リリカルBASARA StrikerS -The Cross Party Reboot Edition-   作:charley

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【前回までのリリカルBASARA StrikerS】

政宗を連れて、生まれ故郷 海鳴市へと帰ってきたなのは。
実家である『翠屋』を訪れ、家族に“恋人”となった政宗を紹介するなのはだったが、それを知った兄 恭也は大激怒。

政宗は恭也と剣術で対決することとなってしまう…
果たしてどうなることやら…

はやて「リリカルBASARA StrikerS 第六十八章 はじまるで」


第七十章 ~六爪流VS御神流 魂の一本勝負!~

政宗は、なのは、士郎、恭也に連れられ、彼女の実家である高町家を訪れた。

懐かしさを感じる間もなく、なのはは慣れた足取りで自宅に併設された道場へと政宗たちを案内する。

そして、士郎の用意した道着に着替えた政宗と恭也は、それぞれが最も扱いやすいと感じた木刀を手に取った――

その時だった。

 

「おい、貴様!? なんだその格好は!? ふざけているのか!?」

 

恭也が鋭く声を上げた先には、腰に六本もの木刀を差し込んだ政宗の姿があった。

 

「ふざけてる? とんでもない。これが俺のSword Style…人呼んで『六爪流(ろくそうりゅう)』だ。 別にRule違反じゃねぇだろ?」

 

政宗はあくまで当然といった風情で返す。

 

「六爪流だと……? まさか、その六本を同時に使うつもりでいるのか…!?」

 

「ああ、そうだが? 何か問題でもあるか?」

 

政宗のあっさりとした返答に、恭也は怒気を帯びた声で畳みかける。

 

「あるに決まっているだろ! 常識で考えろ! 二本ならいざ知らず、六本も刀を同時に操るなど、器用とかそういう問題ではない! 下手をすれば、指を壊しかねないぞ!」

 

突拍子もない剣術の主張に、恭也は苛立ちを隠さず声を荒げた。だが、政宗は一切取り乱すことなく、逆に呆れたようにため息をつく。

 

「出来るか出来ないかは実際に見てみないとわからないもんだろ? それにアンタもさっき言ってただろ?『俺の剣術を、そこらの流派と同列に扱っているなら後悔することになるぞ』ってな。だったら、そっちも俺の剣術をこの世界の基準で計ろうなんて考えない方がいいぜ。Please be careful.」

 

「ぐっ……ぬぅ……!」

 

的確な反論に言葉を詰まらせる恭也。

するとそれまで黙って様子を見ていた士郎が、静かに口を開いた。

 

「政宗君の言う通りだぞ。恭也。お前自身の知識の枠内だけで物事を見据え、決めつけてしまう事は感心せんな。父さんの目から見ても、政宗君は、決してふざけているわけでも、見せかけの虚勢であんな装備をしているようでもない……確かに、その“六爪流”という流派は俺も聞いた事がないが、おそらく彼独自に編み出した剣術なのだろう。ならばまず、その技と腕前を見てから判断しても遅くはないはずだ」

 

「……分かったよ、父さん。今のは、俺の浅はかさだった――すまなかった」

 

悔しげに眉を寄せながらも、恭也は素直に頭を下げて謝罪の言葉を口にした。

その誠実な姿勢に、政宗は驚いたように目を細める。

 

(ほう……ただの、シスコンなだけかと思いきや、武人としては潔い奴じゃねぇか)

 

心中で認識を改めた政宗は、軽く笑みを浮かべて恭也に声をかける。

 

「Never mind. ――お互い、お手並み拝見といこうぜ?」

 

それは先程までのどこか刺々しい口調ではなく、同じ剣を嗜む者としてシンパシーを感じているかのような砕けた物言いだった。

だが恭也は、なおも険しい表情を崩さず、警戒の眼差しを政宗に向けたままだ。

 

そんな中、政宗の実力を知っているなのはが彼にそっと近づき、耳元で囁く。

 

「政宗さん。あんまりやり過ぎないようにね。お兄ちゃんは剣術の達人だけど、一応“普通の人”なんだから」

 

「OK…All right」

 

政宗が軽く頷いたのを確認し、なのはが士郎の元へ戻ると、彼はおかしそうに尋ねる。

 

「なのは。つまり、お前はこの勝負は恭也が負けると思っているわけだな?」

 

「う~ん……というより、政宗さんには“普通の剣術”の常識が通用しないんだよね。だからちょっと、お兄ちゃんが心配でさ……」

 

「ほう…それはますます興味深いな」

 

士郎は静かに目を細め、政宗の方へと視線を送る。

一方、未だ険しい顔のままの恭也は、静かに構えを整えていく。

政宗もまた、ゆったりと深呼吸をして全身の力を解き放ち、腰に六本の木刀を備えたまま、道場の中央へと進み出た。

 

――いよいよ、幕が上がる。

 

「OK! Are you Ready!? Come on!」

 

「伊達政宗! 貴様に“御神流”の恐ろしさを教えてやる! 父さん、合図を頼む!」

 

「わかった」

 

政宗と恭也は対峙し、それぞれ政宗は手始めに1本、恭也は2本の木刀を構える。

 

「「………」」」

 

「始め!」

 

合図が鳴り、まず恭也が駆けた。

 

「うおぉぉ!!」

 

「むっ!」

 

恭也は右手の木刀を一閃振るう。

しかし、政宗はそれを一本の木刀で防ぐ。

 

「Haaaaaッ!!」

 

「!!」

 

政宗はすかさず木刀で突く。

その攻撃を恭也は下がって躱した。

 

「貴様…唯のチンピラとみていたが…なかなかいい太刀筋をしてるじゃないか」

 

「アンタも大した腕だぜ…」

 

互いを褒めたたえる。

だが次の瞬間、二人は同時に動いた。

 

「ハァアアッ!」

 

「Yaaaaaaaah!」

 

木刀と木刀が激しくぶつかり合い、道場内に金属のような硬質な音が響き渡る。恭也は小太刀二刀を次々に振るい、的確な斬撃を繰り出す。しかし政宗はそのすべてを余裕のある所作で受け流し、時に弾き、時にいなす。

 

「…今日が初手合わせとは思えん。恭也の太刀を、あそこまで冷静に捌くとは……」

 

士郎が静かに呟く。政宗の実力に、ただならぬものを感じ取っていた。

 

一方、恭也もまた相手の只ならぬ剣気を感じ取っていた。

 

(この男……まるで隙がない。まさか、ここまでとは……)

 

恭也は構えを変える。瞬時に変化した体勢に、政宗が目を細めた。

 

「いくぞ! 伊達政宗!」

 

「全力で来な! 高町恭也!」

 

互いに駆ける。

政宗は木刀を振るい連続突きやなぎ払いを仕掛ける。

対して恭也も木刀を袈裟斬りや払い斬り、突きや横なぎなどで反撃していく。

派手さは無いが技と技の応酬だ。

それでも恭也はなんとか連続攻撃をして政宗を攻めるが、政宗は軽く交わして木刀で防ぐ。

恭也の剣術『小太刀二刀御神流』はかなり強力で、しかも恭也は超一流の剣術家でもあり、おそらくはこの世界でも指折りの実力者である事は確かである。

だが政宗はそんな恭也の御神流をまるで子供のチャンバラをあしらうかの如く、軽くかわしたり捌いたりする。

 

(……我流のはずなのに、まるで教本のような正確さだ。しかも、この反応速度…相当な修羅場を越えた人間でなければこなせない筈…! …こうなったら!)

 

恭也は一歩後退し、呼吸を整えると、決意を込めて木刀を構え直した。

 

「御神流――“斬”!」

 

斜め一閃、鋭い太刀筋が政宗の首を狙う!

 

「Ha! 甘いな!」

 

政宗は滑るように左へ身を翻し、躱す。

 

「なっ!?」

 

「まさか…!?」

 

まさか『御神流』の1つである『斬』を初見でかわした政宗に、恭也だけじゃなく士郎も驚いた。

 

(なんてことだ…!基本動作の中の初歩技とは言え、御神流の技を初見で躱せる者が現れるなんて…!?)

 

士郎の心の中では動揺と好奇…2つの感情が入り乱れていた。

 

(俺の剣を見切っただと!? そんな馬鹿な…!)

 

恭也もまた、ようやく理解しつつあった。

政宗が自分をも越える剣士であると…それでも恭也は引けずに政宗を攻める。

 

「うおおぉぉぉぉぉ!!」

 

「Haaaaaaaaah!」

 

再び木刀と木刀がぶつかり合う。

そして、今度は鍔迫り合いになる。

 

「くっ!」

 

「Hey! What was the first momentum!?」

 

「黙れ!」

 

ニヤリと笑う政宗。恭也は両手に持った二振りの木刀で必死に押し返すと、次なる技を繰り出す予備動作をとった。

 

「ならば! 御神流“虎乱”!」

 

御神流の技の1つ…二刀から放つ連撃が炸裂しするが、政宗は鮮やかにバク宙でそれを躱すと、すかさず反撃に出る。

 

「Haaaaaa!!」

 

「くっ!」

 

政宗は右手の木刀で攻撃してくる。

それに対して恭也は左手の木刀で防ぎ、すぐさま右手の木刀で追撃しようとするが、政宗はその動きを読んで一瞬で間合いを取っていた。

 

「うわぁ…やっぱり政宗さんって凄い…! お兄ちゃんの剣をことごとく躱して防いでいる」

 

「ああ…それに恭也の攻撃を全部読んでいるように回避している。彼の動体視力は一体どうなっているんだ?」

 

二人の攻防に、なのはと士郎はそれぞれに驚きの声を上げる。

政宗の強さはなのは自身も知っているが…何度見ても驚きだす。

自ら豪語する通り、独眼竜の名は伊達じゃなかった。

 

「Ha! どうした、もう終わりか? ぼんやりしてたら、命が散るぜ?」

 

挑発的に笑う政宗に、恭也の表情が引き締まる。

 

「いい気になるなよ!」

 

すると恭也は思いっきり先ほどとは違う大きな構えをする。

 

「小太刀二刀御神流・奥義之極み “閃”! ……お前を倒す!」

 

「Ha! もっとCoolにいこうぜ?」

 

恭也の放つ闘気に少しも動じない政宗を尻目に、突如恭也の姿が消えた。

いや、余りの速さに眼が移らないのである。

そして神速の領域の速さで政宗に気づかれないと判断して素早く2つの木刀を同時に神速の速さで振るう。

だが…

 

「It slow!!」

 

「!?」

 

奥義を放った恭也自身は驚いた。

2つの木刀は同時に振ったが、政宗は片手の木刀だけで2つの木刀を防いだのである。

 

(なんと…!? 小太刀二刀御神流・奥義之極み “閃”をもあんなに容易く防いだとは!)

 

これにはさすがの士郎も驚きを隠せない。政宗は余裕の表情で受け止めた手をブラブラさせる。

一方の恭也は驚愕すると同時に焦り始めた。

 

(ならば!)

 

恭也は再び政宗に接近し、高速の連続攻撃を繰り出す。

だが政宗はその全てを木刀で受け流し、かわしていく。

恭也は一旦離れ、政宗が追えないスピードで動き回り、フェイントを仕掛けたり、死角からの攻撃を仕掛けるが、政宗はまるで見えているかのように全て避けていく。

 

(やるな、伊達政宗……恭也相手にここまで互角以上に渡り合うとは。しかし、なんだ? 彼の攻撃——どこか妙だな)

 

士郎は政宗の鮮やかな動きに感嘆しながらも、わずかな違和感を覚えていた。

それは、なのはも同様に感じ取っていた。

 

「なんだろう……政宗さん、普段ならもっと勢いよく畳みかけるはずなのに……なんだか、手加減してるような気がする……」

 

「なんだって?」

 

思わず士郎は聞き返す。確かに言われてみれば、政宗の立ち回りは攻撃というより、観察に近い。

六爪流を名乗っておきながら、今のところ使用しているのはたった一本の木刀のみ。にもかかわらず、恭也の鋭い技を紙一重でかわし、あえて攻め急ぐことなく、その手の内を順に見極めているようにも見えた。

 

観戦していた士郎の脳裏に、ある考えが閃く。

 

「……なのは。お前の言う通りだ。この勝負——恭也が負けるかもしれない」

 

「えっ!?」

 

突然の宣告に、なのはの目が見開かれる。

 

「ど、どうしてそう思うの?」

 

「ああ。政宗君は、あえて守勢に徹しながらも、要所で攻撃や挑発を挟み、恭也の警戒心を逸らしている。そしてその隙に、巧みに恭也の全戦力を引き出してるんだ。つまりこれは、初対面での立ち会いにおいて用いる——極めて理にかなった基礎戦法だ」

 

士郎の語気は次第に熱を帯びていく。

 

「だがな、恭也ほどの猛者を相手にそれを成立させている。並の剣士には到底できん芸当だ。彼は——相当な練達者だよ。まさに現代に生きる”戦国武将”が如く…!!」

 

(……まぁ、実際に戦国武将なんだけどね)

 

熱弁する父に、なのはは苦笑を浮かべつつ心中でそっとツッコミを入れる。しかしその一方で、政宗の実力に対する理解が一段と深まっていく。

 

「やっぱり、政宗さんって凄いんだなぁ……! あのお兄ちゃん相手に、あそこまで優位に立てるなんて……!」

 

「ああ。恐らく、あと一分も経たずして決着がつく」

 

「……え?」

 

「見てみろ、恭也の額。すでに汗が滲み、動きに微かな鈍りが見える。政宗君の意外な強さに戸惑い、焦った恭也は、挑発に乗って無闇に技を繰り出してしまった。その反動が今、疲労として現れている」

 

「……ほんとだ」

 

なのはも目を凝らし、兄の様子を観察する。たしかに、動きのキレにわずかな陰りがあった。

 

「それに…先ほどから政宗君が時折放つ殺気……あれは紛れもなく本物だ。恐らく、彼が本気になれば、恭也を一撃で倒せるのかもしれない。そうならないのは、あくまで恭也の実力すべてを見届けた上で、その疲れが大きな“隙”を生む最大のタイミングを狙って待っているんだ。焦らず、冷静に……彼は、剣の腕もそうだが、秀でた戦術眼だけでなく、武人としての心意気もしっかりと持っているようだ」

 

政宗のあまりの技量の高さに、士郎は舌を巻くばかりである。

士郎は静かに、しかし深い敬意を込めて言葉を続ける。

 

(なるほど…伊達政宗……これはなのはも、とんでもない傑物を見つけてきたのかもしれんな……)

 

士郎は政宗の評価を上方修正しつつ、恭也に視線を向けた。

 

「ぬん!」

 

「Ha! ぬるいぜ!」

 

恭也は額に汗を大量に浮かべながら二刀流で同時に刺突を仕掛けるが、政宗はそれを一本の木刀で防ぐ。

 

「グググッ!」

 

「…Ha! おい、高町恭也」

 

「?」

 

「アンタの実力…すべて見せてもらったぜ。流石はなのはの兄貴だ。 ここまで俺に食らいついてきやがるGatsを見せたのは大したもんだぜ」

 

「い、いきなり何を言い出すんだ!? 俺はまだ、すべてを見せきったつもりはない!」

 

政宗の突然の賛辞に、恭也は戸惑いと警戒を露わにする。だが政宗は構わず、静かに、しかし力強く言い放つ。

 

「最初は素人相手に六爪(こいつ)を出すのは気が引けたが、そうも言ってられねぇ…!」

 

政宗の眼差しに、鋭い光が宿る。

 

「なのはには悪ぃが……ここからは、少しばかり“本気”で行かせてもらうぜ」

 

言葉と同時に、政宗は恭也の刃を大きく弾き返す。

 

「クッ!」

 

「さぁ! 本当のPartyはここからだ! Lets’rock! “WAR DANCE”!!

 

叫びながら、政宗はついに両腰に下げていた残り5本の木刀を引き抜き、合計6本の木刀を使った『六爪流』の構えをとった。

 

「……なっ!? そ、そんなバカな!? 本当に六本の木刀を……使うつもりなのか……!?」

 

政宗の異様な構えを目にした恭也は、衝撃と困惑を隠せなかった。

いくらなんでも無茶苦茶すぎる……本来二本までならともかく、三本以上の同時使用など、もはや人間の業ではない。

常識を超えた無茶な構え――だが、政宗はそれを平然とやってのけた。

片手に三本ずつ、計六本の木刀を握る。まるで指の隙間に爪を挟むように。それはもはや人間の戦法ではなく、どこか漫画めいた幻想の領域だった。

 

その異形の構えを見た士郎も、思わず声を上げる。

 

「あれが…“六爪流(ろくそうりゅう)”!? なるほど……まるで、木刀が巨大な“爪”のように見える……!」

 

これまで表裏問わず様々な世界の剣技を目の当たりにし、触れてきた士郎でさえも、初めて目の当たりにした奇怪極まるスタイルに、年甲斐もなく興奮してしまう。

一方、六爪流を解禁した政宗の表情は、今まで以上に真剣なものになっていた。

 

「さぁ、行くぜぇッ!!“ CRAZY STORM”!!」

 

次の瞬間…… ブォン!! と風切り音を響かせながら、政宗は一気に間合いを詰め、恭也の懐に飛び込む。

 

「ッ!? 速い!?」

 

今までと格段に違う政宗の動きに、恭也は驚きつつも、すぐに迎撃態勢をとる。

しかし、政宗の攻撃はそのスピード・威力ともに彼の想像を遥かに超えるものであった。

一気に攻勢に出た政宗に恭也は完全に押され始めてしまった。

 

「な……なんだ!? この攻撃の重さは……!? こんなふざけた握り方で、どこにこんな攻撃を繰り出すだけの力が!?」

 

なんとか必死になって反撃に出るが、政宗は難無く回避し、カウンターで鋭い一撃を放つ。

政宗の六爪による連続の横薙ぎは、先程までの一刀での攻撃とは比べ物にならない程に威力が高く、恭也は何とか二刀で防ごうと必死になって守りの構えをとる。

しかし、スピード、パワー共に格段にグレードアップされた政宗の剣技を前に、恭也はついに耐えられなくなって、繰り出された袈裟斬りを無理矢理に払おうとした際に、身体を大きく反らしてしまう隙を生んでしまった。

その一瞬の隙を、政宗は見逃さなかった。

 

「I got it!!」

 

政宗は恭也のがら空きになった腹部に向かって片手に掴んだ三刀で渾身の突きを放った。

 

「ッ!? そうはいか――」

 

恭也はこの体勢からでは避けきれないと判断し、咄嵯にガードを固めるが……

 

「I got caught! “MAGNUM STRIKE”!」

 

「グハッ!?」

 

政宗が刺突と見せかけて、その下から反対側の手で握った三刀を振り上げるという荒業を披露し、恭也は大きく後方に吹き飛ばされてしまう。さらにその衝撃で恭也の手から二刀の内の一本が離れ、道場の壁の方に飛んでいってしまった。

 

「し、しまっ―――!!?」

 

その隙を政宗は見逃さなかった。

 

「The endだ! “PHANTOM…DIVE”!!!

 

「ガハァァァァァァァァァッ!!」

 

政宗は恭也の目の前で軽くジャンプを決めると、そのまま相手に飛びかかりつつ、六爪を振り下ろす十八番…『PHANTOM DIVE』を放ち、それが直撃した恭也は一瞬のうちに壁まで吹き飛ばされた。

壁には巨大なクレーターが生じ、ワンバウンドした恭也の身体は道場の床に叩きつけられる。

 

「そこまで! 勝負あり!!」

 

審判役の士郎の声が道場内に響き渡る――勝負は決した。

 

「Ha! 俺の勝ちだな。 高町恭也」

 

「グッ……! ああ……悔しいが、この勝負……俺の…完敗だ……!」

 

恭也はうつ伏せからゆっくりと起き上がり、潔く敗北を認める。

士郎は、予想こそしていたものの、やはり自らも認める御神流の次期後継者である恭也をもってして『完敗』と言わしめた政宗の実力に、改めて驚嘆するしかなかった。

一方でなのはは、言葉通り政宗がやり過ぎずに勝負を終わらせた事に安堵した。

すると、政宗は恭也に近付き、手を伸す。

 

政宗は勝利を誇示することなく、すっと恭也に歩み寄る。

 

「手を貸そうか?」

 

「いや……いい」

 

恭也はその申し出を拒み、自らの力で立ち上がる。その姿を見届けた政宗は、なのはのもとに戻る。

 

「なのは。これでいいだろ?」

 

「うん。お兄ちゃんに大きなケガもなかったし、よかったよ」

 

なのはは、安心しきった表情でうなずいた。

 

「でもやっぱり凄いなぁ、政宗さんは。剣術でお兄ちゃんを負かせる人なんて私の知る限りだと数える程度しかいないのに」

 

「いや、お前の兄貴も確かに良い腕してるぜ。Sister Complexに駆られてさえいなけりゃ、うちの小十郎とも互角にやれるかもしれねぇな」

 

政宗もそう言って恭也への敬意とフォローも欠かさなかった。

そのやり取りを見ていた士郎も、思わず拍手をしながら声をかける。

 

「いやぁ、見事な勝負だったよ政宗君。 君、相当な使い手だね。まさかうちの恭也をあんなにあっさりと打ち負かすなんてね」

 

「いや、恭也(あいつ)もなかなかいい腕だったぞ。 久々に腕の鳴るpartyができて俺も楽しかったぜ」

 

「ははっ。そう言ってもらえると、アイツにとっても慰めになるよ」

 

和やかな空気が漂い始めたそのとき、なのはがふと口を挟む。

 

「でも政宗さん…最後の『PHANTOM DIVE』だけは、ちょっと本気になってたんじゃないのかな? あれはお兄ちゃんかなり痛そうだったよ?」

 

「Ah? そうか? あれでも俺はかなり加減したつもりだったぜ?」

 

「えぇ~!? ホントにぃ~!? けど政宗さんあの時結構本気の顔になってたよぉ?」

 

ジト目で詰め寄るなのはに、政宗はばつの悪そうな顔をして頭をかく。

 

「勝負に力が入ってくると、訓練でも模擬戦でもお構いなしに本気になるのが政宗さんの悪い癖なんだから、もっと注意しなきゃダメだよ~」

 

「Ah~…Sorry。次からはCoolにやるさ」

 

なのはに注意されてしまい、政宗はやや苦笑い気味にそう答えるしかなかった。

一方、彼らの気心知れずに交わす会話を聞きながら、士郎は真剣な面持ちで頷く。

 

(ふむ。伊達政宗…実に大した若者じゃないか……見かけや言動は少々破天荒だが、その実、ちゃんと良識もわきまえていて気骨のある性格のようだ。その上、恭也をも圧倒する程の剣技の腕前に…頭の回転の速さ、武人としての矜持……どれをとっても申し分がない。この男にだったら、なのはを託してもいい……否、託すべきだ……いやいや……! 託させる為に神様が寄越してくれたに違いない……!!)

 

士郎は突如、満面の笑みを浮かべると、政宗の手を力強く握りしめ、宣言する――

 

「政宗君! 私は君の事がとても気に入った!! 君はなのはの恋人…いや、“夫”として十分相応しい人間だ!君程の男が、なのはの事を娶ってくれるなら、私にとっても、高町家にとってもこれほど嬉しいことはない!!」

 

「What!?」

 

「んなっ!?」

 

士郎からの唐突な申し出に、政宗と、少し離れた位置で話を聞いていた恭也は、それぞれ驚愕の表情を浮かべ、目を丸くした。

 

「ちょ、お父さん! いきなり何を言ってるの!?」

 

なのはも顔を真っ赤にして慌てる。

しかし、士郎は全く動じず、政宗に向かって話し続ける。

 

「いやね、先ほどの戦いぶりを見ていて、ふと思ったんだ。君は確かに『剣士』としての素質も素晴らしいが――それ以上に、『人』としての器が実に立派だと。どうだろう? 私のかわいいなのはを、君に託しても構わないと思っているのだが」

 

「おい待て親父! アンタ正気か!? 俺は今日はじめてアンタら家族と出会ったばかりの人間だぞ! そんな奴に娘をホイホイくれてやっていいのかよ、父親として!!」

 

流石の政宗も、こればかりは動揺を隠せず、思わず声を荒げる。

しかし士郎は、穏やかな笑みを浮かべたまま彼の肩に手を置き、静かに語る。

 

「そこだよ! 我が家の事も想いやろうとしてくれるそのさり気ない優しさ! これも君が『剣士』だけではなく、立派な『人』である証左ではないかね?」

 

「す、Stop! Stop it! 話が色々と飛びすぎて、こちとら追いつけねぇんだよ!」

 

政宗が困惑しながらそう言うと、士郎は一人納得したように頷く。

 

「勿論、これはなのはと君の問題であり、本来なら私が口を挟むことじゃない事はわかっているとも。だから最終的にどうするかは君やなのはの意思を尊重したいと思う!」

 

「Ah~~……おい、なのは。お前のオヤジさんこう言ってんだが…どうするよ?」

 

政宗は呆れ顔になりながらも、なのはに意見を求める。

すると、なのははしばらく考え込んだ後、頬を赤く染めたまま答えた。

 

「えっと……お父さん。気持ちは嬉しいけど、私も政宗さんもその…今は六課のお仕事が大変だから、結婚とかそういう事を考えるのはもうしばらく保留…ってことで」

 

「そ、そうだな。事が落ち着くまでは”Premise”って事で…な? それでいいか?」

 

二人は精一杯の笑顔で、なんとか士郎を納得させようとする。

士郎はそんな二人を満足げに見つめ、うんうんと頷いた。

 

「うむ! よく言ったぞ二人とも! ではその時が来るまでは、お互いしっかりと見極め合いなさい! そして、もし二人の間で答えが出たなら――それがどんな結論であっても、私も母さんも一切口出ししないから、お前達の好きにしなさい!」

 

「あ、ありがとう、お父さん。……何が何だかよく分からないけど、とりあえず上手く話がおさまって―――」

 

なのはがホッと胸を撫で下ろしかけた、その瞬間…

 

 

おさまってたまるああああああああああぁぁぁ!!!

 

 

「お兄ちゃん!?」

 

怒りの声とともに、場の空気をぶち壊したのは、この男――シスコン兄貴・恭也であった。

先の激戦で負った傷など意にも介さず、政宗となのはのもとへズカズカと歩み寄り、政宗を睨みつける。

 

冗談じゃない! お前みたいな男に、大事な妹を嫁にやれるものかぁ!! 父さんもなんで勝手に一人で話を進めてるんだ!? それに、なのははまだ十九歳だぞ! 成人にもなってないのに、何言ってんだよ!?」

 

「恭也……お前こそ少し落ち着きなさい。なのはが既にその辺りの分別をつけられるくらいに賢い子だって、皆わかっているじゃないか。それに、お前は長い間、海外に行ってて知らなかったかもしれないが、日本では数年前から法律が改定されて“18歳”以上は成人って事になったんだぞ?」

 

「ぐっ……」

 

図星を突かれた恭也は、言葉を詰まらせて悔しげに歯を噛む。

それでも諦めず、今度は政宗を指差し、怒鳴りつけた。

 

「確かに、お前が強い事は、俺も素直に認める!! …だが、それとこれとは話が違う!! いくら剣の腕が立っても、品位と節度がなければ意味がない! 見ろその風貌! ヤンキー丸出しじゃないか! そんな物騒な見た目の男に、妹を任せられるか!!」

 

「ちょっと、お兄ちゃん! 政宗さんに失礼な事言わないでよ!!」

 

なのはが恭也の言葉に激昂するが、それを士郎が制止する。

一方、当の政宗は怒ることもなく、ただ呆れきった様子で恭也を見つめていた。

 

「まあまあ、落ち着きなさいなのは。それに恭也も……さっきだって言っただろ? 『お前自身の知識の枠内だけで物事を見据え、決めつけてしまう事は感心しない』って」

 

「でも、父さん―――!」

 

なおも食い下がろうとする恭也だったが、そこへなのはが割って入る。彼女は兄の手を握り、真剣な眼差しで言う。

まるで、これ以上政宗に対する暴言を許さないといった態度だった。

 

「あのねお兄ちゃん……確かに政宗さんの見た目はちょっと怖いかもしれないし、少し破天荒なところもあるけど、でも私、お仕事の最中に何度も危ないところを政宗さんに助けて貰ったし、それに政宗さんは根は優しい人だし、それに、お父さんが言う通り、礼儀や常識もある人だと思うよ? だから私は、そんな政宗さんが好きになったの…」

 

言い切ると同時に、なのはは顔を真っ赤にして視線を落とした。

対する恭也は、予想外の言葉に目を見開き、その場で固まる。

 

だが――次の瞬間、突如として叫ぶ。

 

「そ…そんなわけあるかああぁぁぁぁ! なのは! お前は騙されているだけだ!! こんなののどこが『礼儀や常識がある』風貌だっていうんだ!? お前みたいな可愛い女の子が、こんな剣の腕前だけバカ強い野蛮人と付き合ってたら、いつかとんでもない目に遭わされるぞ!?」

 

 

なのはの真摯な訴えも虚しく、恭也の不信は根深く、彼の叫びは止まらない。

――が、そこへ、割って入る声があった。

 

「恭ちゃん、いい加減に認めてあげなよ。なのはが選んだ人なんだから、悪い人じゃないってことくらい分かるでしょ?」

 

「そうそう。それにお父さんが許してくれたっていうのなら、もう覆す事はできないわよ~」

 

「美由希!? それに母さんも!? 二人共いつの間に帰ってきていたんだ!?」

 

突然会話に割り込んできたのは、政宗達がここへ来た後も翠屋にいた筈の美由希と桃子だった。

 

「うん。 二人の決闘がどんな結果になるか気になっちゃったから、今日はもうお店締めて帰ってきちゃった♪」

 

そう言って、桃子はテヘペロっと舌を出しておどけてみせる。

どうやら先程の恭也の怒鳴り声は、彼女達も聞いていたらしい。

そんな彼女の隣では、美由希が傷だらけの恭也を見て、驚いた様子を見せた。

 

「それにしても…。恭ちゃん珍しく負けちゃったんだぁ! あーん、残念~!!」

 

「うるさいぞ、美由希!!」

 

恭也が不機嫌そうに顔をしかめて怒鳴るが、美由希はくすっと笑いながらも、軽口を忘れない。

 

「ってことは、恭ちゃん。剣術勝負で勝てなかったから、その腹いせで政宗君を認めないってワケ~? うっわ! カッコ悪ッ!」

 

「イヤ~ン、恭也ったら……お母さん、幻滅~~~!」

 

「くぅっ……!?」

 

美由希に加えて、桃子からも追い討ちを食らい、恭也は言葉に詰まってしまう。

 

「お、お姉ちゃん! お母さんも! そういう言い方は――」

 

なのはが慌てて割って入ろうとするが、美由希は「冗談、冗談♪」と軽い調子で言いながら、今度は政宗の方へ向き直った。

 

「ごめんねぇ、政宗君。うちの堅物兄ちゃんがいろいろ迷惑かけちゃって。でも、恭ちゃんはただ、末っ子のなのはが可愛すぎて暴走してるだけなの。悪気はないから、そこは分かってあげてね♪」

 

「美由希! 余計なことを言うな!!」

 

恭也は真っ赤な顔で叫ぶが、美由希はケロリとしたまま笑みを浮かべている。

政宗は、そんなやり取りにどう返してよいものか分からず沈黙するしかなかった。

だが、その沈黙さえも恭也の逆鱗に触れたのか、彼は悔しげに歯を食いしばり、睨みつけてくる。

 

「ぐ…ぐぐぐ……! ふ、ふん! お前のような男を信用できるものか!! 俺は絶対に反対だ!!」

 

なおも意固地に言い張る恭也に、家族たちはとうとう呆れを隠しきれなくなる。

 

「恭ちゃんったら……ホント、なのはのことになると見境ないよね~」

 

「恭也。我が家の中で、そうやって子供みたいに駄々こねてるのは、もうあなただけよ?」

 

「そうだぞ。御神流の継承者なら、ちゃんと引き際を見極めろ。……本当はもう、政宗くんを認めてるんだろ?」

 

美由希、桃子、そして士郎からもたしなめられ、さすがの恭也も返す言葉をなくしかけていた。

それでも、なお政宗に対する敵意を捨てきれず――

 

「いいや! 俺は絶対に認めん! 伊達政宗! こうなったらもう一度勝負だ! 今度こそ、俺が勝ったら……なのはのことはきっぱり諦めてもらう!」

 

怒りで顔を真っ赤に染めながら、恭也は政宗を指差して叫ぶ。

その突飛な宣言に、政宗はもちろん、なのはや美由希、桃子、士郎までもが呆れ顔になる。

しかし、恭也本人は至極真剣なようで、自分の主張は間違っていないという確信を持っているようだった。

 

「恭ちゃん。いくらなんでもそれはないんじゃない? 大体、今さっき政宗君に負けたばかりだっていうのに、そんなすぐに再戦挑んだところで勝ち目があると思ってるの?」

 

「美由希の言う通りだぞ、恭也。お前も確かに強いが、政宗君はお前よりも遥かに剣の腕が立つ事がさっきの勝負ではっきりしたんだ。今のお前では何度挑んだところで、相手にもならないだろう」

 

美由希と士郎が冷静な声で恭也を諭そうとするが、恭也はフンっと鼻息荒く吐き捨てながら、首を横に振った。

 

「甘いな、父さん! 確かに木刀では俺の完敗だった。だが、あれは木刀だからこその話……“真剣”を使った勝負なら、同じようにいくとは限らん!」

 

「ッ……! おい、恭也!?」

 

士郎は、恭也が口にした言葉の内容を聞いて、彼がこれから何をしでかそうとしているのかを察すると、慌てて制止しようとするが、その前に恭也は動き出した。

そして道場の壁に駆け寄ると、そこに飾られていた真剣を手にとって抜いてきたのだった。

 

「っというわけで……次はこの真剣で勝負だあああああぁぁぁぁぁ!!!」

 

「おぉっ!?」

 

「お兄ちゃん!!?」

 

「ちょ、ちょっと、恭ちゃん!!?」

 

「「恭也!!?」」

 

突然の恭也の行動に、政宗は流石に少し慄き、なのはや美由希、桃子、士郎が驚いて恭也を止めようとしたが、恭也はさっきまでとは比べ物にならないほどの連続攻撃を政宗に放ちまくる。

 

「うおおおっ!! このっ!!」

 

恭也はまるで猛獣のように雄叫びを上げ、政宗に斬りかかった。

その攻撃は先程までの洗練された太刀筋ではなく、まさに力任せといった感じであった。

政宗はそれらを、なんとか木刀で防ぎ、いなしながら言う。

 

「いいかげん、落ち着けよ! なのはのbrotherなら、もっとCoolに構えろよ!?」

 

「誰が義兄(ブラザー)だぁぁぁ!! 俺は貴様を弟だと認めてはいなぁぁい!!!」

 

「いや、恭ちゃん…その解釈はちょっと無理があるよ…」

 

恭也は政宗の言葉を上手く勘違いをし、美由希にツッコまれる。

恭也の耳には聞こえてないが…

 

「お、お兄ちゃん、やめてってば!」

 

「安心しろなのは! 今こそ、この俺が……なのはにつく虫を排除する!!」

 

だから話を聞いてぇぇぇ!!

 

なのはの必死の声も、もはや恭也の耳には届いていなかった。

狂気じみた剣撃は止まることを知らず、次第にその気迫は凶気さえ帯び始める。

 

害虫め……貴様はここで消えろぉぉ!!

 

その時――

 

恭也く~~~~ん…♪

 

桃子がため息交じりに微笑みながら、そっと恭也の背後に歩み寄った。

そして、肩をぽんぽん、と軽く叩く。

 

すると、恭也の動きがピタリと止まった。

まるで時間が止まったかのように、一切の動作を凍りつかせる。

ゆっくりと振り向いた恭也の視線の先――

 

そこには、笑顔を浮かべたまま、しかし目だけがまったく笑っていない桃子の姿があった。

 

「か、母さん……?」

 

次の瞬間――

 

 

 

 

 

 

少し……頭冷やしなさぁぁぁぁぁぁい!!!!

 

 

 

 

 

 

 

ドスウゥゥゥゥゥゥゥン!

 

 

 

 

うぎゃああああああああああぁぁ!?

 

 

 

 

桃子は恭也の前髪をわし掴みにすると、そのまま道場の床に思いきり叩きつけ、無理やり沈黙させてしまった。

 

 

「「「「………………………」」」」

 

 

あまりに衝撃的な展開に、なのは、美由希、士郎はもちろん、政宗ですら唖然とするしかなかった。

唯一、恭也だけがピクピクと痙攣している。

 

「全くもう…恭也ったら。いくらなんでも真剣はやりすぎでしょうに」

 

そう話す桃子の声は普段よりも低く、表情は笑顔のままだが、目は全然笑っていなかった。

 

 

「あ、あの……お、お母さん…? 息子さん、脳天から思いっきり叩きつけられたんですけど……?」

 

 

恐る恐るといった様子で恭也の安否を尋ねる政宗……

あまりに衝撃的過ぎたのか、その言葉には滅多に使う事のない敬語までも用いられていた。

 

「えぇ、心配ないわ。高町家(我が家)では偶にあるの。恭也が特になのは絡みの事で、手に負えないくらいに暴走しちゃうのが…そういう時にはこうやって『頭を冷やす』のが一番効くのよ♪」

 

政宗は完全に呆然としながら、倒れたままの恭也を見つめる。

 

そんな中、「さてと…!」と桃子が手をパンと叩くと、一同の視線が一斉に彼女に集まった。

 

「これでしばらくは恭也は静かになるだろうし……政宗君、せっかく来たんだから、晩ごはん食べていって!今日は記念すべき、なのはの門出の日だもの。大盤振る舞いで、すき焼きにするわ~♪」

 

先ほどまでの鬼気迫る様子が嘘のように、いつもの明るい声に戻る桃子。

政宗はあまりの切り替えの早さに呆気を取られながらも、無意識に頷いていた。

 

すると、士郎もにこやかに歩み寄ってくる。

 

「そうだな、桃子! 未来の高町家の家族を歓迎して、今日は盛大にやろうじゃないか! 政宗君、君は酒はイケる口かな?」

 

「……あ、ああ。まあ、嗜む程度には…」

 

頷く政宗の背を、士郎は豪快にバンと叩く。

 

「よしよし! では、俺もとっておきの大吟醸を開けてあげるから、今夜はそいつで大いに飲み明かそうじゃないか!」

 

(こいつら…夫婦揃って、どこまでMy paceなんだよ…?)

 

政宗は内心でため息を吐きながらも、どこかホッとした気分になった。

 

「さぁ! そうと決まれば、早速宴会の支度をしないとね~! 美由希、恭也を部屋に運んで寝かせといて頂戴。なのはは政宗君をお風呂にでも案内して上げて。決闘で汗かいたでしょうから、シャワーでも浴びてもらうといいわ。……なんなら、2人で洗いっこでもしてきていいわよ?」

 

「ふぇっ!?」

 

「はあっ!?」

 

下品な笑みを浮かべながら爆弾を投下する桃子に、なのはと政宗が声を揃えて叫ぶ。

そこへさらに――士郎が追い打ちをかける。

 

「おおぉっ! だったら、父さんは二人の為に、客間に布団でも敷いてあげるかな?」

 

「ちょ、 待たんかーーい!? 意味わかって言ってんのかよ! オッサン!?

 

赤面しながらツッコむ政宗だったが、それよりも早くなのはが反応した。

 

「……あ、洗いっこ……布団……!?…って…!!? …ふにゅ~…!!」

 

なのははとうとう頬から湯気が出て倒れてしまった。

 

「お、おい! なのは?! 大丈夫か!? おぉい!しっかりしろ!?」

 

目を回すなのはの頬を叩く政宗の様子を見て、士郎は豪快に笑い声を上げる。

 

「ハッハッハッ! 母さん! これは高町家待望の孫の顔が見られる日も近いかもしれんぞ!」

 

「そうねぇ! どうせなら、野球チーム作れるくらい頑張ってほしいわね♪」

 

「だから何の話してんだぁぁッ!!?」

 

どこまでも自由奔放に振る舞い、勝手に盛り上がり続ける高町夫妻に全力でツッコミを入れる政宗に、美由希が近づいて耳打ちで囁く。

 

「ごめんね~。うちの両親ってば、いつもこんなノリでさぁ…」

 

「……」

 

美由希の言葉に思わず呆気にとられる政宗。

美由希は苦笑を浮かべながら、ポンっと政宗の肩に手を置いた。

 

「大丈夫。すぐに慣れると思うから♪」

 

「……なのはも大変だな。こんなEccentricなfamilyに囲まれて…まぁ俺が言うのもあれだけどよ」

 

政宗は苦笑まじりにため息をつくのだった――

 

 

 

その後、気絶した恭也は自室へと運ばれ、まもなく回復したなのはと、政宗は、桃子、士郎、美由希達家族とすき焼きを囲み、久々の家族との団らんの、賑やかで温かな時間がを過ごした。

そしてその夜、なのはと政宗は有意義な滞在を終え、転送ポートを通じてミッドチルダへと戻っていった――。

 

 

 

 

 

 

その夜。なのは達がミッドチルダへ帰った後…

海鳴市内にある、ある高級マンションの一室―――

 

広いリビングルームには落ち着いた照明が灯り、静かな夜の空気を切り裂くように、ひとりの女性の明るい声が響いていた。

 

「まぁ、なのはちゃんが! …そうなのねぇ。うふふ、ふふっ……お相手は、“伊達政宗”さんっていうの? 職場の方なのねぇ……ふーん、なるほどぉ」

 

スマートフォンを耳に当て、楽しげに話しているのは、緑色の髪を後ろで人括りに結んでいる女性だった。

年齢は壮年に差し掛かっているはずだが、見た目にはそれを感じさせないほど若々しく、優美な空気をまとっている。

 

「……あっ。うぅん! なんでもないわ。何にしても良かったわねぇ、桃子さん。………ウチのフェイト? …やぁね!あの子こそ真面目一筋、お仕事一筋みたいな感じだし、色恋話なんて一体いつになるのやら…」

 

どうやら電話の相手は、高町なのはの母――高町桃子のようであった。

 

「ええ。また今度、孫たちを連れて、お店に伺わせてもらうわ。そのときにでも、ゆっくり話を聞かせてちょうだいね。では、また」

 

通話を終えた女性は、スマホの画面を軽くなぞってから、それをテーブルに置いた。

その様子を見守っていたソファーに腰掛けた一人の男が、クックッと笑いながら声をかける。

 

「ほぉ~……その様子からして、やはり儂の読みは当たった…ってことかなぁ?」

 

「ええ、その通りよ。なのはさんは、お付き合いしているみたい。貴方の言う“小倅殿の好敵手(ライバル)”とね」

 

口元に手を当て、くすくすと楽しげに笑う女性…彼女は、リンディ・ハラオウン。

時空管理局総務統括官にして、機動六課分隊長 フェイト・T・ハラオウンの義理の母―――

そして、なのは達『機動六課』の後見人の一人を務めていた。

元々は時空航行艦隊の提督職に就いていたものの、現在は、前線を退いて本局勤務となり、海鳴市で嫁のエイミィ・ハラオウン(旧姓 リミエッタ)と孫のカレル、リエラと共に悠々自適に生活していた。

ちなみにリンディの息子で、フェイトの義兄にしてエイミィの夫であるクロノ・ハラオウンは母の後を継ぐ形で本局の時空航行艦隊の提督職についており、やはり機動六課の後見人を務めている。

そんな今は男手がいない筈のハラオウン家に、何故か一人の壮年の男がいる。

赤・青・黄の三色を基調とした和洋折衷の奇抜な装束に、口髭と顎髭をたくわえ、洒脱な風情を漂わせていた。

男は、リンディの話を聞いて、これまた面白がるように頭を掻いた。

 

「カァーーーーッ! あの“独眼竜”が人間(ヒト)の娘に惚れるたぁ、誰が想像したよ!? 昼間に“昌相”の奴から、『街で独眼竜が若い娘と腕を組んで歩いているのを見た』なんて話を聞いた時には半信半疑だったけど…まさか、そのお相手が“機動六課の分隊長”とはな。こりゃまた、次元世界(星の海)の縁ってやつは、面白いもんだねぇ!」

 

「ふふ、ほんとね。まさに不思議な巡り合わせ……。まぁ、“貴方たちの世界”の人たちが次々と機動六課に関わり出したあたりから、何かしら運命めいたものは感じていたけれど」

 

「おいおい、リンディ。そういう時は、“儂らが出会った時から感じてた”って言ってくれなくちゃ……そうじゃないと、寂しくて儂、枕を涙で濡らしちまうぞ~?」

 

そう言ってふざけたように肩をすくめる男に、リンディは頬をほんのり染めながら、柔らかな笑みで応じた。

 

「ふふ、それはまた別の話よ。“昌幸さん”…///」

 

リンディが頬を染めながら親しげに微笑むその相手――。

もしも彼の姿を、政宗や家康ら機動六課にいる日ノ本出身の面々が目にしたならば、衝撃を受けることは必至だった。

なぜなら、彼こそ、真田幸村の父にして甲斐武田軍の重臣。そして日ノ本屈指の智謀を誇る軍略家、人呼んで『戦国の奇術師』――――真田安房守昌幸に他ならなかったのだから。

 

これまで二度にわたり、昌幸は“幻影”という形で息子・幸村の前に現れていたが、その都度、居場所は巧みにぼかされていた。

 

だがその実、彼は――なんと、リンディ・ハラオウンの庇護のもと、海鳴市のこのハラオウン家に静かに身を潜めていたのだった。

 

「けど、本当にそれでいいの? せっかく幸村くんも機動六課にいるというのに…。あの子たちに、あなたが無事で、私の元で保護されていることを知らせてあげなくて…」

 

案じるように問いかけるリンディの声には、優しい気遣いと同時に、どこか寂しさも滲んでいた。

だが昌幸は、手をひらひらと振りながら、どこまでも軽妙な調子で応じた。

 

「いいの、いいの。前にも言ったろうけど、今の機動六課にいる儂らの世界の連中って、小倅殿以外はほとんど“東軍”側の連中だからねぇ…。そんでもって、儂は本来、向こう側にいた連中と戦ってた身……流石に大っぴらに合流、なんてできないっての。まぁ、小倅殿はもう割り切って、家康達と共闘する道を選んだみたいだけど、儂はどうにも…堂々と「家康殿、助太刀致す!」…なんて、とても言えないもんでねぇ…」

 

どこかすっとぼけた様子ながらも、口調の裏には、老練の武将としての矜持と複雑な思いがにじんでいた。

リンディはそんな昌幸の言葉に、小さく肩をすくめると、困ったような微笑を浮かべた。

 

「あらあら…これも“戦国武将としての意地”ってことかしら?」

 

「まっ!…っというよりはこの老いぼれの、つまらん意地とでも笑っておくんなさいな」

 

昌幸は肩をすくめ、冗談めかして言うと、照れ隠しのようにソファーの背に身を預けた。

 

「それよりも今気になるのは、お前さんの美人な娘と、小倅殿のことだよ。本当かねぇ? そのおたくのフェイトちゃんが、うちの幸村のことを気にしてるって話……」

 

ソファに肘をつき、頬杖をついた昌幸が、唐突に話題を切り替えてきた。

その声音は軽妙で、どこか楽しげだが、その鋭い眼差しの奥には老獪な観察眼が宿っていた。

リンディは少し驚いたように目を見開いたが、すぐに柔らかい笑みを浮かべる。

 

「えぇ。あの子、定期的に六課であった出来事を、ホログラム通信越しに私に話してくれるんだけど……。幸村くんの話題になると、なんだか妙に饒舌になるのよね。普段はどちらかといえば冷静で落ち着いた子なんだけど、あの子にしては珍しく、感情が言葉の端々ににじみ出てるっていうか……。それに、どんな話題でも、必ずと言っていいほど彼の名前が出てくるのよ。本人はまだ気づいていないみたいだけど、たぶん……心のどこかではもう、ね」

 

言葉を選ぶように、リンディは穏やかな口調で語る。

その声には母としての直感と、娘の変化を見守る温かなまなざしが込められていた。

 

「ふぅむ。つまりは、だ。事と次第によっちゃ、小倅殿も、独眼竜みたく“時空を越えた恋”ってものに発展するかも……? カァァーーーーッ! 甘酸っぱいねぇ!」

 

昌幸は嬉しげに膝を叩き、豪快に笑い声をあげた。

その様子はまるで、自分のことのように楽しんでいる親戚のおじさんそのものである。

だが、リンディはどこか心配そうな表情を浮かべ、やや真面目な口調で言葉を続けた。

 

「でも、大丈夫かしら…? フェイトは芯は強いけど、恋愛となると結構奥手になりがちだから。私の見立てだと、あの子はまだ自分の気持ちにすら、どういう意味なのかわかっていない状態みたいだし……。それに、幸村くんの方は――聞いた話では、女性自体がちょっと苦手なんでしょう?」

 

その問いかけに、昌幸は大きくため息をつくと、天井を仰ぎながら首を振った。

 

「そうなんだよねぇ…。そこんところだけは、儂もガキの頃から何度も矯正しようとしたんだけど、一向に治らなかった小倅殿の難儀な弱点でねぇ。元服するまでは、城に仕える侍女と会話どころか、目を合わせることすらできなかったぐらいだったもんさぁ…。今でも女の裸なんぞ見ようもんなら、鼻血ブーッからの貧血バターン!のお約束芸……。まぁったく、あれでも天下の武田の頭領かねぇ…。ちなみに自慢じゃないけど、儂なんか小倅殿の歳の頃にはもう毎晩の様に夜の店に繰り出して、茶屋女の2、3人同時相手で、そりゃもうバッコンバッコンと腰を激しく――――」

 

 

刹那―――バシュ!と光る弾が昌幸の頬を掠めた。

 

 

「昌幸さ~ん? そういうくだらないお話は、カレルやリエラの教育によろしくないからハラオウン家(ここ)では“絶対禁止”って約束したわよ…ねぇ~?」

 

 

人差し指を向けたまま、リンディが影と圧の入った柔和な笑みで忠告を入れる。

頬に熱いモノを感じる奇術師は冷や汗を流しながら…

 

 

「スミマセン。チョウシニノリスギマシタ…」

 

 

と片言で謝るのだった。

 

 

「……コホン。ま、まぁ、とにかく。親としては小倅殿のあの極端に初心な性格はどうも頼りなくって仕方ないんだよ」

 

そう仕切り直しながら、肩をすくめる昌幸の姿は、どこか呆れ半分、愛情半分といったところだろうか。

父親としての諦観の中にも、息子への深い情が透けて見える。

リンディはそんな昌幸の言葉に、思わず吹き出してしまいながらも、心底から安堵したように微笑んだ。

 

「うふふふ。けど、それくらい清純な人だったら、私としてはむしろ安心できるけど…」

 

母として、そして一人の大人として、彼女が望むのは娘の純粋な気持ちが傷つかないこと。

そして、その相手が誠実であるならば、それだけで十分だった。

 

「まっ、何にしても…好敵手(ライバル)である“独眼竜”に先を越されちまった、ってのを聞いちまった以上はねぇ。この儂としちゃあ、黙って小倅殿を見守ってるだけ…ってわけにはいかなくなってきたかなぁ…」

 

そう呟きながら、昌幸はゆっくりとソファから立ち上がった。

彼の動きには年齢を感じさせぬ軽やかさと、百戦錬磨の老将としての威厳が漂う。

そして、いつのまにかその手には、馴染み深い軍配が握られていた。

金属の穂先が取り付けられた、槍としても使用可能な愛用の一品。

それは戦場における指揮の象徴であると同時に、策を巡らせる際の“思考の錘”でもある。

昌幸が何かを企てる時――この軍配を手にするのは、彼にとって一種の儀式でもあった。

 

リンディはその姿を見て、苦笑を浮かべる。

 

「あらあら、昌幸さんってば。今度は何を始めるつもり?」

 

問いかける声に、昌幸は口元を吊り上げ、どこか悪戯っぽい笑みを浮かべた。

 

「なぁに。ちょいとおたくのフェイトちゃんにご挨拶でもしがてら――ここらで、小倅殿達には儂からひとつ“試練”ってやつを課してやろうかと思ってねぇ…」

 

その声音には、ただの思いつきではない確固たる意志がにじんでいた。

戦場を生き抜いてきた兵法家として、そして一人の父として、見届けるだけでは足りぬと判断したのだろう。

 

“恋”という新たな戦場に挑みつつある若き者達に対し、“戦国の奇術師" 真田昌幸が動き出す――それはきっと、ただの悪ふざけでは済まされぬ、何かが始まる予兆だった……

 

 

 

 

ちなみに…

 

 

 

海鳴市のあるマンションで、一人の策謀家が何やら思案を巡らせ始めた頃…

恭也は目を覚ましたかと思いきや…

 

伊達政宗ぇぇぇぇぇ!! このくらいでこの高町恭也がお前をなのはの恋人と認めると思ったら大間違いだからな! 覚えてろおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!

 

っと相変わらず、政宗へと嫉妬、警戒、そしてなのはの兄としての過剰な防衛本能。

それらが渾然一体となり、恭也は叫んだ。

 

奴が“六刀流”なら、俺は……七刀、否ッ! 八刀流だッ!! 次に奴がこの家へ来る時までには、究極奥義『御神八爪流(みかみはっそうりゅう)』を完成させて、あの忌々しい眼帯チンピラに御神流の真の恐ろしさを、その身で思い知らせてやるうぅぅぅぅぅ!!

 

そのまま血走った目をしたまま道場へと籠もり、恭也は謎の修行に突入する。

だが、常識と肉体は彼の妄執にはついてこなかった。

 

全部の指の隙間に刀を挟んで持つ“八刀流”を無理に試みて全指を腱鞘炎にし、妙な体勢で長時間構えを続けて腰を痛め、さらには「変な新技を考えるのはやめろ」と士郎に本気で叱られ、怪我の治療をする美由希には「お兄ちゃん、さすがに無茶すぎ」と半笑いで茶化され――

 

結局、野望は夢と散り、道場には湿布の香りとため息が漂うばかり。

 

こうして、高町恭也の“御神八爪流(みかみはっそうりゅう)”は、完成どころか始まる前から終焉を迎えるのだった――。

 




紆余曲折ありながらも、恭也以外の高町家の皆さんからお墨付きを頂けましたなのは×政宗のカップル。

だけど、まだ厄介なのが伊達家の方にもいるんですよねぇ…
そう…『片倉小姑』…ならぬ片倉小十郎というおじゃま虫が…
ホント、あれを納得させるには一体全体どうすりゃいいんでしょうかねぇ…?
書いてる側でありながら、ホント頭悩ませます。
作者的には、恭也よりも小十郎を納得させるのが骨がおることになると思いますw

そして、前々から一部の読者には察せられていましたが、幸村のエキセントリック親父 “戦国の奇術師”真田昌幸の転送・滞在先は海鳴市のハラオウン家でした。
しかも、リンディさんとはかなり親しい仲になっているご様子…w
オリジナル版ではこのポジションにいたのはなんと“素敵紳士”こと最上義光というあまりに場違い過ぎたチョイスでした。まぁ、当時はまだ「真田幸村伝」発売されてませんでしたから…。

とにかく、今だから言えますがオリジナル版で最上とリンディをくっつけてしまったことは自分でも後になってめっさ後悔する大失敗だったのですが、こうして適任者ともいえる御方=昌幸が登場した以上、よろこんで最上にはお役御免とさせることにしました。
まぁ、最上のキャラ自体は嫌いじゃないので、リブート版でもポジションを変えて登場させる予定ではありますが…
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