憑依&転生掲示板   作:悠旅白樹

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エクストラタイム2019

仮面ライダー……それは、人々の未来のため、強大な悪に立ち向かう戦士の称号。

 

例えフィクションでも、彼らの姿に何度勇気をもらったか、両手では数えきれない。

 

今の俺があるのは、仮面ライダーという存在があってこそだと確信している。

 

生まれ変わっても、それだけは覚えているのだから筋金入りのライダーファンなのだろう。

 

 

 

そんな第二の人生を謳歌していたある日の夜……俺は……

 

『ようやく会えたな。平行世界における、若き日の私よ』

 

夢の中で、最高最善の王と遭遇した。

 

 

 

「オーマ、ジオウ……なんで……」

 

『ふむ? ……なるほど。確かにお前は、この世界の常磐ソウゴだが、前世を持つ存在でもあったな。であれば、私のことも知っていても、おかしい話ではない』

 

前世を持つ存在。

 

家族にすら言ってない秘密を、さも当然の如く話す魔王の姿に、俺は背筋が凍るような感覚を覚えた。

 

「……オーマジオウの力で、過去を知ったのか……それで、何の目的で俺なんかの前に……?」

 

『そう警戒するな、私がお前に危害を加えるつもりなど、一切ない。私は、お前という稀有な存在を探していたのだ』

 

探していた?

 

要領を得ない言葉に首を傾げていると、オーマジオウは虚空へ向けて手を翳す。

 

同時に、周囲の空間に歯車の集積体が枠を作っているような空間が現れる。

 

「……ビルド? それにこっちはギルスにメテオか……!?」

 

それぞれの空間の先に映っていたのは、かつて見た仮面ライダーに酷似している異形の怪物たちが、街を破壊している様子だった。

 

「何だよこれ……全部、アナザーライダーじゃないか……!」

 

映っていたのは【仮面ライダージオウ】に出てくる仮面ライダーの歴史を奪い、作られた異形の存在、【アナザーライダー】。

 

しかし、その種類は主役ライダーだけでなく、他のライダーと思しき姿がいくつも見受けられる。

 

『これは私でも、本来の若き日の私が体験した歴史ではなく、これから先、お前の世界で起こる可能性だ』

 

そんな馬鹿な、と口にしようとして、自身の境遇や最近見ている掲示板を思い出すと現実味を帯びてくる。

 

『取り乱さないか……さて、前置きはここまでにして、本題に入るとしよう』

 

歯車の空間が消え、俺とオーマジオウだけの世界に戻る。

 

『転生者の私よ。お前を探していたのは他でもない、この世界の【時の王者】として目覚め、アナザーライダーを作り出す元凶を討たせるためだ』

 

「……そういえばさっきから、俺のこと若き日の私って……」

 

『そうだ。この世界では仮面ライダーの歴史がフィクションとして知られている。同時に、仮面ライダージオウの平行世界の一つでもあるのだ』

 

「……ディケイドのリ・イマジネーションの世界」

 

かつて放送された【仮面ライダーディケイド】の要素、【リ・イマジネーション】。

 

ディケイドが旅した先の世界に居た仮面ライダーは、同名である別の可能性だった。

 

つまり俺の転生先は、リマジ世界のジオウ……常磐ソウゴということなのだろう。

 

「だけど、元凶を倒せと言われて、も……オーマジオウ、体がッ!?」

 

『……流石に長くは保てないか……』

 

ふと、オーマジオウの足元からキラキラした何かが立ち上っているのに気がついて下を見ると、オーマジオウの膝から下が黄金の粒子へ変わりながら消えていた。

 

「どういうこと……なんで消えて」

 

『それは若き日の私が、私に至ることがなくなったからだ』

 

「……ジオウ最終回のオーマジオウか!」

 

『——そうか。あの問答は、正しく歴史の一部となっていたのか……』

 

どこか懐かしむように声を震わせる魔王。

 

『知っている通り、若き日の私の決断によって、私の存在はもうすぐ消える。その前に、ライダーの力を利用しようと考えた不届き者を、自らの手で倒したかったが……』

 

「…………————」

 

——どうするべきか。

 

そもそも前世も含めて、ケンカをしたことがあっても、命に関わるような出来事に縁がなかった。

 

そんな俺が、仮面ライダーとして戦えるのか。

 

——いや、そうじゃない。

 

仮面ライダークウガ・五代雄介は、暴力を嫌っていたが、人の笑顔を護るために戦う覚悟を決めていたじゃないか。

 

他の仮面ライダーだってそうだ。

 

戦いを好む者も少なからず居たが、多くのライダーは、望んで戦っている訳ではない。

 

大切なもののために。

 

信念を貫くために。

 

夢を掴み取るために。

 

人々の未来のために。

 

彼らは、戦い続けてきた。

 

であれば……結論は、自ずと決まっていた

 

「——元凶を倒せば、あの未来は変えられるんだよね?」

 

『恐らくは』

 

「……やるよ、やってやる。あんた達仮面ライダーの力で、あんな未来を変えるために……!」

 

『……お前なら、引き受けると思っていたぞ、転生者の私よ』

 

そうしてオーマジオウは俺の前で手を翳し、2つの物体を出現させる。

 

巨大な腕時計型のベルト——ジクウドライバー。

 

ストップウォッチ型のアイテム——ライドウォッチ。

 

『覇道に進むも、王道を征くも……新たな選択をするのも、お前次第だ』

 

2つの物体を手に持った瞬間、黄金の魔王が、光となって消えていく。

 

『では、健闘を祈るぞ……杉崎ソウゴよ』

 

そして、視界が徐々に薄れて……

 

 

 

 

 

——大丈夫。

 

——君なら、いける気がする。

 

——最高最善の未来に。

 

 

 

 

 

聞き覚えのある誰かの声が、耳に届いた気がした。

 

 

 

 

 

そして、時は流れ……とある街中。

 

普段であれば人で賑わうそこは、見るも無残に蹂躙され、至る所で火の手が上がっていた。

 

その中で蠢く影が一つ。

 

その姿は、いくつもの生き物が人の形になるようにツギハギされた、獅子の頭を持つ異形であった。

 

『凄い、凄いぞ。この力があれば、アイツらを……オレを馬鹿にしてた連中を……!』

 

全てが思い通りになるような全能感を味わいながら、なおも破壊の限りを尽くす異形。

 

「……やめたほうがいいよ」

 

『ンッ!? 誰だッ!』

 

そこへ、1人の少年が姿を表す。

 

「アナザービースト。これ以上、あんたの好きにはさせない」

 

『はんッ、誰であろうが関係ねェ。オレの邪魔をするんだったら、お前を喰ってやるよ!』

 

直後、異形……アナザービーストは全身にツギハギされている生き物の頭部から様々な光線を放つ。

 

対して少年は、まるで()()()()()()()()()()()放たれた光線を避ける。

 

アナザービーストはたまたまだろうと思い、少年に向かって何度も光線を放ったが、1発も被弾することはなかった。

 

業を煮やしたアナザービーストは、頭部の獅子の頭から、今までの中で特大のビームを放つ。

 

「どこを狙ってるの?」

 

『……ナッ!?』

 

後ろの声に振り返れば、撃ち抜かれたはずの少年があっけらかんと立っていた。

 

その腰には、いつの間にか大きな腕時計のような物が巻かれている。

 

『テメェ……何で攻撃が1度も当たんねェんだよ!?』

 

「一度見た未来だから」

 

当然だと言わんばかりに即答した少年は、手に持つ懐中時計の表面パーツを回し、上部のボタンを押した。

 

《ジオウ!》

 

『ジオウだと……まさか、お前が例の!』

 

心当たりがあったのか、血相を変えて弾幕を張るアナザービースト。

 

けれども、少年に当たるどころか、かすりすらしないまま周囲にばら撒かれるだけだった。

 

少年は懐中時計を、腰につけている時計の右手側にあるスロットに装填すると、彼の背後に無色の巨大なアナログ時計が現れ——

 

「——変身ッ!」

 

——世界が、一転する。

 

 

 

《ライダータイム! 仮面ライダージオウ!》

 

 

 

少年の姿は、一瞬にして戦士へ変わる。

 

黒と銀、マゼンタカラーのボディ。

 

胸から腰にかけて伸びる時計のベルトのような装甲。

 

何より目を引くのは、10時10分を指す時計型の頭部の、ライダーと読める複眼。

 

その戦士の名は、仮面ライダージオウ。

 

「いくぞ……アナザービーストッ!」

 

『……クソがァ!』

 

臆することなく、今日も時計の戦士は、迫りくる異形と対峙する。

 

——新たな時の王者として、最高最善の未来を目指すために……




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