神獄塔メアリスケルター AnotherFinale 作:謎のコーラX
ドロシーは快活で、働き者であった。
「えっとぉ、すみませーん、これ何処に運べばいいんでしょうかー」
『あぁ、それは右隣の奥だな』
ブリキの人形を使わず、本人でせっせと運び。
「待てー、たーべちゃうぞー!」
『きゃー!』
『たべられちゃうよー!』
子供と元気に遊び回り。
「お、ドロシーちゃん!、ちょっと相談があるんだが」
「なんですか牛若さん、ワタシが答えられる範疇なら頑張りますがー?」
血式少女、少年の、良き相談相手となっていた。
「……ドロシー、か」
マリアチャイルドは、一人長の部屋で、ドロシーについて考えていた。
「何者なのだ、あの少女は、外のジェノサイド・ピンクなら本来傲慢不遜であるのが本来は普通だ、事実、私が見てきたジェノサイドピンクは一部の例外を除いて、全て人間を見下し、汚染動物、メルヒェン、及びそれを護る人間を殺すような連中だ、絶対に何かあるのだろう」
マリアチャイルドはドロシーに監視カメラ、盗聴器などを使い、四六時中観察した、しかしこれと言って怪しい行動、言動は見つからなかった。
「牛若丸も、カーレン、それにイッスンも、心を掴まれている……ここは一度、話を聞いてみるとするか」
マリアチャイルドは、ドロシーのもとに歩き出した。
「はわー、それは大変でしたねー、よしよしです」
『うぅ、ごめんなぁ、おれ家族を失って、でもドロシーちゃんがついていてくれるなら、おれ、頑張れそうだよ』
「はい!、何時もは無理ですけど、このご時世、共に元気に!、家族の方々の分まで生きて見せましょう!」
『ありがとう、ありがとうなぁ』
ドロシーは、一人の男の相談を終え、男が見えなくなると、振り返り、マリアチャイルドのほうを見る、何時もの笑顔で。
「何か御用でもありそうですね、マリアチャイルドさん」
「二人だけで話がある、ついてこい」
「はーい!」
ドロシーはとてとてと、マリアチャイルドの後ろをついていき、血戦ビルの地下にある、防音、監視カメラ無しの、無機質な部屋に通される。
「はわー、こんな部屋が血戦にはあるんですねー、それでマリアチャ」
「黙れ、私が言っていいと言うまで口を開くな」
マリアチャイルドは刀をドロシーの首筋に向ける、それでとドロシーは笑顔を崩すことはない、
「………」
「座れ」
ドロシーを奥にある椅子に座らせ、マリアチャイルドも数メートル離れた位置にある椅子に座る。
「まず一つ目、お前は何処で生まれた」
「北端にある図書館跡ですねー、住み着いていたメルヒェンでしたっけ言い方、その腹から生まれたと思いまーす」
……痛みは無い、嘘ではないことが、マリアチャイルドの身体が伝えてくれる。
「北端か、確かにあそこならドロシー、いや、オズの魔法使いの本があったな、次だ、そのブリキの人形以外に、、お前はどんな事ができる」
「どんなことですかー、オズの魔法使いを読んでいるならわかるかとは思いますが、勇気や心、後は無生物に脳に似たモノを与えられますねー、ライオンやカカシに似たモノも出せますしー、後魔法を少しかじってます」
嘘ではない、だが、かなりの量の血式能力だ、他のジェノサイドピンクとは明らかに違うことがわかる。
「お前は何者なのだ、どうやってそこまでの力を」
「何者と問いますかー、それはどういう存在かと言ったよ感じですかー?、ワタシは、世界を救いたいと思ってます、そのためにワタシはこのような力を身につけました、全ては世界のため、ですよ、だからワタシはワタシなのです」
これも嘘ではない、本当に世界を救いたい、そう願っているのだ。
「……本当に、そういうことなのか、すまない、話はこれで全てだ、ドロシー」
「はーい」
マリアチャイルドは、椅子から立ち上がり、手をさしだす。
「これからもよろしく頼む」
「はい、こちらこそー」
ドロシーはマリアチャイルドの手を掴み、握手をした。
○
それから、ドロシーは第一戦線、マリアチャイルドと共に戦う仲間にまで上がり、様々な人から愛される存在となった。
だが、現実はそう甘くは無かった。
「――これは、どういうことだ……ドロシー!!」
血戦都市から離れた場所、そこには人々の山、その中には太郎3兄弟も含まれている、ドロシーはその山を見つめながら、何時ものあの笑顔を浮かべている。
「……詳しくは言ってませんでしたね、世界を救う方法は……ワタシはねぇ、気づいちゃったんだぁ、世界がどうしてこんなにも辛く、苦しく、哀しく、そして醜いのか……」
ドロシーはマリアチャイルドのほうに振り向き、杖を掲げる。
「答えは一つ、人は儚い生き物だからなんだ、老化で死ぬ、刃物で死ぬ、精神が荒めば死ぬ、食べ物が無ければ死ぬ、寝ないと死ぬし、病でも死ぬ、死だよ、死が人を焦らせる、戦わせる、不和が生まれる、だからね」
杖が輝き、何もない場所から、それは現れる、いや、隠されていたのだ、今まで、正しくは、
「―――なんだ、何なんだこれは」
マリアチャイルドは些細なことでは驚かない自信があった、仲間の死でも揺るがない、だが、これはなんだ?、こんなモノが何故、この世界に存在する?。
「
塔、と、呼ぶには、それはとても、人の姿をとっている、巨人、それがいくつもの太く頑強な鎖で縛られている、だがそれでも、マリアチャイルドは初めて芽生える感情があった、恐怖、これを目覚めさせてはいけない、ドロシーが言うような、世界を救うものとは到底思えない。
「こんな、こんなモノが、世界を救えると言うのか」
「そうだよー、これは世界中にある栄養豊富な核を取り込んで完成する、いわばミイラ、白い核なんかが好ましい、これも成分的にはジェイルと同質、同類、ははは、さて、あの3兄弟にも言ったけど、あなたにも質問するね……ワタシと一緒に来ない?、世界を救う、計画に乗ってほしい」
ドロシーは手を差し伸べる、それに対してマリアチャイルドは、メルヘンスケルター化して、刀と銃を突きつける。
「断固反対しよう、私は、この世界を護る義務がある」
「……なんでわかってくれないかな、不死だよ?、そうなれば世界は救われるし、争いも飢餓も、人との別れだって経験することが無くなるのにさ、ねぇ、なんで?」
マリアチャイルドは、いっそう手に力を込める。
「私の人生を侮辱する気か?、人間とは限りある人生だから人を愛し、理解をしていく生き物なんだ、死なず老いずの人間は、それはもう人間などではない!」
「………何もわかっちゃいない」
ドロシーは、初めて笑顔を崩し、真顔となる。
「それは戯言だ、失ったから帰ってこないから理由をつけて、自分を隠す、騙す、そして人間ではない?、ならワタシは人間じゃなくなってもいいね、だって、それは新たな新人類なんだから」
「わかりあえない、と言った感じか」
「えぇ、価値観が違いすぎるね、だから、押し通すよ、ワタシは」
「………はぁ!」
ドロシーとマリアチャイルドは、一瞬で距離を詰め、ぶつかりあった。
――戦いの、開幕だ。