色の少年   作:火の車

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品性下劣

 学校に来てお兄ちゃんと別れ

 朝、僕はいつも通り学校に来た

 

 広町さんの色もあるし、教室にいるだろう

 

 そんな事を考えながら、廊下を歩いてる

 

楓(そろそろテストだ。終われば夏休みだし、早いなぁ......)

透子「__えーみや!」

楓「わわっ!」

透子「おはよ!今日も早いね!」

 

 廊下を歩いて教室の近くまで来ると

 

 後ろから桐ケ谷さんが走ってきて飛びつかれた

 

 一瞬、転びそうになっちゃった

 

 我がことながら情けない......

 

楓「桐ケ谷さんも早いですね?いつもはもう少し遅いのに。」

透子「あたし、いつも5時起きだし!来ようと思えば来れるよ!」

楓「へぇ、すごく健康的ですね。」

 

 いつも5時起きなんだ

 

 こう言うのは失礼だけど、意外だなぁ

 

 お嬢様だし、お家が厳しいのかな?

 

 確か、呉服屋って言ってたし

 

透子「ほら!ボーっとしてないで教室行くよ!」

楓「あの、このままでですか?」

透子「うん!いいじゃん!」

 

 これは、いいのかな?

 

 誰かに見られたらあらぬ誤解を招きそうだけど

 

 いや、教室には広町さんしかいないだろうし、大丈夫かな?

 

楓「まぁ、広町さんしかいないでしょうし、大丈夫ですね。行きましょうか。」

透子(それが1番大丈夫じゃないけど、まっ、いっか!......衛宮と、くっついてられるし///)

 

 僕は桐ケ谷さんとくっついたまま教室に向かった

 

 なんだか、いつもと桐ケ谷さんの様子が違うな

 

 距離感が近い人なのは間違いない

 

 けど、くっついたりはしない人だった

 

 何かあったのかな?流行りとか?

 

透子「~♪」

楓(僕が考えても、分からないよね......)

 

 そんな事を考えてるうちに教室に着いた

 

 僕はドアをゆっくり開け

 

 広町さんがいるであろう教室に入った

 

楓「おはよう、広町さん。」

七深「あ、おはよう!かえ......君?」

透子「よっ!ななみ!」

七深「え、な、なにしてるの......?」

楓「えっと、見ての通り、だよ?」

 

 僕も理解出来てない

 

 広町さんも困惑したような表情、色をしてる

 

 やっぱり、よく分からないんだ

 

七深「とーこちゃん?何してるのかな~?」

透子「見たまんまじゃね?衛宮にくっついてる。」

七深「なんで?」

透子「それはねー。」

楓「?」

 

 桐ケ谷さんは僕から離れて

 

 今度は広町さんの方に近づいて行って

 

 そして、耳元に口元を近づけた

 

透子「あたしも、衛宮が好きになった。」

七深「!?」

透子「だから、これからアピールしていくし、譲る気もない。ななみにもシロにも、ルイにも。」

七深「......そう。」

 

楓「?(何を話してるんだろう。)」

 

 全然聞き取れない

 

 けど、広町さんと桐ケ谷さんの色がおかしい

 

 あまり見ない色だ

 

七深「今日からライバルだね~。」

透子「あはは、上等じゃん!」

楓「あの、お話はまとまりましたか?」

七深「大丈夫だよ~。」

透子「そんなにややこしい話でもないし!」

楓「!!」

 

 広町さんと桐ケ谷さんは話しを終えた後

 

 こっちを向いたと思ったら近づいて来て、2人に左右から抱き着かれた

 

 朝からいろいろとおかしい

 

 なんでこんな状況になるんだろう?

 

 広町さんはいつも通りだけど、なんで桐ケ谷さんまで?

 

楓「あの、どうかしましたか?」

透子「なんもないよ!ただ、あたしがこうしたいだけ!」

七深「そうだよ~!

楓「そ、そうですか(?)」

 

 わ、分からない

 

 この2人は何がしたいんだろう

 

 別に僕が困ることはないけど

 

 2人は誤解されたりで大変なんじゃ......

 

透子「ほら衛宮!昨日のデートの話してやろうよ!」

七深「!!」

透子「たーっぷり聞かせてやるよ。七深♪」

七深(むぅ~!むぅ~!!)

 

 それから、桐ケ谷さんは広町さんに昨日の話をして

 

 僕はそれの補足をしたりして朝の時間を過ごした

__________________

 

 お昼休み

 

 今日も中庭でみんなと集まってる

 

 お弁当を食べたり、お話しするのは楽しい

 

 楽しい、けど......

 

透子「ほら、衛宮!男ならもっと食えって!」

七深「ほら~、こっちもあるよ~?」

ましろ「ハンバーグ、食べる......?」

楓「き、桐ケ谷さんはどこからそれを出したの?」

 

 僕は大量のお弁当のおかずを差し出され

 

 それを食べることに追われてる

 

 桐ケ谷さんはなぜかお弁当箱を2つ持ってるし、謎だ

 

透子「細かいことは気にすんな!」

楓「それは細かいんですか?」

七深「あはは~。」

ましろ「卵焼きなら、どう......?」

つくし「......」

楓「?」

 

 3人と話してる途中

 

 僕は二葉さんの色がいつもと違う事に気付いた

 

 中学生の時に見たような色だ

 

 浮かれてると言うか、心ここにあらずと言うか

 

 そんな感じの色だ

 

楓「二葉さん?」

つくし「え、ど、どうしたの!?」

楓「何かあったの?浮かれてるみたいだけど。(声大きいなー。)」

 

 僕が話しかけると、二葉さんは大きな声で返事してきた

 

 見るからに焦ってる

 

 本当に何かあったみたいだ

 

楓「何か悩みでもあるのかな?」

つくし「な、悩みとかじゃないんだけど......」

楓「?(どうしたんだろ。)」

透子「なになに!ふーすけ、何かあったのー?」

つくし「!?」

 

 皆の視線が二葉さんに集まる

 

 マズい、絶対に僕、地雷を踏み抜いた

 

 二葉さん、見るからに困っちゃってるし

 

七深「話してみなよ~。」

つくし「い、いや、人に話すようなことでもないから......」

透子「水臭いじゃん!教えてよ!」

つくし「でも......」

楓「それって......あっ。」

ましろ「衛宮君?」

透子「もしかして、何か分かった感じ?」

 

 どうしよう、気付いちゃった

 

 しかも、桐ケ谷さんが食いついちゃったし

 

 僕、二葉さんに恨まれそう......

 

七深「何が見えたの~?」

楓「え、えっと......それは......」

つくし「もうっ、これだよ。」

透子「なにこれ?手紙?」

 

 二葉さんが取り出したのは綺麗な手紙だった

 

 桐ケ谷さんはそれを奪い取って

 

 その中身を見始めた

 

透子「__おぉ!」

七深「ラブレターだ~!」

ましろ「『あなたをお慕いしています。』かぁ......」

瑠唯「こう言うものもあるのね。」

楓(なるほど......)

つくし「だから知られたくなかったのに......」

 

 二葉さんは頭を抱えてる

 

 これは、所謂ラブレターと言う物か

 

 生まれて初めて見たかもしれない

 

 しかも、これには色が残ってるし

 

 2時間以内に送り主が手に持ってたことになる

 

透子「それで、なんでそんなに悩んでんの?」

つくし「それは、断ろうと思ってるから。」

七深「えぇ!?なんで!?」

つくし「だって、男子とあまり喋ったことないからどんな人か分からないし......まだまだ、頑張らないといけないことだって向こうもあるだろうし、それの邪魔にもなりたくない、かな。」

楓「なるほど。」

 

 二葉さん、真面目だなぁ

 

 でも、言ってることはもっともだ

 

 まだまだ高校生になったばっかりだし

 

 お付き合いとかそう言うのは難しいかもしれない

 

七深「うーん、それが正解かもね~。」

ましろ「知らない人、怖いもんね。」

透子「そーだなー。」

瑠唯「二葉さんなら、そうするべきかもしれないわね。」

 

 僕も正直賛成だ

 

 でも、倉田さんの言う通り、少し怖い

 

 どんな人か、気になって来たかも

 

楓「あの、少しお手洗いに行ってきます。」

七深「ついて行こっか~?」

楓「そ、それは勘弁してほしいね。」

透子「行ってら~。」

ましろ「行ってらっしゃい。」

瑠唯「気を付けるのよ。」

楓「はい。」

 

 僕はそう返事してその場を離れ

 

 色が繋がっている方に歩いて行った

__________________

 

 手紙の色は上品な......

 

 例えるなら、高級なチョコのような茶色

 

 けど、この色、少しだけおかしい

 

楓(__ここ?)

 

 色を辿ってついた場所はテニス部の部室だった

 

 つまり、送り主はテニス部の誰か、なのかな?

 

 いくつかの色がここに通じてるし

 

 多分、この中には何人かいると思う

 

楓(取り合えず、聞き耳を立ててみよう。)

 

 僕は扉に耳を近づけた

 

 幸いにも防音の設備はない

 

 これなら、中の声も聞ける

 

『__いやぁ、あれは傑作だった!』

『だよなぁ、あのチビ委員長!』

『あの手紙見て、いっちょ前にこまってやんの!』

楓(......?)

 

 中から聞こえるのは3人の男性生徒の声

 

 でも、話しの内容が妙だ

 

 色々と気になる単語が出てきてる

 

『で、これからどうする?』

『あ?無視して帰るに決まってるだろ。あのチビ委員長がいつまで待ってるか見れないのは残念だがな。』

楓(!?)

『脅すのもありなんじゃないか?』

『いやいや、あんなのじゃ何にも使えないって。』

『あはは!そりゃそっか!』

 

 下品な会話だ

 

 品性なんてかなぐり捨ててるとすら思える

 

 中にいるのは本当に月ノ森の生徒なのか?

 

 本当は不法侵入者なのかもしれない

 

 けど、二葉さんが学級委員長だと知ってるし、それに、個人的に二葉さんを嫌ってるような言葉もある

 

 つまり、壁の向こうにいるのは、A組の生徒?

 

楓「......っ。(そうか......)」

 

 今、感じてた違和感の正体に気付いた

 

 そうだ、この色には輝きがないんだ

 

 品性とか、そういうことを表す輝きが

 

 この色はただ、恵まれた環境で育っただけで

 

 精神的な品は備わってない色なんだ

 

楓(マズい、どうする......)

 

 このままじゃ、二葉さんが悲しいだけにある

 

 真剣に断ろうとしてるのに、それを無下にされる

 

 そんなの、ダメだ

 

 いい人が損する事なんて、あっちゃいけない

 

 でも、僕にできる事は......

 

楓「......そうだ。」

 

 そう呟いてそっと立ち上がり

 

 そして、ゆっくり歩きだした

 

楓(そうだ、簡単なことだ。分かってるなら、第3人である僕が動けばいい。)

 

 決行は今日の放課後

 

 どうにか、二葉さんが傷つかないように

 

 それだけを考えて動かないといけない

 

 僕はそう静かに意気込んだ

 

 

 

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