6月に入って1週間ほど経った
梅雨も本気を出してきて
ここのところは毎日が雨
八潮さんも楽器を持ち歩きたくないと言ってた
やっぱり、楽器を持ってる人って大変なんだ
透子「__えーみやっ!なーに見てんの!」
楓「広町さんに読んでって言われた雑誌を読んでるんだ。」
ましろ「!(また、この流れ?今回は何だろう?)」
瑠唯「随分、華やかな表紙だけれど?」
つくし「なんて雑誌?」
楓「えっと、これです!」
ましろ、瑠唯、透子、つくし「!?」
楓「?」
僕が呼んでる雑誌を見せると
何故か、八潮さんたちが硬直した
どうしたんだろう?
確かに、よく分からない内容の雑誌だけど
つくし(ゼ、ゼ〇シィ!?)
透子(ななみ、そこまでするか......)
瑠唯「......広町さん?」
ましろ「......ななみちゃん?」
七深「いや~、流石に分かると思ったけど、まさか素直に読むなんてね~。」
透子(う、うーん、一概にななみが悪いって言えない。)
つくし(これは流石に......)
楓「?」
なんだろう、すごく見られてる
この本、そんなにおかしいのかな?
ウィディングドレスを着た女の人だったり
はたまた、結婚式場の情報が多いけど
6月だし、みんな読むんじゃないの?
楓「広町さんが、『高校生はみんな読むんだよ~。だって6月だもん!』って言ってたけど、何かおかしいの?」
透子「あ、ごめん。やっぱおかしいの衛宮じゃないわ。」
つくし(もう衛宮君のこの感じが普通で若干認識が歪んでる。)
瑠唯「衛宮君、それは学生の読むものじゃないわ。それもっと、後々に読むものよ。」
楓「そうなんですか?」
ましろ「うんうん。」
つくし「そもそも、その雑誌の何を見てたの?」
楓「え?」
何を見てたか......
僕は何を見ていたんだ?
うーん......
楓「この写真のウィディングドレスと背景の色の対比がいいなぁ、とかかな?」
七深「そこ~!?」
楓「うん、内容も目を通したけど、そっちの印象が強いかな。」
瑠唯(流石ね、衛宮君。)
つくし(あまりに予想外な行動でななみちゃんを翻弄してる。)
透子(最強か?)
ましろ(これは何と言うか......不憫。)
写真の人に関してはあまり気にならない
周りにレベルの高い美人が多いし
どの人も八潮さんほど綺麗でも可愛くもない
楓(八潮さんのドレス姿......)
人並みの妄想にふけってみる
綺麗な黒髪と白いドレス
一体、どれほどの綺麗なんだろう
きっと、絵になるんだろうなぁ......
楓(じゃあ、相手は誰なんだろう......)
瑠唯「衛宮君?」
楓「あ、なんでもないです。」
透子「なんか、ちょっと表情険しくね?」
つくし「もしかして、また体調不良?」
楓「だ、大丈夫だよ。元気。」
ましろ「じゃあ、どうしたの?」
楓「......??」
どうしたんだろう
八潮さんの相手を考えたらモヤっとした
うーん......なんだろう
よく分からない
瑠唯「そろそろ練習を再開しましょう。」
透子「そうだね!」
七深「癒されたし、頑張れそ~!」
つくし(うーん、分かる。)
ましろ(頑張ろう......!)
そうして、5人の練習が始まった
みんな、演奏のレベルも上がってるし
色も段々とすごいレベルになって行ってる
まだ始まって2か月なのに、すごい
楓(......八潮さん。)
瑠唯「~♪」
楓「......」
八潮さんは綺麗だ
バイオリンを弾く姿も勿論、美しい
練習中の魅せる動きも汗を流す姿も
なにもかも、芸術作品みたいだ
楓(かっこいい......けど、あの時......)
病院から一緒に帰った日
あの日はなんだか顔が赤くて
優しい表情をしてて、すごく可愛いと思った
楓「......って、ボーっとしてちゃダメだ。何かしないと。」
僕はそう呟いて立ち上がった
休憩用の飲み物とか準備しないと
後はタオルとか、色々......
楓(よしっ、僕は僕の仕事をしよう。)
自分の事を考えるのは後でいい
今は、頑張ってる皆のために動かないと
そう考えて
僕は外に飲み物を買いに行った
__________________
2時間ほどして、今日の練習が終わった
僕はいつも通り、疲れ果ててる皆に飲み物を配って
復活して話してる皆を眺めてる
この光景にも慣れて来た
瑠唯「__衛宮君。」
楓「はい?どうしましたか?」
瑠唯「練習中、私のとこを見ていたようだけれど、何か用があったのかしら?」
楓「!?(バ、バレてた!?)」
結構、あからさまに見ちゃったからか
これは、どうしよう
八潮さんの事を考えたらつい、とか
そんな事とても言えない
楓「え、えっと、その......」
瑠唯「?」
楓「演奏全体を見て、バイオリンの音が目立ってたので......」
嘘じゃないけど嘘みたいに感じる
きっと、目も泳いでるだろうし
バレる、かな
瑠唯「確かに、1つの音が強調され過ぎるのは課題ね。」
楓「印象はかなりいいと思います。ですが......」
瑠唯「最初はいいかもしれないけれど、続けるとなると......と言う事ね?」
楓「はい。」
瑠唯「なるほど。」
八潮さんは真剣に考えこんでる
所詮、素人の感想
八潮さんの方が絶対にいい意見を持ってる
けど、それでも、ちゃんと考えてくれる
やっぱり、すごくいい人だ
”透子”
七深「ねぇねぇ、とーこちゃん。」
透子「ん?どうしたー?」
練習が終わってソファでダラダラしてると
七深とシロが近寄って来た
嫌な予感がする
ふーすけも察してちょっと逃げてるし!
七深「かえ君が恋する乙女みたいになってるよ。」
透子「いや、あいつ男だろ。」
ましろ「でも、なんだか乙女って感じだよ。」
透子「お前ら、衛宮の前で絶対にそれ言うなよ?」
あたしは溜息を付きながらそう言った
けど確かに、今の衛宮はそんな感じに見える
あたしが見ても衛宮は普通に可愛いし
しかも、ルイと話してるときは特に
透子「てか、もうあれ、ルイが好きって事でよくね?」
ましろ「だ、ダメ!」
七深「そうだよ!」
透子「なんでだよ。お前らもさ、衛宮の幸せ祈るくらいしてやれよ。」
七深「それは広町でも出来るよ!一生養うし!」
ましろ「私は、出来ないかもだけど......でも......」
あー、こいつらマジ面倒くせぇ
正直、あたしは誰とでも付き合ってくれていい
それで残り2人が諦めれば......
透子(って、待てよ......)
仮にあの3人のうちだれかと付き合うとして
本当に、残り2人は諦めるのか?
ルイの場合は諦めよさそうだけど、衛宮の事になるとおかしいから分からないし
ななみとシロは本気で面倒になりそう
あの2人、平気で付き合った後の衛宮に何かしそう
もしそうなったら、雰囲気悪くなって
バンド解散なんて事も......
透子「しゃーない、この場はあたしが止めてくる。」
ましろ「透子ちゃん......!」
七深「よっ!月ノ森のカリスマ!」
透子「お前ら、ほんとーに良い性格してんな。」
そう言いながら、あたしは2人の方に近づいた
はぁ......なんでこうなった
最近、こんな役回りばっかだし
いつか呪ってやろ
透子「衛宮ー。」
楓「はい?」
透子「そろそろ皆帰るけど、送ってやろうかー?」
楓「だ、大丈夫ですよ......一応、これでも男なので。」
透子「あはは!冗談だって!シロと帰るんだろ?」
楓「はい。」
ほんとこいつ、弟みたい
ついつい弄っちゃうんだよね
可愛いし
透子「八潮もすぐ帰るっしょ?」
瑠唯「えぇ。課題についても十分話せたわ。ありがとう、衛宮君。」
楓「いえ、僕なんかが役に立ててよかったです。」
瑠唯「十分、あなたは役に立っているわよ。自信を持ちなさい。」
透子「そうだって!相変わらず卑屈だねー!」
ルイの言う事はもっとも
だって、衛宮いなかったら練習乗り切れてない
てゆうか、そもそもルイがいない
思えば、衛宮にはかなり助けられてる
楓「あはは、ありがとうございます。」
透子「いいっていいって!ほら、さっさと帰んな!」
楓「はい。さようなら、八潮さん、桐ケ谷さん。」
瑠唯「えぇ、また明日。」
透子「じゃーね!」
衛宮は元気に頭を下げ
シロとななみがいる方に歩いて行った
瑠唯「......それで、なぜ邪魔をしに来たのかしら。」
透子「(バレてた。)あのバカ2人の頼み。それと、ちょっとした考え。」
瑠唯「考え?おかしなことを言うのね。あなたに理性的な行動が出来たなんて。」
ルイは珍しく驚いたようにそう言った
こいつ、ぶん殴ってやろうか
誰のためにこんな事してると思ってんだ
楓「倉田さん、帰ろうか。」
ましろ「うん!」
七深「かえ君~!また明日ね~!」
楓「うん、また明日!」
透子「あれ、可愛いじゃん?」
瑠唯「そうね。」
透子「そーいうこと。」
瑠唯「......意図が理解出来ないわ。」
こいつ、意外と理解力ないな
まっ、分からないならお知ればいいだけだし
いいでしょ!
透子「もうちょい、今の感じでやって行きたい。だから、衛宮を誰にも偏らせない方がいいかなって、今思った。」
瑠唯「そう。」
透子「なに?怒ってんの?」
瑠唯「別に。」
ルイは短くそう答えた
まっ、怒ってたら睨みつけて来るし
本当にそうじゃないみたい
機嫌悪そうなのはいつもだし
瑠唯「不本意だけれど、あなたの意見に賛成よ。出来たばかりのバンドの雰囲気を悪くするのは得策ではないもの。」
透子「分かってんじゃん。じゃ、これ以上話すこともないね。」
瑠唯「元から、あなたと議論する事なんて何もないわ。」
透子「言ってろ。」
あたしが乱暴にそう答えた後
ルイは自分の荷物が置いてる方に歩いて行った
ほんっとに分かんない奴
透子「......これは、しばらく大変だな。」
七深「どうしたの~?」
透子「ん?お前ら全員面倒だなーって。」
七深「え~!?ひどいよ~!」
透子「冗談だって。まっ、頑張りなよ、恋する乙女。」
七深「?(本当にどうしたんだろ?)」
透子(さっさとかーえろ。)
七深と話した後、あたしは荷物を持ってアトリエを出て行った
いやー、あたしのバンド
楽しくて面白くてチョーいい感じだけど
かなり、面倒くさいわ