神獄塔メアリスケルター AnotherFinale 作:謎のコーラX
1話 正常な世界
ジェイル、それは突如として空から飛来し、人々、動物、建造物、全てが擬態化という侵略を受け、ある日本最大の繁華街、東京は地面が陥没、空は閉じ、人々は閉じ込められたのだ、白い月が空に輝き、人々は怪物、メルヒェンによる拷問によって一時も安心できない毎日を送っていた、しかし、黎明の血式少女の活躍により、人々は
――数瞬の白から晴れ、次に僕達の目に入ったのは、青い空、白い雲、そして黒い太陽がサンサンと輝いていた、とても眩しい、これが……空?、草原が広がり、気持ちの良い風が草花を揺らしている。けど、これは。
「……なんだろう、
『やったぞ!、外に!、外に出られたんだ!』
『おぉ!、見慣れた風景だ!、』
大人達は皆喜びの声をあげている、けど、僕達血式少女やハルさん達はどうも反応がおかしい、いや、これは僕と同じ感覚なのだろう、何かが違うと。
「ジャック……おかしいの、本で見た風景のはずなのに、違うってわたし、思ってしまうの」
アリスは、頭を抱えている、僕にもそれはわからない、いったいどういうことなんだ。
「――これ、は……」
皆状況に困惑しながら、ハーメルンだけは明らかに異質だ、顔は真っ青で、手は震えている。
「ハーメルン?」
「違う……なんだこりょ記憶は……われの、われの知らない……われは……いったい――」
そのままハーメルンは気を失い、草原の上に倒れた。
「ハーメルン!?」
『きゃーー!、メルヒェンよ!』
ハーメルンに駆寄ろうとした瞬間、人々が声を上げた、多数のメルヒェンがこちらに近づいてきている。外にもちゃんといるのか。
「おいジャック!ハーメルンのことは気になるけど、とりあえずはメルヒェン退治だ」
マチさんは背中のマッチを持ち、メルヒェンの集団に向かっていった。
「ちょっと!、先走るんじゃないわよマチ、行くわよシンデレラ」
「わかってますわ赤ずきんさん!」
赤ずきんとシンデレラもマチさんに続いていった。
「ギギィ!」
息もつかせず、今度は別方向からメルヒェンが向かってくる、他の血式少女の皆が向かっていき、これは、囲まれているのか?。
「そんな、こんなに早くにメルヒェンが」
ヒカリは力を使おうとするが、脱獄前に言った通り、もう残ってないらしく、倒れそうになる、それをマモルが支えた。
「ヒカリ、無理するな」
「マモル……」
「大丈夫さ、それに血式少女の皆は強いんだ、これくらい……ヒカリ?」
「マモル、その傷はどこで?」
ヒカリが指をさした場所、首にいつの間にか何か痕がついていた、まるで切られた後くっついたような、生々しい傷が、なんだろう、この傷、とても不自然だ。
「ん?、よく見えないが……確かに首に何か変な感じが……おい、お前ら、それ」
マモル以外にも、カエデ、タツミ、イツキにも同じような痕がついていた、この傷には何か意味があるのか?、他の人達にはそんなものあるようには見えないが。
「なんなんだ、いったい」
「ぉぉぉぉああっと!」
先程向かっていったマチが凄いスピードでこちらに飛んできた、手に持っていたマッチは折れており、少し頭から血が出ている、あのマチさんが怪我を!?。
「マチさん!?」
「いつつ、聞いてないぞ、ナイトメアがいるなんて!」
ナイトメア、脱獄前に、幾度も戦ったメルヒェンの親玉、不死身の怪物だ、それが何故ここに!?、さっきから驚きが多すぎる、いや、情報不足というのが適切なんだろう。
どうやらナイトメアが現れたのはマチさん達のところだけらしい。
「けっ、再生持ちっぽいな、さっきつけた傷が塞がっている、さて、いけるかな、マッチ何本刺せば死ぬかな」
マチさんが向かおうとした瞬間、他の方向のメルヒェン達がみるみると減っていく。
「あぁ?なんだ?」
「血式少年少女戦線です!、皆さん無事でしょうかー♪?」
そのような大きな声が、聞こえてくる、今度はなに?、血式少年少女戦線?。
「ギギィ!」
「ふむ、大きいですね、これはそこそこ弾を使わされそう」
軍服を羽織ったラプンツェルほどに見える少女がナイトメアを飛び越えて、赤ずきん達のところに現れた、手にはマガジン式の拳銃と刀が握られている、この子ももしかして血式少女?。
「ちょっと!、ここは危ないわよ!」
「そうですわよ!、こんなところに子供がくる場所では」
「はは、赤ずきん、それとシンデレラですね、こんにちは、はじめまして、わたしは」
少女はナイトメアに背を向けて、赤ずきんとシンデレラにお辞儀をした、それを見逃さずナイトメアはその腕を振り下ろす。
「「危ない!」」
二人がそう言った次の瞬間、見えなかったけど、刀で斬ったのか、ナイトメアの四肢は斬られていた、そのままナイトメアは地面に力無く倒れる。
「マリアチャイルド、皆からはそう呼ばせているわ」
マリアチャイルドと名乗った少女は、ナイトメアに今度は拳銃を向け、撃鉄を5発鳴らした、銃弾はナイトメアの胴体に命中する。
「ちょっと、ナイトメアは核を壊さないと」
「存じております、まぁ見ればわかりますから」
数秒後、ナイトメアは身体をバタつかせて、苦しんでいる、身体がボコボコと膨れ上がり、次の瞬間、ナイトメアは肉を飛び散らかして爆発した……ナイトメアが死んだ?。
「な、何が起こりましたの!?」
「あぁ、これはですね」
「なんすかなんすかなんすかそれ!!」
大声をあげて、くららが飛び出していった、あぁ、あぁいう不思議なやつ好きそうだしね。
「えっと」
「どうして倒せないナイトメアが爆発したんすか!、どういう造りの弾なんすか!、その刀もかなり切れ味良いんすけど」
「わかった!……後で話しますので、とりあえずついてきてください」
「え、でもメルヒェンが」
僕の疑問は答えを待たずにすぐにわかった、既にメルヒェンは全て掃討されていた、数百はいたはずなのに、アリス達が強くなったとは言え、ここまでの速度は出せない。
「ら、ラプンツェル達、ほとんど活躍できなったよ、あなた誰?」
「んー♪、わ♪た♪し♪は、カーレン♪、どうもこんにちは、小さきマドンナさん♪」
マリアチャイルドと同じ軍服に本で見たようなドレスを着て踊っている少女、ラプンツェルは少し困惑してる様子だったけど、すぐに自分も踊りだした。
「あ……の、そ……の…」
「うーん、綺麗な緑の髪、眠たげな瞳、そしてふくよかな乳!、眠り姫さん、どうか僕と一緒にデートを、僕は牛若丸、これでも血式少年さ!」
「なんなのよ!」
同じくちゃんと軍服を着ている少年は眠り姫を口説いていた、それを親指姫が蹴りを入れているが全て避けられている。
「んー、きみは……対象外!」
「殺す!」
「えっと……その、いい奴らなんですよ、牛若も、カーレンも……」
マリアチャイルドは遠目で諦観といった感じだ。
「あぁうん……実力はあるみたいだしね、て、そんなことより、あなた達、何者?」
赤ずきんが話を切り出した、敵ではないのは確かだけど、それよりも。
「なんで、言ってもいないのに、あたし達の名前を知ってるのよ」
そうだ、僕達は一度も名前を言ってない、それなのに何故名前を出せたのか。
「……まぁ、ついてきて、私達の都市に」
そう言ってマリアチャイルドは指を鳴らして、牛若という少年と、カーレンという少女を側に呼び、歩き出した。
「……どうする、ジャック」
マチさんは疑っている様子だけど、僕は。
「行こう……もしかしたらこの違和感の正体もわかると思う」
「それも、そうか、まぁもしもの時はマチがなんとか護ろう」
この正常で、違和感のある世界……二人の血式少女と一人の血式少年、マリアチャイルドが言う都市に行けば、全てわかるかもしれない。