オレの周りの女の子達がフルネームを教えてくれない 作:画面の向こうに行きたい
相変わらずの画面です。
昼の暑さと朝方の寒さのギャップがたまりません。
今回は霞ちゃん視点でお送りします!
とある日曜日、私は無遠慮な電話で目が覚めた。画面を見ると、かけてきた相手は響だった。
「・・・何よ。日曜日の朝っぱらから」
「今日、兄さんが『山田達と遊んでくる。夜は麻雀するから遅くなるかも』って言ってた」
「そのぐらい好きにさせなさいよ」
響ったらそんなことで電話してきたの?まったく!
「それが、兄さんが山田さんと遊ぶだけとは思えないぐらい気合の入った格好してても?」
「・・・え?」
今の響の一言で完全に目が覚めた。
「別に霞が興味ないならいいよ。私1人で尾行するから」
「い、行くわ!」
慌ててベッドから飛び起き、着替えた。
結局、響に追いついたのはとある遊園地の最寄り駅だった。
あのクズに見つからないように響を探すとすぐに見つかった。何せ変装のつもりなのかヨレヨレのトレンチコートにサングラスをかけてくるのだ。逆に目立つ。
「アンタ、逆に目立っているわよ」
「そうかな?ならやめておこうか」
トレンチコートとサングラスをしまうと、
「兄さんはあそこだよ」
響の指差した先にはあのクズが知らない女の人と待ち合わせしていた。
「ごめんなさい。お待たせしてしまって」
「いや、オレも今来たところだから」
何よ!まるでデートみたいな会話して!
「あの女は誰よ」
「彼女は蒼龍さんですね。以前、先輩が榛名に内緒で合コンに行った時のお相手ですね」
「え?」
気づいたらオペラグラスを構えた榛名が私と響の間に立っていた。
「ちょっとアンタ、いつの間に!」
「細かいことはどうでもいいですから。ほら、先輩達が行ってしまいますよ」
急いで榛名と響を追いかけた。
中央の広場に飛行機が鎮座する『瑞雲パラダイス』はファミリーからカップルまで幅広い層に人気のある遊園地だ。
「あぁ、先輩が榛名以外とデートだなんて、榛名は大丈夫ではありません」
隣で寝言を言う榛名はともかく、あのクズったら遊園地デートなら私を誘えばいいじゃない!
あ!アイツったら手なんか繋いでる!
最近は私と手を繋いでくれないじゃない!
2人は仲良くソフトクリームを食べながら歩いている。楽しそうにしてる2人を見ていると、何故か胸の奥が痛かった。
これ以上見ているのが辛くなり、帰ろうと思った時、別の女性が声をかけてきた。
「蒼龍?」
「? げ、飛龍!」
「げ。とはご挨拶ね。あれ?もしかして、蒼龍ってばデート?だから私に会いたくなかったの?」
「いや、あのそれはねぇ?」
飛龍と呼ばれた女性は私のクズをジロジロと見ながら、
「うん。いい男だね。多聞丸の次くらいに」
何よ!『多聞丸』が何者か知らないけど、ウチのクズの方がよっぽどいい男なんだから!
でも、蒼龍さんは顔を真っ青にしながら、クズの腕にしがみつき、
「ダメ!令司さんは私とデートしてるんだから」
飛龍さんも反対の腕を引きながら、
「え〜いいじゃない。私とも遊ぼう?」
美人2人に取り合いにされるクズ。私は思わず、
「何やってるのよ!このクズ!!!」
思わず飛び出してしまった。
やっちゃった。
響は呆れた表情をしてるし、榛名はニコニコしているが、きっと内心は怒っていそう。
「か、霞ちゃん!?なんでここに?」
「それよりも兄さん。今日は山田さん達と遊びに行ったんじゃなかったの?」
「いや、それは・・・その・・・まあ、色々あってだな」
「へー。ほぅ。ふーん」
響の目がどんどん冷たくなっていく。
「浮気は榛名が許しません!」
てゆうか、いつまで2人に抱きつかれてるのよ。このクズ!
その後、なんだかんだで、みんなとファミレスで夕食になったわ。もちろん、このクズの奢りでね。
それにしても。このクズの周りは女の人だらけじゃない。
私はコップに残ったジュースを飲み干した。
「本当にクズなんだから!!!」
「飛龍」
蒼龍の親友。蒼龍と同じ大学に通う女子大生。
彼女の、
「うん。いい男だね。多聞丸の次くらいに」
は男性への最大級の褒め言葉。
次はゴトランドかな?