オレの周りの女の子達がフルネームを教えてくれない 作:画面の向こうに行きたい
お盆用に長編をと思ったのですが、間に合わないので短編を。
第一話以来の響回です。
「兄さんのバカ!もう知らない!」
オレに対してイヤミくらいは言っても滅多に怒らない響ちゃんを怒らせてしまった。
きっかけは響ちゃんが夏休みで霞ちゃんも来ないからたまには凝った料理を作りたいといい、ボルシチを作っていたときのコトだった。
響ちゃんが鍋の前から離れた隙につまみ食いをして味が薄いと思ったオレは勝手にケチャップを足したのだ。それが響ちゃんの逆鱗に触れたらしい
「ねぇ兄さん。なんでよりにもよってケチャップを足したの?塩とか砂糖ならまだ許してあげたのに!」
「え?この赤いのケチャップじゃないの?」
「ボルシチの赤は赤ビートの赤だよ!」
響ちゃんはとうとう我慢の限界が来たのか、
「兄さんのバカ!もう知らない!」
怒って家を出て行ってしまった。
明らかにオレが悪いのだが、
「ケチャップくらいで何もあんなに怒ることないじゃん」
と意地になり、そのままゲームをしていた。
だが、30分経ち、1時間経っても響ちゃんが帰ってこないとだんだん不安になってきた。
落ち着け。この暑さだ。目的もなくいつまでも外を出歩いたり出来ないはずだ。
オレは響ちゃんが真っ先に行きそうな場所。霞ちゃんに電話をかける。
「何よ?」
「響ちゃん、そっちに来てない?」
「別に来てないけど」
「実は・・・」
霞ちゃんに事の次第を話すと、
「バッカじゃないの!」
酷く怒られた。
「作っている料理の味を勝手に変えられたら私だって怒るわよ!というか、私にはそんな事したことないじゃない。なんでそんなことしたの!」
「?だって、霞ちゃんのご飯は何もしなくても美味しいし」
「だっ誰がお袋の味よ!このクズ!」
何か怒られた?
「まぁいいわ!他に響の知り合いの連絡先知らないの?」
「えっと、そうだ。綾波!」
オレは綾波に連絡するものの、響ちゃんは来てないみたいだった。
他の響ちゃんの同級生の連絡先なんて知らないしな。まさか新幹線で両親のところまで行ったんじゃあないだろうか?
両親に連絡するか考えていたところに鈴谷から連絡が来た。
「悪い鈴谷。今立て込んでるからスナバはまた今度に……」
「今、響っちと一緒にいるんだけど」
響ちゃんは鈴谷と一緒に近所のファミレスにいた。
「響ちゃん!」
オレは響ちゃんの席まで行き、
「ゴメン」
潔く頭を下げた。
「はぁ。いい?ボルシチにケチャップを入れたら戦争になるんだから」
「うん。オレが悪かった」
「後、今日はお風呂で私の髪を洗ってね」
「わかっ……うん?」
「それから今日は一緒に寝るから」
「ち、ちょっと待って響ちゃん」
「さてと。いつまでもドリンクバーで粘ったらお店に迷惑だから帰るよ」
響ちゃんは意外とケロっとした表情でレジへと向かうのだった。
その後、家に帰ってから響ちゃんに土下座で拝み倒してお風呂はナシにしてもらった。
大学生が中学生と風呂に入ったら犯罪だ!
けどその分、添い寝はキャンセル出来なかった。
「ねぇ響ちゃん。オレ、中学生と添い寝したなんて警察に捕まってしまうよ」
「なんで?昔は一緒に寝たじゃない?」
「響ちゃんももう中学生だよ」
「諦めて寝よ?」
まったく。どうしてこうもブラコンになってしまったのだろう。
あどけない寝顔を見ながらオレも意識が遠くなっていった。
主人公は響のことをブラコンだと言いますが、主人公も大概シスコンです。
ボルシチにケチャップを入れて家出されるお話。元ネタをご存知の方は感想に書いていただけると響が「同志」と思ってくれます。
マジで頼むから夜くらいは涼しくなってください。