神獄塔メアリスケルター AnotherFinale   作:謎のコーラX

25 / 36
幕間14 マチとメアリー、そして悪夢少女ついて 中編

ドロシーは快活で、働き者であった。

 

「えっとぉ、すみませーん、これ何処に運べばいいんでしょうかー」

 

『あぁ、それは右隣の奥だな』

 

ブリキの人形を使わず、本人でせっせと運び。

 

「待てー、たーべちゃうぞー!」

 

『きゃー!』

 

『たべられちゃうよー!』

 

子供と元気に遊び回り。

 

「お、ドロシーちゃん!、ちょっと相談があるんだが」

 

「なんですか牛若さん、ワタシが答えられる範疇なら頑張りますがー?」

 

血式少女、少年の、良き相談相手となっていた。

 

「……ドロシー、か」

 

マリアチャイルドは、一人長の部屋で、ドロシーについて考えていた。

 

「何者なのだ、あの少女は、外のジェノサイド・ピンクなら本来傲慢不遜であるのが本来は普通だ、事実、私が見てきたジェノサイドピンクは一部の例外を除いて、全て人間を見下し、汚染動物、メルヒェン、及びそれを護る人間を殺すような連中だ、絶対に何かあるのだろう」

 

マリアチャイルドはドロシーに監視カメラ、盗聴器などを使い、四六時中観察した、しかしこれと言って怪しい行動、言動は見つからなかった。

 

「牛若丸も、カーレン、それにイッスンも、心を掴まれている……ここは一度、話を聞いてみるとするか」

 

マリアチャイルドは、ドロシーのもとに歩き出した。

 

「はわー、それは大変でしたねー、よしよしです」

 

『うぅ、ごめんなぁ、おれ家族を失って、でもドロシーちゃんがついていてくれるなら、おれ、頑張れそうだよ』

 

「はい!、何時もは無理ですけど、このご時世、共に元気に!、家族の方々の分まで生きて見せましょう!」

 

『ありがとう、ありがとうなぁ』

 

ドロシーは、一人の男の相談を終え、男が見えなくなると、振り返り、マリアチャイルドのほうを見る、何時もの笑顔で。

 

「何か御用でもありそうですね、マリアチャイルドさん」

 

「二人だけで話がある、ついてこい」

 

「はーい!」

 

ドロシーはとてとてと、マリアチャイルドの後ろをついていき、血戦ビルの地下にある、防音、監視カメラ無しの、無機質な部屋に通される。

 

「はわー、こんな部屋が血戦にはあるんですねー、それでマリアチャ」

 

「黙れ、私が言っていいと言うまで口を開くな」

 

マリアチャイルドは刀をドロシーの首筋に向ける、それでとドロシーは笑顔を崩すことはない、()()と言っていいほど。

 

「………」

 

「座れ」

 

ドロシーを奥にある椅子に座らせ、マリアチャイルドも数メートル離れた位置にある椅子に座る。

 

「まず一つ目、お前は何処で生まれた」

 

「北端にある図書館跡ですねー、住み着いていたメルヒェンでしたっけ言い方、その腹から生まれたと思いまーす」

 

……痛みは無い、嘘ではないことが、マリアチャイルドの身体が伝えてくれる。

 

「北端か、確かにあそこならドロシー、いや、オズの魔法使いの本があったな、次だ、そのブリキの人形以外に、、お前はどんな事ができる」

 

「どんなことですかー、オズの魔法使いを読んでいるならわかるかとは思いますが、勇気や心、後は無生物に脳に似たモノを与えられますねー、ライオンやカカシに似たモノも出せますしー、後魔法を少しかじってます」

 

嘘ではない、だが、かなりの量の血式能力だ、他のジェノサイドピンクとは明らかに違うことがわかる。

 

「お前は何者なのだ、どうやってそこまでの力を」

 

「何者と問いますかー、それはどういう存在かと言ったよ感じですかー?、ワタシは、世界を救いたいと思ってます、そのためにワタシはこのような力を身につけました、全ては世界のため、ですよ、だからワタシはワタシなのです」

 

これも嘘ではない、本当に世界を救いたい、そう願っているのだ。

 

「……本当に、そういうことなのか、すまない、話はこれで全てだ、ドロシー」

 

「はーい」

 

マリアチャイルドは、椅子から立ち上がり、手をさしだす。

 

「これからもよろしく頼む」

 

「はい、こちらこそー」

 

ドロシーはマリアチャイルドの手を掴み、握手をした。

 

 

それから、ドロシーは第一戦線、マリアチャイルドと共に戦う仲間にまで上がり、様々な人から愛される存在となった。

 

 

 

 

だが、現実はそう甘くは無かった。

 

「――これは、どういうことだ……ドロシー!!

 

血戦都市から離れた場所、そこには人々の山、その中には太郎3兄弟も含まれている、ドロシーはその山を見つめながら、何時ものあの笑顔を浮かべている。

 

「……詳しくは言ってませんでしたね、世界を救う方法は……ワタシはねぇ、気づいちゃったんだぁ、世界がどうしてこんなにも辛く、苦しく、哀しく、そして醜いのか……」

 

ドロシーはマリアチャイルドのほうに振り向き、杖を掲げる。

 

「答えは一つ、人は儚い生き物だからなんだ、老化で死ぬ、刃物で死ぬ、精神が荒めば死ぬ、食べ物が無ければ死ぬ、寝ないと死ぬし、病でも死ぬ、死だよ、死が人を焦らせる、戦わせる、不和が生まれる、だからね」

 

杖が輝き、何もない場所から、それは現れる、いや、隠されていたのだ、今まで、正しくは、()()()()()()()()()

 

「―――なんだ、何なんだこれは」

 

マリアチャイルドは些細なことでは驚かない自信があった、仲間の死でも揺るがない、だが、これはなんだ?、こんなモノが何故、この世界に存在する?。

 

()()()()これはそれを叶えてくれる、擬態化なんてモノじゃない、世界を救う、世界を書き換える、これはウィッチクラフトなんかよりも強い、それを芽生えさせてくれる、()()()!!」

 

塔、と、呼ぶには、それはとても、人の姿をとっている、巨人、それがいくつもの太く頑強な鎖で縛られている、だがそれでも、マリアチャイルドは初めて芽生える感情があった、恐怖、これを目覚めさせてはいけない、ドロシーが言うような、世界を救うものとは到底思えない。

 

「こんな、こんなモノが、世界を救えると言うのか」

 

「そうだよー、これは世界中にある栄養豊富な核を取り込んで完成する、いわばミイラ、白い核なんかが好ましい、これも成分的にはジェイルと同質、同類、ははは、さて、あの3兄弟にも言ったけど、あなたにも質問するね……ワタシと一緒に来ない?、世界を救う、計画に乗ってほしい」

 

ドロシーは手を差し伸べる、それに対してマリアチャイルドは、メルヘンスケルター化して、刀と銃を突きつける。

 

「断固反対しよう、私は、この世界を護る義務がある」

 

「……なんでわかってくれないかな、不死だよ?、そうなれば世界は救われるし、争いも飢餓も、人との別れだって経験することが無くなるのにさ、ねぇ、なんで?」

 

マリアチャイルドは、いっそう手に力を込める。

 

「私の人生を侮辱する気か?、人間とは限りある人生だから人を愛し、理解をしていく生き物なんだ、死なず老いずの人間は、それはもう人間などではない!」

 

「………何もわかっちゃいない」

 

ドロシーは、初めて笑顔を崩し、真顔となる。

 

「それは戯言だ、失ったから帰ってこないから理由をつけて、自分を隠す、騙す、そして人間ではない?、ならワタシは人間じゃなくなってもいいね、だって、それは新たな新人類なんだから」

 

「わかりあえない、と言った感じか」

 

「えぇ、価値観が違いすぎるね、だから、押し通すよ、ワタシは」

 

「………はぁ!」

 

ドロシーとマリアチャイルドは、一瞬で距離を詰め、ぶつかりあった。

 

――戦いの、開幕だ。

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。