色の少年   作:火の車

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隠し事

 最近、僕はおかしい気がする

 

 高校生になって、人生がガラッと変わった

 

 今までにない事が起こってる

 

 お友達が出来たのも初めてだし

 

 あんな感情を抱くのも初めて

 

七深「__かえくーん!」

楓「どうしたの?」

七深「実はね、良いものが手に入ったんだ~!」

楓「いいもの?」

七深「これだよ!」

 

 広町さんはバンッ!と何かを出した

 

 見た感じ、何かのチケットかな?

 

 何を手に入れたんだろう?

 

楓「えっと......あ、ホラー映画のチケットだ。」

七深「そうそう!オリエンテーションの時に話してたやつ~!」

楓「良かったね。楽しみにしてたんでしょ?」

七深「かえ君も行こうよ~!2枚あるし~!」

楓「うん、いいよ。折角の機会だし。」

 

 情報だけつい見ちゃうから知ってるけど

 

 映画館、1,2回くらいしか行った事ないっけ?

 

七深「かえ君ってホラーとか大丈夫?」

楓「家で借りたのを偶にね。怖いもの、嫌いじゃないから。」

七深「意外だね~。もっと、可愛い犬の映画とか見てると思ってた~。」

楓「見るよ。風景が綺麗な映画も見るし、この前も海の中の映像をずっと垂れ流す映画も見たから。」

七深「それは面白かった~?」

楓「綺麗さは100点だったよ。」

 

 あの映画の海、綺麗だったなー

 

 色んな海洋生物も出てきて勉強になったし

 

 うん、風景としては本当に良かった

 

 映画としての評価は酷かったけど

 

七深「でも、この映画は期待できるよ~!監督が有名な人でね~!」

楓「パンフレット持ってるんだ。」

七深「予習は大事だし!」

楓「僕も読んでいい?」

七深「うん!一緒に見ようよ!」

 

 僕と広町さんは見に行くホラー映画のパンフレットを二人で見た

 

 パンフレットを見た感じ、面白そうで

 

 かなり期待できると思う

 

 広町さんとのお出かけだし、楽しみだな

__________________

 

 ”七深”

 

 かえ君とデートに行くことになった

 

 4月くらいは2人でいる事が多かった

 

 けど、最近はバンドの皆といて2人きりになれてない

 

 だから、本当に楽しみ

 

七深(__ど、どんな服着て行こう。)

 

 折角だから、可愛いって言われたい

 

 けど、変に着飾っても迷惑になるし

 

 そもそも、かえ君の好みから外れそう

 

七深(そもそも、かえ君の好みってなんだろ?)

 

 るいるい?シロちゃん?もしかして私?

 

 いや、一番可能性があるのはるいるい?

 

 かえ君、絶対に意識してるし

 

七深(だったら、クール系がいいかな?いや......)

 

 違う

 

 それじゃ、私じゃなくてるいるいになる

 

 二番煎じはどこまで行っても二番煎じ

 

 私は私を好きになってほしい

 

 だったら......

 

七深「......決まった。これで行こう。」

 

 私はそう呟いて

 

 明日着る服をハンガーにかけた

 

 緊張するけど、今日は寝よう

 

 そう思いながら、私はベッドの方に歩いた

__________________

 

 ”楓”

 

 今日は広町さんと映画を見に行く

 

 そもそも、僕はあまり映画館に言った記憶がない

 

 映画館は人がたくさん来るし、色の残留が酷い

 

 だから、安心して映画を見るなら家しかなかった

 

楓(僕は大丈夫なんだろうか?)

 

 今はお昼過ぎ

 

 映画館にはたくさんの人が出入りした

 

 前の色が消えるのは大体2~3時間

 

 流石に上映中に消えることはない

 

 頭、痛くならないと良いな

 

楓(待ち合わせより早く来たけど、20分はどうなんだろう?)

 

 女の子とお出かけするときは先に行け

 

 母さんと父さんにそう言われたけど

 

 なんだか妙に緊張する

 

 今日の格好、変じゃないかな?

 

 広町さんはお嬢様

 

 横にみすぼらしい男が歩いてたらなんて思われるか......

 

楓(こう、背筋を伸ばして、空気を入れて胸を張る感じ__)

七深「__おはよ~、かえ君~。」

楓「ゴホッ!ゴホッ!!」

七深「だ、大丈夫~!?」

楓「だ、大丈夫......」

 

 こ、こんなこと前もなかった......?

 

 前も驚いて空気でむせてた事あるよね

 

 そう言う運命なの?

 

楓「も、もう来てたんだね。」

七深「う、うん///(言えない......楽しみで1時間前に来てたなんて言えない......)」

楓(いつも通りだ、広町さん。)

 

 広町さんはいつもの服を着てる

 

 4人で出かけたときはいつもと違ったけど

 

 今日はよく見る私服

 

 いつも通り、普通に可愛い

 

七深「こっちの方が落ち着くでしょ~?」

楓「え?あ、うん、そうかも。」

七深「今日は映画を楽しみたいからね~。変なオシャレはいらないよ~。」

楓「確かに。」

 

 やっぱり、変に意識してるのは僕だけだ

 

 友達同士で遊びに行くだけなのに

 

 やっぱり、僕って駄目だなぁ......

 

七深「行こうよ!」

楓「うん、行こっか。」

 

 そんな会話の後、僕達はその場を離れ

 

 今日、映画を見る予定の映画館に向かった

__________________

 

 映画館と言えばポップコーンにコーラ

 

 広町さんはそう言ってた

 

 けど、僕はお菓子も炭酸も苦手だ

 

 なので、オレンジジュースを購入した

 

 炭酸、飲めた方がいいかな?

 

七深「__かえ君ってお菓子食べないんだ。」

楓「うん。クッキーとかチョコは大丈夫なんだけど、スナック菓子はどうしても胃が受け付けなくて。」

七深「......ちょっと待ってね。」

楓「?」

七深(つまり、かえ君は間食をあまりしない。加えて少食だから......)

 

 広町さんは何かを考えてるみたいだ

 

 そんなに重要な問題が発生したのかな?

 

七深「かえ君って、体重は何㎏?」

楓「え?この前の身体測定では確か、45㎏くらいだったかな?」

七深(広町より軽い!?)

楓「思ったように体重が増えなくて、こんなだからすぐに体調崩すんだよね。」

七深「そ、そんな事ないと思うよ~?少しやせ過ぎとは思うけど~。(こ、これは、女子の沽券にかかわる......)」

 

 やっぱり痩せすぎなんだ

 

 でも、どうやって体重増やせばいいんだろ?

 

 よく食べて筋トレは......食べられないから無理

 

 普通の人はどういう風にしてるんだろうか

 

楓「僕もなりたいなぁ......力強い人。」

七深「例えば~?」

楓「例えば......そう、ボディビルダーみたいに。」

七深「ぶふっ......!!!」

楓「広町さん!?」

七深(か、かえ君がボディビルダー......?)

 

 広町さんがいきなり飲み物を吹き出した

 

 だ、大丈夫かな?

 

 結構、何と言うか、すごい顔してるし

 

七深(に、似合わない......それなら女子の尊厳丸つぶしの今の方がいいよ!なんとか、私が阻止しないと!)

楓(な、何が起きてるんだ?)

七深「かえ君?かえ君は今のままで良いんだよ?」

楓「え?」

七深「ほ、ほら?やっぱり今は細い男子の方が受けがいいよ~(きっと)」

楓「そ、そうなんだ(?)」

 

 広町さん、色が震えてる

 

 これは怖がってると言うより焦ってる時だ

 

 まぁ、今は色を見るまでもないと思うけど

 

七深「そ、そろそろ映画始まりそうだね~。」

楓「そうだね?静かにしてよっか。」

七深「う、うん~。」

 

 広町さんが頷いた後、僕は目をスクリーンに向けた

 

 色の残留は結構あるけど

 

 まぁ、スクリーンに被ってるのは少ないし

 

 きっと大丈夫だと思う

 

 ”七深”

 

 少しして、映画が始まった

 

 いくつかの予告にカメラの人の注意喚起

 

 これも映画館の醍醐味と言えば醍醐味だと思う

 

楓(こんなのあったなー。けど、昔からちょっと変わったかな?)

七深(あ、始まる。)

 

 注意喚起が終わって、本編開始

 

 最初は主人公が電車に乗ってる風景が移った

 

 普通に比べて少し暗めな映像

 

 そして、BGMはなく、電車の音だけが響いてる

 

楓(確か、主人公は田舎に引っ越すんだっけ。)

七深(ふむふむ。)

 

 この映画はホラーの中では王道

 

 だからこそ、純粋に楽しめると思う

 

 面白いかは全く分からないけど

 

『__ワン!ワン!』

『ど、どうしたんだ?』

楓(おぉ、王道だ。)

七深(よく見るね~。)

 

 段々、雰囲気が変わってきた

 

 映像の暗さが増して、盛り上がってきた

 

 ここから、この映画のテイストが分かってくる

 

 この映画の場合のキーワードは......

 

『な、何なんですか!?あなた達は!』

『山は怒っている。』

『外より来るものを殺せと。』

楓(なるほど。)

七深(これはこれは~。)

 

 なるほど

 

 キーワードは村そのものなんだ

 

 村八分......とはまた違うけど

 

 謎の風習に追い詰められる主人公と愛犬

 

 夜の森ににて逃げ惑い、狂気に満ちた表情で追いかける村人

 

 暗い森に松明の火はよく映えてる

 

『__山神様のために死んでもらおう。』

『だ、誰が......!』

『く、くぅぅん......』

 

 とうとう追い詰められた主人公と愛犬

 

 台に縛られ、脚は骨折

 

 目の前には何百人もの狂った村人

 

『浄化。』

『__ぎゃぁぁぁぁぁ!!!』

楓(バッドエンドなんだ。)

七深(結構グロい。)

 

 最終的に主人公は斬首され終了

 

 エンドロールがスラスラ流れていく

 

 いや~、中々面白い内容だったね

 

 おばけとかじゃなく、人間

 

 人間の恐ろしさを押し出した内容だった

 

七深「結構、面白かったね~。」

楓「うん。終始雰囲気も良かったし、村人の人の演技がすごくよかった。」

七深「だよね~!目とか完全に据わってたし!」

楓「欲を言えば、もう少しだけ何もない時間が欲しかったかもね。メリハリがあった方がいいし。あと、主人公の人がまだちょっと不慣れなのかなって。良くも悪くも主人公過ぎたかな。」

七深(す、すごくちゃんと見てる。)

 

 かえ君、ちゃんと評価してる

 

 しかも、私がちょっと思ってたこと

 

 やっぱり、波長が合うのかなー?

 

楓「出よっか。」

七深「うん~。そうだね。」

 

 そう答えた後

 

 私とかえ君は飲み物のゴミを持って

 

 その席から離れた

__________________

 

 ”楓”

 

 映画館を出た後、僕と広町さんは駅前に来た

 

 映画だけ見て帰るのもだし

 

 折角だからクレープ食べようよってなった

 

 クレープかー、あんまり食べたことないかも

 

七深「__激辛地獄クレープくださーい。」

楓「え?えっと、僕は苺と生クリームで。」

 

 激辛地獄......?

 

 こんなのあるんだ

 

 クレープって甘いものってイメージだったけど

 

 案外、そうでもないのかな?

 

 焼きそばクレープなんてものもあるし

 

楓(匂いが辛いけど......美味しいのかな?)

 

 そんな事を思いながらクレープを受け取り

 

 近くにある椅子に座った

 

 広町さんは僕の向かいに座って

 

 何か赤黒いオーラが見えるクレープを食べてる

 

七深「美味しい~!」

楓(お、美味しいんだ。)

七深「かえ君も食べて見なよ~。」

楓「え、遠慮しておくよ。(辛い物は嫌いじゃないけど、限度はあるし......)」

 

 僕の苦手なものなんて脂っこい物くらいかな

 

 後は極端じゃなければ大丈夫だと思う

 

 けど、激辛地獄はちょっと無理だと思う

 

七深「夕日の下で食べるクレープも乙だよね~。」

楓「うーん、メニュー的には風流も何もないと思うけど。」

七深「でも、青春って感じしない?」

楓「それは、そうかもしれないね。」

 

 友達と屋台で買ったものを食べる

 

 こういうのも、学生らしいのかな

 

楓(広町さんか。)

七深(あれ、見られてる......?///)

 

 出会ってから今まで約2か月

 

 広町さんとは1番長い時間一緒にいた

 

 気づかないうちに一緒になる事も多い

 

 けど、彼女はまだ見せてくれてないんだ

 

楓「.....ねぇ、広町さん。」

七深「ど、どうしたの?」

楓「1つ、聞きたいことがあるんだ。」

七深「?」

 

 広町七深という人間の本質

 

 彼女は本当の自分を見せてない

 

楓「広町さんはなんで、ずっと隠し事をしてるの?」

七深「え......?そ、そんなことないよ~......」

 

 僕が見える色は思考も反映される

 

 だから、隠し事をすれば分かるし

 

 動揺しているならそれも現れる

 

七深「わ、私は普通の女の子だよ~?」

楓「......あのね。」

七深「っ!(悲しい声......!?)」

楓「広町さんが凄い事は色を見ればわかるんだ。あんな綺麗な色を持ってる人は中々いないから。」

七深「う、うん......」

楓「けど、広町さんがそこまで隠すって事はきっと、何か理由があるんだと思う。」

 

 正直、見当もつかない

 

 すごい人の悩みは僕なんかが踏み入るものじゃないのかもしれない

 

 けど、もしも

 

 広町さんが後悔するような生き方に繋がるとしたら

 

 それなら、見過ごせない

 

楓「教えて欲しいんだ。なんで、そこまで自分を隠すのか。」

七深「......かえ君は、色で分かっちゃうんだよね。」

楓「うん。最初から、分かってた。」

七深「......そう、だよね。」

 

 広町さんはうつ向いてる

 

 ど、どうしよう

 

 いきなりこんなこと言って、気を悪くしたかな

 

七深「かえ君、これから時間あるかな......?」

楓「う、うん。全然、大丈夫。」

七深「じゃあ、アトリエに行こ。人前じゃ、ちょっと......」

楓「分かった、行こう。」

 

 僕は頷いて、椅子から立ち上がった

 

 広町さん、悲しい顔をしてた

 

 本当にこうするべきだったのかは分からない

 

 それは、話を聞けばわかるんだ

 

 僕はどうなっても、広町さんと向き合う

 

 だって、人生で初めてのお友達だから

 

 

 

 

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