「ピピピピ!ピピピピ!ピピピピ!」
「う....うう....ん....」
布団の中から手だけを出す。
目覚まし時計のある何時もの場所に手を伸ばしつつこう思う。
ああ、もう少し寝ていたい。
そんな願望がとめどなく溢れている。
二度寝してしまいたい。
折角の休日なんだからこんな朝早くに起きなくても....ん?
俺は何時も休日には目覚ましをかけない。
目覚ましをかけた覚えなんかないぞ?
まぁ、どうせ俺が間違えてかけただけだ。
と、思って手探りで目覚まし時計の停止スイッチを押した.....筈なのに。
「ピピピピ!ピピピピ!ピピピピ!」
あれ?鳴り止まねぇ?
何回も目覚ましの停止スイッチを押す。だが鳴り止まない。
不思議に思い布団から顔を出した。
するとスイッチが押されている目覚まし時計が俺の手の中にあった。
あれ?止まってる....じゃあこの音は?
音の鳴る方へ顔を向ける。
そこにはなんと!
口でピピピピ!と言い続ける妹の姿が!
「いや、何やってんだよ」
「ピピピピ!ピピピピ!ピピピピ!」
ふむ、どうやら対話が不可能な生命体のようだ....妹だけど。
どうせ何時もの訳のわからない遊びなんだろうな。
どうせ無視しても俺の横でピピピピ言い続けるんだろうな。
なら、どうにかこの遊びを止めさせなければ。
しかし、一体どうやって.....
まぁ、何ごっこなのかは予想がつくけどね。
きっと目覚まし時計のごっこ遊びなんだろう。
ピピピピ!ってのは多分アラームの音だと思うんだよね。
ってかアラームの音めっちゃ似てる。うちの妹にこんな才能が?
まぁ、役に立つ場面なんて無いと思うけどね。
後、チラシの裏に【目覚まし】って書いて胸に貼ってる。
わかんないかもしれないからヒント貼っておいてくれる妹。優しいな。
ってか休日に起こされてるから優しいとは思わないけどね!
と、いう事でこの妹のピピピピを止めたいんだけど。
やっぱりうちの妹は優しいわ。
頭に【目覚ましの停止ボタン、叩く様に強く押さないと止まらない】って書いてある紙コップを頭に乗っけてるし。親切!!
本当は妹を叩くのは心がいたい。
だが、妹がごっこ遊びの様だが真面目に取り組んでいる。
叩く様に強く押す...成る程、目覚ましの大きさに比例した強さで押せと言うのか!
自分は大きいから少しの衝撃じゃスイッチが押されないという事か。
どれだけ真面目に取り組んでいるかよくわかるな。
これは兄として応援しなければならないと思う。
俺はベットから降りて、妹の横に立って、手を振り上げた。
妹よ、すまん!許せ!
妹は俺の振りかぶった手を見て微笑んだ。
そこで俺は察した。
妹は長い時間からピピピピと言い続けていて、この遊びから解放されたかったのではないかと。
真面目な妹だから。一度決めたら絶対に引かない妹だから。
この遊びを止める事が出来なかった。
俺が!解放してやるよ!
俺は妹の頭に強烈な平手を叩き込んだ。
「アハッ、《パァン》イ''イ''......ク''ッ」
妹は前に倒れて行き、俺のベットに倒れこんだ。
するといきなりベットの上でえび反りになった。
「に''お''お''お''お''い''い''い''い''ぃ''ぃ''しゅごしゅぎりゅぅぅぅぅぅ!!」
きっと解放された喜びの雄叫びなのだろう。
そしてよくやった、凄いと自分を褒めている。
僕はそっと外に出て、部屋の扉を閉めた。
一人で感性に浸ってもらおう....
そして、妹の喉を心配して蜂蜜レモンを作ってあげた。
うん、普通だね!(洗脳済)