5月の下旬は少し苦手だ
僕は気候の変化にあまり強くなくて
季節の変わり目には体調を崩すことも多い
楓「__こほ......こほ......っ」
それは今年も例外ではなく
僕はさっそく熱を出してしまった
毎年こうなんだよね......
5月くらいになって風邪をひいて
それで僕が休んでる間に人間関係が完成する
これが僕に友達が出来ない理由の1つだった
楓(う、うーん......今日は流石にお休みかな......)
正直、学校を休むのは嫌だけど
無理に言って移してもだし
今日は、大人しく寝よう
僕はそんな事を思い
母さんに学校に連絡してもらった後
布団に入って眠った
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”月ノ森学園”
月ノ森学園の中庭
そこにある1つのベンチに七深達5人が集まっていた
だが、その空気は決して良いものではなく
むしろ、どこか重苦しい空気が流れていた
七深「__かえ君が、風邪ひいた......」
七深は低い声でそう言った
それを聞いて、まずは透子が反応した
透子「衛宮が風邪ひくのって、割と珍しくなくね?」
つくし「確かに、あんまり体が強いイメージはないね?」
七深「そう言う事じゃないよ~!」
ましろ「そうだよ!大変なことだよ!」
透子「風邪だろ?そんな大げさに......」
瑠唯「風邪は万病のもとよ。桐ケ谷さん、あなた、衛宮君を軽んじてるわね?」
透子「いや、そんな事ないんだけど......」
透子は瑠唯のあまりの圧にたじろいだ
横にいるつくしも怖がってる辺り
今の瑠唯はかなり怖かったようだ
七深「これは、お見舞いに行くしかないよ!」
瑠唯「最高級の桃缶を用意しましょう。水分も必要ね。それと、熱が下がった時用の画集も。」
ましろ「私も、何か体にいいもの持っていく!」
3人はそう言いながら立ち上がり
今までにないほど気合を入れていた
そんな姿を見て、残りの2人はため息をついた
透子(ゆっくり寝かせてやれよ......)
つくし(衛宮君、優しいから何も言わないと思うけど、普通に迷惑なんじゃ......)
七深「そうと決まれば授業なんてどうでもいいよ!今すぐ準備を__」
透子「いや、授業はちゃんと受けろし!!」
透子はどこかに行こうとする3人に向かってそう叫び
引き留めた後、教室に強制連行した
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”楓”
目を覚ますと、僕は机に突っ伏して眠っていた
あれ、ベッドで寝てたはずなのに
なんで、僕はこんな所で寝てるんだろう?
「__衛宮様?お時間ですよ。」
楓「......ん?」
顔を上げると
そこにはスーツを着た女性が立っていた
誰だろう、この人
楓「あの、時間って......?」
「何って、本日は奥様との結婚式ではないですか。」
楓「......え?結婚式?」
「はい?」
それを聞いて、僕は大きく目を見開いた
あれ、僕って高校1年生じゃなかったっけ?
いつの間に結婚できる年齢になったの?
楓(ど、どういう事だ?まさか、寝てる間に少なくとも3年以上経ったの?)
って、そんなわけないか
そもそも寝てる場所が違うんだし
じゃあ、これは......夢?
楓(いや、絶対に夢だ。)
「?」
なぜ、こう言い切れるのかと言うと
今、目の前にいる人の色開見えないから
夢じゃ、基本的に知らない人の色は見えない
一度でも面識があれば見えるんだけどね
楓(じゃあ、流れに従うのが吉かな?)
「あの、衛宮様?」
楓「あ、はい。今行きます。」
僕はそう言って椅子から立ち上がり
なんとなく、夢の流れに沿って部屋を出た
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この建物は凄く豪華だった
まるで昔、画集で見た教会......と言うか、教会そのものだ
こういう景色も良い
何と言うか、神秘的な感じがして
楓(このドアかな?)
暫く建物の中を歩くと大きな扉の前にたどり着いた
木目が綺麗な、どこか高級感のある扉
昔、親戚の結婚式に行った時もこんなのあったっけ?
確か、この夢は結婚式らしいし
楓(そう言えば、相手は誰なんだろう?)
結婚って事は、勿論相手がいる
うーん......誰なんだろう?
心当たりのある人がいない(※います)
楓(僕の身近な人だと、あの5人の誰かかな?)
僕はそんな事を考えながら扉に手を置いた
ちょっとした好奇心
単純に相手が気になってきた
楓(誰がいるかな__)
僕は勢いよく扉を押した
扉は音を立てながらゆっくり開き
少し開いた隙間から白い光が差し込んできて
僕は目を細めた
楓「だ、誰......?」
?「__楓君。」
楓「!!(こんな時に!)」
扉を開けた瞬間、周りの景色が白くなっていった
こんな時に、目が覚めて来た
これが、夢は良い所で覚めるって事か......
楓(何色なんだ、あれは?いろんな色が混ざってて、判別が出来な__)
僕は謎の浮遊感を感じつつ
周りの景色は白く染まって行き
最後にはすべて真っ白になった
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楓「__ん......っ?」
目を覚ますと、今度こそ僕の部屋だった
窓の方を見ると、もう外が赤い
少なくとも8時間以上寝たのか......
透子「あ、起きた?」
楓「え?桐ケ谷さん?」
透子「よっ、衛宮。」
なんで、桐ケ谷さんがここに?
最近、すごく人が来るようになったね
まぁ、異性であることは多少問題だけど......
楓「な、なんでここに?」
透子「見舞いだよ......3バカの代わりに。」
楓「お見舞?(3バカ?)」
なんだか、色々と気になる単語が出た
3バカって何なんだろう?
基本的にみんな賢いんだけど(そうじゃない)
透子「熱下がった?お母さん、ずっと寝てるって言ってたし、お腹すいてたりとかしない?」
楓「熱は下がってる、かな?食欲はまだあんまりないけど......」
透子「そっか。でも、何か腹に入れた方がいいよ?」
楓「?」
桐ケ谷さんはそう言って持ってる袋を漁り
その中からモモの絵がプリントされた感を出した
あれ、桃缶かな?
透子「これはルイから。」
楓「八潮さんからですか?」
透子「うん、少しくらい食べな。」
桐ケ谷さんはそう言って缶を開け
フォークと一緒にそれを渡して来た
まぁ、食べないのは申し訳ないし、食べよう
僕はそう思い、桃を一つ口に入れた
楓「あ、美味しい。」
透子「そっか、よかったね。」
楓「また、お礼しないと。」
僕は桃を食べ進めた
本当に美味しい
桃缶なんて、何年ぶりに食べるだろう
多分、小学生の時以来かな?
僕はそんな事を考えながら桃を無心で食べた
”透子”
少し、気になってることがある
短い間だけど、衛宮とは結構一緒にいた
それで思ったことがある
透子「衛宮ってさ、結構体調崩したりするよね?」
楓「まぁ、体が強いほうではないので。」
透子「じゃあ、なんであんなに無理するの?」
あたしは衛宮にそう尋ねた
だって、自分でも強いほうじゃないって言ってるのに、徹夜したりするんだよ?
どう考えても変じゃん?
楓「それは、後悔のないように生きたいからです。」
透子「後悔?」
楓「その時その時に全力を尽くせない人間は、いつまで経っても何もできない......僕はそう思ってるんです。だから、何も出来なくならないように、全力で生きたいんです。」
透子「......ふーん。」
衛宮は、決してたくましいとは言えない
けど、意思の強さは誰よりもすごい
こんな風に生きるのって難しいのに
衛宮にはこれが普通なんだ
楓「でも、それで体を壊したら元も子もないですよね。アハハ......」
透子「いーや、いいんじゃね?」
楓「?」
透子「身体が健康で意志が弱い人間なんていくらでもいるし、そんなのに比べたら、衛宮は十分立派だよ。」
勿論、この言葉は本心
いくら月ノ森って言っても衛宮みたいなのはいない
むしろ、異端まである
楓「でも、男なら強い体には憧れますよ。体が強くて損することなんて無いので。」
透子「まっ、体調崩しまくるのは嫌だよね!」
楓「全くです......」
衛宮はそう言いながら肩を落とした
ほんと、男なのに可愛いわ~
何と言うか、年が離れた弟みたい
透子「じゃあ、そろそろ帰るわ!早く元気になれよ!ルイにシロにななみ、ついでにあたしとふーすけも待ってるからさ!」
楓「はい、ありがとうございました。」
透子「うん!お大事にー!」
桐ケ谷さんは元気に部屋を出て行った
今日は寝てばっかりだったし、楽しかった
桐ケ谷さんと話すのはやっぱり楽しいな
これが、話すのが上手い人、なのかな
僕はそんな事を考えながら枕もとの携帯を見た
楓「わっ!広町さんたちからチャット来てる!返さないと!」
僕はそう言って携帯を持ってチャットを返した
その後はもう少しだけ眠って
夜の8時くらいには熱が下がった
これが、夏風邪を引いた日の1日だった