色の少年   作:火の車

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新鋭

 ”透子”

 

 マジで分かんない

 

 衛宮と話してからすっごいモヤモヤしてる

 

 頭悪いなりに色々考えた

 

 心臓の病気なんてもちろんなったことないし

 

 あいつの気持ちなんて分かんないけど......

 

透子(......なんだよ、これ。)

 

 弱弱しくて、けど変に度胸があって、優しい衛宮

 

 そんなあいつに死んで欲しくないと思ってる

 

 けど、あいつは死んだほうが幸せになれる気がして

 

 それをあたしが壊すのは無粋な気がする

 

透子「......クソッ」

 

 畳の寝転がって、天井を見上げる

 

 ムカつく

 

 自分が何をしたいのか分かんない

 

 ウジウジするなんて、あたしじゃないし......

 

透子「あーもう!ムカつくー!」

 

 あたしはそう声を上げた

 

 もう、後は日曜に丸投げする

 

 めっちゃ強引だったけど、デートの約束したし

 

 その間に全部答えだす

 

 あたしは自分にそう言い聞かせ、お風呂に入りに行った

_________________

 

 ”楓”

 

 日曜日、僕は駅前に来てる

 

 桐ケ谷さんにいきなり誘われたけど

 

 今日は一体、どこにいくんだろうか

 

 行く場所なんていくらでも見つけてそうだど

 

 やっぱり、すごく華やかな場所なのかな?

 

透子「__衛宮ー!」

楓「あ、桐ケ谷......さん?」

 

 僕は桐ケ谷さんに目を奪われた

 

 と言うか、インパクトでビックリした

 

透子「待ち合わせより前に来るなんて、意識高いじゃん!」

楓「あ、はい、どうも。」

 

 桐ケ谷さんはやっぱり、すごくオシャレだ

 

 見たこともないような服を着てる

 

 ......でも、この服、肩とか出し過ぎなんじゃ

 

 さっきからこっちを見てる男の人たくさんいるし

 

透子「どうしたの?」

楓「え、えっと、その......服が凄く派手と言うか、肩が......」

透子「なに~?まさか、意識しちゃってんの?」

 

 意地悪そうにそう尋ねてくる

 

 いや、僕は別にそうでもない

 

 ただ、周りの目がどうかと思うだけで

 

楓「い、いえ!そういう訳ではないです!」

透子「......(それはそれで、複雑なんだよな。)」

 

 多分、桐ケ谷さんみたいな人の中では普通の服装なんだ

 

 僕がただ、過剰に反応してるだけ

 

 そうだ、今、僕は失礼なことをしてるんだ

 

 ここは毅然とした態度でいないと

 

透子(てか、こいつ、こういうの気にするんだ。)

楓「き、桐ケ谷さん?今日はどこに行くんですか?」

透子「え?言ってなかったっけ?」

楓「誘ってそれきりじゃないですか......」

透子「あはは!ごめん!忘れてた!」

 

 桐ケ谷さんは大笑いしてる

 

 やっぱり、こういうところあるよね

 

 いや、僕は全然いいんだけど

 

 考えてもらってる立場なんだし

 

透子「今日は普通にデートするよ!」

楓「普通に?(デート?)」

透子「ショッピングとか、色々!」

 

 これ、デートだったんだ

 

 だから、母さんたちが盛り上がってたわけか

 

 今やっと理解出来た

 

透子「色は1人だけ見てれば大丈夫なんだろ?だったら、あたしだけ見てろ!」

楓「は、はい。(か、かっこいい。)」

透子「ほら、行くよ!」

 

 僕は桐ケ谷さんに手を握られ一瞬、ドキッとした

 

 けど、それを忘れるくらい

 

 桐ケ谷さんは激しく僕を引っ張っていった

__________________

 

 ”透子”

 

 最初に来たのはショッピングモールの中にあるアパレルショップ

 

 やっぱ、男女のデートと言えば

 

 彼女がいくつか服選んで『どっちがいい?』みたいな面倒くさい質問するのに限るっしょ!

 

 そう思って、いくつか服を見繕って試着室に入った

 

 けど......

 

透子(__か、彼女じゃないし!!///)

 

 なんか、デートとか彼女とか

 

 そんな言葉が頭に浮かんで来てたけど

 

 あたしと衛宮はそんなのじゃないし

 

 てゆうか、衛宮をそんな風に思って......

 

透子「......(ない、とも言えない。)」

 

 否定しようとしたけど、頭がそれを拒否してる

 

 別に、タイプってわけでもないし

 

 あたしは、どっちかと言うとかっこいい系の方が......

 

透子(そもそも、衛宮に感想聞いても、どっちも似合うとかしか言わないし。そんな気負わないでいいじゃん......)

 

 あたしは持ってきた服を着た

 

 見立て通り、良いコーディネート

 

 そんな自画自賛をして

 

 あたしは試着室のカーテンを開けた

 

透子「衛宮ー!」

楓「あ、着替え終わりましたか。」

透子「どう?あたし的にチョーいいんだけど!」

楓「そうですね。とてもお似合いです。」

 

 やっぱり、衛宮はそう言った

 

 まっ、そうだよね

 

 こいつ、こうゆうのに詳しくないだろうし

 

楓「あ、でも。」

透子「!」

楓「桐ケ谷さんがさっき見てた服の方が良かったかなって。」

透子「え、どれ?」

楓「ちょっと待っててくださいね!」

 

 衛宮はそう言って

 

 あたしがさっき見てた棚に走って行った

 

 あいつ、意見とか出せたんだ

 

 普通にびっくしりた

 

 そんな事を考えてると、衛宮が帰ってきた

 

楓「これです!」

透子「あー、それ?良いと思うけど、ちょっとデザインが大人しくない?」

楓「だからいいんです!」

透子「どーゆーこと?」

楓「桐ケ谷さんはキラキラしてて綺麗なので、少し大人しめのデザインも似合うと思ったんです!むしろ、そっちの方が桐ケ谷さんのルックスが目立って良いかと!」

透子「っ......!///」

 

 無意識だって分かってるんだけどさ

 

 こいつ、実はタラシなんじゃねって思う

 

 なんで、こんなこと平気で言えるんだよ

 

 そうやってあの3人も落としたの?

 

透子「じゃ、じゃあ、着てみるわー///(なんで、こんな照れてんだろ......///)」

楓「はい!」

 

 あたしはそう言ってカーテンを閉めた

 

 さっき、2択で迷ってたトップス

 

 あいつ、ちゃんとあたしのこと見てんじゃん

 

 てゆうかさ......

 

透子(あの顔ズルいだろ!///)

 

 あの3人の気持ちが分かってみた

 

 純粋に澄んだ笑顔

 

 しかも、メチャクチャ可愛いし

 

透子(......だから余計、キツイよな。)

 

 舞い上がってる中、そんな事を考えた

 

 あんなに笑える奴が病気なんてさ

 

 世の中不公平にもほどがあるだろ

 

 なんで、あいつが人生諦めんだよ

 

 ......いや

 

透子(今の境遇だから、あいつはああなのかもしれない。)

 

 元の性格もあるだろうけど

 

 限りがあるから、優しくなれる

 

 病気すら、あいつを作ってるものの1つなのかもしれない

 

透子「......」

 

 応援、してやるべきなのか?

 

 あいつが死んでも後悔しないように

 

 そうするのがきっと、あいつのため

 

 だけど、それと同じくらい、死んで欲しくない

 

透子(分かんな......)

楓『桐ケ谷さん?大丈夫ですか?』

透子「あ、大丈夫大丈夫!すーぐ見せてやるよ!」

 

 あたしは急いで衛宮が持ってきた服を着た

 

 それで気付いた

 

 こっちの方がいい

 

 あたしは困惑しつつ、カーテンを開けた

 

楓「わぁ!やっぱり、すごく似合いますね!」

透子「驚いた。衛宮ってセンスあるんだな。」

楓「いえ、僕は桐ケ谷さんが見てたものを持ってきただけなので。」

透子「これいい感じだし、買おっと!」

楓「そうですか?」

透子「じゃ、着替えるな!」

 

 あたしはそう言ってカーテンを閉じ

 

 元の服に着替えた後

 

 衛宮が選んだ服を買ってきて

 

 次の場所に向かった

__________________

 

透子「__さぁ、次はこれ!」

楓「これは?」

 

 次に来たのはゲームセンター

 

 てゆうか、プリクラ

 

 やっぱ、デートっぽいのってこれじゃん?

 

透子「プリクラ!この機械の中で撮るんだよ!」

楓「証明写真みたいなものですか?」

透子「それは違う。」

楓「そうなんですか?」

 

 まぁ、知らないとは思った

 

 プリクラとか、こいつは無縁だよな

 

 それでも証明写真はないけど

 

透子「ほら、撮るよ!」

楓「はい。(ど、どんなだろう。)」

 

 あたし達は機体の中に入った

 

 今まで結構撮ったけど、男子とは初めてだ

 

 てか、意識したら恥ずかしくなってきたんだけど

 

透子「ほ、ほら、衛宮!なんかポーズ!///」

楓「え?」

透子「なんでもいいから!」

楓「じゃ、じゃあ。」

 

 衛宮は小さくピースをした

 

 絶対にやると思った

 

 けど、これはこれでありなんじゃないかな

 

 普通に可愛いし

 

楓(ち、近い。)

透子「撮られるよ!」

 

 そう言うと同時にシャッター音が響いた

 

 一枚目は2人ともピースしてるだけ

 

 てか、絶対にあたしの顔赤いんだけど......

 

楓「次はどうしますか?」

透子「えっとー......じゃあ、大人しくしろよ衛宮!」

楓「え__!?」

 

 あたしは後ろから衛宮にもたれ掛かった

 

 もう完全に勢いだけど

 

 衛宮、どう思ってるかな

 

楓(あ、あた、って......いやいや、ダメだって!)

透子(衛宮の頭、胸に当たってるし......っ///)

 

 自分からしといてだけど、恥ずかしい

 

 流石の衛宮も動揺してるし

 

 てか、あたし痴女じゃん!

 

楓(き、桐ケ谷さんはきっと気にしてない。そうだ、気にしてないんだ!)

透子(やばいやばいやばい!///)

 

 あたしがテンパってる間にシャッター音がした

 

 今、この写真が取られたわけだ

 

 それはもう、カップルみたいな写真になってる

 

 ......あの3人に見られたら終わりだな

 

透子「え、衛宮?出よっか?///」

楓「そ、そうですね。」

 

 そんな会話の後

 

 あたしと衛宮は機内から出て

 

 外で文字書いたりとかしてた

__________________

 

 ショッピングモールの外に出た

 

 衛宮に疲れが見えてきたし、静かな公園に来た

 

 落ち着いたところに来て、ちょっと冷静になる

 

 あたし、何してんだろ

 

 なんかいつも以上にバカみたいじゃん

 

透子「......はぁ///」

楓「飲み物、どうぞ。」

透子「ありがと///」

 

 あたしは衛宮から買ってきてくれた飲み物を受け取って

 

 それを口に含んだ

 

 冷たい飲み物でまた頭が冷える

 

透子(なーんでだろ......///)

 

 衛宮は、

 

 顔はかっこいい系ってよりは可愛い系だし

 

 下手したら女子より弱弱しい

 

 あたしの好みとは全然違う

 

 なのに、なにのさ......

 

透子(あたし、なんで落とされてんだよ......///)

 

 もういい、認める

 

 あたしは衛宮が好き

 

 好きになる人と好みの人は違うって言うし

 

 今の気持ちは絶対にそうだし

 

 これは否定したくなって思ってる

 

楓「すいません、桐ケ谷さん。」

透子「え?」

楓「僕が疲れてしまって......」

透子「いや、いいって!あたしもちょうど風に当たりたかったし!」

 

 これは本当

 

 マジで、あたしおかしくなってた

 

 普通、プリクラであれはあり得ないっしょ

 

 端から見ればあんなのただのバカのカップルじゃん

 

 いや、バカはあたしだけど

 

透子「に、にしても、荷物持ってくれてありがとね!」

楓「女性とお出かけするときはこうするんだよって昨日に教えられて。」

透子(十中八九、あの両親だな。)

 

 普通、荷物持ちなんて嫌なんだけどな

 

 別に彼女でもない奴なんて特に

 

 でも、衛宮はそんな様子も見せないでずっと持ってた

 

 ほんと、性格いいよな

 

楓「それで、あの、今日は何で誘ってくれたんですか?」

 

 ふと、衛宮がそう尋ねて来た

 

 誘ったのは勢い、とは言えないし

 

 なんか、それっぽい理由着けとこ

 

透子「何となく、衛宮と出かけたかっただけ。」

楓「?」

 

 衛宮はあたしの言葉に首を傾げてる

 

 まぁ、今日は目標も達成したし

 

 あたし的には満足......いや、まだだった

 

 あと1つ、聞きたいことあった

 

透子「ねぇ、衛宮?」

楓「はい?」

透子「そのさ、この前の話をしてて、気になったことあるんだ。」

楓「気になったこと?」

透子「そうそう。」

 

 あたしは軽く頷いた

 

 自分の気持ちは分かったし

 

 後は、衛宮の気持ち的なのも知りたい

 

透子「衛宮は、死ぬのが怖くないの?」

 

 あたしはそう尋ねた

 

 あたしならすごい怖い

 

 明日死にますとか言われたら泣くと思う

 

楓「え?」

透子「死ぬのって誰でも怖いじゃん?衛宮も......」

楓「考えたことないですね。」

 

 あたしの問いかけに衛宮はそう答えた

 

 あんまりにもあっさりとした口調

 

 それにあたしはちょっとびっくりした

 

楓「でも、種類によると思いますよ。」

透子「種類?」

楓「心残りがあるまま死ぬなら怖いです、けど、僕の目標はそうならない事なので。」

透子「......そうだった。」

 

 後悔なく死ぬ

 

 それは簡単なことじゃない

 

 絶対に気付かないうちに後悔なんてする

 

 それをゼロなんて難しいとか、そういう話じゃない

 

透子「......後悔なく、死ねると良いね。」

楓「そうですね?」

 

 衛宮は不思議そうにそう答える

 

 あたし、何言ってんだろ

 

 死んで欲しくないって思ってるのに

 

 なぜか、衛宮がいいならそれでいいって思ってきた

 

楓「!」

 

 あたしは衛宮の手を握った

 

 衛宮は少し驚いてたけど

 

 何か言うわけでもなく、受け入れてくれた

 

透子(......好きだよ、衛宮///)

楓「?(どうしたんだろう?)」

 

 好き、好きだから応援する

 

 衛宮が後悔なく死ねるように

 

 その中で、衛宮の大切な人になる

 

 

 

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