プレイング・カード〜隠れたjoker   作:海斗

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プロローグ

 

 

「ねぇ、知ってる?最近、この街のあちこちにゾンビが出てるらしいよ」

 

コソコソと噂話をする女子生徒

その隣に机に突っ伏して寝ている男子生徒は薄ら目を開けていた

 

「えぇ!?何それ、ガセじゃない?」

 

「それがね、ゾンビの死体が凍り付いて見つかってるんだって。それでね、ゾンビを殺す人の特徴があるんだって」

 

「うっそー。えっ、その人ってどんな人?」

 

「その人の特徴はね」

 

暗闇に光るような金色の獣みたいな瞳

血みたいに赤い髪が混じった老人みたいな白銀の髪

 

「だけどね、誰も顔を知らないの。熊とか兎のお面を付けてるらしくて見えないんだって。もし、身近にその人が居たらどうする?」

 


 

休み時間に何かをする事も無くぼっーとしている生徒

 

名前を月神(つきかみ) 朔夜

 

この武偵高の中でも中々の変人だった

 

武偵高の制服をフードの着いたパーカーに変え、顔が見えないようにしている

胸ポケットにはトランプが1箱

チューバのケースを1つ持ち歩き武装は全くと言っていい程までしていない

 

側から見ればそうだろう

だが、断言できる事はただ1つ

 

彼が1番怖いという事だ

 

「ねぇ、お姉さん俺達と一緒に遊ぼうよ」

 

「すみません、連れがおりますので」

 

女性が逃げようとする方向に男が立ち通路を塞いだ

 

「良いじゃん良いじゃん」

 

男の顔の横にトランプが突き刺さる

 

一見、なんも変哲のなさそうなトランプでも彼にとっては武器と化す

 

トランプの端

そこを刃へと変えたのだ

 

「軽犯罪法第1条28号・他人の進行方向に立ち退こうとしない」

 

トランプのケース片手にトランプ(次弾)を1枚手にして投げる構えをした朔夜

 

フードの中で光っているように見える金色の瞳

 

その瞳は何処か冷たく近寄りづらい

 

「それ以上は軽犯罪法違反だ」

 

刑法

彼の頭には六法全書が入っている

そう言っても良いだろう

 

小学校1年生の時

ペンを片手にノートに六法全書を書き写していた

先生などからは子供らしく無い子供と有名だった程・・・

 

『刑法とはルールだ。ルールは遊びを守る為にも尊重すべき事だから疎かにしてはいけないよ」

 

これが彼の口癖

最近はあまり口にしないらしいが・・・

 

────────

 

誰もが静かにする時間帯の午前0時00分

外は暗く灯りを付けただけでも目立つ時間だ

 

そんな中、廃ビルの中に無数のゾンビと対面している朔夜

 

肉は腐り、骨は見え、内臓は見えている・・・

 

なんとも酷い惨状の相手に仮面を付けて向かい合う朔夜は酷く冷静だった

 

「明日の朝陽を拝む事はもう諦めろ」

 

────♪

 

面を少しずらして口だけ出し、マウスピースに口を付けた

 

チューバの軽快な音楽に続いて、ゾンビ達は凍り付いていく

 

熱音響冷却だ

 

息に熱を込めて吹くと熱が音に変わる

そして、音が熱に変わる時に熱を急激に冷やす

すると氷に変わってしまうのだ

 

ゾンビが凍り着いたのを確認すると氷の側面にピッタリ銃を押しつけて発砲した

 


 

武偵高の制服に身を包み、銃も鞄の中に入れてナイフをズボンのボッケットに

トランプを胸ポッケットに入れると隣の部屋に繋がる扉を開けた

 

「おはよう、キンジ。よく眠れたか?」

 

学校に行くすべての準備を整えるとすぐ様、キンジの部屋へ向かう

 

眠たそうに元々、目つきのあまり良く無い目を擦りながら出てくる男は遠山 キンジ

なんとも言いたく無いが幼馴染みだ

『女嫌い』『昼行灯』などなどさまざまなあだ名がある

 

「あぁ・・・・お前、もう学校に行くつもりか?」

 

───ピンポーン♪

 

慎ましいベルの音が鳴るとベランダの窓を開けて

 

「キンジ、後は任せた」

 

飛び降りた

 

この場に必要な物は度胸と根性とトランプ

 

トランプの枚数は52枚

その中の26枚を取り出し足下にばら撒く

 

トランプの絵柄はトランプから飛び出し、絵柄は階段のように並び出す

 

絵柄が先程まで描かれていた紙は、朔夜の足元で擬似的な足元と化している

 

トランプ並べ(オブジェクト・アレイ)

 

防火や防水のトランプを作らせたのは間違いなく朔夜が初めてだろう

それ程までにトランプにこだわっているのだ

 

トランプを通せばなんでも出来る朔夜だが実の所はトランプが無ければ常人とほぼ変わらない

 

ただ、今まで52枚のトランプをすべて使わせた物が居ないだけ

 

「よし、今日も俺が逃げ切った」

 

キンジの部屋のベランダを見てそう言ってガッツポーズする朔夜は側から見れば完璧な変質者だ

 

彼が逃げたのは星伽 白雪

普段は慎ましい大和撫子の少女

だが、朔夜はある日気付いてしまったのだ

 

ミニマイク、発信器、超小型カメラ・・・・・

 

風船をある日、見かけた

その風船に仕掛けられていた超小型カメラを壊し、自分の部屋を急いで大捜索

 

全45台発見した

 

最初のうちは白雪であるという断定は出来なかったがキンジの部屋にあったら白雪

そう思い、ない事を願いながら探した結果は発見

 

結論、星伽 白雪はちょっといや大分おかしい子だった

 

白雪の作ってくる弁当に恐怖心を抱き、自分で自炊を開始

 

ただ、裁縫だけはお願いしている形だ

何故か朔夜は器用になんでもこなしている方なのに真っ白な布を真っ赤に染める程に裁縫が下手くそ

 

さりげなくキンジの洋服に混ぜて一緒に裁縫をやってもらっている

 

トランプを元通りに戻してケースに収める

 

「!クローバーのエースが無い・・・」

 

探すしか無いようだ

 

渋々、逃げたエースを探しに向かったのだった

 

 

 

────────

 

 

 

闇、毒、女・・・

 

これらはそれぞれ武偵にとっては厄介な物で朔夜の1番、嫌な物も混じっている

女は朔夜は最も学生生活の中で寄り付けさせない

 

美丈夫として有名だった朔夜

本人は自分の見た目が大嫌いなのでフード付きの制服を見に纏って隠しているがフードでも完璧に顔は隠せないのだ

 

体育の時は普通に顔も出しているので盗撮だってされている

 

トランプの柄が写真の中に張り巡らされて壊れたなどの不審事件が多数発生

 

一見、華奢な少女のような見た目だが筋肉はしっかり付いている

しかも可愛いと男子の間で言う輩も居る程で女子は尚の事引き寄せられるような魅力

普段は凛々しく見える朔夜だが演奏中(氷を出す練習)の時は少女と言ってもいいだろう

 

今朝、学校の体育倉庫辺りでキンジの黒歴史は量産された

その時間帯、朔夜は体育倉庫の真逆の方向に居たエースを絵柄に戻して学校に着いていた頃

 

ピンクのツインテールの小柄な少女の名前は神崎・H・アリア

 

朝の武偵殺しの騒動でキンジを救ってくれた子という認識をしている朔夜だが

 

「で、俺になんのよう?」

 

教室に朔夜を見つけると来たアリア

 

寝ていた朔夜は物凄い嫌そうな顔をして机に伏せながら聞く

 

女性に対する警戒心は強く近寄るなオーラが凄い

それでもめげずにアリアは

 

「キンジの事を私に教えなさい!」

 

「却下」

 

話を聞いて馬鹿だった

 

とでも言いたそうな感じでアリアから目を晒し、隣の席の人間を眺める

 

峰 理子

とてつもなく騒がしいクラスの人気者

 

席に座り、友達と喋りながらさり気なくこちらの会話を聞いていると気づいた朔夜は機嫌をもっと悪くした

 

「な、なんでよ!?」

 

「なんでも何も本人に聞いた方が早いだろうが。というかなんで本人に聞かない?なんでアイツの事を知りたがる?」

 

「私はあいつをパートナーにしたいの。でも、相手の事を知らないのにパートナーにするなんて出来ないわ」

 

「はっ!馬鹿じゃねぇのか?キンジがいつお前のパートナーになるって言った?あいつの意思を聞いてから考えろ」

 

鼻で笑い飛ばし、席から立ち上がる

身長・172cmの朔夜と身長・142cmのアリア

 

上から見下ろしてくる朔夜の威圧感は半端な物では無い

 

普通に目を合わせるだけでも威圧感を感じるのだ

並大抵の人間は威圧感で目を逸らす

だがアリアは目を逸らさない

 

「・・・まぁ、今日はお前の度胸に免じて教えてやる。ご褒美に何か奢るから食べながら話そう」

 

体育の時間と移動教室以外は断じて動かない朔夜が立ち上がった

それと、女子を食事に誘うなどと・・・

 

明日は槍が降ってきてもおかしくは無い現象とも言える

 

「桃まん!!桃まんが食べたいわ!」

 

そうとも知らないアリアは大喜びでリクエストをした

 

 

 

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