神獄塔メアリスケルター AnotherFinale 作:謎のコーラX
「はぁはぁ……はぁ」
メアリーはそれなりに暗い路地裏の奥までくると、壁にもたれかかり、体育座りをした。
「なにやってんだろうな、俺」
あいつが本当に、俺の妄想の産物なわけがない、そんなことできるとしたら、ウィッチクラフトくらいだ、だけど俺は一度でもそんなモノを見たことも無い、ならあいつは何なんだ?、いや、逆なのかもしれない、俺があいつの妄想の産物じゃないのか?……考えても仕方ないか。
「……マッチ、擦るか」
懐から俺はマッチ箱を取り出して、箱から一本のマッチ棒のを摘んだとき……誰かが近づいてくる足音が聞こえた。
誰だ?、
「探しましたよ、メアリーさん」
そいつは暗闇の中から現れた、修道服みてぇのを着てる変なやつだった。そいつは一回お辞儀をすると、喋りだした。
「拙僧は影法師、貴方様をお連れに来ました」
「連れに……ね、血戦のやつとは違うみたいだが俺が見えてるみたいだが何者だ?」
「ふふふ、そういうのは拙僧の仲間のところで話しましょう、さぁ」
黒服の野郎が手を伸ばすと、俺は自分の影の中に沈んでいく。
「んなっ!?、俺は行くとは一言も」
「貴方様の考えは聞いておりません、さぁ行きましょう」
ズブズブと沈んでいきやがる、足掻いてもまるで泥みたいに身動きが……ヤバい、このままじゃ。
「ふーん、そういうことするんだ」
完全に沈みきる前に、火のついたマッチ棒が黒服の野郎の伸ばした手を吹き飛ばした、それと同時に俺も影から抜け出せた。
「……つけてきましたね」
「悪いか?、こういう裏路地では不審者が出るのが相場らしいからな」
俺を助けたのは、さっき会ったマチだった。
「お前……なんで」
「下がってろ、メアリー、こいつ、たぶんジャバウォックで間違いないぞ」
「ジャバウォック?、なんだそれ、て、何だあれ!?」
俺は言われた通り後ろに下がる、ジャバウォックがどういう存在かは、目の前にいる野郎からわかった、先程吹き飛んだ手が、グジュグジュと、再生してる……?。
「ジャバウォックというのは旧いですね、拙僧らは
「少女だったのか、まぁ知ったこっちゃないが、今すぐ引き下がってくれたら、荒っぽいことせずに済むんだけどな」
「ふふふ、それはこちらの台詞ですよ!」
野郎は一度目をつぶると、目を開けたとき、
「な、何だその目!?、気持ち悪!?」
「……ふーん、どっかで見たことあるな」
「はは!、影縛り!」
野郎は笑いながら、手を合わせると、影が伸びて、マチの影と繋がる。
「なんのま……動けないなこれ」
「ほほ、どうですかな、拙僧の術は、それでは貴方様もお連れ」
「ふん!」
動けないはずなんだが、マチは重い足取りながら一歩ずつ野郎に近づいていってる、意外と束縛が緩いのか、マチの力が上なのか……。
「なっ!?、くっ、この!」
野郎は影を剣や槍の形にして、マチを攻撃する。
「言っておくけど、たぶん」
マチは、大きなマッチ棒を手に出現させて、着火させる、そしてそれを影の攻撃を全て消してみせた、影だから、光に弱いってこと……てっ、うおっ、俺の横を少し掠ったぞ今の攻撃!
「おい!、ちゃんと全部消せよ!」
「わがまま言うな、自分で避けろ!」
「ちぃ、やはり相性悪いですね、ですが!」
野郎は影の中に沈んだ、逃げたのか?。
「………」
「た、助か――!?」
俺が声を出そうとしたとき、俺の影から手が伸びてくる、何本も伸び、俺の身体を拘束して、影の中に引きずり込む、マチは気がついねぇ、くそ、どうする。
『ふふふ、このまま一瞬で……ん?』
「……ほい」
マチは、一本の普通のマッチ棒を空中に投げる。
「目をつぶれ、じゃないとやばいぞ」
俺が目をつぶると、次の瞬間、強い光が瞼ごしに輝いた。
一気に火を超高温にした感じか、やべぇなあいつ。
『グァァァァァ!!』
「お前に対して最高にキメられる一本だろ?、受け取れ」
影の中から、野郎の汚い悲鳴が聴こえてくる、かなり効いてる感じだな。
影が消えたことで俺は弾き出される感じに出てきた、野郎も苦しみ悶ながら出てくる。ザマァねぇな
「ぐっ……この」
それでも野郎は俺に掴みかかろうとする。結構焼かれてるのに元気なやつだな。
「蹲れ」
マチの言葉に従い、蹲ると、頭上にさっき見た火炎放射が通り、若干俺の髪が焼けた。
「……もう良いぞ」
「お、おう」
俺は立ち上がり、後ろを見ると、焼けた野郎の死体があった、炭の臭いがしやがるな、流石に生きて……無いよな?。
「ふぅ、意外とやれるな、鉢かづき姫に魔力のコツを聞いて実戦始めてだが」
「な、なぁ、殺したよな?」
「たぶんな、昔戦ったナイトメアと同じようにしたわけだし、とりあえずここから離れるぞ」
「あぁ、そうする……」
俺は、マチととりあえずは明るい場所に出ようとする、野郎の死体を横切った、その時、うめき声が聞こえた。
「はぁ!?」
「マジか」
俺らが驚いて振り返ると、野郎は起き上がり、全裸ながら、もう8割は回復している感じだ、炭になっていた部分が皮のように剥がれていってやがる。
「まだ……まだやれるぞ!下等生物ども!」
声を荒げて、そうは言ってるが、流石に効いてるらしく、ふらふらしてる。
「なんだ、もう少し念入りにしたほうが良さそうだな、お前の場合」
マチは再び大きなマッチ棒を出現させる、今度は大丈夫だと思いたいな。
「下がれ、影法師」
突如空から声がしたかと思うと、俺らと野郎の間に、分厚い氷の壁が現れた。
「なっ!?、
氷越しにヤオと呼ばれるやつが降りてきた、水色のローブを身に纏って顔はフードで見えないが、俺よりも小さな子供くらいの背丈だった。
「無様だな、相手の力量、相性もわからずに特攻するなど、それでもドロシーと同じ7人の
「ぐっ……」
「良いのかね、マチらにそのこと言っちゃって」
マチは再びマッチ棒での火炎放射をするが、貫通には至らない。ヤオってやつは、笑みを浮かべて、自身より背丈のある影法師の野郎を抱えた。
「別に、問題無い、影法師はなんとかなったみたいですが、彼女は絡め手が主だから、はたして他の娘らにはどうするかな、マチ」
「……そうだな、今のところ
「えぇ、そうさせてもらうわ、では、
ヤオってやつは、一瞬で、その場から消えた、氷の壁を残して。
俺らは外に出れた、さっきまでのこともあり、どっと疲れが出た、汗もびっしょりだぜ。
「……?、おいお前、いつの間に俺と同じ場所に傷を?」
マチの顔を見ると、頬に傷ができていた。
「?、あぁ、確かについてるな、全部避けたはず……まさか」
マチは、しばらく考える素振りをしてると、俺の肩に手を置き、笑みを浮かべた。
「お前、しばらくマチの側決定だ」
「……はぁ!?」
○
名も無い少女は、名を得て、自らと似た少女と出会う、幻想はいつしか……現実へと置き換わる、それが良いことか悪いことかは、本人らが決めることなのだろう。