神獄塔メアリスケルター AnotherFinale   作:謎のコーラX

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11話 ハーメルン編③ 子を愛し、子を護り

「な、何故われらのことを?」

 

「ふふふ、ごめんなさいね、私って人の視界が見えるようなの、目を瞑るとね、まぁ()()()に限るけどね」

 

「主人公?」

 

「あら、それならもしかしてマチのことも見てるのかしら」

 

グレーテルの指摘に、シャーロットは少し驚きつつ、小さな丸を指で作る。

 

「正解、後はジャックくんや、つうさん、マモルくん、他にもいるわね、()()はなかなか多いわね」

 

「……いろいろと聞きたいことはあるけど、アーサーだっけ、貴方、もう一人のハーメルンのことはご存知なのに、よく暴走するかもしれないこっちのハーメルンを匿おうと思ったわね」

 

「……そのもう一人のハーメルンなら、ワタシはお断りするつもりだが、ハーメルン」

 

アーサーはハーメルンに視線に合わせ、その瞳を見る。綺麗な赤、肌も褐色、そして、

 

「やはり、聞いていた通りの良い子だね、他のジェノサイド・ピンクのような傲慢さ、過剰なまでの汚染動物への殺意も無い」

 

「ほ、褒めているのか?」

 

「えぇ、褒め言葉だ、話では、その内に眠る本来の暴走とは違ったモノを制御したい、かな」

 

「まぁ、できるものならしたいぞ」

 

「よろしい、ハーメルン、眼帯をとって見せてみろ」

 

「お、おぉ」

 

ハーメルンは眼帯を外し、黒い瞳をアーサーに見せる。

 

「……やっぱり、ハーメルン、童話とは別の、伝説の概念が混じってるな」

 

「へぇ、面白いわね、何かしら、その伝説の概念って言うのは」

 

「われにもわかりやすく頼むぞ!」

 

「おぅけぇ、じゃあ端的に言うなら、子供に広く伝わってるのが童話、老若男女問わずに知れ渡っているのが伝説、ワタシがアーサー王伝説なわけだが……ワタシもこうなる」

 

アーサーが目を一度つぶり、開けると、両目が黒く変色していた、それもすぐに、瞬きで元に戻る。

 

「おぉ、なんかよくわからないが凄いな」

 

「ふむ、その伝説は特別なモノなのかしら、他の概念の擬態化ではこうはならないとは思うのだけど」

 

「そうだな、他にも魔法少女……勇者、それと処刑道具、様々な概念の擬態化によって生まれるジェノサイド・ピンクだが、伝説は人々の想いが他よりも強い、ということがわかってはいるが、正直不明だ、何か別の要因があるのかもしれないが……」

 

「……ねぇ、酒呑童子も、その伝説に入るかしら」

 

「酒呑童子か、確かに、大江山伝説というのがあるから、それも伝説に入るのだろうが」

 

「……なるほどねぇ」

 

グレーテルは口角を釣り上げ、キミの悪い笑みを浮かべる。

 

「……さてと、話はこの辺に、今日は休むといい、戦う必要はない、いたい分だけ、ここで暮らすといい」

 

アーサーは優しい笑みを見せる。

 

「うむ、ならそうさせてもらおう、ゆくぞグレーテル!」

 

「そうね、少し歩き疲れたし、休ませてもらおうかしら、ヘンゼル兄さん、行きましょう」

 

「うん」

 

「あ、案内はこのシャーロットがさせてもらいます」

 

ハーメルン、ヘンゼルとグレーテル、そしてシャーロットは、部屋から出ていった。

 

「……お優しいことで、流石はゆう」

 

アーサーは笑みから一変、冷酷な表情で腰のエクスカリバーを抜き、居合の速度でケンの首目掛けて振るう。

 

「危な危な、もぉ、その言葉だけは短気になるねぇ、誰かさんと同じだ」

 

それをケンは獣の腕で防いで見せた。

 

「囀るなよ虚言者、キサマはシャーロットの連れだからという理由だけで生かしているんだ、妙な真似は控えてほしい」

 

アーサーはエクスカリバーを鞘におさめ、椅子に腰掛ける。

 

「ガッハハハっ!!、まぁ今のところは大丈夫だぜケン、俺っちから敵認定貰わない限りはその首は繋がっているからよ」

 

エクスカリバーは豪快に笑うが、声音に若干怒気が、混じっている。二人の殺気に、ケンは飄々と、何ごとなく、笑みを見せる。

 

「おぉ怖いよぉ、そんじゃ俺もこの辺で失礼させてもらうよ」

 

ケンはそう言って、ドアから出ていった。

 

「―――はぁぁあ!!」

 

ドアから離れ、人目のつかない自室までたどり着くと、大きく息を吐いた、汗が滝のように流れ、身体が震えだす。

 

「嘘嘘、あんな化け物2匹の殺意に耐えられるわけ無いでしょう普通に、ポーカーフェイスが得意で助かったわぁ、何なんだよアレ、()()()()()()だったはずだろう、どんな経験があればあんなんになるんだ」

 

ケンは自室で震えが止まるまで、筋トレに励むのであった。

 

「……」

 

アーサーは、ある家に訪れる。

 

「いるかな、イリナ」

 

「えぇ、入ってきていいわ」

 

アーサーはドアを開き、廊下を進んでいく、奥の部屋のドアを鍵を使って開き、中に入る。

そこには仏壇があり、2名の写真が立て掛けられている。

 

「……アレクさん、マーベリーさん」

 

アーサーは部屋にいる少女と共に、お線香を上げ、手を合わせる。

 

「……すまなかった、イリナ」

 

「まだ言ってるの、あの時アナタはまだ子供だったでしょ、お父さんもお母さんも、村のみんなも責めることなんて無いわよ」

 

「それでもだ、ワタシがもっと早くに」

 

「アーサー……いや、()()()()()()()

 

イリナはアーサーを抱き寄せる、優しく、あたたかい。

 

「後悔はしても良い、けど、それを乗り越えて、今を楽しく生きなきゃ、死んだ人達に顔向けできないわよ」

 

「……イリナ、ワタシは、アナタだけでも、いや、ここにいる皆を絶対に、護ってみせるからね」

 

アーサーも、イリナを抱き寄せる、哀しく、それでもあたたかい。

 

「えぇ、でも、無理はしないでね」

 

「……えぇ」

 

二人はしばらくの間、お互いの熱を感じあった、それは二人には数分のようで、他からは数十分ほど。

 

 

 

 

 

 

 

 

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