神獄塔メアリスケルター AnotherFinale   作:謎のコーラX

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幕間15 マチとメアリー、そして悪夢少女ついて 後編

その日は、満月が綺麗な夜だった、月見を楽しむために、休暇もかねて、血戦ビルの屋上に私は足を運んだ。

そこには既に先客がいた、ドロシーだ、ドロシーは一人、柵の上で月を見上げていたんだ、何時もの笑顔ではなく、とても悲しそうな表情を浮かべて。

 

「……あ!、マリアチャイルドじゃーん!、どしたの?、こんな夜中にさー!」

 

私を視認すると、ドロシーは何時もの笑顔を作った、だがあの表情を見たからだろうか、私には今のその笑顔がとても作り物に見えてしょうがない。

 

「あぁ、私は少し月見にね、団子も持ってきた……少し話でもするか」

 

「するするー!」

 

私は台にピラミッド型に乗せた団子を置いて、座ってあの月を見ることにした、隣にドロシーをそばにおいて。

 

「……なぁ、ドロシー、貴方、この都市に来て、楽しいと思ったことがあったか」

 

「そだねー、楽しいよー、皆優しいしさ」

 

「ぐぅっ!」

 

嘘だ、それもかなりの嘘だとこの胸の痛みが教えてくれる。

 

「……ここでは貴方を楽しませられないみたいね」

 

「――ごめんね、ワタシ、()()()()じゃ、心から楽しめないみたい」

 

ドロシーの表情が再びあの悲しいものとなった。

 

「なら、どうすればいい、貴方は頑張ってくれてる、私は本気で楽しんでほしいんだ、この世界で」

 

「……ふふ、優しいことで、もっと堅物だと思っていたのに、これは新しい発見ね」

 

ドロシーは団子を摘み、口に入れる。

 

「おいし……ねぇ、マリアチャイルドさん、もし、やり直せるなら、世界を変えられるなら、きみはどうしたい」

 

不思議な質問だった、やり直す、世界を変えるか、私は後悔は既に過去に置いてきた、けど、そうだね。

 

「……私は変えたいかな、おじいちゃん達からよく聞くね、メルヒェンがいない、こんなにも世界が歪んでない、平和な綺麗な世界……私はそれを見てみたいかな」

 

「なら!、ワタシに」

 

「けど、駄目なんだよ、それはここで生きる人々を否定すること、失った者達の否定、私はそれを背負って、生きていかないといけないんだ」

 

「……偽りを重ねた答えね

 

一瞬、泣きそうな顔をしたかと思うと、怒ったような顔からまた笑顔を作る。

 

「何か言ったかな」

 

「うん、マリアチャイルドさん、きみはそんな人だ、自分というモノを押し殺して、否定して、我慢して、人々のために、その血液の一滴さえ捧げる、そんな人だよ」

 

ドロシーは立ち上がり、杖に乗って宙を舞う。

 

「……ワタシはワタシがやるべきことをする、この世界のために、悲しみをこれ以上生み出さないために」

 

ドロシーはそう言って去っていった、また会えると、この時はそう思っていたんだ。

 

――1年、ドロシーはそれ以来姿を見せなかった、何か悪いことをしたのか、あの時、ワタシに、いったい何を言いたかったのだろう。

 

その答えは、今ここにあるのだろう。

 

 

「はぁぁぁぁ!」

 

空中にてドロシーはいくつもの巨大な火の玉を作り、マリアチャイルドに向けて放つ、それをマリアチャイルドは刀で斬って落とし、メアリガンをドロシーに向けて発射する。

 

「ぐっ!」

 

ドロシーの肩に命中し、その口から濁った血液が吐かれる。

 

「ぬぁぁぁ!!」

 

ドロシーは地面から神獄塔の半分ほどの巨大なブリキの人形を作り上げる、その拳をマリアチャイルドに振り下ろす、大きな破砕音が響く、マリアチャイルドは、光線にて、ブリキの人形の腕を溶かし、そのまま跳躍して、ブリキの人形の頭を切り落とした。

 

「何故だ!ドロシー、貴方は人々の信頼を裏切るのか!」

 

ドロシーから放たれる様々な属性の攻撃を避け、当たりながら、空中にいるドロシーに向かっていく。

 

「ワタシはワタシがやるべきことをする!、こんな歪んだ世界を救済するために、ワタシはこの世界を否定してでも、ワタシは全世界の不老不死を目指す!」

 

更にドロシーは攻撃を激しくしていく、それでもマリアチャイルドは止まることはない、傷つき、焼かれ、貫かれても、そして、その刀がドロシーの胸に突き刺さる。

 

「私は……人間を守っていく、そのためなら、たとえ違った価値観の正義だろうとも、私は己を貫く」

 

「ごふっ……ふふ、強い、強い()()()いくらそんなことを言っても……」

 

二人は落下し、地面に転がる、ドロシーから気配を薄まっていく、マリアチャイルドはドロシーの死が近いことを予感する。

 

「私は、それが世界のためなら、強いだけでもいい」

 

「――あはっ、後悔はしないだろうけど言っておくよ、その正義が、近いうちに、敵を生み出すことになるだろう――予言して――あげる」

 

ドロシーはそう言って目を閉じ、動かなくなった。

 

「……」

 

マリアチャイルドは傷だらけの身体で、血戦都市に向かって歩き出した。

 

 

勝った、殺した……だが、それは生まれた。

 

伝令から噂から聞いた、世界の都市が壊滅したと、一人は糸を使い、一人は氷を使い、一人は黒い光を使うと、世界に悪夢に包まれた、残されたのは血戦都市のみ……やつらはこう名乗った、悪夢を生み出す者、世界を救う者、悪夢少女(ナイトメア・ガール)と。

 

 

「……なるほど、で、殺したはずの、ドロシーが生きていたとね」

 

「えぇ、正直言って驚いたわ、確実に死んだと、そう思えるほどに死体となっていたのに」

 

「……赤ずきん、シンデレラ、どう思う、マリアチャイルドの印象」

 

二人は数秒考えた後、口を開く。

 

「あんたにも正義があるんでしょうね、でもまっすぐすぎる気もするわね、別の道あっても自分の信じた道行くでしょあんた」

 

「わたくしは少し羨ましいですわね、悪いことを考えないその姿勢は」

 

「……そうか、マチ、貴方は私のことをどう見ます」

 

「どうも、マチはマチの信じた道を行く、正義とか悪とか関係なく、仲間を守る、助ける、そしてマチが間違っているなら、仲間にたすけてもらうよ」

 

「そうですか……話は以上ですか、では、また明日」

 

「おう、またね」

 

3人が去った後、マリアチャイルドは屋上に向かった、今日もまた、綺麗な月が浮かんでいる。

 

「――最初の友達……そう思っていたのにね、ドロシー」

 

一人、月を見て、団子を食べる、マリアチャイルドだった。

 

 

 

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