楓「__ん......っ?」
目を覚ますと白色の天井が見えた
薬品のにおいもするし、ここは病院?
なんで、僕はこんな所にいるんだ?
確か、あの迷子の子を届けて、それから......
瑠唯「起きたわね。」
楓「八潮さん?」
瑠唯「体に異常はないかしら。急に倒れたけれど。」
楓「え?倒れた?」
そうか、だから記憶が抜け落ちてたんだ
でも、僕は何で倒れたんだろう?
今朝は体調に問題はなかったはずなのに
楓「す、すいません、迷惑かけて......」
瑠唯「別に気にしなくても良いわ。でも、どうしたというの?」
楓「分かりません。記憶があまり残ってなくて......」
店を出た後からの記憶があまりない
覚えてるのは3人の慌てた声だけ
楓(色を無理に見たから?それとも......)
瑠唯「それでもいいわ。あなたが元気になったのなら何よりよ。」
楓「っ!......あ、ありがとうございます。」
瑠唯「どうかしたの?」
今の八潮さん、すごく優しい表情をしてた
かっこいいって印象を持ってるのに、可愛いって思った
なんだろう、この胸の苦しさ
楓「な、なんでもないですよ?少し、寝ぼけてるだけです。」
瑠唯(それは自覚できるものなのかしら?)
楓「あの、そう言えば、広町さんと倉田さんは__」
七深「__あー!かえ君起きてるー!」
ましろ「な、ななみちゃん、ここ病院だから......」
楓「あ、噂をすれば。」
八潮さんに2人の事を尋ねようとした瞬間
広町さんと倉田さんが病室に入ってきた
部屋の中に2人の色もあったから疑問に思ってたけど
どこかに行ってたのかな?
ましろ「大丈夫?衛宮君。」
楓「うん、もう大丈夫だよ。体調も良くなったし。」
七深「よかったよ~!丸1日も寝てたから心配だったよ~!」
楓「え__って、うわ!?」
瑠唯、ましろ「!?」
広町さんが突然抱き着いてきた
女の子ってなんでこんなにい匂いがするんだろう
しかも、すごく柔らかい......
じゃなくて!広町さん、今なんて言った?
楓「ひ、広町さん?丸一日ってどういう事?」
七深「かえ君、昨日倒れてからずっと寝てたんだよ......しかも、すごく苦しそうに。」
楓「そ、そんな事になってたんだ。」
驚いた
まさかそんなに寝てるだなんて
あの短時間でそこまで調子が崩れるのか
これは、余程のことがない限りあれはしない方がいいかな
ましろ「ず、ずるい......!」
楓「え?」
ましろ「ななみちゃんばっかり衛宮君に抱き着いて、ずるいよ......!」
楓「い、いや、そんなずるいだなんて__」
瑠唯「そうよ。あなたが衛宮君に抱き着く必要はないわ。」
楓(八潮さんまで!?)
ど、どうなってるんだ?
別に僕にそんな価値はないんだけど......
七深「先手必勝だよ~。そもそも、この距離間にいるのは広町だけだし~。」
瑠唯「っ......(こんなに差があるというの?)」
ましろ(わ、私だって......衛宮君と......!)
楓「倉田さん?」
ましろ「出来るもん......っ!///」
楓「!?」
今度は倉田さんが抱き着いてきた
左右から美少女に抱き着かれるって......
あれ、これは僕なのかな(?)
楓(や、柔らかい、良い匂いする。)
女性経験が0に等しい僕には刺激が強い
2人とも可愛いし、スタイルいいし
ていうか、なんでこうなったの?
瑠唯「......」
七深「ほら~、両手に花だよ~。」
ましろ「は、花だなんて......///」
楓「ま、まぁ、それは間違いないんだけど......ここ、病院だよ?」
こんなの他の男の人に見られたら嫉妬で殴られるよ
この絵面じゃまるで僕がすごくモテる人に見えるよ(その通り)
僕はそんな人間じゃないんだけどね(鈍感)
七深「まぁまぁ~、細かいことは気にしないで~。」
楓「細かくないよ!?」
ましろ「私達に引っ付かれてると、嫌かな......」
楓「あ、いや、そうじゃなくて......その、常識的な事を考えてね?」
一勇「__おーい、楓ー?大丈夫か......って。」
夏葉「迎えに来たわよ......って。」
楓「あっ。」
広町さんと倉田さんにくっつかれてる途中
病室に父さんと母さんが入ってきた
2人はまるで時間が止まったように動かず、僕の方を凝視してる
いや、これはマズいんじゃ......
一勇「あー、その......嫁は1人に絞れよ?」
楓「とんでもない誤解しないで!?」
夏葉「楓にやっと春が来たわね......楓なのに。」
楓「それ、上手いこと言ったつもり?」
一勇、夏葉「まぁ、ごゆっくり~。」
そう言って、2人は病室を出て行った
それを見て、僕はため息をついた
これ、完全に誤解されてる......
楓「はぁ......全くあの2人は......」
七深「いいじゃん~、あながち間違いでもないし~。」
楓「いやいや、僕たちはそう言うのじゃないし。広町さんたちもその気ないでしょ__って痛い!」
僕が喋ってると左右から二の腕を摘ままれた
広町さんは前にしてきたけど、なんで倉田さんまで?
僕、何もしてないのに......
七深「本当にかえ君は~。」
ましろ「そうゆう所も可愛いけど、言われると複雑だよ......!」
楓「な、なんのこと......?」
瑠唯「......あなた達、いつまでそうしてるつもりなの?」
楓「す、すいません(って、なんで八潮さんの機嫌も悪いの?)」
八潮さんは目に見えて機嫌が悪い
え、な、なんで?
まずい、何をしたか本当に心当たりがない
楓「さっきの2人の言い方的にもう帰れそうだし、その、一回離れよ?」
七深「も~、仕方ないな~。」
ましろ「そうだね......」
楓(なんで僕が悪いみたいになってるんだろ。別にいいけど。)
2人が離れた後、僕はそう思いながらベッドを降りた
立ち上がると少しばかりダルさを感じる
本当に僕は1日も寝てたんだ
瑠唯「送っておくわ。私達は出ておくから、早く着替えなさい。」
楓「はい。」
それから僕は3人が部屋を出て行った後、服を着替え
急ぎ足でお世話になった病室を出て行った
__________________
病院を出て、僕は3人と家に帰ってる
時間の感覚がなかったけど
もう、外は陽が沈んできて綺麗な夕日が見える
いや、流石に寝すぎでしょ
ましろ「あっ。」
楓「?」
七深「そうしたの?シロちゃん?」
ましろ「そう言えば、家につくしちゃんが忘れ物してて、届けに行かないといけないんだった......」
歩いてる途中、突然倉田さんはそう言った
二葉さん、しっかりしてそうなのに意外と抜けてるのかな?
この間も広町さんの家にスティック忘れてたし
七深「あっ、私も親から用事があるから帰ってきてって......」
楓「じゃあ、2人はここで分かれるね?」
七深「残念だな~......これは、かえ君にお別れのナデナデを!」
楓「あ、うん、いいけど。嬉しい?」
七深「!!///」
僕はそう言いながら広町さんの頭を撫でた
なんだろ、色もだけど広町さん自体もキラキラしてる
なんでこんなに嬉しそうなんだろ?
七深「これで広町は今日に悔いはないよ~!じゃあ、またね~!」
楓「う、うん、またね?」
ましろ「わ、私も......///」
楓「あ、はい。」
ましろ(や、やった......!///)
続いて倉田さんの頭を撫でた
女の子の髪ってサラサラだよね
手入れの差なのかな?
ましろ「も、もう死んでもいい......!///」
楓「やめて!?いやほんと、こんな事で死なないで!?」
ましろ「じゃ、じゃあ、つくしちゃんのところ行ってくるね///バイバイ、衛宮君......///」
楓(ど、どうしよう。この状況で放置するのが不安過ぎる。)
僕がそう考えてるうちに倉田さんはどこかへ歩いて行ってしまった
ま、まぁ、大丈夫だよね?多分
流石にあれを本気で言ってるわけないし......多分
楓「だ、大丈夫かな......?」
瑠唯「大丈夫よ。向こうには二葉さんがいるもの。」
楓「そ、そうですよね。(どうしよう、余計心配なんて言えない。)」
取り合えず、倉田さんに何もない事を祈っておこう
いやほんとに事故に遭いましたとかは笑えないからね?
瑠唯「行きましょう。あなたは安静にしないといけないわ。」
楓「あ、はい。」
瑠唯「ほら、もう少し端に寄りなさい。危ないわ。」
八潮さんはそう言って僕の手を引いた
なんだろう、手を握られて嬉しいと思う
けど、なんだろ、簡単にこうされるって最早犬か何かと思われてるんじゃ......
瑠唯「っ......///」
楓「八潮さん?」
瑠唯「な、なんでもないわ。家まで送るわ。」
楓「あ、はい?(手は繋いだままなんだ?)」
僕はそんな疑問を抱きつつ
八潮さんと手を繋いだまま家に帰ることになった
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病院から家までは結構な距離がある
でも、その間、八潮さんと僕に会話はなかった
あまりの気まずさに変な汗が流れて来た
八潮さんが何を考えてるのか分からない
色は安定してないけど、表情は変わってない
瑠唯(......どうしましょう。衛宮君の手を握っていると動悸が激しくなって上手く頭が働かない。)
楓(ど、どうしよう。話す内容考えたけど、うまく話せない......)
八潮さんと話したいことはたくさんある
けど、なんでだろ、緊張して口が開かない
いつもは普通に喋れるのに......
楓(何の緊張だろ、これ。)
瑠唯「......着いたわね。」
楓「え?あ、本当だ。」
気づけば、もう家についていた
まさか、無言のままここまで来るなんて
そんな事あるの?
楓「じゃ、じゃあ、今日はもう帰って休みますね?」
瑠唯「えぇ......」
八潮さんの声が沈んでる気がする
どうしよう、全く理由が分からない
て言うか、こういう八潮さんは珍しいな
楓「あの、八潮さん。」
瑠唯「どうしたの?」
楓「えっと、その......八潮さんと手を繋げて、すごく嬉しかったです。」
瑠唯「っ......!///」
楓「その、道路側に行かせない気づかいとか、見習うべき部分が多くて、いつか僕も八潮さんみたいになれたらって思いました!」
瑠唯「そ、そう///(あ、愛らしいわ......///)」
いつか、八潮さんをエスコート......
そんなかっこいい人間になりたい
いや、出来るかな......
楓「だから、その、また手を繋ぎたいです!(あれ?)」
瑠唯「っ!?///......時間があれば、してもいいわ///」
楓「あ、ありがとうございます!(?)」
なんだろ、言おうとしてた事からずれた
完全に勢い余ったって感じだ
まぁ、いいかな
八潮さんの色も元気な色になったし
表情も柔らかくなってるし
瑠唯「今日はここでお暇するわ。あなたはゆっくり休みなさい。」
楓「はい。」
八潮さんはそう言って僕に背中を向け歩きだし
数歩だけ歩いて、八潮さんはこっちに振り返った
楓「?」
瑠唯「また学校で会いましょう、衛宮君。」
楓「っ!!」
瑠唯「ごきげんよう。」
八潮さんは優しく微笑みを浮かべそう言ってから歩いて行った
それを見て、心臓は大きく跳ねた
動悸がおさまらない......
僕は咄嗟に自分の胸を抑えた
楓(な、なんだろ、これ......?体調不良......?)
僕はそう思いながら家に入って
体を休めるためにすぐに自室に向かった
でも、八潮さんのあの表情を思い出すと何度もあの症状が起きて
中々、落ち着いて休むことが出来なかった