皆と別れ、僕は家に帰ってきた
家の中にはお兄ちゃんがいる
さっきは驚いたけど、帰ってきたことは嬉しい
ずっと離れて暮らしてたし
家が賑やかになってくれるのもいい事だと思う
凪沙「__あ、おかえり!楓!」
楓「ただいま、お兄ちゃん。」
夏葉「おかえり、楓。」
勇一「帰ったか!」
リビングには父さんと母さんとお兄ちゃんがいた
多分、3人で話してたんだと思う
凪沙「お友達はみんな帰ったのかい?」
楓「うん。」
勇一「なんだ、楓の友達に会ってたのか!」
夏葉「みんな可愛かったでしょ?」
凪沙「そうだね、みんな可愛かったよ。楓の次に!」
楓「冗談はやめてよ......」
僕は溜息をつきながらそう言った
周りの人、皆こう言うんだよね
男に可愛いって褒めてるのかな......?
楓「それで、お兄ちゃんはなんで帰ってきたの?」
凪沙「楓に会いたくなって、そのついでに日本で仕事が見つかってね。」
楓(逆だよ、普通......)
夏葉「あら、仕事するの?お金は十分あるんでしょ?」
凪沙「家族みんなが遊んで暮らせるくらいは向こうで稼いできたけど、やっぱり、仕事ってしたいしね!しかも、今回は本当にやってみたかった仕事なんだ!」
楓(お兄ちゃんがしたい仕事?)
全然、見当がつかない
でも、普通の仕事じゃないのは分かる
宇宙飛行士とか、そういうのじゃないかな?
勇一「お前にそんなしたいことなんてあったんだな?」
凪沙「もう明日から出勤なんだー!楽しみー!」
勇一「お、おう。(出勤が嬉しいか......真似できねぇ。)」
夏葉「凪沙がそんなに嬉しそうなのは楓関係くらいじゃないの?」
楓「いや、もっと他にあるでしょ......」
凪沙「あはは、それは秘密だよ!」
お兄ちゃんは明日から仕事かー
でも、日本でって言ってたし、家にはいるんだ
勉強とか教えてもらえる
月ノ森に入れたのも、お兄ちゃんのお陰だし
凪沙「あと、楓にお土産があるんだー!取り合えず、絵を買ってきた!」
夏葉「まぁ、綺麗な絵。」
勇一「か、絵画って高いんじゃないのか?」
お兄ちゃんは鞄から綺麗な絵を出した
母さんの言う通り、すごく綺麗な絵だ
こんな絵があったんだ
凪沙「これ、友達が書いたやつなんだよねー!だから、実質タダ!」
楓「こんないいものを!?」
凪沙「たしか、売れば億は超えるってディーラーが言ってたっけ?」
勇一、夏葉「ぶふっ!!」
凪沙「どうしたの?」
また、お兄ちゃんの癖が出た
昔から、無自覚にとんでもない事を言う
億を超えるって
下手したら普通の人の生涯年収と変わらないんじゃ......
凪沙「ほらほら!部屋に飾って!」
楓「う、うん。(気にしないでおこう。飾ってれば、綺麗な絵だし。)」
凪沙「それが終わったら一緒にお風呂__」
楓「それは嫌だよ、流石に......」
凪沙「じゃあ、一緒に寝よう!」
楓「......」
お兄ちゃん、僕を何歳を思ってるんだろう
幼稚園のときとかは一緒に寝てたけど
高校生になってそれは......
凪沙「父さん、母さん?楓は反抗期になっちゃったの?」
勇一「いや、普通に考えて、高校生で兄と一緒のベッドで寝たいと思わないだろ。」
凪沙「えー、そうかなー?」
楓「そうだよ......」
凪沙「じゃあ、仕方ないかー。」
お兄ちゃんには困ったものだよ
いつまでもこんな冗談言うし
いや、別に慣れてるしいいんだけど
夏葉「じゃあ、お夕飯にしましょうか。」
凪沙「わぁ!久しぶりの日本食ー!これは、楓にあーんってしてもらわないと!」
勇一(こいつも懲りないな......俺そっくりだ!)
楓「まぁ、そのくらいなら。」
勇一「いや、いいのか!?」
夏葉(楓の判断基準も相当謎よね。いいのだけれど。)
取り合えず、鞄を置いてこよう
そう思い、僕はリビングから出ようとした
その時......
凪沙「あ、楓!」
楓「どうしたの?」
凪沙「月曜日、楽しみにしててね!」
楓「?(どういうこと?)」
僕は心底疑問に思ったけど
考えてもわかるわけがないので
軽く頷いてからリビングを出た
__________________
月曜日
今日も僕は早めに登校だ
でも、お兄ちゃんは僕よりも早く家を出たらしく
僕が家を出る時にはもういなかった
お仕事に行ったのかな?
七深「__かえくーん!」
楓「おはよう、広町さん。」
七深「うん!おはよう!」
教室に入ると、いつも通り広町さんがいた
元気に挨拶してくれて、気持ちがいい
ちょっと距離が近すぎる気もするけど
楓「ち、近すぎない?」
七深「いいじゃん~///私とかえ君の仲だし~///」
楓(友達の距離感なのかな?)
七深「死んでも裏切らないでくれるんでしょ~?///」
楓「うん、もちろん(?)」
七深「だから、これが正解なんだよ~///」
そ、そうなんだ
だったら、いいかな
広町さんが安心出来てるなら
七深(かえ君の匂い~///大好き......///)
楓「他の人が来たら離れるんだよ?誤解を招いちゃうし。」
七深(誤解してくれてもいいんだけど......誤解じゃないようにするし!///)
それからしばらく、僕は広町さんにくっつかれていた
広町さんの息が荒くなってたけど
もう夏だし、暑かったのかな?
それから10分ほどして
教室のドアが開かれた
透子「あ、衛宮に広町!」
楓「おはよう、桐ケ谷さん。」
透子「おはよ!って、何してたの?」
楓「何もないよ?」
七深「そうだよ~。」
桐ケ谷さん、やっぱり勘がいいな
別にバレても問題がない人なんだけど
透子「そう言えば、知ってる?今日、緊急集会だって。」
楓「え、そうなの?」
透子「そうそう。」
七深「急だね~?」
緊急で集会って事は重要なことかな?
しかも月ノ森だし
うーん、ちょっと怖いな
透子「てかさ、一昨日の兄ちゃんとはどうなったの?」
楓「普通ですよ?日曜日もお勉強を教えてもらって。」
七深「かえ君は真面目だね~。」
透子「まっ、テストも近いしねー。あたしもそろそろヤバい。」
七深「とーこちゃん、前も赤点ギリギリだったもんね~。」
透子「あはは、そうなんだよ......」
桐ケ谷さんは肩を落としながらそう言った
今回のテストは何とかなりそうだし
八潮さんや広町さんに前ほど苦労をかけないで済むかな
透子「あ、聞いてよ!この前SNSで面白い画像が流れてきてさ!」
七深「どんなの~?」
透子「スイカが爆発してるんだ!」
楓(どういう事?)
それからは3人で談笑し
先生が来た後、朝礼のため講堂に移動した
今日の朝礼、何の話をするんだろう?
__________________
夏でも講堂の中はそこまで暑くない
だから、暑さで倒れることはない
けど......
楓(わ、忘れてた......)
講堂の中には全校生徒が集まる
つまり、色んな色が集まる
そうなれば僕の弱点が出て来る
楓(き、気持ち悪い......)
僕の周りには汚い黒が広がってる
相変わらず、この色には慣れない
こんなに色が密集すると、いつもの校舎の比じゃない
七深「かえ君かえ君。」
楓「広町さん?」
前の広町さんが僕の服の裾を引っ張ってきた
周りに聞こえないくらい小さな声
何か用があるのかな?
七深「私だけ、見てて......?///」
楓「え?」
七深「かえ君、ここじゃ目がきついでしょ?だから......///」
楓「あ、ありがとう。」
僕は視線を広町さんに集中させた
危なかった
もう少しで朝ごはんが逆流して来る所だった
七深(かえ君が私だけを見てくれてる///嬉しいなぁ......///)
楓(この色、落ち着く。)
このオレンジ色は落ち着く
綺麗で優しくて、広町さんを感じて
落ち着く......はずなんだけど
楓(なんでだろ......ドキドキする。)
あの日以来、こうなることがある
八潮さんのと一緒......いや、少し違う
似てるけど、違う気がする
けど、これが何なのか分からない
透子(あいつら、付き合ってんのか?)
つくし(衛宮君はるいさん以外反応しないと思ってた。)
ましろ(ず、ずるい......!)
瑠唯(広町さん......!)
そろそろ、始まるかな
そんなに長い時間じゃないし
この調子なら十分耐えられる
理事長『__本日は、今日からこの学校で教鞭をとる、過去に類を見ない優秀な人物を紹介しようと思う。』
透子(新しい先生?)
七深(へぇ、そんな人が~。)
楓(......ん?)
理事長『衛宮凪沙くん、こちらへ。』
凪沙「はーい。」
楓、七深「!?」
理事長に呼ばれたのは、お兄ちゃんだった
僕は目を見開いて、広町さんはこっちに目配せしてきた
え、な、なんで!?
ま、まさか、仕事って......
凪沙『初めまして!衛宮凪沙です!』
お兄ちゃんは全員へ向けた挨拶を始めた
流石、堂々としてる
僕だったら緊張と汚い色で絶対に吐いてる
凪沙『この度、理事長からのオファーを受け、この学園で教師をする......これは僕にとってsensationalな出来事です!』
理事長『彼はハー〇ー〇大学を首席で卒業した逸材だ。全世界の研究所などからオファーがある中、この学園を選んでくれた。』
楓(だ、大学そこだったの!?)
七深(そうだ、あの人、天才なんだった。)
お兄ちゃんの向こうでの生活を知らなかった
けど、そんなすごいことになってたなんて
いやでも、なんで教師を?
凪沙『この学園に来た理由の1つは、日本の教育における固定観念をブチ壊すことです!まぁ、今言っても分からないだろうし、これから行動で示すとして......』
お兄ちゃんはスラスラと喋ってる
あんなに大きなこと言うのも、らしい
とても僕には真似出来ない
凪沙『一番大切なここに来た理由は__』
楓(あ、目が合った。)
凪沙『僕が愛してやまない、世界一可愛い弟の楓を見に来ました!楓ー!お兄ちゃんだよー!』
楓「」
お兄ちゃんは舞台の上からこっちに手を振ってる
素直にやめて欲しい
全員こっち見てるし......
凪沙『じゃあ、僕の挨拶はここまで!楓!僕は家庭科準備室にいるからいつでもおいでー!』
楓「......」
七深「か、かえ君!?」
僕は膝から崩れ落ちた
お兄ちゃん、なんで嵐を起こすの......?
色んな色が混在してるのと視線がつらい
そのせいか分からないけど
気付いたら僕は舞台の方に向かい、叫んでいた
楓「__もうっ!!お兄ちゃん!!」
七深「っ!?(か、可愛い!///)」
ましろ(はうっ!///)
瑠唯(......彼の苦労は分かるけれど......なんて、愛らしいのかしら///)
お父さん、お母さん
お兄ちゃんは月ノ森で先生になりました
そして、いつも通り、破天荒です
僕、今まで見たいに平和に過ごせる気がしません