オレの周りの女の子達がフルネームを教えてくれない 作:画面の向こうに行きたい
「オレの周りの女の子達がフルネームを教えてくれない」も20回目!
コ⚪︎ン映画なら「純黒○悪夢」キュラソーさんいいですよね。
いえ、「から紅○恋歌」の方が好きなのですが。
これからも「オレの周りの女の子達がフルネームを教えてくれない」をよろしくお願いします!
とある日曜日、
オレは榛名と一緒にニ越まで秋物の服を見に来ていた。
「先輩とデートできて榛名は幸せです」
「相変わらず榛名は冗談が上手いな」
冗談を言いながら、榛名と2人で歩いていると、道端に駐車する白塗りの高級車。
車に戻る途中だろうか?紙袋を抱えた美人がSPらしい黒服に囲まれて店から出てきた。
「本当にセレブっているんだなぁ」
「もう。デート中によそ見はダメですよ」
一瞬、その美人と目が合った。そして、信じられないモノを見た表情になり、それから紙袋をSPに押し付けると、
「レージ!」
なんと、オレに抱きついてきた!
「え?」
突然の出来事に呆然となる。人違い?でも「令司」って呼んでたよな?そんな中、先に冷静になったのは榛名だった。
「誰か知りませんが、先輩から離れて下さい!」
「もう。レージったら、フィアンセの顔を忘れちゃったの?」
その瞬間、榛名の矛先はオレに向いた。
「先輩?フィアンセってどういうことですか?」
「いや、オレに聞かれても・・・」
こんな左目の泣き黒子美人のお嬢様の知り合いなんていないぞ?ん?左目の泣き黒子?
ふと、遥か昔の思い出が甦る。
「もしかして、後藤?なのか?」
「もう。後藤じゃなくて、ゴトよ!ゴトランド」
「あぁ!久しぶりだな!」
彼女は昔、オレがまだ子供だった頃、公園で一緒に遊んだことがある。それにしても、よく10年以上前の出来事を覚えていたな。
「それにしても、フィアンセって何だ?」
「え?昔、約束したじゃない?」
そう言われると、子供の頃におままごとで『ケッコンしよう』みたいなことを言われた気がする。
「そんな子供の頃の話・・・」
「あら、子供の頃の約束だから破っていいルールはないわ」
微笑みながら言うゴトランド。
「あの、お嬢様。そろそろお時間が・・・」
いい雰囲気をぶち壊す黒服の男。いや、仕事だから仕方ないのだが・・・。
「いっけなーい!もうこんな時間!ゴメンね。レージ!また明日ね」
そう言ってゴトは白塗りの高級車に乗り、去って行った。
その後、買い物の間中、榛名は不機嫌だった。ランチだけではなく、パフェまで奢らされたにもかかわらずだ。朝はすごくご機嫌だったのに。
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翌朝
「へー。昨日そんなことがあったんだ」
響ちゃんがトーストにジャムを塗りながらオレの話を聞いていた。
「兄さんってそんな子供の頃から女の子を口説いていたんだ。本当にいつか刺されるよ?」
「今の話からどうしてそうなった?」
「それよりも、そのゴトランドさんは本当に今日来るの?」
「いや、連絡先も教えてないのにムリだろう?多分、もう会うことはないんじゃないかな?ほら、響ちゃん。急がないと遅刻するよ?」
ピンポ〜ン
突然インターホンが鳴った。誰だろう?霞ちゃんならインターホンを鳴らさないで合鍵で入ってくるし、そもそも今日は来ない日だ。
ガチャ!
「おはよう。レージ」
「ゴ、ゴトランド?」
「約束通り来たわよ?さぁ行きましょう?」
オレの腕をぐいぐい引っ張るゴトランド。
「兄さん?兄さーん!」
オレは響ちゃんの目の前で拉致誘拐されてしまった。
仕方なく霞ちゃんに今日は学校をサボる事を伝えておく。
「それで、どこに行くんだ?」
「まずはレージの服を買いに行きましょう」
連れてこられたのはオシャレなブティックが並ぶ通り。その中でも一際高級感ある店舗の前で車は停車した。
入店して値札を見ると、普段着ている服より0が一つ多い。
「なぁゴト。この店、少し高くないか?」
「あら、レージはそんなこと気にしなくていいのよ?それよりもこの服どうかしら?」
ハンガーに吊るされた服をオレに当てるゴトランド。
そんな感じで間にランチを挟んで何軒も服屋をハシゴして、ようやく最後の店で今まで購入した服をゴトランドの言うままに着た。
「ど、どうだ?」
「あら、やっぱりカッコいいじゃない。レージはカッコいいのだからオシャレしないとだめよ?」
ちなみに、ランチを含めてゴトが全部黒いカードで払ってくれた。
「そうだ!ついでに美容院にも行きましょう!」
そのまま美容院に連れて行かれて美容師さんに整えてもらった。
ゴトランドに家の前まで送ってもらった。朝から着せ替え人形だったのでかなり疲れた。
「ただいま」
「おかえりなさい。兄さ・・ん・・・」
「ちょっと!学校サボってどこ行ってたのよ!このク・・ズ・・・」
響ちゃんと霞ちゃんがオレを見て固まった。
「な・・な・・」
「兄さん。どうしたの?その服と髪?」
「あぁ。ゴトランドにな」
そこで、オレはふざけてカッコいいポーズで、
「やっぱり、似合わないかな?」
目一杯キメ顔で2人を見る。
2人は笑いを堪えているのか、真っ赤な表情で俯いている。
チクショー!やっぱりおかしいか!真っ赤な顔で笑いを堪えるほどおかしいのか!
「そ、それ、鈴谷とか榛名の前で着ない方がいいわよ」
「う、うん。部屋着!部屋着にしなよ。兄さん」
いや、どう見てもこの服、部屋でくつろぐ仕様じゃないのだが。
「とにかく!その服、私以外に見せちゃダメだよ兄さん」
「そうよ!特に鈴谷とか榛名の前はダメ!」
あの2人オシャレだもんな。せっかくゴトが買ってくれた服だけど、あまり着る機会は無さそうだ。
それから4日間、ゴトランドに振り回された。
会員制のリゾートプールに連れて行ってもらったり、ゴトのお気に入りのカフェでおしゃべりしたりした。
リゾートプールでは大きな帽子を被った水着のゴトにドキドキしたのは内緒だ。
そして金曜日、色々連れ回された最後は小さな公園だった。
「ねぇレージ。この場所覚えてる?」
「あぁ。子供の頃、ゴトと遊んだ場所だよな」
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その時のオレはまだ10歳にもならないクソガキだった。この公園に遊びに来たものの、霞ちゃんもいなくて1人でボール遊びをしていた。
そこには見たことのない、女の子が一人でいた。ほかに遊ぶ友達がいなかったオレはその子に声をかけた。
「キミ一人?一緒に遊ぼう?」
その子は辿々しく、
「う、うん」
「ねぇ、名前は?」
「ゴト。ゴトランド」
「後藤?」
「いや、あの、えっと・・・はい」
「オレは令司。後藤、サッカーしようぜ!」
「おままごと」
「いや、サッカー・・・」
「おままごと!」
「あ、はい」
何故かおままごとをすることになった。道具もないのに。
どのくらい時間が経っただろう。車に乗ったたくさんの黒服の大人が近づいて来た。
「もう帰らないと」
「また会える?」
「今度会ったら、レージのお嫁さんになってあげる!」
それから、泣き黒子の女の子に会うことはなかった。
「よくそんな昔のこと覚えていたな」
「レージこそ」
「それで、明日はどこに行くんだ?」
ゴトランドは悲しげな表情で、
「ゴト、今夜の飛行機でスウェーデンに帰らないと行けないの」
「え・・・?」
今までゴトランドに振り回されていたせいか、セリフの意味を理解出来なかった。
「スウェーデンに帰る前に思い出が欲しくて、だからレージの都合を考えないで色んなところに連れ回してゴメンなさい」
「そんな」
そして、あの時と同じように黒服の男達がゴトを迎えに来た。
「また会いましょうレージ。さようなら」
あの時と同じようにゴトは車に乗って去っていった。
次の土日はただベッドの上に寝転んで色々な事を考えてしまった。勿論、ゴトがスウェーデンに帰るのをオレがどうにか出来るワケじゃない。
ただ、もう少しゴトに何か出来なかったのだろかと考えてしまう。
翌朝、月曜日
大学に行く気分になれないのだが、先週はずっとサボっていたのでそろそろ行かないとマズイ。
講義に全然集中出来なかった上、早く帰ろうと思ったのだが、愛宕さんから臨時部会があると言われてしまう。
「ぱんぱかぱーん!臨時部会を始めまーす」
両手を広げて開会を宣言する愛宕さん。ナニかがぽよんぽよんして、山田は喜んでるが、オレはそんな気分になれない。
「えーと、仲間が増えたようよ」
「え?」
「北欧スウェーデンから参りましたゴトランドです。どうぞよろしくお願いします」
「な!」
そこにいたのはスウェーデンに帰ったはずのゴトランドだった。
「お前、スウェーデンに帰ったはずじゃあ・・」
「帰ったわよ?2日で留学手続きと、この学校に転入する手続きするの大変だったんだから!」
マジかよ!普通、スウェーデンに帰りますさようならって言われたらもう会えないと思うだろ!
この土日を返せ!
「引き続きよろしくね。レージ!」
ゴトランド
駐日スウェーデン大使の令嬢
幼少期に大使館から抜け出して公園で主人公と遊んだ過去がある
ゴトってお触りOKなんですよね。
流石は初期艦!
画面はド庶民なので、セレブのことはよくわかりませんので間違っていたらごめんなさい。