オレの周りの女の子達がフルネームを教えてくれない   作:画面の向こうに行きたい

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もらわなければ返さなくてもいいじゃない!
イベントに縁のないボッチ。画面です。

もらったらお返ししないといけませんね。
ホワイトデーネタです。


「もう仕方ないなぁ兄さんは」

3月のとある日曜日。

オレは霞ちゃんと響ちゃんに手伝ってもらいながらクッキー作りに勤しんでいた。

もちろん、趣味じゃない。先月もらったチョコレートのお返しだ。  

 

「まったく!なんでアンタのホワイトデーのお返しを私が手伝わないといけないのよ」

 

「イヤなら帰りなよ」

 

「アンタ達に任せて失敗したらもらう子が可哀想でしょう」

 

何やかんやで無事完成した。

 

 

ホワイトデー当日

 

いつもより早く家を出ると、まずは綾波の家に向かった。

 

日光の反射でよく読めない『○○興業』と書かれた看板の屋敷。今日はたまたま鈴木さんが庭先にいたので声をかけられた。

 

「これはアニキ!おはようございます!お嬢に用事ですかい?」

 

「あ、うん。綾波はまだいるかな?」

 

「へい!呼んできます」

 

パタパタという足音と共に綾波が現れた。

 

「何かご用ですか?お兄ちゃん?」

 

「ほら、先月チョコレートもらったから」

 

綾波にクッキーを渡す。

 

「わぁ!ありがとうございますお兄ちゃん」

 

「お嬢。そろそろ学校のお時間です」

 

「それではお兄ちゃん。ありがとうございました」

 

ぺこりと頭を下げて綾波は奥に行った。

 

「ところでアニキ。お嬢からチョコもらったんですかい?」

 

あの。怖いです。鈴木さん。

 

 

そのまま学校に行き、講義が終わって昼休み

 

「榛名」

 

榛名にクッキーを渡す。

 

「先月のお礼だよ」

 

「あぁ!先輩からクッキーを1番に頂けるなんて!これはもう両思いと言って過言ではないのでしょうか?」

 

相変わらず榛名のリアクションはオーバーだな。

 

「高雄さんと愛宕さんにも」

 

「私達にまですみませんね」

 

「ぱんぱかぱーん!令司くんのクッキー、ゲットだぜー!」

 

「レージ」

 

「もちろんゴトにもあるぞ」

 

「もう。レージったら。ゴトはお嫁さんだから最後なのね」

 

そんなみんなを霞ちゃんは複雑そうな目で見ていた。

 

 

鈴谷をスナバに誘っておいた。

 

「センパイ、待った?」

 

「いや、今来たところだよ」

 

「何それ?カップルっぽい?」

 

テーブルに座ると、

 

「それでセンパイ?鈴谷に何かご用事?」

 

鈴谷にクッキーを渡した。

 

「何この包み?鈴谷にくれるの?」

 

「あぁ。先月のお礼だよ」

 

「ありがとーセンパイ」

 

あの、嬉しいはわかったから。抱きつかれるとセンパイ勘違いしちゃうからね。

 

 

鈴谷と別れて、オレは鳳翔まで向かった。

 

「令司さん、どうされました?」

 

「先月のチョコレートのお礼です」

 

クッキーを渡すと女将さんは、

 

「あらあら。まぁすみませんね」

 

そして、

 

「また今度いらしてください。たっぷりとサービスしますからね」

 

だから!なんでこの人は2人きりの店内で耳元で囁くんだ!

 

 

その後、寄り道したせいで帰るのが遅くなってしまった。

霞ちゃんの晩ごはんは出来上がっており、響ちゃんは風呂に入っているみたいだ。

 

「遅いわよこのクズ!どこで遊んでたの!」

 

仕方ない。本当は食事の後に渡すつもりだったが、霞ちゃんに小箱を渡した。

 

「これを買いに行ってたんだ。いつもありがとうね」

 

デパートで買ってきたキャンディー。ホワイトデーのお返しだ。

 

「このクズ!本当にクズなんだから!」

 

何を怒ったのか顔を真っ赤にしながら、

 

「帰る!」

 

霞ちゃんが夕飯も食べないまま帰ろうとする。

 

「え?ご飯は?」

 

「いらない!」

 

本当にそのまま帰ってしまった。

 

キャンディーよりマシュマロの方が良かったかな?

 

「とうとう霞を押し倒したのかい?兄さん」

 

丁度風呂から上がったのか綺麗な銀髪を拭きながら響ちゃんが出てきた。

 

「そんなわけないだろう」

 

「まあ、大体の事情は察しているけど」

 

そう言いながら髪を梳かす響ちゃん。

 

「別に妹の私には関係ないけどね」

 

梳かし終わった響ちゃんはいつものように牛乳を飲もうと冷蔵庫を開けた。

そこにはさっきまでなかった紙箱があり、その上には『あげる』と書かれた手紙。

 

一瞬驚いた響ちゃんは、

 

「もう仕方ないなぁ兄さんは」

 

そう言いながら微笑むのだった。

 

 

 

 

 

 




暖かかったり寒かったり花粉が飛んでいたりと大変な今日この頃ですね。

寒くてもいいから花粉止まらないかな?
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