”瑠唯”
私は今、少しソワソワしてる
その理由は、衛宮君が水着を着て来るから
でも、決して下心だけだというわけではない
何とも言えない思い入れがあるから
楓「__お、お待たせしましたー。」
七深「あ、かえ君~!」
透子「やーっと来たね!」
楓「そ、そんなに遅かったですか?」
瑠唯「__!///」
歩いてくる衛宮君の視認して、目が離せなくなった
そう、私はこの姿に強い思い入れがある
なぜなら、彼に好意を持つようになった時がこの姿で
私を助けてくれた時も、この姿だったから
ましろ「るいさん?」
つくし「大丈夫?ボーっとしてるけど。」
瑠唯「な、なんでもないわ。」
楓「?」
2人との会話を聞いて、彼はこっちを見てる
いけないわね
このままでは、下心があると思われてしまう
なんとか、目をそらさないと
つくし「衛宮君!こっちで一緒に遊ぼうよ!」
透子「行くぞ、衛宮ー!」
楓「あ、あの、ちょっと__」
ましろ「え、衛宮君......!」
七深「広町もレッツゴ~!」
瑠唯(騒がしいわね。)
彼は桐ケ谷さんたちに川の中に連れていかれた
正直、私は水にいい思い出がないし勘弁ね
あまり入りたいと思わないわ
透子「衛宮~、シロをいやらしい目で見るな~!」
ましろ「えぇ!?///」
楓「見てませんよ!?本当に、全然!」
ましろ「むぅ~!///」
楓「い、痛い!なんで二の腕を抓るの!?」
七深「あはは~、流石かえ君だね~。」
全員、楽しそうに遊んでる
彼の鈍感さは筋金入りね
人一倍、感情を読みとる能力はあるはずなのに
なぜ、あそこまで人の神経を逆なでできるのかしら
瑠唯(......不思議ね。)
最初は3人だったというのに
いつの間にかバンドを組んだ全員が彼を好きになった
別に俳優のような外見であるわけでもない
かといって、優れた能力があるわけでもない
その辺りの物は全て兄の方に持っていかれている
けれど、彼には優しさと言う人としての魅力がある
だから、こうなったのかしら
楓「__はぁ、はぁ......み、皆、元気過ぎる......」
瑠唯「お疲れね。」
疲れた様子で岸に上がってきた彼に私はそう言った
この短時間でここまで疲労するなんて
どんなにハードな遊びをしていたのかしら
楓「あ、あまり体を動かさないので......」
瑠唯「ちょうど椅子も空いている事だし、休むと良いわ。」
楓「し、失礼します......」
彼は机を挟んである椅子に腰を下ろし
軽く息をついた
楓、瑠唯「......」
近くにいるけれど、会話の流れは生まれない
ただ、静かに遊んでる4人を眺めている
相変わらず、自分のコミュニケーション能力の無さは嫌になる
楓「八潮さん、疲れてますか?」
瑠唯「え?」
しばらく無言でいると、衛宮君が口を開いた
けど、それはあまりの突拍子もない内容で
思わず私は首を傾げてしまった
楓「疲れている色をしているので。」
瑠唯「そうね、少し疲れている部分もあるかもしれないわ。」
楓「八潮さんは多忙ですもんね。学業に生徒会、バンド、家の事もあるだろうし。」
瑠唯「昔からこうだけれど、いくら慣れても疲れは感じるわね。」
最近、するべきことも増えているし
少し、疲れが溜まってるのも否定できない
まぁ、その分の充実感もあるのだけれど
楓「やっぱり、八潮さんは凄いですね。」
瑠唯「そうかしら?」
楓「はい。周りの期待も大きいはずなのに、それにキッチリ答えていて、僕には決して真似できないです。」
瑠唯「そう。」
確かに、彼の能力を考えれば難しいと思う
人柄で判断されないのが私のいる環境
完全実力主義なら、彼は潰されるのは目に見えてる
瑠唯「けれど、あなたも十分立派よ。あなたの様な人柄の人間、中々いないもの。」
楓「そうですか?結構いると思いますけど。」
瑠唯「そうはいないわよ。」
身を挺して溺れた人を助ける人が一体、何人いるのかしら
もしかしたらいるのかもしれないけれど
そう簡単に見つかるわけないのは分かる
楓「お褒めにあずかり、光栄です。」
瑠唯「当然の評価よ。」
淡白に答えてしまった
もっと広町さんのように愛想を振りまければ......
そう思って、頭を抱えたくなる
楓「僕、少し体力が戻ったので戻ります。」
瑠唯「そう......」
まぁ、そうなるわよね
彼は人の輪を大切にするタイプだもの
私1人に構う時間なんて__
楓「一緒に行きましょう。」
瑠唯「!」
楓「八潮さんと一緒の方が、楽しいです!」
彼は手を差し伸べながらそう言ってきて
私は驚いて、目を見開いてしまった
そう、彼はこういう人だった
瑠唯「えぇ、そうね__っ!」
楓「わわっ!!」
彼の手を取って立ち上がろうといた瞬間
何故か私は足を滑らせてしまい
彼をこっちに引っ張って、そのまま後ろに倒れてしまった
幸いなことにビーチチェアのお陰で怪我はないけれど......
楓「__す、すみません。僕が踏ん張れれば......」
瑠唯「い、いえ、私が足を__っ!!///」
今の自分の状態を自覚し、顔が熱くなった
彼の顔が目の前にあって
結果として、押し倒された形になっている
瑠唯「......っ///」
楓(あ、あれ?八潮さんのこの表情......)
透子「あー!衛宮とルイがやらしい事してるー!」
楓、瑠唯「!?」
七深「かえ君~!!私と言う者がありながら~!」
つくし「ふ、不健全だよ!///」
ましろ「ず、ズルい......!!」
あまりの出来事に硬直してると
他の4人が気づいてこっちに駆け寄ってきた
桐ケ谷さんの言いようは誤解を招きそうで嫌だけれど
もうこの際なんでもいい
楓「ご、誤解だよ!ちょっと、足を滑らせちゃって!」
瑠唯「そ、そうよ。こんな外でやましい事なんてありえないわ......///」
私達は一気に距離を離し、言い訳を開始した
決してやましい事はないし、良い訳かも微妙
だけれど、この状況では何を言っても言い訳がましくなってしまう
透子「お前らは......(気付かないうちにコロッと行きそうだから怖いんだよ。)」
ましろ「る、るいさん......!」
瑠唯「わ、悪かったわ。」
七深「全く~、心臓が捻り潰されるかと思ったよ~。」
楓「だ、大丈夫なの?」
やっぱり、僕の落ち度だ......
もっと逞しい人なら、こんな事にならなかった
僕のせいで、あらぬ誤解を......
楓(強く、なりたい......)
ましろ「衛宮君、大丈夫......?」
楓「うん......大丈夫だよ......」
つくし(何故か拗ねてる!?)
駄目だ駄目だ
自分で考えてダメージを受けてるようじゃ
体は気持ちについてくるんだから
まずはポジティブにならないと
楓「じゃ、じゃあ、遊ぼっか!何をしたらいいか分からないけど!」
つくし「そうだね!」
七深「私、色々持って来てるよ~。水鉄砲とか~。」
楓「あ、いいね!それとかで遊ぼ__かっ!?」
七深「え?」
瑠唯「!」
広町さんに近づこうとした時
彼の体が前のめりになった
これは、転ぶ
しかも、その先には......
楓「わぷっ!」
七深「ひゃ!///」
つくし「あっ!」
透子「あちゃー。」
私の予想通り、彼は前のめりになって転び
その先には広町さんがいて
結果として、彼は彼女の胸に顔を埋める形になった
ま、まさか、立て続けにこんなことが起きるなんて
呪いの類ではないかと疑ってしまうわね
楓「ご、ごめんなさい!!」
七深「も、もう~///そういうことは大歓迎だけど、前もって言ってからして欲しいな~///」
楓「?(前もって?)」
透子「おい!そこの変態!」
ましろ「ななみちゃん!」
つくし「も、もう!皆行くよ!ほら、衛宮君!」
楓「は、はい。」
瑠唯「......全く、騒がしいわね。」
それから、私達は全員で川で遊んだ
色々あったけれど、最終的には空気も良くなって
コテージに戻る頃には、いつもの雰囲気に戻っていた