リリカルBASARA StrikerS -The Cross Party Reboot Edition- 作:charley
晴れて恋人となった政宗を連れて、実家である高町家へ帰省したなのは。
しかし、政宗をなのはに付く悪い虫と判断したなのはの兄 恭也は政宗に決闘を申し込む。
しかし、政宗は決闘で見事、恭也を打ち負かし、なのはの父 士郎からも認められ、交際のお墨付きを貰うことに成功。
一波乱、二波乱とありながらも無事に(恭也以外の)高町家から受け入れられた政宗であった…
小十郎「リリカルBASARA StrikerS 第七十一章 政宗様、高町……後で話が……」
シグナム「…キャプションの挨拶にまで“小姑”モードを発動させるな」
なのはと政宗が海鳴市へ出かけていたその日…
ミッドチルダ首都クラナガン某所―――
陽が落ちて間もない時刻…とある雑居ビル内の1テナントである保険屋の一室は剣呑な雰囲気が包みこんでいた。
「で? 『保険が下りて買い直したバイクが納車当日に壊されたから、もう一回保険を使わせてくれ』って? そりゃいくらなんでも虫が良すぎりゃしませんかぁ、グランセニックさん? 2台目ですよ? 2台目!」
パイプ椅子と長机のセットに腰掛けた黒いスーツを着てメガネをかけた中年男性会社員が嫌味ったらしく話しながら、手に持ったタバコで、机を何度も叩き、目の前で土下座をする青年…機動六課・ヘリパイロット ヴァイス・グランセニックを軽蔑の視線で見つめる。
その隣では彼の後輩らしき若い青年社員が同じく、ヴァイスを蔑視しながら腕を組んでふんぞり返っていた。
「そこぉを何とか!!」
一方のヴァイスは必死に土下座をして頭を地面に打ちつけんばかりの勢いで何度も下げながら懇願していた。だがそんな彼を冷ややかな眼差しで見る中年社員は、タバコを吸いながら鼻で笑う。
「あのねぇ、私達保険屋は慈善事業じゃないんですよぉ? こんな事、あまり大声で言いたくありませんが、こっちだって一応商売なんですから。そこんところわかってますぅ?」
そう厭味ったらしく言い放ちながら、中年社員が隣の青年社員に同意を求めるように顔を向けると、彼もウンウンと首を立てに振った。
「そうですよ! 大体ねぇ、たった1ヶ月の間に最新型のバイクを立て続けに2台も廃車にするなんて常識的にありえないでしょ? しかも廃車の理由も何これ? 一回目は『職場の同僚に盗まれた挙げ句、敵対自律兵器への特攻に使われた』…? 二回目は『職場に違法着陸した飛行機の下敷きにされた』って…あんた我々をおちょくってるんですか?」
「いやホントなんですって!! 確かに理由としては常識外れな内容だって事はわかってますけど、ホントのホントにこういう理由なんですから書かざるを得ないんですって!! 信じてくださいよおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!」
「信じろっていうのがまず無理ですよ! 詐欺目的だとしても、もうちょっとまともな嘘考えたらどうなんですか?!」
顔を近づけて唾を飛ばしながら捲くし立てる自分よりも若干年若い青年社員の言葉に、ヴァイスは半泣きになりながら弁解する。
「違います! 詐欺でも嘘でもなくて、事実なんですうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!」
必死に弁解しながら、ヴァイスは自分の今のあまりに惨めな姿に「どうしてこうなった…?」としか思わざるを得なかった。
実際自分はここ最近、尽くツキに恵まれないのだ。
先の『潜伏侵略事件』の折には、緊急事態における対処とはいえ、部隊長のはやての独断で、自身のバイクを委託隊員 伊達政宗に勝手に貸し出され、挙げ句、政宗の無茶苦茶な運転でクラナガン郊外の市街地を中心に甚大な被害を出す大事故を起こした果てに、バイクを敵の新型ガジェットドローンへ特攻に使われ、敵機諸共木っ端微塵になって海の藻屑と消え果てた……
その時は事情が事情だけにどうにか保険が下りた事で、数日後に新車のバイクになって返ってくる事になったのだが、その納車当日…その日、分隊長の高町なのはと見合いを行う予定であった地上本部事務次官 ザイン・コアタイルの息子 セブン・コアタイルが迎えに寄越したコアタイル派の私兵『
こうして一ヶ月の間に2度も愛車のバイクを壊されるという不幸に見舞われたヴァイスは、こうして、どうにか2度目の損害保険が下りるように保険屋へ直談判に出向いてきたというわけだったのだが…
「とにかくねぇ、グランセニックさん、こんな非常識極まりない事例、我が社はおろか、ミッドの保険業界の間でも前例のない話ですよ? 仮にアンタの話を信じて保険下ろしたとして…今度は『怪獣が現れてバイクを食べちゃった』とでも言い訳考えて、また図々しくウチにたかりに来る魂胆じゃありませんかぁ?」
っと中年社員は、頭を下げ続けるヴァイスに対して、うんざりした口調で答える。
「そんなつもりはありません!! 俺だって恥は重々承知でこうして来てるんですよぉぉぉ! 他の保険会社や整備工場に行っても同じ様な対応されるだけだし、 大体、今までの2台だって、どっちも別に自損事故で壊したわけじゃないんです!端的に見れば『職場の騒動のゴタゴタに巻き込まれた』ことで起こった不幸な事故なんですよ?! ねっ!? つまり、こっちは被害者なんですぅぅぅ?!」
「…そんなこと言われてもねぇ…だったら、それぞれバイクを壊した相手さんに直接文句でも言ったらどうなんですか?」
「うっ…!?」
痛いところを突かれたヴァイスは言葉に詰まり、冷や汗をかく。
「とにかく…我が社としては、これ以上グランセニックさんにバイクの保険を下ろすわけには参りませんので。分かりましたか? 分かったなら、とっとと帰ってください」
「そ、そんな殺生な?!」
中年社員がタバコの煙を吹きながら冷たくあしらうと、ヴァイスは頭を上げて叫びだす。
「いやいや、流石にそれはあんまりでしょ?! 俺、何か悪い事しました!? バイクだって大事に扱っていたし、運転する時はちゃんと交通ルールも厳守して、運転免許だってゴールド! 無事故だったんですよぉ!? 」
「でもあなた一台目のバイクが壊れた時に、『市街地に甚大な被害を及ぼす大事故を誘発した』という事でノーマル免許にランク落ちされてますよね?」
喚き散らすヴァイスを余所に、青年社員が口を挟み、厭味ったらしく追求してきた。
「だから、あれは俺じゃなくて、
「はいはい、アンタの言い訳はわかりました。ですが、保険会社としては個人の証言よりも、交通課の公式記録というものがより信頼できる情報なのですよ。そしてその記録では、”貴方”名義のバイクによる”暴走行為”が原因で『市街地に多大な被害を出す大惨事を引き起こした』と記録されているのです。…何にしたって自分の所有物もまともに管理・運用できない人にこれ以上保険は下ろせませんよ」
「そ、そそ、そんなっ!!?」
淡々とした口調で告げられた事実に、ヴァイスは愕然とした表情を浮かべる。
「……大体ねぇ、グランセニックさん。そんなにご自分が悪くないって仰るのでしたら、職場の上に掛け合って、『労災保険』を適応してもらう様に申請してみたら如何です? 少なくとももうそれでしか、貴方の大事なバイクを取り戻せる方法はないかと思いますよ?」
「そ、そんな事を言わずに! どうかお慈悲を…お慈悲を下さいっ! お慈悲を下さいいぃぃぃぃぃぃぃ!!」
ヴァイスが涙目になって懇願してくる様を見て、ついに我慢の限界に達したのか、青年社員は椅子から立ち上がると、テーブル越しに身を乗り出して、ヴァイスの両肩を掴み、顔を近づけて怒鳴りつける。
「だぁーっ!! しつこいぞテメェェェッ!? いい加減にしねぇとその顔に唾吐いてやんぞゴルァ!? カァァァァァッ…ペッ! ペッ! ペェェッ!!」
「ギャアアアアアアァァァッ!! もう吐いてんじゃん!? ひでぇぇぇぇぇ!! コンプライアンス違反ーーーーーッ!!?」
「うるせえぇ! コンプラも天ぷらもあるか!! さっさと出てけこのインチキ野郎が!!」
っと理不尽極まりない怒りと共に、青年社員はヴァイスの首根っこを引っ掴みながら立ち上がって、そのまま彼を引きずり始めた。
*
「今度来たら!詐欺で陸士隊に突き出すからな!!!」
――数分後、ヴァイスは青年社員によって、会社の外へと放り出された。
「ひ…ひどい…あんまりといえばあんまりだぁぁ…」
首筋を押さえ、目には涙を浮かべ、よろめきながらヴァイスはそう泣き言をぼやきつつ、ビルの前の道路へと出て行った。
「ヴァイスの旦那!」
そこへ、逆立てた明るめの茶髪をヘアバンドで止めた青年…機動六課 委託隊員の一人 猿飛佐助が慌てて駆け寄ってくる。
「旦那! 大丈夫?! なんかかなり服乱れてるけど…!?」
「あ……うん、何とか……」
心配そうに声をかけてきた佐助に対して、ヴァイスはガックリと肩を落しながら答える。
「そっか。ならよかった…ってわけでもなさそうだね…」
ヴァイスの表情に何かを感じ取ったのか、佐助は苦笑する。
「や、やっぱり…ダメだったわけ?」
佐助が恐る恐る訊ねると、ヴァイスはコクリと項垂れる様に首を縦に振った。
「あぁ……俺のこと『詐欺』だの『インチキ』だの散々言われた挙げ句に唾吐きかけられながらつまみ出されたよ……。なぁ、佐助っち。俺なにか悪い事したかなぁ…? ってかバイク壊れたのって俺のせいじゃないのに…なんで俺がこんな目に遭うの? ねぇ…?」
「…………」
自嘲気味に笑うヴァイスだったが、その両目からは滝のように、涙が音を立てずに流れている。
それはかえってその悲壮感を引き立たせており、これならまだ一思いに声を上げて号泣してくれた方がマシだと、佐助は困惑するのだった。
先日のなのはのお見合い事件の折、
そして、今夜、意を決して保険会社の店舗へ直接乗り込んだというわけだったが…結果はご覧の通り……
そのショックで今に至るというわけである。
「う~ん……まあこうなったら、やっぱり『労災保険』下りるようにはやてちゃんに頼むしかないんじゃないかなぁ?」
「だよなぁ…はぁ~…でもそんなすんなり『労災』なんて認められると思う?」
「…楽じゃないだろうけど」
ヴァイスの言葉を聞いて、佐助は目を逸らすように俯いた。
一台目の時は、敵軍の襲撃を受けるという非常事態の最中であった上に、はやてが勝手にヴァイスのバイクを政宗に貸してしまった事が原因であった事から、はやても流石に罪悪感が少なからずあり、わりとすぐに保険が下りる様になんとかしてくれた。
しかし、二台目の時は、外部の部隊が原因で起きた完全な事故であり、それも事故の原因となった航空機が着陸するような場所でバイクの清掃をしようとしていたヴァイスにも非がある為、そう簡単にはいかないだろう。
仮にこちら側の非を差し引いたとしても、相手は傲慢極まることで有名なあの「星杖十字団」…しかも被告である筈のR7支部隊は先のラコニア魔竜事件で壊滅状態とのことで既に亡きも同然の部隊を訴えることもできない。
そもそも、はやてから聞いた話によると、地上本部の管轄下である
さらに悪い事に、先のなのはのお見合い騒動で地上本部ではレジアス一派に次いで力の強いコアタイル派からも目をつけられた事で、今後は更に地上本部を相手にした申請を通してもらうにも一苦労することになるとの事だった。
つまり、今回の件に関しては、『労災保険』という最後の砦さえも、既に望みが薄い状態にあったのだった。
「あーもぅ! なんでこうなるのぉぉぉぉぉ!! なんで俺ばっかりこんな目に遭わなくちゃいけねぇんだよ!?チクショーーーーーーッ!!」
「旦那!気持ちはわかるけど落ち着いて!」
再び喚き散らし始めたヴァイスを宥めながら、佐助は頭を抱えた。
(参ったなぁ…こうなったら、酒でも奢ってやって、今夜一晩愚痴に付き合ってやるしか方法はないかな?)
佐助がため息交じりに考えていると…
「……なんだ? 聞き覚えのある声がすると思ってきてみたら…お前達か? ヴァイス、猿飛…」
「え?」
背後から突然聞き覚えのある声をかけられ、佐助とヴァイスは振り返る。するとそこには、色黒の肌に白髪頭に犬の耳の様なものが生えた筋骨隆々の獣人の男性が立っていた。
「あれ? 誰かと思ったら、ザフィーの旦那じゃないっすか!?」
佐助は驚いた様に目を見開き、その男性……ザフィーラに向かって手を上げた。
普段、機動六課では青い毛皮の狼の姿でいるはずのザフィーラが珍しく人間態で街中を歩いている事に意外そうな表情を浮かべる。
「どうしたの旦那? 旦那が戦場以外でその姿で出歩くなんて珍しい事もあるもんだねぇ」
佐助が訊ねると、ザフィーラは「うむ…」と小さく首肯する。
「実は今日は主はやてより久々に休暇を貰ってな…普段であれば、隊舎で鍛錬か瞑想でもして過ごしているのだが、今日はちょっと行きつけのある所に行くために、こうして久々に
ザフィーラは、その巨体に見合った大きな手で頭を掻きながらどこか照れくさそうに話す。
それを聞いて、佐助もヴァイスも意表をつかれた様な驚きの表情を見せた。
「えっ!? 旦那の”行きつけ”の場所…!? 意外だなぁ…旦那がそんなちゃんと人間の集う場所に足を運ぶ事なんてあったんだな…。なぁ、佐助っち」
「あぁ、俺ぁてっきり、旦那ってば、任務以外で外出る時といえば、適当な散歩コース回ったり、近所のドッグランに行く時とかだけだと思ったよ」
「……お前達…我を完全に犬と思っているのだろ?」
二人の言葉に、ザフィーラは無言のまま眉間にシワを寄せて、不機嫌そうに睨みつけた。
「ちょ…旦那!! 冗談だって!…そんな怖い顔しないでくれよぉ~!」
「そ…そうそう」
佐助は苦笑しながら弁解し、ヴァイスは誤魔化すように笑って機嫌直しにかかった。
「……まぁいい。今の戯言は聞かなかった事にしてやる……それより、お前達こそこんな所で何をしていたんだ?」
『ほっ』っと、二人は安堵のため息を漏らすと、改めて自分たちの用向きを話した。
「いや、それがさ…こないだ壊されたヴァイスの旦那のバイクの事で、保険屋になんとか保険適用をお願いにきたんだけど…流石に3度目は無理って追い返されちゃってさぁ…」
「………お前確か、そのつい前にも壊されたって嘆いていただろうに…この短期間の間に2台も立て続けに壊したのか?」
冷や汗を浮かべ、呆れたようにため息を吐きながらヴァイスを見つめるザフィーラ。
しかしヴァイスは、即座に両手を振って否定する。
「だから俺は無実なんだって!! 畜生! 旦那まであんまりだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
ヴァイスは必死に訴えかけつつ、また泣き喚き始めてしまった。
そんなヴァイスの姿にザフィーラは深いため息を吐き出した。そこへ佐助が近づいてくると、耳打ちで話し始めた。
「ザフィーの旦那ぁ~。ちょっとなんとかしてヴァイスの旦那を慰めてくれない? このとおり、ヴァイスの旦那ってばすっかり落ち込んで、さっきから情緒不安定もいいとこでさぁ…。俺様もほとほと困ってんのよ~」
「むぅ…仕方あるまい」
ザフィーラは、佐助の言葉に小さく首肯すると、ヴァイスの方へ歩み寄った。
そして、ヴァイスの前に立つと、静かに口を開いた。
「ヴァイス。お前…この後、用事はないのか……?」
「うぇ? なんですかぃ? 旦那ぁ……」
ヴァイスは涙と鼻水まみれの顔を上げて、ザフィーラを見上げた。
「………少し付き合え。気晴らしに一杯奢ってやる。猿飛…お前もだ」
「……ふぁ?」
「マジで?!」
その意外な申し出に、ヴァイスと佐助は目を丸くさせた。
*
ミッドチルダ首都中央区画湾岸地区南駐屯地C50区画―――
そこは、比較的中所得者層から低所得者層までの広い層の人間が集う繁華街があり、比較的人通りの多いエリアである。
そんな繁華街から少し離れた場所にある小さな公園…っというよりは広場に近い、遊具もなにもない歩道の延長線のような場所へ、ザフィーラと佐助とヴァイスの三人はやってきていた。
平時であれば、目立ったものは何もないこの場所に、今は大勢の人達が集っていた。
その人の集りの輪の中心にあったのは一台の屋台の出店であった。
「ここが…旦那の行きつけの場所…?」
佐助は辺りを見回し、首を傾げる。
どうやら、そこは屋台を中心に営むレストランのようであり、既に屋台の周りに設けられたテーブル席では、多くの人々がテーブルについて食事を楽しんでいる様子だった。
勿論、屋台に設けられた席も満席で、客たちは皆笑顔を見せながら食事をとっている。
屋台の屋根には達筆な筆文字で大きく店名の書かれた看板が掲げられていた…
『鮨処 BUSHI堂』―――
「へぇ~、こんなところを行きつけだなんて、旦那も意外と粋な一面があったんだなぁ…」
「でもどうして、ここを行きつけに…? もしかして、店の裏で残飯分けてもらったりしてんの?」
ヴァイスが興味津々に店の様子を一瞥する中、佐助は冗談めいた口調でザフィーラに尋ねた。
「バカを言え! ちゃんと客として訪れている!」
ザフィーラは慣れていない口ぶりでツッコミを入れた後、改めて店の方に視線を向けた。
「ここは…主はやてをはじめとする管理局員の間でも話題になっていた『幻の屋台』……」
「「『幻の屋台』?」」
二人の言葉に、ザフィーラはコクリと小さく首肯した。
この店は、その名の如く一定の場所にとどまる事なく、常に移動を繰り返しているのだという。
それも現れるのは首都クラナガン近辺にとどまらず、ミッドチルダの各地…果ては次元の海を超えて、管理世界の各地はおろか、管理外世界の未開の場所にまでその店の存在を確認した…なんて噂もあるそうだ。
しかも、この店の店主もまた一曲二癖と強い人間で、どこの土地でどれくらいの期間営業するかは、全てその場の思いつきで決めてしまい、ある時突然フッと消えてしまう形で次の営業場所へ向かってしまうという…
その為、店の所在地を自力で探し出して、訪れる事は非常に難しく、レア度が高い幻の店として扱われており、その味を知るものは管理局内でもほんの一握りしかいないという。
だが、その店の料理の味はどれも絶品な上、店主である”マスター”なる者は、どんな注文を受けようとも二つ返事で拵えてしまうのだという。それがどんなに無理難題なメニューであっても…故に、幻とされる所以らしいのだが……。
そんな様々な噂や謎が言い交わされているというこの店には、ただ一つだけ共通して言える事があるのだという。
それは……
“この店で出される食べ物は全て美味であるが、唯一 寿司だけは注文しようとする人間が殆どいない”ということである。
『鮨処』というのだから寿司屋である筈なのに…何故なのか? その理由を知る者こそいるも、何故か皆一様に言葉を閉ざしているのだという…
ただの噂に過ぎないのか? それとも何か理由があるのか? いずれにせよ、ザフィーラはある休暇日にクラナガン郊外の山にでかけた帰りに、偶然この店に立ち寄り、そこでこの店の店主『マスター』と意気投合して以来、常連として、この場所に店が来ている事を確認しては、時折訪れてはここで食事をとっていたのだと言う。
今回ヴァイスと佐助を連れて訪れたのもこの為だという。
丁度屋台の席に座っていた3人の客が会計を済ませて帰っていくのを確認したザフィーラは二人を引き連れて、屋台に向かって歩いていく。
そして、暖簾を潜って中を覗くと、そこには佐助やヴァイスの予想していたものの何倍、何十倍と濃い印象の人物が働いていた。
「……座る?」
3人を出迎えたのは何故か顔の上半分に片角の折れた黒鬼の面を被り、歌舞伎の鏡獅子のような赤い長髪の付いた異様な風体の板前の男であった…
「……マスター。我だ…」
ザフィーラはいつものようにカウンター席へ腰かけると、無表情のまま淡々とした口調で声をかける。
すると、男はチラッとザフィーラの方を見てから、再び調理台へと視線を落とす。
「……」
しばらく沈黙が続いた後、男はザフィーラの後ろで呆気にとられた様子の佐助とヴァイスの顔をじっと見つめ、小さく顎で促した。
「……座る?」
「へっ!? 『座る』…?」
一言だけ声をかけてきたマスターの意図がわからず、佐助とヴァイスが戸惑っていると、先に席についていたザフィーラが助け舟を出すように話しかける。
「一般の食事処でいう『いらっしゃいませ』という言葉を、マスターなりに表現した言葉だ…2人共、とりあえずここへ座れ」
「あ、そういう事ね…」
「ど、どうも……」
二人は軽く会釈しながら、ザフィーラの隣の席に並んで腰を下ろした。
「……」
3人が屋台のカウンター席についた事を確認すると、マスターはスッと手を一瞬だけ動かす仕草をする。
「…酒」
「「えっ…? って嘘ぉぉッ!?」」
マスターの言葉に促されるように佐助とヴァイスが、ふと目の前のカウンター席の上をみると、佐助の前には日本酒の熱燗、ヴァイスの前には中ジョッキの生ビール、ザフィーラの前にはトウモロコシ原料の蒸留酒…地球で言うバーボンのオン・ザ・ロックがそれぞれ用意されていた。
それは、それぞれ店に来る前に、飲みたいと思っていた酒であった。
そのあまりの手際の良さ…っというよりはまるで手品のような早技に思わず二人が驚く中で、ザフィーラは慣れているのか特に驚いた様子を見せずにバーボンロックを口に含んだ。
その様子を見た佐助とヴァイスは慌てて自分たちもそれぞれの酒を飲んで喉の渇きを抑える。
「ぷはぁ~! なにこれ、美味!? 日ノ本でもこんな美味い酒滅多に呑む機会ないって!?」
「っていうか…マスター……なんで俺達の飲みたい酒がわかったの!? 何? マスターって魔導師?」
佐助が酒の旨さに感激している隣で、ヴァイスは先ほどのマスターの動きに何かしらの魔法が作用したのではないかと疑った。
しかし、そんなヴァイスの問いかけに対して、マスターは特に何も答えずに黙々と調理を続けていく。
「……マスター。いつものを……この2人にも同じものを…」
ザフィーラが言葉数少なめに注文すると、マスターは黙ったまま小さく頷き、カウンターの上にそれぞれ三人分の寿司下駄を置いた。
「えっ!? 旦那が奢ってくれるって…もしかして寿司…?」
ヴァイスが自分の前に置かれた寿司下駄を見つめながら尋ねると、ザフィーラは無言のまま小さく首を縦に振った。
「マジで!? やったぜ佐助っち!」
「あぁ! 久々に美味ぇもんがタダで食える!」
佐助とヴァイスは喜びの声を上げた。
「……では頂こう」
「あざーす!! んで、寿司のネタは何? マグロ? イカ? ホタテ? イクラ? エビ? 穴子?」
佐助が早速とばかりに嬉しそうにはしゃぎながら尋ねるが、ザフィーラは静かに目を閉じて、寿司が出されるのを待つ。
「慌てるな…まずは品が来るまで静かに待て……」
ザフィーラの言葉の”圧”に、佐助とヴァイスはピタッと口を閉ざして、目の前の寿司に意識を向ける。
「…食う?」
するとマスターは、ザフィーラ達の前に置いた寿司下駄の上に、それぞれ一貫ずつ完成した握り寿司を乗せた。
「「………うん?」」
それを見た佐助とヴァイスは一瞬驚いた様子を見せるも、すぐに呆気にとられた表情に変わり、それからお互いに顔を見合わせながら戸惑った表情を浮かべた。
それはヴァイスは勿論のこと、日ノ本出身である佐助をもってして、今まで見たことがない寿司ネタであった。
酢飯の上に乗っていたそれは、鮮やかなピンク色の光沢に、表面がぬめっとした質感がして、何かの生の切り身である事だけはわかる…しかし、それが何かの魚なのか、貝なのか、そこまではわからない。そもそも、こんな色の魚や貝など見たこともなかった。
「あの…ザフィーの旦那…? これは一体…?」
「……まぁ、食ってみろ。飛ぶぞ」
「「えっ…!?」」
ザフィーラの口から出た、彼らしくもない言葉に佐助とヴァイスは困惑する。
「それと……マスター。すまないが…」
「……醤油」
マスターはザフィーラの言葉が終わらない内に、3人の前にそれぞれ醤油の入った小皿を用意していた。
その手際の良さに再び佐助とヴァイスが驚き、戸惑っているのを他所に、ザフィーラは慣れた様子で、謎のネタが乗った寿司を醤油につけて、口に入れた。
「……遠慮はいい。お前達もやれ」
ザフィーラの言葉に促されるように、佐助とヴァイスも恐る恐るだが、寿司を箸で掴んで口に運ぶ。
そして、ゆっくりと噛み締める……
シャリは絶妙な加減に握られており、柔らかく、噛む度に上品に調合された合わせ酢の甘酸っぱい味が広がる。
そして肝心のネタであるが…悪くはない…否、寧ろ美味い。
美味いのだが…それは今まで食べたどの寿司とも異なる、なんとも表現し難い味だった。
そして、何よりも…寿司のネタにしては妙に弾力の強い固い食感…それに、明らかに魚介類ならではの生臭さとは異なる奇妙な香りが口の中一杯に広がるのだ…
「これなんか……固いね…?」
「うん……。歯応えがあって、味も悪いもんじゃないんだけど……なんだろう? このなんとも形容し難い味……」
2人は戸惑いながらも、寿司を味わい飲み込むと、先に食べ終えていたザフィーラが静かに声をかけてきた。
「どうだ…? 初めて食べる味であろう…?」
「う、うんまぁ…確かに悪くはないけど…今まで食べたことがないからなんとも表現し難くて…」
「そうか……ではマスター。今度は“アレ”を…」
佐助の返事を聞いたザフィーラは再びマスターに向かって注文をした。
…かと思いきや、気がつくと3人の前にはもう次の寿司が一貫ずつ出されていた。
「…お待ち」
「「早っ!?」」
2人が驚く中、ザフィーラは淡々と出された寿司を食べ始める。
今度の寿司もまた、佐助、ヴァイス共に、見たこともないネタであった。
質感はまたさっきと同じ様に生の切り身のようではあるが、今度はその色が真っ黒なのだ…ここなしか、魚介系と異なる生臭さもまた一貫目よりもキツく感じる。
佐助はいよいよ心配になってザフィーラに尋ねる。
「あ、あの、ザフィーの旦那……?」
「……なんだ……?」
「この寿司って一体……?」
「…………」
ザフィーラは無言のまま、寿司を口に運んだ。
「……まずは黙って食ってみろ…って事なのか?」
ヴァイスがザフィーラの態度を見てそう呟きながら、恐る恐る自分の分の寿司を手にとった。
ヴァイスは佐助に目配せすると、覚悟を決めて二人同時に寿司を口の中に入れた。
「「……うぉっ!?」」
その瞬間、2人共驚愕して思わず声を上げた。
先程の寿司とは打って変わって、この黒い寿司ははっきりと「旨い!」といえるだけの味であった。
見た目は黒くて不気味なのに、噛めば噛む程に独特なコクのある深い味が染み出す…
…それはまるで、魚というより肉に近いような感じであった。ひとつだけ気になるのといえば、口に入れた途端、先程と寿司とは異なった独特な香りが口の中に匍う様に広がった事だが、それを差し引いても、これはなかなかにいける。
しかも口に含んだ途端、身体の芯がカッと熱くなっていく様な感覚を覚える。
なんとも不思議な寿司であった。
「……なぁ、旦那。さっきから俺達、一体何の寿司食わされてんだ?」
ヴァイスはザフィーラに問いかけると、彼は静かに尋ね返してきた。
「どうだ? どちらも美味いものだったろう?」
「あぁ…まぁ……どっちも、匂いや食感のクセがちょっと気になったけど、味は寧ろ、よかったかな」
「そうだな。俺おかわり欲しいかも…?」
2人はザフィーラに同意するように首を縦に振ると、ザフィーラはおもむろに語り始めた。
「そうだ。今食べた2つの寿司ネタは……どちらも決して大衆から好まれて食べられているものではない、いうなれば日陰の存在…しかし、味と栄養価は誠に最高のものと、俺は評価している…」
「へぇー……。旦那にそこまで言わせるなんて、こりゃ余程のものだな」
ヴァイスは感心したように言うと、ザフィーラは続けて言った。
「今我らが食べた寿司は…機動六課における我らそのものと思わないか…?」
「「へっ!?」」
突然のザフィーラの言葉に佐助とヴァイスは目を丸くする。
ザフィーラが続ける。
「ヴァイス、お前の役目はヘリコプターによる空中輸送要員…。猿飛は、忍者としての諜報と工作…。そして我は要人警護と遊撃要員…。我等3人の六課における務めは、隊長達や、フォワードチームのように前線で戦う者達ほど、目立つものでなく、時に損な役割を担う事もあるかもしれない“日陰”な役目と思う者もいるやもしれん……しかし、我らの様な“日陰”と侮られるような目立たぬ役割を務める者こそ、組織を動かす上では、大切な屋台骨であり、その存在はとても重要なものではあるのではないか?」
「旦那……」
ヴァイスは真剣な表情で言うと、佐助もそれを聞いて頷く。
「なるほどねぇ。ヴァイスの旦那みたいな存在がいてこそ、フォワードの皆やなのはちゃん達、そして真田の大将や独眼竜、徳川の旦那達が思いっきり活躍できるって言いたいわけね?」
「そういうことだ」
ザフィーラは静かにそう答えると、ヴァイスはザフィーラを真っ直ぐに見つめて尋ねた。
「旦那が言いたい事は分かったよ。でもさ……だったら俺のバイクが壊される事にはどんな意味があるんだろうな…?」
ヴァイスはザフィーラに向かって尋ねる。
「…まぁ、2回目の『星杖十字団』にやられた事に関しては『不幸な事故』としかいいようがないが…しかし、最初のバイクを壊された一件については、お前のバイクが、敵からの襲撃をしのぎ切る切り札を担ったと、我は思うぞ」
「…どういう事?」
ヴァイスが尋ねるが、佐助はその様子を見ながら、ザフィーラの言おうとしている事をいち早く理解していた。
つまり、ザフィーラはヴァイスのバイクがあったからこそ、政宗は、敵の罠にかかって窮地に陥ったなのはの下に、いち早く駆けつける事ができ、その結果、なのはを無事救出して、敵を退ける事ができ、六課の窮地は凌ぎ切れたのだった。
「お前がバイクを持っていたからこそ、敵に捕らえられた高町隊長を救う事ができたのだ……そう考えたら、バイクが壊れた事だって、決して完全に”無意味”というわけではなかったのではないか?」
「そ、そうだよ!ヴァイスの旦那! あの時、もし旦那がバイクを持っていなかったら、多分なのはちゃんは今頃……」
「あぁ…間違いなく、彼女を罠にかけたという“後藤又兵衛”なる敵の刺客の手にかけられていたかもしれないし、六課自体も無事では済まなかったかもしれん…」
佐助とザフィーラはそう言って、ヴァイスに励ましの言葉をかける。
ヴァイスは少しだけ照れくさそうな様子を見せると、照れ隠しのつもりかジョッキに残っていたビールを煽った。
「そっか…そう言われてみたら…確かにそうだな。おれのバイクと引き換えに、なのはさんを助ける事が出来たと思えば、なんか悪くない気もしてきたかも…!」
ヴァイスは笑みを浮かべると、ザフィーラも優しく微笑んでヴァイスに語りかける。
「…わかったか? …つまり我が言いたい事は『物事は考え方ひとつでどうとでも変える事ができる』。そういうものだ」
「そうそう! ザフィーの旦那の仰るとおり! 確かにここ最近、ヴァイスの旦那のバイクは立て続けに壊れちゃったりして、不幸と思ってしまうかもしれないけど、ヴァイスの旦那は裏方として六課の前線に立つ皆の大きな支えになっている事なんだし、その『汚れ役』で、敢えて皆の分の損な役割を自分が請け負っていると考えてみたらどうかな? どんなに損な目に遭ったりしたって、決して旦那は『無価値』な存在なんかじゃないんだから、少々ツキに恵まれなくてもそんな嘆く必要なんてないじゃない!」
そうザフィーラに便乗する様に励ましながら、佐助がヴァイスの肩をポンッと叩くと、ヴァイスは再び頬を緩ませた。
「大体、今だからぶっちゃけ言えるんだけどさぁ…俺様だって、こっち来る前…つまり日ノ本にいた頃から、真田の大将には散々振り回されて、時にはこき使われて、損な役割押し付けられたり、そのせいでツキに恵まれない事だってしょっちゅうだったんだぜ? …っていうか、今は大将だけでなくティアとかエリオが加わった事で、前にも増して貧乏くじ引かされる率が高くなってる気がするし……正直、旦那だけが六課の中で損な目に遭っているとは思ってほしくねぇんだよなぁ……」
「さ…佐助っち……」
佐助がしみじみと語ると、ヴァイスは涙ぐむ。
すると、佐助は今度はヴァイスの背中を思いっきり叩いた。
「だからさぁ…俺達三人、六課随一の『不運』な者同士! いっその事、多少の不幸は笑いにしちゃうくらいの気概掲げていてもいいんじゃないかな? ねぇ、ザフィーの旦那?」
「……我は別にお前達みたいに、不幸ではないぞ」
ザフィーラは呆れたように言うが、ヴァイスは感極まったのか、泣き出しそうになるのを堪えつつ、大きく息を吸い込むと、高らかに宣言した。
「そうだな! いつまでもクヨクヨしてたって何も始まらないよな!! よっし! こうなったら一か八かだ! 明日にでも当たって砕ける覚悟で八神部隊長に『労災』で3台目のバイク取り戻せるか、相談してやるぜ!!」
「おぉ! その意気だぜヴァイスの旦那ぁ!大丈夫! 中村さんだって2回落選てもめげずに頑張って、遂に念願のS◯itch2をゲットできたんだから、旦那も3台目のバイクも根性で手に入れてやる気概を見せてやりな!!」
酒の酔いが回ってきたのか、ヴァイスと佐助は2人で意気投合して、大いに盛り上がり始める。
「そうだな! なんなら俺も、中村さんみたいに嫌な記憶は全部消してもらおっかなぁ! なぁ旦那!」
「…いや知らん。っていうか誰だ? “中村さん”って…」
ザフィーラのツッコミなど耳に入っていない様子で盛り上がり続けるヴァイスと佐助。
そのテンションの高さについていけないのか、ザフィーラはやや呆れ気味だった。
そこへ、黙々と調理を続けていたマスターが、不意にザフィーラに向かってあるものを掲げてみせた。
「…使う?」
そう尋ねるマスターの手にあったのは何故かライフル型の麻酔銃であった。
「……いや…いらん」
ザフィーラが首を横に振ると、マスターはショットガンを調理台の下に下げると、何事もなかったかのように再び調理に戻る。
そしてヴァイスと佐助の二人は、その後もしばらく馬鹿話を繰り広げていたのだが……
「そういえばさぁ…ザフィーの旦那ぁ。さっき旦那がごちそうしてくれた寿司…あれ、結局何のネタだったわけ?」
ふと思い出した様に佐助がそう尋ねた。
「あっ! そういえば、まだ何のネタだったのか教えてもらってなかったなぁ」
ヴァイスもその事に今頃気付いたらしく、興味深げにザフィーラに話しかけた。
「…けど、マイナーな変わり種の寿司を食わせて、ヴァイスの旦那の存在意義を諭すだなんてザフィーの旦那も味な事してくれるよなぁ」
「ホントだよなぁ。ってことは結構珍しい魚介系とか用意してもらったりしたんじゃないの?」
そんな事を話し合う2人の視線を受けたザフィーラはというと、調理台を挟んで向かいにいたマスターに目を配ると、静かに頷いた。
「……見せてやってくれないか?」
「……(コクリ)」
マスターは無言で頷きながら調理台の下の収納スペースから何かを取り出した。
それは…
「「……へっ?」」
ヴァイスと佐助の前に掲げられたのは、透明なプラスチックの容器に入った2つの謎の物体……それを目にしたヴァイスと佐助は不思議そうに目を瞬かせた。
ひとつは真ん中にひとつの穴のようなもののある肉の塊のような物体…もうひとつは妙に表面がテカテカした黒く光るテニスボールほどの大きさの丸っこい物体だった…
そして、どちらも先程の寿司のネタと同じにおいを、更に何十倍と濃縮したかのような強烈なにおいが漂う。
「あの…マスター……これ何?」
ヴァイスの質問に対し、返された答えは……
「……“牛のケツメド”……“馬の睾丸”……」
「「……はっ!!?」」
2人は同時に素っ頓狂な声を上げた。
同時にまるで頭から大量の氷水を掛け浴びせられたかのように先程まで回っていた酒の酔いが一気に覚めていくのを感じた……
「ちょ、ちょちょちょちょちょちょちょちょちょ、ちょっと待ってよ!! おい! い、いいいいい今アンタなんつった!? 牛のけ、けけけ…ケツ…ケツメド!!? そ、それに、馬のこ、こここ、睾丸!!?」
ヴァイスは思わず裏返りそうになる声で叫ぶ。一方の佐助は、顔面蒼白になって固まっている。
しかし、そんな二人に対して、マスターは表情一つ変えずに頷いた。
「……またの名を…“◯門”と“金○”」
「いや、その“またの名”なんて、いらねぇから!!」
ヴァイスは泣きそうな顔でそう訴えるが、マスターは相変わらず無反応のままだ。
するとそこへ、ザフィーラが助け舟を出すように語りだした。
「まぁ、落ち着け……ここの『ケツメド』と『睾丸』の寿司は、どちらもネタが新鮮そのものなのが売りでな…俺も長く守護獣としての生を生きる中で、食について特にこだわりはなかったが…初めて個人的に気に入る程の味となったのだ」
「い、いやいやいやいや!! 個人的に気に入った味って…よりによって、それがなんで『ケツメド』と『睾丸』なんだよッ!!? 」
「大体、『ケツメド』と『睾丸』が新鮮って…一体何が新鮮なの!?」
ヴァイスと佐助は激しくツッコミを入れるが、ザフィーラは構わず続ける。
「新鮮といえば……あれだ。 “洗ってない”そうだ」
「「ッ!!!? …ぅおおおおぉぉぉっぷ!!」」
あっけらかんと宣言するザフィーラに佐助とヴァイスの顔は瞬く間に真っ青に染まり、頬がパンパンに膨れ上がった。
その瞬間、マスターはそれを予め予想していたかのように、サッと二人の前に大きめのバケツを、それぞれ差し出した。
「……バケツ」
マスターの対応の速さにツッコミを入れる余裕もなく、二人はバケツをそれぞれかっさらう様に受け取ると、すかさず顔をバケツの中に突っ込み…
「「グボロシャアアアアアアアアアアアァァァッ!!!!」」
盛大に吐いた。その様子を見ていた屋台とその周りにいたザフィーラ以外の客達が2人に対し、不快と非難の視線を投げかけてくる。
ザフィーラはそんな周囲の様子に肩をすくめると、静かに呟く。
「……何をそんなに気持ち悪がっている? 野生の牛や馬は、自力で風呂は入れんだろう? だから、
そうあっけらかんとした調子で話すザフィーラに対し、ヴァイスはバケツから顔を上げて、えづいたままツッコミを入れる。
「いやいやいやいや!!!! それはオーガニックじゃなくて唯の“不衛生”っていうんだよ! ってか普通に保健所案件だろうが!!」
ヴァイスは半泣き状態で絶叫する。
「それにさぁ! この際、洗う、洗わないはまた別において…いや、別においたらダメだけど! まだ、焼き肉とか鍋の具にするっていうのならわからなくもないぜ?! 百歩譲って…!! だけど、牛の『◯門』とか馬の『○玉』を生のまま寿司にして食わせるとか正気の沙汰じゃねぇよ!!」
ヴァイスの言葉に今度は佐助が顔を上げる。
「そうだって! 何ッ!? ザフィーの旦那もあれ?
「……違う」
佐助の問い掛けに対し、ザフィーラは首を横に振った。
「いや、だって……」
「……俺は別に、
「じゃあ、なんでこんなの食えるの!?」
佐助の問いかけに、ザフィーラはしばらく無言だったが、やがてボソッと小さく呟く。
「これはあれだ……戦士としての精を養う為の強壮の為だ」
その言葉を聞き取ったヴァイスは更に叫んだ。
「いや、旦那は守護“獣”だからそれでもいいかもしんないけど、俺達は普通の人間なんだから、いくらなんでもこんなゲテモノ食えないって!」
「いや、大丈夫だ……なぜなら、この寿司を食す事で、お前達もその恩恵を受けたと実感できる時がくる筈……」
「……恩恵ってどんな?」
「……(ゴクリ)……」
「「どうした!?」」
佐助は不安そうに尋ねると、ザフィーラは滅多に見せる事のない冷や汗を浮かべながら、固唾を飲み込むという意味深な行動をとった。
それを見て、佐助もヴァイスもますます不安になってくる。
丁度その時だった―――
「こーーーんばーーーんわぁぁぁぁぁっ!! マスター! また来ちゃったわよぉぉぉぉぉ!! ブッホッホッホッホッホ!!!」
佐助とヴァイスの隣に新たな客がやってきた。口調も声質もインパクト絶大な声で、マスターに声をかけてきた。
その人物を見た途端、ザフィーラはビクッと震える。
佐助とヴァイスもその顔を見た瞬間、思わず「ギョッ!」と目を見開いた。
「ゲッ! な、何コイツ!?」
顔形体型は完全に中年のガタイの良い男性だった。問題なのはその装い…
元来、筋骨隆々とした体格には決して似合わない綺羅びやかな京着物を着こなし、焦げ茶色の剛毛な髪の毛を無理矢理に結い止めている。
更に極めつけは顎髭、口髭すら蓄えているその強面に真っ白な白粉を塗りまくり、厚化粧を施した姿は京の芸者を模しているのかもしれないが、化粧の仕方が根本からなっていないせいで、見てくれは完全にオテモヤンみたいであった。
「あら!? やっだぁぁぁぁ!! 誰かと思ったら、ザフィちゃんじゃないの!! お久しぶりぶりねぇぇぇぇ~~~!!! ブッホッホッホッホッホッ!!」
女装の男はザフィーラの姿を見つけるなり、大袈裟に手を振りながら話しかけてきた。
「え!? ええぇ!? 旦那の知り合いぃい!?」
佐助は驚きの声を上げる一方、ヴァイスは呆気に取られて固まっていた。
「…………久しいな、“エンツォ”…………」
ザフィーラは男の事を知っていたらしく、何故かゲンナリした様子で返事をした。
「ブハッ! ザフィちゃんたら相変わらずクールねぇ! でも、そんな所も素敵よぉぉぉぉぉ!!」
ザフィーラの態度など全く意に介さず、男は馴れ馴れしくザフィーラに近づくと、そのまま抱きついた。
「あぁん! ザフィちゃんの体、本当にたくましいわねぇ!! 惚れ直しちゃうぅぅ!! ブッホッホッホッホッホッ!!」
「………ッ!!? や、やめんか!!」
ザフィーラは慌てて離れると、冷や汗を浮かべながら怒鳴った。
((あ…あの旦那がマジビビリしてる!?))
ヴァイスと佐助は信じられないものを見るような眼差しでザフィーラの事を見た。
しかし、ザフィーラの事はともかくとして……このエンツォと呼ばれた男が何者かはわからないが、ザフィーラと知り合いである以上、悪い奴ではないだろうと二人は判断した。
それにしても…濃い! とにかく濃い! その声も、そのなりも、そしてそのキャラクターも……濃すぎる!
佐助とヴァイスは引き攣った表情のまま、目の前の男…“エンツォ”を見つめていた。
すると2人の存在に気づいたエンツォがザフィーラから離れ、ゆっくりとこちらに振り向いてきた。
「あら? あなた達、新顔? やっだぁぁぁぁぁ!! 二人ともワテクシのもろタイプううぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」
「「ひゃあっ!」」
突然、間近から顔を覗き込まれて驚いた佐助とヴァイスは思わず悲鳴を上げた。
「まあまあ、なんて可愛らしい声なのかしら! まるで小鳥さん達のさえずりを聞いているみたい! もう食べちゃいたいくらい! ウフフフ……! じゃあ早速だけど、マスター。いつもの『ケツメド』30貫頂戴!」
「……(コクリ)」
マスターは無言で頷くや否や、次の瞬間にはもうカウンターの上にドンッと大きな寿司桶を置いた。
当然、その中にあったのは大量の『牛の
「「へ…?」」
佐助とヴァイスは何が起きたのか分からずにポカンとしていた。
そんな二人の様子を他所に、エンツォは手慣れた感じで、皿に醤油を垂らすと、さっそく箸を持って寿司を口に運んだ。
「ん~♪ これこれぇぇぇぇ! この一口入れた時に口の中に“牛のクソ”の臭いがぷわ~んっと香るのがまたなんともいえないわねぇ♪」
「「…うえっぷっ!!?」」
エンツォの屈託のなさ過ぎる無神経な感想を聞いて、佐助もヴァイスは、自分達が何も知らずに食べさせられた時に感じたあの奇妙な”におい”の正体を知って、またも吐き気を催しそうになったのか、顔を真っ青にして口元を手で抑える。
だが、エンツォはそんな事などお構いなしに、どんどん寿司を食べていく。
「ちょ、ちょっと! 旦那!!」
ヴァイスは耐え切れず、ザフィーラに詰め寄った。
「……なんだ?」
「なんだじゃないっすよ、旦那!? この人ホント何っ?! 旦那とどういう関係なの?!」
ヴァイスが問い詰めると、ザフィーラは無言で屋台の柱の一つに貼られた一枚のチラシを指し示す。
そこにはデカデカとこう書かれていた。
―――『鮨処 BUSHI堂』プレゼンツ 第20回 アームレスリング大会!―――
優勝 エンツォ・パルミジャーノ
準優勝 ザフィーラ
「え……? これって……」
「ああ…この男…エンツォはこの店がこの場所に来た時に開催されるイベント『
ザフィーラの話を聞いていたヴァイスと佐助の顔色はみるみると青ざめていった。
「「え……? それってつまり……旦那より腕っぷしが強いってこと!? …((こんな気持ち悪い外見してるのに!?))」」
二人は心の中でそう叫んだが、後半の感想は言葉に出さなかった。
二人が知る限り、戦国武将を除く六課の男性陣で随一の屈強さを誇り、近接格闘では負け知らずであろうザフィーラが…ここまで自信を失ってしまうほどの相手が目の前にいるという事実が、あまりにも恐ろしかった。
しかし、ザフィーラが彼を恐れているのは、それ以上に何か別の理由がある様子だった。
彼はエンツォの方を見つめたまま、苦々しい表情を浮かべ、さらにはその顔色はなにかに怯えるかのように真っ青になっていた
「ざ…ザフィーの旦那…一体、このオッサンと何があったっていうのさ?」
佐助が問いかけるが、ザフィーラは何も答えない。
エンツォは相変わらず、寿司を貪るように食べ続けている。
「……ふぅ~ごちそーさまぁ! やっぱり、この店の『精力寿司』を食べたら、力がもりもり湧いてくるわよね! 腕も…”あっち”も…!」
話しながら、エンツォは何故かヴァイスの方をじっと見つめていた。
その視線を感じたヴァイスは思わずゾクリと背筋に悪寒を感じながら、エンツォを見返す。
「あ、あのぉ…なんすか…?」
ヴァイスが話しかけようとすると、突然エンツォはヴァイスの肩に手を乗せてきた。
「ホント貴方…いい男だわぁ……ねぇ、よかったら今夜ご一緒にどぉぉう?♥ 」
「へ……?」
エンツォの言葉の意味がわからず、ヴァイスは思わず硬直する。
「ま…マズい!! ヴァイス! そいつから離れろ!!」
その様子を見たザフィーラが慌てて叫ぶと、ヴァイスの腕を掴んで引っ張ろうとする。
だが、それよりもエンツォの動きのが一歩速かった。
ギュウウウウウウウゥゥ!!!
「ガッ!? ぐええええええぇぇぇぇ!!?」
ヴァイスの体を引き寄せたかと思うと、そのまま小虫を捕らえるハエトリグサの如く、太くたくましい両腕でヴァイスの細身の身体をがっしりとホールドして捕らえてしまった。
「ヴァイスの旦那あああぁぁぁぁ!!?」
「………遅かったか」
ヴァイスの悶え苦しむ悲鳴を聞き、戦慄する佐助に対し、ザフィーラは額に汗を流して、顔を伏せた。
「ああん♪ もう我慢できないわぁぁぁぁぁぁぁ!! 今夜はアンタにしちゃいましょう♪」
エンツォはそう言うと、ヴァイスの唇に自分の唇を近づけていく。
「ちょ、ちょちょちょちょちょ!! ちょっとぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!? 何してんだよアンタぁぁぁぁぁぁぁ!!?」
ヴァイスはなんとか逃れようともがくが、エンツォの抱擁力は想像以上に力強く、びくともしない。
(やべぇ! このままじゃ俺のファーストキスが……!?)
ヴァイスが焦り、必死に周囲に目を配るが、ザフィーラも佐助も、他の客達も、皆一様に目を反らしたり、唖然としていた。誰も助けてくれる気配がない。
「うおおぉぉ!! 誰かたすけてくれええぇぇ!!! せめて、初めては愛し合った人としたいんだああぁぁ!!」
ヴァイスは泣きそうな声で叫んだ。
しかし、それをあざ笑うかのように、エンツォは言う。
「ワテクシ、アンタみたいな、爽やかだけどちょっと幸薄そうな感じも入ったイケメンが、どぅわぁぁぁぁぁい好物なのよおおおおぉぉぉぉ!!!さぁ、たっぷり可愛がってあげるわぁぁん!!!」
「ぎゃあああぁぁぁ!! 来るんじゃねえええええええええぇぇ!?!?」
ヴァイスが絶叫するのを見て、見かねた佐助がようやく助けに入ろうと動いた。
「ちょ、ちょっとオッサン! ひ、人も大勢いるんだし、こんなところでそれはダメだって!」
佐助が制止しようとするが、エンツォはまるで聞く耳を持たない。
そればかりかヴァイスをハグしていた両腕の片方を突然佐助の頭に回すと、そのまま鷲掴みにした。
そして、囁くように話す。
「……なぁに言ってるのよ。アンタも一緒に楽しむのよ♥」
「ヒィィィッ!!? お、俺もおぉぉぉ!!?」
ヴァイスの時と同じように、エンツォは佐助を抱き寄せると、強引に2人を並べる様に抱いて顔を目の前に持っていった。
「さあ! まずは『ご挨拶』として歯の裏側でも舐めてあげましょうか♥ ぶっほっほっほっほっほっ!!!」
「「い、イヤだああぁぁ!?!?」」
ヴァイスと佐助は同時に叫ぶが、もはやエンツォの暴走を止める手立てはない。
ザフィーラは他の客らと共に呆然とその光景を眺めながら、苦々しく呟いた。
「……やはりこうなったか……エンツォの『男漁り』は相変わらずみたいだな……」
「………被害者続出」
マスターがそう言うと、店にいた客達(特に男性)が一斉にうんうんと頷いて同意する。
その様を聞いた佐助は、一連のザフィーラの異変を含め、すべての事情を察する事ができた。
おそらくエンツォはその腕っぷしでアームレスリング大会を制覇する度に、その男に対する(厭らしい意味で)凄まじい旺盛ぶりを披露し、腕っぷしでねじ伏せた後に、(違う意味で)『美味しく頂いて』きたのであろう。
そして、その被害者の中にはザフィーラも……
『鋼の守護獣』としての誇りだけでなく男としても口では言い表せないような恥辱を受けたザフィーラは、いつか雪辱を果たすべく、エンツォの強さの秘訣を探り、それがここの『精力寿司』にある事を確信し、自分も彼を凌ぐさらなる強靭な肉体と強さを求めて、これを常食にするようになった…そういう事なのだろう。
「最悪じゃん! 『マイナーな変わり種』どころか、とんでもないケダモノの餌じゃねぇか!!」
佐助が叫ぶ中、エンツォはヴァイスと佐助を交互に見つめると、ニンマリと笑みを浮かべた。
「ぶっほっほっほ! 安心なさい! ワテクシの“あそこ”は常に“3つ分”備えてあるから、あなた達2人分余裕でイケちゃうわよぉぉぉぉぉぉ!!」
「「いや、“アレ”が3つあったら、そんなの正真正銘のバケモンだろ!!? …いや、その顔の時点でバケモンだけど!!!」」
ヴァイスと佐助がツッコミを入れるが、エンツォにはまるで通じない。
エンツォは両手でそれぞれの頭を掴んで挟み込むと、再び顔を近づけた。
「っというわけで…リロォォォォォデェェェェェェェェェッドォォォォォォオ!!!」
「「やぁめてええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」」
ヴァイスと佐助が悲鳴を上げる。
そして、一瞬の静寂が屋台の周辺を包んだ後……
「ブッホッホッホッホッホッホッホッホッ!!!!」
ブッチュウウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥ…♥
バキメキバキボキッ!!!
「「ギャアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!」」
天上に双月の並ぶクラナガンの夜に、佐助とヴァイスの断末魔の叫びが反響する。
その悍ましい光景に他の客達が一斉に目をそらす中、ザフィーラは不幸な被害者となった2人の哀れみを胸に抱きつつ、献杯を捧げるように静かに酒をあおった。
「…使う?」
そう言いながら、マスターは調理台の下から緊急蘇生用のAED(自動体外式除細動器)を持ち出してくる。
「……いや…必要ないだろう…」
ザフィーラはそう言って、手にした酒を飲み干すと、小さくため息をついた…
――――こうして、この夜遅く…ザフィーラに抱えられて隊舎に戻ってきた佐助とヴァイスは、何故か、体中の生気を吸いつくされたかのようにやせ細って、まるでミイラの様なカラカラに干からびた状態に成り果てており、その様子を見て仰天したシャマルに急いで医務室へ運び込まれるも、それから後、3日も点滴を打って過ごす羽目になった…
そして、その後…佐助もヴァイスもあの『鮨処 BUSHI堂』の話をする際には必ずこう忠告する事を欠かさなかったという…
「あの店では絶対に“寿司”だけは注文するな!」っと―――
まぁ、なんやかんやありましたがとりあえずメンタル面では元気が出た我らが、リリバサオチコンビ(笑)の片割れ、ヴァイス君でした。
まぁ、本編ではあんな扱いしてますけど、作者の私も、ヴァイスも佐助もそれなりに愛着があります。自分で言うのもあれですが、ヴァイスに至っては明らかに原典より活躍してるなって思ってますしw
ちなみに今回の寿司屋ネタ…某有名コント番組を元ネタにしている部分があったりします。リアル世代で見た人も、動画サイトとかで上がったそれを見たことがある人も…わかる人はわかるかなぁ…?w
あと、今回の後半に衝撃的に登場した色物キャラ エンツォ……オリジナル版ではある章に登場した人物ですが、リブート版では顔見せ程度に先行登場させました。
アイツが出たって事はリブート版でも“彼”が登場するのは確定!…かも?