オレの周りの女の子達がフルネームを教えてくれない 作:画面の向こうに行きたい
皆さんはもう由良サワーは飲みましたか?
おかげさまでとうとう100,000UA突破しました。
これからも頑張ります!
ちなみに作者は由良が軽巡で1番好きです。
その日は霞ちゃんと響ちゃんと3人で買い物をした帰りで遅くなってしまった。
あれ?玄関に電気がついている。消し忘れか?いや、オレ1人ならまだしも、霞ちゃんと響ちゃんが一緒にいて2人共気づかないなんてありえない。まさか泥棒?
俺は2人をに後ろに下がってもらい、慎重にドアを開ける。
「おかえりなさい。あなた!」
髪の長いポニテの女の子が三つ指突いて出迎えてくれた。泥棒ではなさそうだが、誰だ?
「君は誰だ?」
「許嫁の由良です。よろしくお願いしますね。ね?」
「は?」
オレは『許嫁』が理解出来ず、『飯菜漬け』ってどこの漬物だろう。と惚けた事を考えていた。
オレが現実に戻ったのは霞ちゃんがオレの両肩を持って激しく揺さぶっていたからだ。
「ちょっとこのクズ!私に黙って許嫁ってどういうことよ!」
我に返ったオレは響ちゃんの方を見ると、
「またなのかい。兄さん」
と、チベットスナギツネみたいな目でオレを見ていた。
「いや、知らない!」
無罪を訴えても2人は白い目で見るばかり。
「お義父様からお手紙を預かってます」
由良さんから渡された手紙には、
『やぁ、バカ息子。愛しの響ちゃん。元気か?お父さんもお母さんも元気だ。実は仕事先で地元の人と意気投合して、先方に年頃の娘さんがいるから息子と結婚させようという話で盛り上がってな。その由良さんも大変乗り気なのでウチに花嫁修行に来てもらった。こんな美人を紹介した父さんに感謝してもいいんだぞ?追伸、学生の間は子供を作るんじゃないぞ?」
読み終わったオレは溜息が出た。その手紙は霞ちゃんがビリビリに破っていた。
「不束者ですが、末長くよろしくお願いします。ね。あなた」
「えっと由良さん?」
「由良です。あなた」
「あなたはちょっと。令司でいい」
「はい令司さん」
良く見たら可愛いなこの娘。
「ちょっとクズ!アンタ、本当にこの人とけけ、結婚するの?」
霞ちゃんが怒っているような泣きそうな表情で聞いてくる。
「いや、流石に初めて会った人とは結婚しない」
すると霞ちゃんは安心したように、
「当たり前でしょう。このクズ!」
「それで、この人どうするの?」
「とりあえず、今日はもう遅いから泊まってもらって明日考えよう?」
こうして、今日は由良が泊まることになった。
翌朝
「おはようございます。令司さん」
誰かがオレの身体を優しく揺さぶっている。響ちゃんか?
「うぅん。響ちゃん、後5分」
オレは響ちゃんを押し返そうと手を伸ばす。
ふにゅん
「ぁん」
響ちゃんではありえない柔らかさと甘い声に急速に意識が覚醒する!
おそらく、響ちゃんはここまで大きくないはずだ(失礼)。霞ちゃんでもそんなボリュームはないと思う(超失礼)
なら、誰だ?目を開くと、
「由良さん?」
「はい。由良です」
マズイ。由良の胸を触ってしまったみたいだ。
しかし、由良は気にしないのか、
「着替えて降りて来て下さいね。ね!」
と告げて出ていった。
ダイニングに降りると、由良と霞ちゃんがケンカしていた。朝から勘弁してよ。
「何で朝ごはん出来てるのよ。私が作るつもりだったのに!」
「許嫁として由良が朝ごはんは作っておきました。麦飯にキュウリの浅漬け、大根のお味噌汁に今朝は豪華にアジの開きも付けちゃいます。召し上がれ!」
響ちゃんは我関せずと牛乳を飲みながら座っている。 折角、作ってくれたのだ。味噌汁が冷める前にいただこう。
ズズッ。
美味い!アジの開きも美味いなぁ。
「これからは令司さん達のご飯は由良が作ります!」
「はぁ?なんでそうなるのよ!」
まだケンカは続いていた。
その後もしばらく、由良はウチに居候していた。
「令司さんの服、由良がお洗濯しておこう。えーとこれは、洗う。これも、洗う。これ、ひゃん!こちらも!由良が洗って、おきましょう、ね!ねっ!」
由良は献身的に家事をして、それが原因で霞ちゃんとケンカしていた。山田が聞いたらまた羨ましがるだろうな。
「ねぇ兄さん」
由良が風呂に入っている時、響ちゃんがオレの部屋まで来た。
「このまま本当に由良さんと結婚するの?」
響ちゃんはいつもの表情のようで不安気に聞いてきた。たった2人の兄妹だ。大人びていてもまだまだ甘えん坊だな。
「兄さんが結婚しても私、このままこの家にいるね」
まぁ、響ちゃんはまだ中学生だからな。
「このまま兄さんに養われる妹になる。ヒモの妹、ヒモ妹(ひもうと)になる」
いや、然るべき年齢になったらきちんと就職して欲しい。
「いや、オレもまだ学生だし、そもそも結婚相手は自分で探すよ」
「ふぅん」
オレの答えに納得したのか響ちゃんは部屋を出ていった。
入れ替わりに由良が入って来た。
「令司さん、晩酌はいかがですか?」
2人でソファーに座り、テレビを見ていた。バラエティーだが内容が頭に入ってこない。隣りでみかんサワーを飲む由良。ただお酒が飲みたかった訳ではないだろう。
「ねぇ令司さん」
由良はこちらを向き、真剣な表情で、
「由良を令司さんのお嫁さんにしてくれませんか?」
アルコールの所為か、やや潤んだ上目遣いで見つめる由良。
良く考えたら、由良に悪い所がないんだよな。可愛いし、家事が上手だし、美人だし、優しいし、別嬪だし、健気だし。
そのまま、由良と幸せな家庭を築いてもいいんじゃないかな。
そんな未来を妄想しかけた時、
「ダメに決まっているでしょう!」
声のしたドアの方を見たら、年齢不相応に若く見える黒髪の妙齢の女性が立っていた。
「母さん」
「え?お義母様?」
「あなたに『お義母さん』と言われる筋合いはありません」
母さんは呆れた表情で、
「まったく。お父さんが『令司の結婚相手を決めておいたぞ』なんてバカなこと言うから慌てて帰ってみたら。いいですか!子供の結婚相手を親が決めるなんて前時代的な事、許される訳がないでしょう。由良さんのご家族とお父さんには私からキッチリとお話ししておいたので、この話はナシです!由良さんは明日の新幹線でお帰りなさい」
母さんは溜息をつきながら、
「はぁ。この子ってばお父さんの悪い所ばかり似て。いいですか!あなたも大学生ですからお付き合いするなとは言いませんが、女の子を取っ替え引っ替えするのはやめなさい!」
何故かオレへの説教が始まった!
「いや、そんなことした事ないけど・・・」
「響から色々と聞いています。まったく。お父さんといい、どうして我が家の男はこうも女癖が悪いのかしら」
そりゃ、親父は女にモテるかもしれないが、オレはそんなことないぞ(泣き)大体、オレが女の子にモテていたら、今頃、彼女がいるだろう!残念ながら生まれてこの方、彼女いたことないぞ!
その後、2時間も説教は続いた。
翌日、新幹線のホーム
オレと母さん、響ちゃん、霞ちゃんで由良の見送りに来た。
「婚約の話が無くなっただけで貴女のことは嫌いではありませんから、また遊びにいらっしゃい」
「はい!お義母様!」
「だから、貴女のお母さんじゃありません」
「まぁ、気をつけて帰るんだよ」
「ありがとう響ちゃん」
「帰ったらまた何かレシピを教えなさいよ」
「うん。霞さんから教えてもらったハンバーグ、今度作ってみるね」
「ねぇ令司さん。伝えたいことがあるので耳を貸してください」
ん?なんだろう?由良に耳を近づけると、
チュッ
頬に柔らかく湿った感触。え?
「由良はまだ諦めていませんからね。ね?」
由良はそのまま新幹線に飛び乗ると、由良を乗せた新幹線は発車してしまった。
後には、溜息を吐く母親。ジト目で見る妹。オレの胸ぐらを掴む幼馴染がホームに残されたのであった。
「由良」
ある地域の地主のお嬢様
才色兼備、家事万能、主人公大好きと非の打ち所がない美人。
あまりに非の打ち所がなさ過ぎて、本当はラスボスの予定でした。
由良から求婚されたら断れないですよね?