NEON GENESIS EVANGELION RETROGRESSION 作:ASNE
アスカが酒を飲んでレイに本音を漏らし、寝落ちした夜。アスカは、不思議な夢を見た。
夢の中に居たはずのアスカ。気が付くと、第壱中の制服を纏って駅のホームに立っていた。
「……?」
ぼんやりと見渡すと、少し離れたベンチに座る私服姿の自分が。
「「!?」」
アスカ(以下、惣流アスカ)の瞳が驚愕に染まる。もう一人のアスカ(以下、式波アスカ)も不機嫌そうにスマホをいじっていたが、視線に気づいて顔を上げ、同じく驚愕の表情に変わる。
二人ともそれぞれ何かを察し、惣流アスカは式波アスカの隣に座った。式波アスカもスマホを仕舞い、ちらりともう一人の自分にチラリと視線を向けた。
「……誰を待ってたの?いえ……聞くまでもないわね」
不自然に空いていた式波アスカの隣の席。惣流アスカは自分と重ね合わせ、そこに座るべき人物が誰かを察したのだった。
「……ふん。それより、アンタは……」
「アタシは貴方よ。存在する無数の可能性……アタシも、貴方、もその一つよ」
「そう。……アンタは、幸せ?」
「だと思う。……じゃあ、アタシは行くわ。お幸せに」
惣流アスカは立ち上がって式波アスカに微笑みかけると、颯爽と立ち去っていった。
シンジはマリに手を引かれ、宇部新川駅の改札を出て外に出た。そのまま走りだそうとすると、二人を呼び止める声が。
「そのまま行くの?」
「「!」」
二人が立ち止まると、壱中の制服を着たその少年―碇シンジは微笑んだ。
「駅で待ってるよ、彼女」
「彼女……?」
「……君はもう、分かっているはずだ」
「「!」」
シンジとマリは顔を見合わせ、誰かを察した。
「……想いを伝えただけじゃ、伝わらないこともある。行動で、示さないと」
「……君なら、どうする?」
「行って、抱きしめるよ。……僕は、二度と手放すつもりはない。彼女を独りぼっちにしたくないんだ。……彼女と、幸せにね」
シンジ(28歳)は、何らかの決意を固めた表情を浮かべてマリを見やった。マリは全て分かったように、頷いた。
「行こう、ワンコ君。姫が待ってる」
「……ありがとう、マリさん。君も」
二人は引き返し、駅の改札に向かう。すれ違う時、マリが囁いた。
「ありがとね、もう一人のワンコ君」
式波アスカは、駅のホームで待ち続ける。ふと顔を上げると、そこには一人の少年が立っていた。
「……あ」
「ただいま、アスカ」
二人は翌朝、夢から覚める。彼らの戦いは、まだまだ続くだろう。……それでもきっと、未来は彼らを待っているはずだ。
こっちではお久しぶりです。これは、夢のような話。
近日中に、式波ヴンダーの方にもアフターシンの別ベクトルのお話を投稿します。