服を着替えて僕は家の前に出た
それにしても、今日はどこに行くんだろう
あんまり想像が付かない
もしかして、とんでもない所だったりして
八潮さんと広町さん、お嬢様だし......
七深「__やっほー!かえ君~!」
瑠唯「待たせたわね。」
ましろ「少し準備に手間取っちゃって......」
楓「そんなに待ってないよ。」
僕が家を出て5分ほどして3人は出て来た
意外と早かった
予想ではもう少しかかると思ってたんだけど
七深「じゃあ、メンバーもそろったし行こっか~!」
楓「どこに行くの?」
七深「そうだなぁ~......この辺りだとショッピングモール?あ、でも、かえ君は人が多いところ苦手なんだよね。」
広町さんはそう言った
まあ、確かに人が多い所は苦手だ
でも、それじゃ行けるところがないし
楓「大丈夫だよ。いつも通り広町さんを見てればいいんだし。」
瑠唯「無理はいけないわよ?」
ましろ「そうだよ、衛宮君が楽しくないと......」
楓「無理はしないです。ショッピングモールくらいなら、なんとか。」
僕は笑いながらそう言った
別に初めて行くわけでもないしね
そんなに極端じゃない限りは大丈夫
七深「じゃあ、ショッピングモールにしゅっぱーつ!」
楓(あれ、そう言えば、桐ケ谷さんと二葉さんは?)
僕はそんな疑問を抱きつつ
歩きだした3人について行った
あの2人、どうなったんだろ......?
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ショッピングモールに着いた
やはりと言うべきか、結構人が多い
でも、海に比べればまだまだマシかな
海は色が流されてグチャグチャになるし
七深「__かえ君、大丈夫そう?」
楓「うん、大丈夫。予想より多かったけど、大丈夫そう。」
瑠唯「そう。(......なんなのかしら。)」
ましろ「よかった。(ななみちゃんばっかり見てると、なんだか悔しい......)」
それにしても、ショッピングモールってこんなに人気なんだ
まぁ、遊ぶところと言えばここだし
当り前と言えば当り前なのかな?
七深「さぁ、どこに行こっか~。」
瑠唯「本屋はどうかしら。」
ましろ「お人形あるお店とか......」
七深「しろちゃんはともかく、るいるいのは楽しいの~?」
楓「僕は良いと思うよ?__あれは。」
周りを見渡してると、視界にあるものが移った
様々な色が混在する中で1つのおかしい色
あれは、泣いてる時の色だ
「うぅ......」
楓「あの、どうしたの?」
「え......?お兄ちゃん、誰......?」
楓「僕は衛宮楓。泣いてるのが見えたから話しかけたんだけど、どうしたの?」
「お母さんに置いて行かれたの......」
楓「お母さんに?」
こんな所に子供を置いて行く?
まだまだ、この子は小さな子供
なのに、なんて無責任な親なんだ
七深「かえ君~、どうかした~?」
楓「この子、お母さんに置いて行かれたらしいんだ。」
瑠唯「そうなの?」
ましろ「可哀想だね。」
楓「この子のお母さんを探してもいいかな?と言っても、色を辿るだけだけど。」
七深「そう言う事は仕方ないよ。探してあげないと可哀想だし。」
楓「ありがとう。」
僕はそう言って子供の方を見た
この子の色は薄紅色
でも、この子にはそれ以外の色がない
楓「お母さんにはいつ置いて行かれたの?」
「えっと、たくさん......?」
楓「手を繋いだりはしたかな?」
「えっと、ここに来るときだけ......」
楓(と言う事は、2時間は経ってるのか。)
色が消えるのは2時間ほど
つまり、この子は2時間は放置されてるってこと
それにしても、困った
色がないんじゃ、探すのは難しい
ましろ「衛宮君?」
楓「ダメだ、色がもう消えてる。これじゃ、探せない。」
七深「えぇ!?」
瑠唯「確か、ある程度の時間が経つと消えるのよね。つまり、この子はかなりの時間放置されてる。」
楓「はい。」
どうしよう
色を辿れない僕なんて何の役に立たない
でも、色を見る方法なんて......
ましろ「色が自分の意識で見られればいいのにね。」
楓「え?」
ましろ「だったら、人を探すときに便利だなって。」
楓「色を、意識する......?」
瑠唯「?」
そう言えば、色を意識して見たことなんて無かった
いつから見えたかは覚えてないけど
いつの間にか見えるようになってて当たり前になってた
じゃあ、意識して色を見ようとしたらどうなるんだろ?
楓「......試す価値はあるかも。」
七深「かえ君?」
楓「色を意識して見てみる。」
僕は床に残留してる色に集中した
今見えてる色をまず意識
そして、もっと詳しく__
楓「ぐっ......!!」
七深「か、かえ君!?」
楓(そ、そっか、色を意識するとこうなるんだ。)
今、一瞬だけ無数の色が見えた
今まで通った全員の人の色
過去に消えたと思ってた色が見えた
でも、これは少し厳しい
一瞬だけだったのにこの頭痛
あの量の色を見るのは正直......
楓(いや、厳しいなんて言ってられない!僕にできることはこれだけなんだから。)
僕は自分に喝を入れながら立ち上がった
こんな小さな子が2時間以上待ったんだ
高校生の僕がほんの数分我慢できないなんて
そんなのはあったらダメだ
「大丈夫......?お兄ちゃん......」
楓「大丈夫だよ。すぐに見つけるから__!!」
僕は色に意識を向けながら子供の手を見た
色は古いものから重なっていくらしい
だから、一番新しい色の紅色
これを辿って行けばいいんだ
楓「い、行こう。この子のお母さん、エスカレーターを使って上の階に行ってる。」
瑠唯「......そうね。」
七深「あんまり、無理しないでね?」
ましろ「辛かったら言ってね......?」
楓「うん、その時はお願い。」
僕はそう言って
この子のお母さんの色を辿っていった
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色を辿ってエスカレータに乗り3階に来た
ここは飲食店が立ち並ぶコーナーだ
ただでさえ気分が良くないのににおいまで色々混ざられると苦しい
けど、もう近い
楓「ここ。」
僕が足を止めたのはカフェの前
この店の中の赤にあの紅色が続いてる
それに加えて、出た形跡もない
2時間もこの店にいるんだ
七深「じゃあ、入って早くこの子をお母さんの所に返してあげよ~!」
楓「うん、そうだね__っ......」
瑠唯「衛宮君!」
色から意識を外すと僕は少しふらついた
すごい疲労感だ
頭がなにか硬いもので叩かれてるように痛い
そして、乗り物酔いをした時のような感じもする
ましろ「か、顔色悪いよ!?」
楓「あ、あはは、大丈夫だよ。早く行こう、目的はすぐそこだから。」
僕はそう言って店の扉を開けた
今はコーヒーの匂いですら辛い
けど、ここまで来て泣き言は言えない
楓「お母さんはいる?」
「えっと......あっ、お母さん!」
ましろ「あ、お店の中は走っちゃダメだよ。」
子供はあるテーブルの方に走って行った
走って行ったテーブルには3人の女の人が座ってて
その中にさっきまで追ってた紅色もある
僕たち子供の後ろについてテーブルの方に歩いた
「げっ、なんであんたがいるのよ!待ってなさいって言ったでしょ!」
「だ、だって、お母さん帰ってこないから......」
「え、なんでこの子が?」
「確か、家だって......」
「今、友達とお茶してるの!邪魔しないでよ!」
楓「あの。」
僕は子供に怒鳴ってる人に声をかけた
今の言い方的にわざと置いて行ったんだ
いや、分かっていたことだけど
「あんたね!そいつ連れて来たの!」
楓「泣いていたので、連れてきた方がいいと思って。」
「余計なことしないでくれる!?やーっと子守りから解放されたのに!」
瑠唯「その言い草は何かしら。こんな子供を放置するなんて、常識を疑うわ。」
「うるさい!あなた達に親の苦労なんて分からないでしょ!!子供のくせに!!」
この人、色が濁ってる
自分の欲望にだけを優先して
心の豊かさを失ったときの汚らし色だ
「こっちはバカ亭主に休日に子供を家に置くなって言われて仕方なく連れ出したのに。ほんと、友達とゆっくりお茶できないなら子供なんて生むんじゃなかった。」
楓「......!!」
その言葉を聞いて僕は歯を食いしばった
子供が言われて、絶対に一番つらい言葉
僕の母さんなら絶対にあんなこと言わない
だから、言われた気持ちなんて分からない
けど、絶対にそうだ
「ほんと、勘弁してほしいわ。」
楓「......子供だって、望んであなたの所になんて生まれてないんですよ。」
「は?」
ましろ「え、衛宮君......?」
楓「もし、子供が親を選べるなら、少なくとも僕は死んでもあなたなんて選ばない。」
「子供が偉そうに言ってるんじゃないわよ!!親の気持ちなんて分からないくせに!!」
楓「っ!」
七深「かえ君!」
パシンと言う音が店の中に響いた
子供の母親が僕の頬をぶったんだ
人にぶたれるなんて生まれて初めてだ
でも、驚くほどなにも響かない
楓「......親の気持ち?そんなの分かるわけない。だって、僕は親じゃないから。でも、分かることだってある。」
僕は怒気を含んだ声を出した
優しい両親しか知らない僕はこの人を許せない
こんな人間を許しちゃいけない
楓「ここには子供を預かってくれる場所がある。そこに預ける選択肢だってあったはず。」
「はぁ?そこ有料でしょ?そんな金ないし。」
楓「......」
ましろ「さ、最低......!」
瑠唯「......ダメね。」
七深「これは~、引くね~。」
「うっさい!!ほんと失れ__」
楓「最低限の責任を果たせないなら、親なんてやめてしまえ!!!」
瑠唯、七深、ましろ「っ!?」
僕は子供の母親に向けてそう叫んだ
そして、ドンっとテーブルを叩いた
楓「その子は貴女がいなくて泣いてた、つまりその子にとって貴女は大切な母親なんだ......そんな風に思ってるその子を邪魔としか思えないなら、貴女の犠牲者を出す前に子の親なんてやめればいい!!」
「は、はぁ?何言って......」
楓「......もう、貴女に言える事は何もないです。後の身の振り方は自分で考えてください。」
僕はそう言ってテーブルから離れた
お店に迷惑をかけちゃった
大声出したこと、謝らないと
”別視点”
「な、何なのあいつ?」
瑠唯「......彼が言ってるのは至極まともな事ですよ。」
ましろ「子供が可哀想......」
七深「言いたくないけど、運が悪かったね。」
3人は静かな声でそう言い
楓が歩いて行った方に行った
その後、同じテーブルに座ってる2人の女性も席を立った
「私らも帰るよ。子供放置とかありえない。」
「ちょっと、付き合い方考える。」
「え、ちょ、は?」
そういいお金だけ置いて女性2人も席を離れ
テーブルには放置されていた子供とその親だけが残された
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”楓”
七深「かえ君~!」
店を出た後、広町さんが駆け寄った
それに続き八潮さんと倉田さんも来て
僕の横に並んだ
楓「少し、冷静じゃなかったね。外に出てやっと落ち着けたよ。」
ましろ「い、いや、あれは怒っても仕方ないよ。」
瑠唯「そうね。衛宮君の怒りはもっともだわ。」
楓「初対面の相手にあんな物言いは良くないです......」
僕は控えめにそう言った
流石に言葉が過ぎた
親をやめろなんて、それこそ僕が無責任だ
楓「じゃあ、遊ぼうか。折角来たんだし。」
七深「そうだね~!服屋でかえ君に服でも選んでもらおうかな~!」
ましろ「お人形......!」
瑠唯「意見がバラバラね。」
八潮さんは呆れたようにそう言った
まぁ、趣味は人それぞれだし
楓「時間もあるし、全員が行きたい場所に行けばいいんじゃないかな?」
瑠唯「それでもいいと思うわ。」
七深「じゃあ、今からは服屋でファッションショーでも~!」
楓「それは大丈夫なのかな__っ......!!」
ましろ「え......?」
3人と話してると、体に違和感が起きた
いきなり、体が言う事を聞かなくなった
そして、息苦しくて、頭が痛い
楓「はぁ......はぁ......はぁ......!」
勝手に呼吸が荒くなる
熱いか寒いか分からない
視界にボヤがかかって声が遠くに聞こえる
七深「ど、どうしたの!?って、すごい熱だよ~!」
ましろ「ほ、ほんとだ!きゅ、救急車呼ばないと!」
瑠唯「い、今すぐかけるわ!倉田さんと広町さんは衛宮君を運んで!」
ましろ「は、はい!」
七深「う、うん!」
楓(何が、起きてるの......?)
朦朧とする意識の中
僕は遠くに3人の声を感じた
けど、指一本たりとも動かせず
気づけば、僕は意識を失っていた