
「政宗の援護には私が回る。お前達はどうにかしてもう一度、魔竜を沈静化してくれ」
「……わかりました。それじゃあ、シグナム副隊長は政宗さんの援護をお願いします。その代わり、今の状態で
「フェイトちゃん?」
なのはは、今の魔法が使えない状態のシグナムが戦線に加わる事を了承したフェイトを不安げに見つめた。
すると、フェイトは念話でなのはに囁いた。
(大丈夫だよ。シグナムは魔法抜きにしても、政宗さん達にも劣らないくらいの剣術の使い手だから。それに”誰かさん”と違って、自分の頑張りきれる限界や引き際の線引だって、ちゃんとわかっているだろうしね)
途中でややイタズラっぽい余計な一言を交えたフェイトの言葉になのははちょっとムッとした様子を見せた。
(うぅ~、ちょっと納得いかないけど……でも、確かに今は一人でも政宗さんの援護に回らないといけないし……)
なのはは渋々ながらも、シグナムを政宗の援護に回す案に同意するのだった。
「よし。それじゃあ、アタシらであのバケモノを引きつけるぞ。シグナムはその間に政宗のところへ」
「承知した」
ヴィータの指示に従い、シグナムが
当然、それを妨害せんと、魔竜の新たな顔になった5匹の大ムカデ達は一斉に鎌首をもたげ、そして地面を蹴って突き進むシグナムに向かって喰らいつこうとした。
そのタイミングを見計らいながら、なのはとフェイトは互いに目配せをして、再びそれぞれの愛機を構えた。
「いくよ! バルディッシュ!」
《Yes sir!》
「レイジングハート!」
《All right. My master》
なのははレイジングハートの穂先を真下に向けると、魔力弾を生成し始めた。
「アクセルシューター・コンビネーション!!」
なのはがそう叫ぶと、レイジングハートの穂先に生成された4発の魔力弾が、まるで意思を持ったかのように高速回転しながら飛翔していき、それぞれ1匹の
一方、フェイトはカートリッジをロードさせて、右掌に作り出したフォトンスフィアから光の矢を放った。
放たれた光属性の魔力を帯びた金色の閃光は真っ直ぐに飛んでいき、先頭にいた2匹の
しかし、残りの3匹の
そこへヴィータが、アイゼンを振りかざして突撃していく。ヴィータが振り下ろした鉄槌型デバイスが、立ち塞がる
だが、その一撃は硬い殻に覆われた頭部を砕くには至らず、逆にヴィータが弾き飛ばされてしまった。
だが、それによって生じた隙になのはの放った4発目のアクセルシューターが追い討ちをかけるように飛来し、先頭の1匹に直撃。その身を貫いて串刺しにする。
さらにそこに、フェイトの放った最後の1撃である金色の閃光が走り抜けた。
その瞬間、シグナムの進路上に向かって鎌首を下ろそうとしていた
その間にシグナムはアルハンブラの胴体の脇を無事に駆け抜けて、その先で、激しい剣戟を交える政宗と秀家の下へと向かう事ができた。
それを見届けたなのは達は残り一匹となった
「ハンマーでぶっ潰せねぇってなら、コイツでどうだぁ!?」
「シュワルベフリーゲン!!」
ヴィータの声と共に打ち放たれた4本の鉄球はそれぞれ別々の軌道を描きながら、こちらに食らいつこうと一直線に進んでくる
そして、その動きが止まった一瞬を狙って、なのはは右手に握ったレイジングハートの穂先を向け、収束砲撃魔法を発動させた。
「ディバインバスター!!」
なのはの杖の先端にはめられた赤い宝玉から桜色の光が溢れ出し、それが一筋の閃光となり伸びていく。そして、狙いを定めた
思いの他、呆気なく5匹の大ムカデの形をとった
「よっし! ヘッ! 図体はデカくても、所詮は死体を操って動かしていただけの寄生虫だな! ”生きた”魔竜に比べたら全然大した事ねーじゃねぇか!!」
「さぁて。そいつはどうかなぁ?」
得意げにそう言って鼻を鳴らすヴィータだったが、そんな彼女の言葉に水を指すような嘲笑が聞こえてくる。
ヴィータが顔を顰めながら、声のする方に目をやるといつの間にか上空の方に移動していた烏天狗が笑っていた。
「あぁ? それどういう意味だよ!? チビガラス!」
ヴィータはすぐに挑発的な物言いで問いかけ返したが、その発言が烏天狗の癪に障ったのか、鋭い眼光でヴィータを睨みつけてきた。
「 ”チビガラス”だぁ…!? 天狗の中でも高貴とされるこの俺を、そこらの有象無象のカラス共と一緒くたにされるたぁ聞き捨てなんねぇ…! ”憑身”さえできりゃ、テメェなんざこの手でふっ飛ばしてくれるのによぉ…!」
「上等だ! やれるもんならやってみやがれ!」
「ヴィータちゃん! 落ち着いて!!」
今にも烏天狗に飛び掛からんばかりの勢いを見せるヴィータをなのはが慌てて宥める。
一方、フェイトはあくまでも落ち着いた表情を崩さずに烏天狗に向かって問いかける。
「それはどういう意味なの…?」
「論より証拠だっての。ほら、見てみろよ」
烏天狗が愉快そうに、指を指し示した先…全ての
「「「「「ギョアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァ!!!!」」」」」
全滅した筈の
「まさか!? 再生してる!?」
「マジかよ!? たった今、全部退治したはずだろ!?」
「どうして!? まだ身体の中に潜んでいたっていうの!?」
なのは、ヴィータ、フェイトがそれぞれ驚愕の声を上げる。
「テメェが言ってただろうが、そこの紅いチビヤロー。『図体は大きくても、所詮は死体』だってな。つまり、その大ムカデ共は魔竜の血肉を糧に育ち、出来上がった身体だから、いくらムカデ共を潰そうが宿主の血肉がある限り、いくらでも次のムカデが現れるって腹さ」
「なんだよ、そりゃ!?」
「ど、どうしよう!?」
「…………」
烏天狗の言葉を聞いて、ヴィータとなのはは動揺し、フェイトも額に冷や汗を浮かべながら息を呑んだ。
そんな彼女たちの姿を見て、烏天狗は愉快そうにさらに饒舌に語りだす。
「ちなみに、その
「えっ!? って事はまさか…」
「ご明察♪」
烏天狗の発言にフェイトは思わず目を丸くする。それに対して、烏天狗は茶化すように答えた。
確かに大ムカデ達の宿主となった魔竜は生前、強力な火炎や、強酸の雨を含んだ風のブレス、そして当たった者の魔法を封じ込めてしまう呪いを含んだ黒い稲妻を行使できた。つまり、この大ムカデ達がその全てを自分の能力にしているという事は……
フェイトの脳裏に浮かぶ前に、その最悪なシナリオは現実となった。
ムカデ達はそれぞれの口からアルハンブラの放っていたものと同じ豪炎を吐きつつ、なのは達に目掛けて迫ってきた。
「危ねぇ!!」
ヴィータの声を合図になのは達はそれぞれ後ろに飛び退いて突進を避けつつ、ムカデ達の吐く火炎から
しかし、それで終わりではない。
大ムカデ達は再び一斉に口を大きく開けると、今度は強酸の雨を大量に含めたブレスを吐き始めた。
しかも今度はただのブレスではなく、強酸の雨が野球ボール程の球体の形をしており、地面に着弾するとまるで散弾のように広範囲に撒き散らし、そこにあるものを容赦なく溶かしていく
これは明らかにアルハンブラが使用していた時よりも厄介であった。下手に防御に徹していたら、全身に強酸を浴びてしまい、今度は自分達が溶かされてしまう。ならば……
「バルディッシュ! カートリッジロード!」
《Yes,sir》
フェイトはすかさずデバイスを構えて魔力刃を展開させると、向かってくる無数の強酸性の球体に向けて振り抜いた。
ザンッ!! 鋭い音を立てて、斬撃によって切り裂かれた球体が辺りにバラバラと飛び散っていく。
だが、それでも防ぎ切れない程の多さであり、いくつかはなのは達にも降り注いだ。
「あっつ!?」
「きゃあっ!!」
「ぐうぅ……!!」
強酸性を帯びた雫が跳ね、3人はそれぞれ悲鳴を上げる。
シールドとバリアジャケットのおかげで直に大量に浴びる事は避けられたものの、手や足にかかった僅かな雫だけでもその痛みはかなりのものだった。
「うぅぅ…やっとあの
「冗談じゃねーよ! これじゃあ、実質あの魔竜が5体に増えたのと同じ事じゃねぇか!」
「そういう事だな! さっきお前らは魔竜に勝利したと悦に入っていたが、その実、さらに数が増えたそいつと戦わなくちゃならん事になったわけだな!」
すっかり滅入った様子を見せるなのはや、歯噛みするヴィータらを煽る様に烏天狗が言った。
実際問題として、烏天狗の言う通り、魔竜との戦いが終わった直後に現れた新たな敵に対して、3人は完全に動揺しており、それを見た烏天狗はますます愉快そうに笑った。
「どうした、どうした、お嬢ちゃんたち。もう心でも折れたかぁ?」
「うるせぇ! それよりもさっきから黙って聞いてりゃ、横からゴチャゴチャと他人事みてぇに解説しやがって!鬱陶しいんだよ!!」
「実際、他人事だろうが。俺はどのみち、今宵は”憑身”できない身だから、この戦いに介入する事ができねぇ。だからその分、じっくり見物させてもらうつもりだぜ。まっ、なんならお前らが、すぐに
「こ、こんのクソカラスがぁ…ッ!! 覚えてろよ!! このバケモンが片付いた後には絶対にテメェも―――」
「ヴィータちゃん! 前! 前見て!」
「へっ!?」
烏天狗に怒鳴りつけるヴィータであったが、それを遮るように響いたなのはの叫び声で我に返ったヴィータが前を向くと、5匹の大ムカデ達が一斉に襲いかかってきているところだった。
「うわっとぉ!?」
ヴィータは慌てて、後ろに飛んでムカデ達の突進を避ける。しかし、大ムカデ達はまるで意志を持っているかのようにそのままUターンをしてヴィータを追いかけてきた。
ヴィータは舌打ちを交えつつ、追いかけてくるムカデ達に魔力弾を放ってけん制しようとする。
だが、大ムカデ達は器用に体をくねらせて、ヴィータの放った魔力弾を次々にかわしていった。
「くっそ! ちょこまかと…!!」
「ヴィータ!」
フェイトが声をかけながら、後ろから追いすがってくる5匹に向かってバルディッシュを振り下ろし、一匹でもその鎌首を落とそうと試みた。
しかし、それもやはりムカデ達の素早い動きによって簡単に回避されてしまった。
そして、そのまま大ムカデ達は一斉に口を大きく開けると、先ほどと同じように強酸を含んだブレスを浴びせようとしてきた。
「…ッ!?」
フェイトは咄嵯に身体を覆う様にゲージ型の
別の方面ではなのはが、同様に大ムカデの吐きつける酸の雨を回避しながら、なんとかこの猛攻を止める手立てを考えようとしていたが、その前にまた他の個体に妨害されてしまう。
(早くこのムカデをなんとかしないと…! もしこの状態でまた、街で暴れだしたら、今度は五倍の被害が出てしまうかもれない! それに政宗さん達だって、あの秀家って子と戦っているっていうのに…!?)
なのはは焦っていた。
ここで、無限に増殖する大ムカデ達が操るアルハンブラ(の骸)を街に逃してしまったら、文字通り、攻撃を加える頭数が増えている分、被害もさらに広がりやすくなり、当然被害者もさらに増える事になってしまう。それだけは避けなければならない。
それに、アルハンブラの向こう側では、政宗、シグナムと、宇喜多秀家が交戦しているのだが、彼らの戦況がどうなっているのかまだはっきりと確かめる事ができていない…考えれば考える程、なのはの焦燥感は高まるばかりだった。
しかし、今の状態ではその懸念を払拭する事ができない。
ならば、現状打てる手を打つしかない。
このまま手をこまねいていては、いずれ数の暴力に押しつぶされて負けるのは目に見えている。
「フェイトちゃん! ヴィータちゃん! こうなったら隊舎に連絡して、はやてちゃん…否、部隊長に私達の魔力リミッターを解除して貰うように申請しよう!!」
「え? リミッターを?」
「うん!」
「だけど、今この状態でリミッター解除してくれなんて頼んだら、また『無茶すんな』とか怒られるんじゃねーか?」
「それは……」
ヴィータの言葉に、一瞬言葉に詰まる。確かに彼女の言う通り、この時点で3人、特になのははアルハンブラ相手に激しい交戦の末、手傷を負っている上に魔力を大きく消耗した状態にある。確かに、ここでリミッターを解除すれば、魔法の威力を上げるだけでなく、喪失した魔力をリミッターで抑えていた分だけ補う事ができるが、当然そうなると身体にかかる負荷も倍増しになるわけである。
あまつさえ、なのはは過去に長年の無理が祟って大きなケガに繋がる失敗を犯した事がある為、極限下の状況におけるリミッター解除申請に関しては、政治的な事情はもとより心境的な事情においてはやてからは特に慎重に扱われていたのだった。
しかし、今は一刻を争う事態である事は明白である。
ならば、ここは腹を決めて決断しなければならないだろう。
そう思い、なのはは意を決して念話の回線を開き、はやてからの指示を仰ごうとした。が――
「二人共! 来るよ!」
「うわっ!?」
「ひゃあっ!?」
ヴィータとなのはが話し合っている最中にも、大ムカデ達は容赦なく襲いかかってきた。フェイトの警告でそれに気づいたヴィータとなのはは、それぞれ襲いくる大ムカデの攻撃をかわしていくが、その度に2人の体力は大きく削られていった。
「なのは! ヴィータ!…プラズマランサー!」
すかさずフェイトが複数個の黄色のフォトンスフィアを成形して、なのは達を襲う大ムカデ達に向かって射出するも、大ムカデ達は多足類ならではの柔軟な動きでそれを躱すと、そのままフェイトの方にも襲いかかってきた。
しかも、大ムカデ達はなのは達が攻撃をかわすと、そのままUターンをして再び彼女達の後を追いかけてくるのだ。まるで、どこまで逃げても無駄だと言わんばかりに…
「くっそ! しつこいんだよテメェらはぁ!!」
ヴィータが悪態をつく。しかし、いくら彼女が大声で罵声を浴びせようとも、大ムカデ達は一向に怯む様子を見せない。
それどころか、更に動きを速め、それぞれの顔から炎や強酸の雨を撒き散らしながらなのは達を追いかけてくる始末だ。
「これじゃあ、おちおち念話を繋ぐ事もできないよ!!」
「畜生ぉ!! どうすりゃいいんだよぉぉぉ!!!」
なのはは必死に、ヴィータは半ばヤケクソ気味に、フェイトはどうにかこの状況を打破する手立てを思案しつつ、迫りくる大ムカデ達を相手にしながら、とにかく全力で飛行魔法を行使し続けた。
*
そして、なのは達が苦戦するアルハンブラの身体を乗っ取った屍鬼神・
「
「“
政宗は体勢を直しながら、そのまま刀を上に打ち払い電撃を放つが、秀家は長笛を棍棒の様に回転させ、電撃を弾いてみせた。
それでも政宗は焦ることなく、地面を蹴って一気に秀家との距離を縮める。
それに対し、秀家は振り下ろされてくる政宗の三重の斬撃を長笛で受け止め、弾いてみせた。
「“
秀家の掠れる様に唱えた技名と共に、その声の儚さとはまるで釣り合わない威力と速さを伴った乱れ突きを放ってくる。
政宗はどうにかそれを六爪でしのぎつつ、秀家の首や急所に向けて刀を薙ぎ払おうとするが、秀家の突きはどこをとってもまるで隙がなく、反撃を仕掛ける余地がなかった。
「チィッ!」
政宗はこの剣戟で反撃に転じるのを諦めると、舌打ちをしながら、後ろに大きく飛び退いて、体勢を直してから、もう一度斬りかかろうとした。
すると、秀家はその場に片膝をつくようにして屈むと、長笛を右手の掌に乗せるようにしながら、筒先を政宗の方に向ける様にして構えをとった。
「……“
呟く様に技名を唱えると、秀家の左手に青白い光が灯り、すかさずそれを笛の管頭…つまり政宗に向いた方向と反対の端に打つ。
すると、政宗の方に向けられていた筒先の前に大玉程の大きさの巨大な気弾が形成されたかと思うと、それが政宗に向かって撃ち放たれた。
政宗に向かって飛来してくる気弾の表面には髑髏の様な紋様が浮かんでおり、それはその名の如く、悪鬼魍魎の魂に見えた。
「ッ!?
新しい技を目の当たりにし、驚愕しながらも、政宗はすかさず六爪を薙いで、迫ってくる巨大な気弾に向けて六本の電撃波を撃ち飛ばす。
電撃波と気弾がぶつかり合って、互いに相殺され、大爆発を誘発した。
爆風に乗って、火の粉や土や砂、瓦礫が飛び散る中、政宗はもう一度地面を蹴って、風に乗るように地面を滑りながら、秀家へと迫っていく。
「
蒼い電流が走る三本の刀を振りかぶりつつ政宗が秀家に向けて突進する。
だが…
「“
「!?…何!?」
秀家は長笛を地面に突き立てると軽々とその身体を笛の先に持ち上げる様にして、政宗の斬撃を回避すると、そのまま空中で宙返りを決め、その体勢から長笛を政宗に向かって振り下ろした。
「shit!」
政宗は舌打ちをしながら六爪を引きぬきながら落とされた長笛を頭の上で防いでみせた。
しかし、秀家の体重をかけた一撃は大人顔負けに重く、六爪を構える政宗の手先に鈍い痛みが走る。
「Ha! これだけの武芸に、不気味なMonster軍団を操るだけの妖術…おまけに何考えているか、まるで読めねぇそのPoker face…ある意味、
「……そう…」
政宗は冷や汗を浮かべながらも、口元を吊り上げながら秀家に向かって皮肉を吐き捨てる。
一方の秀家は、相変わらず必要以上に口を開く事もなければ、表情を変える事もないまま、身を翻すと、再び政宗から数歩分の距離を保って着地した。
そして、すぐにまた長笛を構えてみせる。
「ヘッ。 相変わらず、余計なtalkはしねぇってか? 本当にあの
「政宗!」
政宗が軽口を叩いていると、ようやくシグナムが駆けつけてきた。やってきたのが彼女一人だけであるところを見るに、なのは達はまだ魔竜の身体を乗っ取った大ムカデ達と戦っているのであろう…
「お前一人か?」
「あぁ…今の魔法を封じられた私では、なのは達の戦列へ並ぶにも無理があるからな。それより、こちらもまだ拮抗しているようだな…」
シグナムがレヴァンティンを引き抜き、秀家に向かって構えながら尋ねた。
対する秀家は、相手方に増援が加わったにも関わらず、やはり表情を変える事もないまま、ただ黙ってこちらを見据えている。
「?…何故だ? 何故動かん…?」
秀家の意図を計りかねるシグナムは、彼の得体のしれない雰囲気に、思わず怪しみの声をあげる。
するとその時だった。
「………我が身に宿れ…
秀家の詠唱と共に、彼に巻きついていた長数珠の中から、右腰の辺りに翳されていた珠に紫色の光が宿り、秀家の体を黒いオーラが覆っていく。
「なっ、なんだ!? あれは!?」
「気をつけろシグナム! あれは、あのMonster Tamerの厄介なPaworのひとつだ!!」
突然の事に何が起きたのかと戸惑うシグナムだったが、この現象の正体を見知っていた政宗は早くも警戒心を全開させていた。
すると、秀家の白一色だった髪が瞬く間に黒へと反転すると同時に、肩下で切りそろえられていた筈が、一気に腰を過ぎて足元近くまで伸びきる。
更にその戦装束の色合いも変化し、白と紫を基調とした道服姿となった。
そして、秀家が閉じていた目をゆっくりと開くと、その目の色は金色へと代わり、さらにいつのまにか口からは八重歯が伸びているのが確認できた。
「あら…久しぶりに及びがかかったかと思ったら……なかなか威勢の良い男と女がいるわね……貴方達が今宵の私の“餌”かしら?」
突然饒舌になった秀家の声に重なる様に聞こえてきたのは女の声だ。
と言っても、政宗がR7支部隊隊舎で戦った女の屍鬼神“
「なるほど…これが奴の力の真髄か…」
「あぁ、あのMonster Tamerは、『
政宗はシグナムの言葉に補足するようにそう説明してみせる。
既に彼はR7支部隊隊舎で秀家と対峙した際に、秀家が屍鬼神を取り憑かせる技…“憑身”をする事で、それぞれ異なる戦闘スタイルを披露したのを目の当たりにしていた。
秀家の片腕ともいうべき屍鬼神“烏天狗”を“憑身”させた際には二つの羽扇を使った風を操る技を…女屍鬼神“
「テメェも
「あらあら。もののついでみたいに私の名を尋ねるなんて、無作法な坊やね……でもいいわ。……私は“
政宗の問いかけに対し、秀家…に新たに“憑身”した屍鬼神”蛟”は、どこか嬉しそうな声で答えてみせる。
その妖艶な声に潜んだ邪悪な気配に、政宗達が一瞬戸惑った隙をつく形で秀家(蛟)姿が消えたかと思いきや、一瞬にして政宗の眼前に現れる。
(速ぇ!!)
「うふふ…坊やはどんな鳴き声を上げながら、食べられてくれるかしら? 楽しみねぇ♪」
言うなり、秀家(蛟)はいつの間にか長笛から変化した三叉の細い短刀のような暗器を政宗の顔面めがけて振り下ろしてくる。
(コイツは確か…
政宗は一撃を避けつつ、秀家(蛟)の持つそれが、本来は琉球や大陸などの異国の地で使われている武具の一種である事に気がつく。
武具に精通した行商人の世間話や、異国に関する文献などでしか聞いた程度ではあるが、本来は捕物の為の武器であるが、小回りが効かせやすいという事から、中には暗器として用いている者も少なくないそうだ。
つまり、今の秀家(蛟)の戦闘スタイルはスピードと小回りの効いた暗殺者の様な攻撃が売りという事だと、政宗は予想した。
「政宗!」
そこへ、秀家(蛟)の背後からシグナムがレヴァンティンを振りかざしながら斬りかかっていた。
だが、秀家(蛟)は振り返る事のないまま、頭の上に両手を回し、両手に持った釵で受け止めてしまう。
「なっ……!?」
「うふふふ…貴方もなかなか強いみたいね。でもその見た目にしては、ちょっと歳を重ねすぎてるわね…」
言いざまに、秀家(蛟)はシグナムの腹に強烈な蹴りを打ち込んだ。
吸い込まれる様な勢いでシグナムの鳩尾に秀家(蛟)の蹴りが刺さる。
「ぐあっ……!!」
その衝撃によって、シグナムは後方に吹き飛ばされてしまった。
政宗は咄嵯に駆け寄りながらシグナムを抱き起こす。
「大丈夫か?」
「あ、あぁ……問題ない……」
政宗に支えられながら、腹部を押さえながらもどうにか立ち上がるシグナム。
しかし、そこへ秀家(蛟)が再び瞬間移動の如き速さで現れると、2人に目掛けて両手に持った釵を袈裟斬りで振り下ろす。
殺気を感じ取った政宗とシグナムは瞬時に左右に跳び退き、秀家(蛟)の攻撃を回避した。
「ほらほら~。ぼんやりしてたら、あっという間に貴方達の心臓に私の釵が刺さっちゃうわよぉ~♪」
そう言って不敵な笑みを浮かべる秀家(蛟)を見て、シグナムは苛立ちを隠せない様子で歯噛みする。
(くぅ…! 魔法が封じられてさえいなければ、加速魔法で奴の速さを超えて、こちらに勝負を運べるというのに…!!)
シグナムの使う『
これは自身の速度を数倍にまで引き上げる事ができるというものだが、魔法を封印された今のシグナムでは当然、それを行使する事はできない。
せいぜい、比較的高い自身の基礎運動能力に魔力を充てがうことで、辛うじて政宗や、それと相対する秀家(蛟)ら気の使い手達についていけるだけの運動能力を発揮できる程度であった。
だが、それでもシグナムは決して諦めてはいない。
(そうなると…やはり我が専売特許である剣技の技で補うだけか…!!)
シグナムはいつもの様にいかない戦いに悔しげな表情を浮かべつつも、更に闘志を燃やすように、レヴァンティンの柄を強く握りしめ、地面を蹴って、秀家(蛟)の迫ると、激しく剣を振るう。
だが、秀家(蛟)はそれを軽々と回避し、逆に隙だらけとなったシグナムの胴へ、今度は片手の釵を横薙ぎに振るってきた。
しかしシグナムも、軽やかな身のこなしで、どうにかそれを避けていく。
その様子からは、とても魔法の大部分を封じられ、最低限の身体能力の向上程度しか出来ていない状態にあるようには見えない。
「うふふふ…やるじゃない、貴方。久しぶりに現世に出て最初に相手取ったのが貴方程の女武者だったのは幸運だったみたいね。早く、この手で八つ裂きにして、その血肉をゆっくり味わいたいわ」
本来の秀家とはまるで違う、妖艶さと狂気に満ちた声で笑い声を上げる秀家(蛟)。
そんな彼女に対して、シグナムもレヴァンティンを構え直しながら、睨み付けるようにして言い返す。
「ふん、生憎と我が身体は普通の人間とは少し異なった構造でな…貴様の期待する人間の味とは非なるものと断言しておこう。まぁ…それ以前に貴様の贄になるつもりなど毛頭ないがな」
「あら、それは残念ねぇ……。でも、その強気な態度もいつまで続くかしら? すぐに泣き喚かせてあげるから楽しみにしてなさい!」
秀家(蛟)は言うなり、再び瞬間移動の如く高速で動き出き、更に強烈な蹴りを放った。
だが、シグナムはその蹴りに対しても冷静に対応し、素早くレヴァンティンを峰側に振るい、秀家(蛟)の動きを妨害する。
秀家(蛟)はバランスを崩す事なく着地したが、そこへシグナムの容赦ない追撃が加えられる。
シグナムの鋭い斬撃が、秀家(蛟)の全身を切り刻む様に襲い掛かった。しかし、秀家(蛟)の方もまた、両手に持った釵を巧みに操り、それらの攻撃を受け流していく。
「余所見してんじゃねぇぞ!」
そこへ、地面を滑る様に移動しながら政宗が接近し、三本の刀で秀家(蛟)を斬り上げる。
その攻撃を、身を反る様にして避ける秀家(蛟)だったが、政宗の攻撃は終わりじゃない。
「
そのまま空中に上がり、もう片方の三本の刀を振り下ろしてくる。
「あら、なかなか良い技ねぇ。でも、当たってはあげないわよぉ♪」
秀家(蛟)が地面を蹴って後ろに跳び、三刀の猛攻を難なく避けた。
政宗は舌打ちしながらも、即座に五本の刀を鞘に収め、残る一本の刀を大上段に構えながら突っ込んでいく。
一方の秀家(蛟)は余裕の笑みを浮かべたまま、両手の釵を手の中でくるくると回転させた。
「そろそろ私も小手先の技を披露してあ・げ・る♪ “
秀家(蛟)が釵を振り上げると、空気を切り裂いた筈のところから、濁流が発生し、政宗達の方に向かって水を含んだ真空波が押し寄せてくる。
政宗とシグナムはそれに対し、それぞれの
「うおっ!?」
「くっ……!」
その衝撃を受け止める二人であったが、あまりの威力に後方へと吹き飛ばされてしまう。
どうにか二人は地面を踏み締め、体勢を立て直す事に成功するものの、そこへ更なる攻撃が迫る。
「まだまだ行くわよ~! “
秀家(蛟)が上空に飛び上がると同時に、その足元に大量の水が溢れ出し、それは巨大な濁流から最終的に大波を形作ってその小柄な身体を乗せた。
そして、大波に乗った秀家(蛟)はそのまま政宗やシグナムの方へと真っ直ぐ突っ込んでくる。
「ちぃっ!」
「ぬぅ…ッ!」
二人はそれぞれ左右に飛び退き、迫り来る大波を避けるが、そこでまたしても秀家(蛟)は新たな攻撃を仕掛けてきた。
「あら? どこに行くのかしら?」
そう言って、秀家(蛟)は大波の上から飛んで、回転しながらシグナムの前に着地すると、今度は地面に手を付いて、そこから無数の小さな水の塊が湧き出したかと思うと、それらは瞬時に人の形を取り始めた。
「”水の舞踏”…さぁ、踊ってみせなさい、カワイイ水達♪」
不敵に笑う秀家(蛟)の前にシグナムの姿形を模した水の分身が出現し、彼女を取り囲むように、ゆっくりと回り始める。
「どう? 貴方って顔貌は悪くないから、
「……ふん、実にくだらん趣向だな。まとめて薙ぎ払ってくれる!」
シグナムはレヴァンティンを真横に振り払う。
水で出来ているだけあって、斬られた分身達は呆気なく唯の水へと返っていく。
「どうやら見た目にこだわるあまり、肝心の兵装としての性質に欠いているみたいだな」
シグナムがシニカルに言い放つと、秀家(蛟)は不敵な笑みを浮かべた。
「ふふ、果たしてそれはどうかしらぁ?」
次の瞬間、突如シグナムの目の前に先程の倍以上の数となった水の分身が現れ、一斉に襲いかかってきた。
「ぐぅ…! 数でものを言わせるつもりか…!?」
シグナムは一気に増えた水の分身に驚くも、すぐにレヴァンティンを振るい、水の分身を斬り捨てていく。
数が多い上に、瀑布の如く怒涛の勢いで迫り来るため、次第にシグナムの表情には疲れの色が浮かんでくる。
しかも水の分身を切り捨てるだけ、足元に広がる水たまりは徐々に大きく広がっていく。
そこへ政宗が駆け寄りながら、助太刀に加わろうと刀を振り上げたところで…ふと、シグナムの足元に広がる水たまりが不自然に揺らいでいるのが目にとまった。
更に、その様子を少し離れた場所で見ていた秀家(蛟)の顔がニヤリと不穏な笑みを零しているのにも気づく。
「ッ!!? おい、シグナム!! それ以上、その分身を斬るな!!」
「えっ…!?」
政宗は嫌な予感がし、急いでシグナムに警告しようと叫んだ。その時だった。
「ッ!?」
突然シグナムの背後の水たまりから巨大な水柱が噴き上がったかと思いきや、それは巨大なスライム状の球体となり、さらにそこから伸びた水の触手が品無の手足に絡みついた。
「な、何ッ!? これは…ッ!? うわぁっ!?」
「シグナム!?」
瞬く間に水たまりから現れた巨大な水の球体は彼女の身体を飲み込んでしまった。
「あらあら、だから言ったのにぃ~? さしずめ貴方のお仲間さんは見た目に惑わされるあまり、搦め手の性質を見誤ったってところかしらねぇ~」
秀家(蛟)はクスクス笑いながら政宗に告げると、彼はギリっと奥歯を噛み締めて、彼女を睨んだ。
「テメェ…最初からこれが狙いか……!」
「あははは! 今頃気づいたって遅いわよぉ? さぁて…中身は古いかもしれないけど、見てくれは中々生きが良さそうなこの子の身体…じっくり味わって食べてあげる♪」
秀家(蛟)はそう言うと、シグナムを取り込んだ巨大水球を自らの方へと引き寄せてみせた。
すると、巨大水球は秀家(蛟)の真上に浮遊する。
「Screw you! シグナムをそこから出しやがれ!」
政宗は叫びながら、地面を蹴って詰めた。
そしてその勢いと共に秀家(蛟)の首目掛けて刀を袈裟斬りに振り下ろす。
しかし、秀家(蛟)はその攻撃を読んでいたかのように後ろへ飛び退き、政宗の攻撃を回避した。
「チィッ!」
「安心しなさい。貴方もすぐにこの中に入れてあげる。そして彼女の様に苦しみ藻掻きながら死んでいった後に、私が死体を骨までしゃぶり尽くしてあげるから♪」
秀家(蛟)は水の球体の中で暴れているシグナムを愛おしそうに見つめながら言った。
(くそ! 同じ悪食でも成実が可愛く感じてくるぜ!!)
政宗が嫌悪感を全開にしながら舌打ちをしながら、もう一度、斬撃を振り下ろした。
しかし、これも秀家(蛟)の突き出した釵によって又も受け止められていた。
「ほらほら~。早くしないと彼女、死んじゃうわよぉ~?」
秀家(蛟)が微笑を浮かべ、政宗をあからさまに挑発する。
政宗の額に密かに青筋が浮かんだ。
「テメェいい趣味してるぜ…これなら、無駄な口叩かねぇ
「あら、ご主人様の事褒めてくれるのぉ? 嬉しいわねぇ、それじゃあ貴方を食べた後にでも、“遺言”としてご主人様に言付けておいてあ・げ・る♪」
「Shut up!!」
政宗の刀と秀家(蛟)の蹴りが、再びぶつかり合った。
*
政宗達のいる場所から少し離れた広場の端の方では依然として、なのは、フェイト、ヴィータの三人が、魔竜の骸を借りて暴れ狂う大ムカデ達を相手に戦況を変える為の有効な一手を繰り出せぬまま、激しく襲い来る猛攻から飛んで、逃れるのがやっとな状況だった。
(はぁ…!はぁ…!このままじゃ、全員魔力切れになって、ホントに奴らのエサになっちまうぞ!)
(わかってる…早く本部に取り次いで、私達の魔力リミッターを解除してもらわないと…!)
(だけど、それにはまず、あの大ムカデの猛攻をどうにかしなきゃ!)
念話の中にまで疲労の色が出てきながらヴィータが急かすが、フェイトもなのはも焦りを覚えつつも、自分達だけではどうしようもないこの状況に苛立ちを募らせていた。
その時だった。
「ッ!? なのは!」
ふと、なのはの視界に迫りくる大ムカデの群れが映った。
「えっ!?」
咄嵯にフェイトに声を掛けるも、間に合わない。
5匹の大ムカデ達は一斉に炎を吐きつけてきた。
「危ぇッ!」
「ッ!!」
咄嗟にヴィータが魔法で加速しながら、なのはの懐に飛び込むと、彼女の身体を突き飛ばし、ついでに自分も前方へ転がるように飛ぶ。
二人が弾かれるように飛んで転がった直後、なのはが一瞬前までいた場所を巨大な炎の渦が通過していく。
「うわぁっ!」
「ひゃあっ!」
その熱風に煽られながら、空中へ投げ出される。
なのははどうにか体勢を直してとどまる事ができたものの、ヴィータはそのまま地上へと落下し、ゴロゴロと瓦礫の山の上を何回転もし、遂には
大きなコンクリート壁の残骸に背中からぶつかる形でようやく止まった。
「ヴィータちゃん!?」
「ヴィータ! 大丈夫!?」
空中からなのはとフェイトが呼びかける。
土煙が晴れると、そこにはヴィータがコンクリート壁の残骸を背にして、両脚を高く上げながらひっくり返っていた。
「いつつ……っ!」
紅いドレス調のバリアジャケットは所々擦り切れ、全身泥だらけになり、しかも姿勢が姿勢だけにスカートが淫らに捲り上がって、その裏側にある細い素足や赤いショーツを晒してしまっていた。だが、今はそんな事を気にしている場合ではない。
「ヴィータちゃん!」
なのはが慌てて、ヴィータの下へ駆け寄ろうと地面に向かって降下していく。
だが、その隙を狙うかのように大ムカデの一匹がなのはに向かって喰らいにかかった。
「ギシャアアアッ!!」
「うわっ!?」
噛み付いてくる大ムカデをどうにか避けるなのはだったが、その時、魔竜アルハンブラの首から伸びていた大ムカデ達の中から一匹、溢れる様に身体から抜け落ち、地面に落下するや否や、百足ならではの俊敏な動きで、地面に倒れていたヴィータ目掛けて真っ直ぐに向かっていった。
通常の百足さえも、走る姿はなかなかにグロテスクであるというのに、それが大蛇程の大きさを誇る大ムカデとなれば、その嫌悪感や恐怖心は半端なものではない。
ましてや、今のヴィータは先程の攻撃を避ける際に、思いっきり尻餅をつくような形で転倒し、頭を打った衝撃で軽い脳震盪状態になっているのかいつものようにすぐに避けるか迎撃するかのどちらかをとるはずが、起き上がる事さえできないでいた。
そこへ迫る大ムカデ……。
「う……あ……」
ヴィータは震える手でなんとか、傍に転がるグラーフアイゼンを掴もうとするが、とてもじゃないが、間に合いそうもなかった。
「くぅッ! 止まれぇぇ!!」
フェイトがフォトンランサーを放ち、ヴィータに迫る大ムカデを止めようとするが、大ムカデは軽々と、地面に落ちる魔力弾の弾幕を避けながらヴィータへと迫っていく。
それならばと、なのはが空からヴィータのもとへ近づき、救出を試みるが、それをアルハンブラの骸に残った他の大ムカデ達が妨害する様に襲いかかった。
「邪魔しないで! …レイジングハート!」
《Accel Shooter!》
なのははレイジングハートにアクセルシューターを放つよう指示を出し、数発の魔力弾を放った。
それらは正確に大ムカデ達の頭部を撃ち抜き、それぞれを打ち倒す事に成功したが、急いでなのはが救出しようとヴィータを見下ろした時、そこにはいよいよヴィータの目の前にまで迫った大ムカデが、動けないでいる彼女に喰らいつこうとしているところだった。
「ヴィータちゃぁぁんッ!!?」
「ヴィータ!!?」
思わずなのはとフェイトは悲痛な声で叫んでしまう。
そして大ムカデの巨大な牙がヴィータの身体を挟み潰そうとした。
その時だった―――
「テメェはこれでも食ってろおおぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
「シャァアアッ!?」
突然、怒鳴り声と共にヴィータの倒れていた壁の残骸の真後ろから飛び超えて投げつけられてきた何かが、ヴィータに迫っていた大ムカデの口にすっぽりとハマり、ヴィータを挟み込もうとしていた大ムカデの牙をガッチリと食い止めた。
直後、ヴィータの倒れていた瓦礫の山の裏から一つの影が飛び出してくる。
「「成実(くん)!!?」」
それは木刀と白鞘の直刀を構えた伊達が誇る野生児 成実であった。
彼はそのまま空中で一回転して大ムカデとヴィータの間に着地してみせた。
「うっしゃあああっ!! 奥州の荒ぶる特攻隊長、伊達藤五郎成実!! 参ッッッ上!!!」
「う、うわ…!?」
「み、耳が痛い…!」
まるで殴り込みをかけにた暴走族の如く、両手を広げて二振りの得物を掲げつつ、広場中に響かんばかりのボリュームで叫ぶ成実。
そのあまりの声のでかさになのはとフェイトは、本来なら安堵で顔を綻ばせる筈のところなのに、反対に顰めながら耳を抑えなければならなくなった。
成実の目の前では、大ムカデが口に投げ込まれたもの…成実の3つ目の愛刀である無柄刀で牙を抑えられ、苦しそうに藻掻き、暴れている。
「あっ! ヴィータの姉御ぉ! 大丈夫かぁ!?」
「……っせぇな…! お前の大声のせいで余計頭がガンガンするじゃねぇかよぉ…!」
まだ若干ふらつきながらも、ヴィータはどうにか立ち上がってみせる。
そこへなのはとフェイトも降下して、駆け寄ってくる。
「ありがとう成実君。でもなんでここに?」
「へ? いや、姉御と兄ちゃんに山の中置いてかれてった後、俺あれから一人で山駆け下りて、登山口まで戻って来た時にちょうど管理局の応援連れて来てた小十郎の兄貴と出くわして、それから兄ちゃんやなのは姉ちゃん、姉御達がここで竜と戦ってるって聞いて、それから応援の部隊と分かれて、兄貴と一緒にこっちに来る事になったんだけど、俺だけ近道通って先に駆けつけたんだよ。そしたらちょうどあの様だったわけ」
「そうだったんだ……」
どうやらレシオ山でヴィータと政宗に置いていかれた後、偶然にも成実は壊滅状態となったR7支部隊隊舎の救援に向かう所轄部隊の案内をしにレシオ山へ向かっていた小十郎と出会い、そこから市内に引き返す彼に同伴したという事だった。
成実の説明を聞いたなのは達は納得したように頷き合う。
「まさかもう合流して来るとは思ってもいなかったよ。…ってかあの山、結構標高高かった筈だぜ?」
フェイトの手を借りながらも、どうにかふらつかずに立つ事ができるようになったヴィータが呆れながら言った。
「ヘッヘヘ~ン! 伊達に物心付く前から奥州の野山で鳥、兎、蛙を追い回し、ザリガニや芋虫やマムシをたらふく食って精を付け、伊達軍の若衆の間じゃ“摺上原の韋駄天”と呼ばれた俺の足の速さ恐れ入ったかー!」
「「「………」」」
バカ丸出しな台詞と、それを自信満々に言い放つ成実に、なのは達…特にヴィータは呆れて言葉を失ってしまった。
((……この子、本当に凄いのか、ただのアホなのかよくわからないなぁ……))
なのはとフェイトそんな事を思っている間も、成実が投げ込んだ無柄刀によって押さえ込まれていた大ムカデは、まだじたばたともがき続けている。
更に後方では、アルハンブラの首の断面から再び大ムカデ達が次々と這い出てくるのが見える。
「…っとお喋りしている場合じゃなかった! 今のうちに…!私とフェイトちゃんで、
「うん!」
「わかった!」
「合点承知のはらこ飯!」
なのはの指示にそれぞれが返事を返し、すぐに行動を開始する。
なのははレイジングハートを、フェイトはバルディッシュを振りかざし、大ムカデの方へと向かっていった。
すると、ようやく成実と対峙する大ムカデの口から無柄刀が外れた。せっかくの獲物にありつくところだったのを邪魔された事に怒りだしたのか、余計に暴れだした大ムカデを見据えながら、成実は目の前の地面に刺さった無柄刀を足で器用に拾い上げ、空中に投げると口に咥える事で
「さぁ、かかってきやがれ、大ムカデ! 干物にして食ってやるぜ!!」
「いや、食おうとすんなー!」
ヴィータのツッコミを背に受けながら、成実は大暴れする大ムカデに向かって走り出した。
スランプを挟みながらもどうにか進めてきた『なのは見合い編』もようやく終盤に差し掛かってきました。
この調子で、最悪、この長編を投了するまで再び魔のスランプが降り掛かってくる事がないようになんとか頑張っていきたいものですが…そういう事を言ってるとまたスランプになるのが哀しい性であり…(泣)
とにかく頑張って、早く家康やスバルを登場させてやりたいもんです。
ってかあの2人って本編でいつから出てなかったっけ?(幸村も)
家康・スバル「「おい作者ーーー!!(怒)」」