今日はアトリエでバンド練習の日だ
八潮さんの指導やソファに倒れる桐ケ谷さん
この構図はもはや定番になりつつある
僕はそんな桐ケ谷さんを介抱してるんだけど......
つくし「......///」
七深「つーちゃん?どうしたの~?」
つくし「な、なんでもないよ!?///」
楓「?」
二葉さんの様子が見るからにおかしい
心ここににあらずと言った感じで
顔がうっすら赤いままボーっとしてて
返事する様子もどこか落ち着きがない
瑠唯「いえ、今日のあなたは集中力が欠如しているわ。何があったというの?」
つくし「あ、いや、その......///」
楓「色もおかしいよ?なんだか、ふやけてる感じで。」
つくし「色ってそんな事も分かるの!?///」
楓「まぁ。」
色は相手の細かい状態までわかる
見分け方は何となく、長年の経験で覚えた
ましろ「何があったの?昨日の授業中もずっとそんな感じだったし。」
七深「それで、何があったの~?」
つくし「え、えっと......///」
透子「......もしかして。」
桐ケ谷さんがそう言うと皆の視線が集まった
すると、桐ケ谷さんは二葉さんの方を見て
元気を取り戻した様子でこういった
透子「好きな人でも出来た?」
つくし「!?///」
ましろ「えぇ!?」
七深「わぁ。(図星だ。)
楓(あっ、当たってる。)
瑠唯(なぜこう言う事には鈍感ではないのかしら。)
桐ケ谷さん、よく当てられるなぁ
僕なんて色が見えても分からなかったのに
まぁ、デリカシー的なことは置いておくとして
透子「で、誰なの?ふーすけを落とした相手って!」
つくし「......秋宮君///」
楓、七深、瑠唯「!?」
ましろ「その人って、つくしちゃんに告白したって言う?」
楓(え、どういうこと!?)
僕は焦ったし、耳を疑った
秋宮紅羽って言うのは言うまでもなく僕
しかも、一応フラれたことになってる
けど、二葉さんはその人物を好きだと言った
どうしよう、全く分からない
七深「な、なんでなんで~?つーちゃんってその人フッたんだよね~?」
つくし「そう、なんだけど......///」
透子「なんか訳アリって感じ?」
つくし「うん///あのね、一昨日のお昼休み、私の事が嫌いな男子生徒に絡まれたときに秋宮君が助けてくれて......それに、落ち込んでた私を優しく慰めてくれて、それで......///」
ましろ「それは、すごくかっこいい人だね!」
七深(あー......)
瑠唯(衛宮君、変装してまで人助けなのね......)
あ、あれか!
嫌な色が見えて追いかけたら案の定で
それで写真を撮って止めに入ったけど......
別に大したことはしてないよね......?
つくし「『きっと、また会えますよ。』って言ってくれて......///あの時の微笑みがずっと頭から離れなくて......///」
楓「へ、へぇ~、そうなんだぁ......」
七深「そんな人がいるんだ~。」
瑠唯「月ノ森に相応しい......紳士的な生徒ね。」
楓「あの、2人とも、少しいいですか?」
瑠唯、七深「!」
僕は小声で2人を呼び
二葉さんから離れたところに集まった
楓「__あれって、もしかしなくても僕、なんですよね......?」
七深「そうだね~。」
瑠唯「そうね。」
2人とも深く頷いた
これは困った
二葉さんに好かれてる事というか
騙してる状態で好かれているのが問題なんだ
楓「これ、二葉さんが気づいたらどうなるんでしょうか......」
七深「そ、それは~(まぁ......)」
瑠唯「......どうなるかは分かりかねるわ。」
楓「ですよね......」
二葉さんが騙されてるなんて気づいたら......
あの時に折れかけた心が今度は壊れるかもしれない
しかも、好きな相手がこんな男なんて、一生のトラウマになる
楓「正体を明かすのも、それはそれで問題が......」
瑠唯「諦めてもらうのが理想ね。」
七深「かえ君がまた紅羽君になって離れるのが1番、かもね。」
諦めてもらう、か
結局、それが1番いいんだろうなぁ
でも、どうすればいいのか......
七深「そんなかえ君にいい漫画があるよ!」
楓「え?」
七深「これこれ!」
瑠唯(どこから出したの?)
広町さんはどこからか漫画を出し
それページをめくり、僕と八潮さんに見せて来た
そこには、主人公とヒロイン
どうやら、主人公が遠くに引っ越すことになったことをヒロインに告げるシーンだ
七深「いっそ、『秋宮紅羽は遠くに引っ越す、だから告白した』って事にしちゃえばいいんじゃない?」
楓「な、なるほど。」
瑠唯「まぁ、まだ現実的ではあるわね。」
楓「確かに、これなら諦めがつく......(のかな?)」
いや、つくだろう、きっと
僕とさえバレなければいいわけだし
うん、大丈夫かもしれない
つくし「3人とも?どうしたの?」
七深「ちょっとね~。秋宮君について~。」
楓、瑠唯「!」
そう話しながら広町さんがアイコンタクトを送ってきた
僕も八潮さんもそれに従って
取り合えず、皆が集まってるソファの方に行った
七深「ねぇねぇ~、つーちゃんってその秋宮君の連絡先とか知ってるの~?」
つくし「え、し、知らないけど。」
透子「なんだー、知らないんだ。あたしが調べてやろうか?」
瑠唯「黙りなさい、桐ケ谷さん。」
透子「え!?なんで!?」
楓(桐ケ谷さんには悪いけど、ナイスです、八潮さん。)
だって、調べても僕に行きつくだけだもん
そうなったら大問題だし、助かった
桐ケ谷さんには本当に申し訳ないけど
ましろ「でも、そうだったらまた会うのって難しいんじゃない?学校にいるって言ってもクラスとか分からないし......」
七深「そのことなんだけど~。」
つくし、ましろ、透子「?」
七深「もしかしたら、かえ君、秋宮君と会ったことあるかもしれないんだよね~。」
つくし「えぇ!?」
楓(えぇ!?)
僕は二葉さんと同じ反応をしてしまった
突然そんな事を言うものだから驚いた
まさか、そんな設定をこの場で作るなんて......
つくし「そ、そうなの!?衛宮君!?」
七深(かえ君!)
楓「え、あ、まぁ......会ったことはあるかも(?)」
僕はしどろもどろでそう答えた
会ったも何も、本人です
もう引き返せないところまで来ちゃった
これで、僕がどうにかするしかなくなった
つくし「ど、どこにいるの......?///」
楓「え、えーっと、どう言えばいいのか......」
つくし「......!///」
楓(うっ、色が輝いてる......)
二葉さんの期待する目と色が眩しい
これは、辛い役回りだなぁ......
いや、僕が撒いた種だし、責任を果たさないと
楓「お、教えるのは難しいけど......お出かけに誘うなら、僕がお願いしてみてもいいかな?なんて......」
つくし「ほんとに!?///」
楓「う、うん、本当だよ。(自分だから)話したことないけど、頼んでみるよ。」
つくし「お願いね!///」
楓「はいぃ......」
僕は力なくそう返事した
二葉さん、本当にごめんなさい
期待してる相手が僕なんかでごめんなさい
つくし「楽しみだな~......///」
楓「き、きっと、OKしてくれるよ......あはは......」
七深(う、うわぁ......大変そ~。)
瑠唯(......本当に、衛宮君は大変ね。)
ましろ(あれ、これってもしかして......)
透子(ふーすけの好きな奴ってどんなだろ。)
取り合えず、決行はテスト後かな......
僕はなぜか痛くなる頭を押さえ
嬉しそうにしてる二葉さんの姿を眺めていた
本当、とんだ奇妙な関係になった......