色の少年   作:火の車

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相合傘

 今日は雨だ

 

 と言っても、ゲリラ豪雨で

 

 朝は快晴そのものだった

 

 だから、結構、傘を持ってない人がいる

 

楓(それにしても、風も雨も強いなー。)

 

 僕は雨に濡れたりできない

 

 だから、この時期は毎日傘を持ち歩いてる

 

 けど、風が強すぎて傘が飛ばされそうだ

 

 僕、筋力が絶望的にないし

 

楓「ん?」

ましろ「ど、どうしよう......」

 

 下駄箱で靴を履き替えると

 

 困ったような顔をしてる倉田さんがいた

 

 あんなところでどうしたんだろう?

 

楓「倉田さん?」

ましろ「あ、衛宮君......」

楓「どうしたの?困ってるみたいだけど。」

ましろ「帰れそうにないから困ってて......」

楓「あー、朝は晴れてたし、傘を持ってないとか?」

ましろ「ううん、違うの。」

 

 倉田さんは首を横に振った

 

 じゃあ、どうしたんだろう?

 

ましろ「その、持ってた折り畳み傘が......」

楓「え?」

ましろ「風で思いキリ折れちゃって......」

楓(あ、圧倒的不幸体質......!)

 

 もう、悲しいにもほどがある

 

 なんであんな無残な壊れ方をするんだ......

 

 誰かが仕組んでるとしか思えない

 

楓(この風じゃ、傘はどうやっても壊れちゃいそうだし......)

 

 今日の練習は天候的になしになって

 

 広町さんも八潮さんもさっきから見当たらない

 

 もう車を呼んで帰っちゃったのかな?

 

楓「あ、そうだ。」

ましろ「?」

楓「風が収まって来るまで、少し話さない?」

ましろ「え......!?///」

楓「僕、非力だからこの風の中で傘をさせないし。」

ましろ(卑屈な衛宮君、可愛い......///)

 

 風さえ収まれば僕の傘を使えるし

 

 倉田さんとは話せることも多いし

 

 暇をつぶすならちょうどいいかな

 

 ”ましろ”

 

 衛宮君が、一緒にいてくれる

 

 な、何の話をしよう

 

 折角だし、話したいことなんてたくさんあるし

 

 気になる事、いっぱいあるんだもん

 

楓「何の話しようか?」

ましろ「え、えっと......」

 

 好きな人とか聞きたいな

 

 いや、いないと思うけど

 

 どうせ、『今関わってくれる皆が好き』とか言うし

 

ましろ「衛宮君って、好きな人とかいないの?」

楓「え?」

 

 でも、聞いちゃうんだよね

 

 いやだって、気になるもん

 

 これでもしいて、私なら......

 

楓「好き?」

ましろ「こう、恋愛的に、彼女にしたいなとか、この子が可愛いなとか!」

楓「うーん......」

ましろ(......あれ?)

 

 衛宮君、真剣に考えてる?

 

 まさか、本当にいるの!?

 

 冗談だったのに!?

 

ましろ「えええ衛宮君、好きな人いるの!?」

楓「え?いないよ?」

ましろ(え?じゃあ何をそんなに悩んで......?)

 

 いなかったことは良かったような悪かったようなだけど

 

 何を考えてたのか気になる

 

楓「でも、少し、考えたことがあって。」

ましろ「?」

楓「倉田さんに質問していい?」

ましろ「うん、いいよ?」

 

 私は軽く頷いた

 

 真剣な表情の衛宮君

 

 こういう表情、初めてかも

 

楓「好きな人がいて、もし、明日死ぬって言われたら、倉田さんは好きな人に思いを伝える?」

ましろ「え?」

 

 私はポカンと口を開けてしまった

 

 冗談とか、そんな感じじゃない

 

 本当にそれは自分であるかのように言ってる

 

 これは、真剣に答えないと

 

ましろ「私なら、伝えたいって思う、かな。その人に少しでも覚えててもらいたいし......明日死ぬなら、悪口言われても気にならないし。」

楓「あはは、倉田さんらしい答えだね。」

 

 衛宮君はそう言って笑ってる

 

 正直、私は笑えない

 

 もし、衛宮君の事なら、私......

 

ましろ「え、衛宮君は病気だったりしない......?」

楓「え?」

ましろ「だ、だから、そんな質問......」

楓「ち、違うよ?昨日、広町さんに呼んでって言われた恋愛小説でそう言う描写があったから、興味本位で。」

ましろ「__え?」

 

 ななみちゃん何してるの......

 

 今、私、死んじゃうくらい焦ったんだけど

 

 もう......

 

楓「?」

ましろ「あ、な、なんでもないよ......」

楓「うん?」

 

 衛宮君、ななみちゃんを信じすぎだよ

 

 そう言う所も可愛いんだけど

 

楓「あ、風が少しだけましになってきたね。」

ましろ「あ、ほんとだ。」

楓「今のうちに帰ろう。」

ましろ「え、そう言えば、どうやって?」

楓「一緒に入るんだよ?家も隣だし。」

ましろ「!?///」

 

 え、え、嘘......?

 

 つまり、これって、あの

 

 所謂、相合傘って事!?

 

楓「行こ、倉田さん!」

ましろ「あ、う、うん......///」

楓「?(どうしたんだろ?)」

 

 正直、すごく恥ずかしい

 

 けど、これは千載一遇のチャンス

 

 2人に負けないために、ここでアピールしないと

__________________

 

 ”楓”

 

 僕と倉田さんは一緒に下校してる

 

 雨も風もほどほどにおさまってきて

 

 帰るなら、このタイミング以外ない

 

楓「倉田さん、こっちに行って。」

ましろ「え、うん?」

 

 僕は倉田さんを歩道側にした

 

 この間、八潮さんが僕にしてくれたこと

 

 カッコよかったから真似をしてみたけど

 

 あの、自然さは出せない

 

ましろ(そ、そっか、こんな感じのことどこかで見たような///)

楓(うーん、八潮さん、なんであんなにかっこいいんだろう。)

 

 紳士......いや、淑女?

 

 ああいう風にするのは難しい

 

 こう、身に沁みついた仕草って言うのかな?

 

ましろ「__!」

楓「どうしたの?」

ましろ(え、衛宮君、体半分出てる!)

 

 倉田さんは慌てたような顔をしてる

 

 割といつも通りな事だけど

 

 なんで、この状況で?

 

ましろ「(こ、これしかない!///)え、衛宮君!///」

楓「どうしたの__!?」

ましろ「えっと、これなら、衛宮君も全部入れるし......///」

 

 倉田さんは僕に抱き着いてきた

 

 確かに、これなら全部入れる

 

 そう、なんだけど......

 

楓(や、柔らかい、ほわほわ......)

 

 その、倉田さんの......あれが当たってる

 

 まずい、非常にマズい

 

 倉田さんは善意でしてくれてるのに

 

 僕がこんな邪な事を考えたらダメだ

 

楓「そ、そそそうだね!これで行こう!うん!ありがとうね倉田さん!」

ましろ「う、うん///(意識してる......のかな?///)

 

 それから、僕と倉田さんはしばらく歩いた

 

 その間、色んな事に気を取られて

 

 もう、本当に邪念を振り払うのが大変だった

 

 でも、なんとか、頑張って、家までこぎつけた

 

楓、ましろ(__や、やっと、ここまで来た。)

 

 倉田さんも恥ずかしがってる

 

 あと少し

 

 ここで僕が態度に出したら駄目だ

 

 倉田さんに恥を掻かせるなんて許されない

 

 親切には誠意で貸せないと

 

楓「つ、着いたね。」

ましろ「う、うん......///」

楓「きょ、今日はお疲れ様。」

 

 僕は倉田さんをドアの前まで送り届け

 

 そう声をかけ家に戻ろうと後ろを向いた

 

 今日はもう、すぐに寝よう

 

 煩悩を払わないと

 

ましろ「え、衛宮君!///」

楓「ど、どうしたの?」

ましろ「あの、また、相合傘しようね......?///」

楓「っ!......き、機会があれば、是非。」

ましろ「~!///」

楓「じゃあ、また明日!」

 

 僕はそう言って軽く手を振り家に帰った

 

 と、取り合えず、今日の事はお互いのために忘れよう

 

 そうしないと、明日、倉田さんと目を合わせられない

 

 

 

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