色が見えない人間(?)
いや、人間じゃないかもしれないんだけど
でも、あのシルエットは人間のそれで
動きもかなり人間じみてた
それに、どんなものでも人が触れれば色が残る
だから、人型で色がないなんて
動物が罠を作るくらいしかありえない
楓(あれは、一体......)
透子「衛宮~、なーに考え事してんの~?」
楓「うわっ!桐ケ谷さん!?」
そんな事を考えてると
突然、桐ケ谷さんが後ろから抱き着いてきた
女の人って、すごくいい匂いするなぁ......
七深「朝から様子おかしいよね~?どうかしたの~?」
楓「いや、なんでもないよ。」
つくし「?」
この話はあんまり他の人にはしたくない
特に倉田さんと二葉さん
2人は肝試しでも怖がってたし
こういう事は知らない方がいいに決まってる
ましろ「疲れちゃったとか?」
瑠唯「もうかなり歩いたものね。」
楓「い、いえ、大丈夫です。今日は凄く元気なので。」
こっちに害はないだろうけど
なぜかすごく気になるんだよね
透子「もう目的地は近いぞ~!元気に行くよ~!」
七深、つくし「お~!」
楓、ましろ「お、お~(?)」
瑠唯(本当に元気なようね。)
皆、楽しそうに話しながら歩いてる
僕との体力の差はあるけど
なんとか後ろの方でついて行った
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あれからしばらく歩いて
僕達は目的地にたどり着いた
ここは開けた場所で、すごい景色が見える
広大な森を上から見たのは初めてだなー
楓「__すごい。」
絵とはまた違う綺麗な景色
吹き抜けていく、気持ちのいい風
こんな感覚、生まれて初めてだ
七深「かえ君~、目が輝いてるね~!」
楓「あ、広町さん。」
七深「何か面白いもの見つけた~?」
楓「見えるもの全部、面白いよ。」
風邪で揺れてる木々、流れる川
自然は見てるだけでも発見があって面白い
目が良い方なのが功を奏してる、かな
楓「あそこの木、何かの実がなってる。」
七深「え~?見えないよ~?」
楓「あ、そっか。」
七深「かえ君、目良すぎない~?」
広町さんは首を傾げながらそう言った
まぁ、そんなに視力は悪くない
と言うか、視力まで悪かったらいよいよマズいよね
いいとこなしになっちゃうよ
楓「昔はよく窓から外を眺めてたから、鍛えられたのかも。」
七深「なるほど~。」
そんな会話をしつつ、ボーっと景色を眺めてる
特に会話はないけど、広町さんの放ってる空気は心地よくて
なんだかすごく癒される
それにしても......
楓「......広町さんとの景色、3つ目。」
七深「え?」
楓「沖縄で2つ、一緒に新しい景色を見て、ここで3つ目。広町さんと見る景色はいつも綺麗だね。」
七深「!///」
そう言うと、広町さんの色が一気にふやけた
それに顔も赤くなってる
どうしたんだろう?
七深(か、かえ君に口説かれてる~!?///)
楓「??」
七深「も、も~、かえ君って平気でそんな事言うよね~///」
楓「え?」
何かおかしなこと言ったかな?
僕なりにちゃんと考えて言葉にしたんだけど
七深「きっと、もっと増えるよ~///」
楓「そっか。次はどこかな。」
七深「んふふ~///それはもう、綺麗な所だよ~......教会とか///」
楓「教会?あ、確かに綺麗だよね!ステンドグラスとか!」
七深(若干ズレてるけど、もう今はそれでいい~!///)
楓(あっ。)
教会と言えば、5月くらいに夢で見たなぁ
あの時はなぜか結婚してたけど
まぁ、僕にはありえないかな
楓「教会と言えば......結婚式。」
七深「!!??///」
楓「って、高校に入ってから夢で見たことがあってね。何故か僕が新郎で、変な夢だったよ。」
七深「あ、相手は......?///」
楓「相手?あー、見えなかったんだよね。でも、色はあったから僕が知ってる人だと思うんだけど。」
七深(と言う事は、私の可能性も......!///)
なんだか、今になって気になってきた
あれって誰だったのかなぁ
現実にありえないと言ってもいい夢だったし
透子「2人とも!なーにイチャついてんの!」
七深「かえ君が結婚式の夢見たらしいよ~!」
つくし「えぇ!?相手は!?」
ましろ「だ、だれ!?」
瑠唯「......(だ、誰なのかしら。)」
七深「相手は分からないらしいよ~。」
透子「なんだ~。(ま、誰でも一緒だけど。)」
ましろ、つくし(わ、私......!)
瑠唯(安心したわ。)
皆、僕の夢の話をしてる
まぁ、話のネタとしては面白い、のかな?
人によるだろうけど
つくし「ね、ねぇ、衛宮君は結婚相手は誰がいい?」
楓「え?いや、分からな__!!」
ましろ「衛宮君!?」
二葉さんの方を向いたその時
後ろの森に何か、人影のようなものが見えた
身長は二葉さんくらいでジーッとこっちを見てる
けど、ここからじゃ姿を確認できないし
それに......やっぱり色がない
楓「__あの、そこの人!なんで僕たちをつけてるんですか!」
「__!」
楓「あ、待ってください!」
透子「衛宮!?そっちには何も__」
僕は人影を追いかけるため、森の中に入った
その時、後ろからは皆が追いかけてきてるのを感じた
__________________
楓「__はぁ、はぁ......」
先にいる人影を必死に追いかける
足はそんなに速くないみたいで
まだ、ギリギリ姿を捉えられてる
つくし「え、衛宮君!どこ行くの!?」
楓「朝、コテージの裏口辺りにいた人を追いかけてる!」
透子「人ぉ!?(え?)」
楓「......(おかしい。)」
この時点で、影にしか見えない
髪の長さとか服の色とか
そう言った情報を読み取れない
ただ、影が前を走ってる
そうとしか認識できない
七深「か、かえ君、どうしちゃったの!?(前には......)」
瑠唯(人なんていない、はずよ......?)
楓(動きが変だ。)
影は複雑に道を変えてる
けど、僕達を撒こうとしてるわけでもなく
走る速さは僕とそこまで変わらない
楓(あれは、なに?なぜか、気になる......)
透子「ちょ!」
ましろ「え、衛宮君!?」
僕はそのまま必死に走り
前にいる影を追いかけていき
後ろから聞こえる皆の声がいつしか遠くになって行った
__________________
しばらく走って、影と僕は小さな洞窟に入った
洞窟の中はしばらく一本道で
ジメジメして不気味な雰囲気が漂ってる
そんな洞窟を真っすぐ走り続けてると__
楓「__こ、ここ、は......?」
辿り着いたのは、不思議な空間
上に空いてる穴から光が差し込んでいて
その下には一本の木
そして、一際異彩を放つ、かなり古い鳥居
楓(なんだろ、この空間......?)
僕はゆっくり鳥居に近づく
ボロボロで木が若干だけど腐ってる
触れればすぐにでも崩れそうだ
楓「すごい......」
鳥居の前に立ってから、周りを見渡す
自然で人工的な、矛盾した空間
壁に張り巡らせられたコケ、天井から垂れ下がった蔓
そして、一際存在感を放つ、真ん中に聳え立つ大樹
それらが天井から差し込む光に照らされて
神秘的な雰囲気を醸し出してる
楓(こんな風景、初めて見た。)
?「__よく、ここまで来たね。」
楓「っ!?」
?「そんなに驚かなくてもいいのに。」
そんな風景を眺めてると
背後の大樹の方から、幼い子の様な声が聞こえ
声の方を向くと、そこには大樹の陰にちょこんと座ってる少女いた
?「あなたは......そう、そういう事。」
楓「......?」
少女から目を放せない
この空間において圧倒的な存在感を放ってる
いや、それにしても......
楓(だ、誰?)
腰まで伸びた水色の髪にサファイヤのような碧眼を持つ
白のワンピースだけを身に纏った、神秘的な少女だ
年齢は......小学生くらい?
にしては、大人っぽい雰囲気を身に纏ってる
?「私のことが見える子は、100年ぶりかな?久しぶりに人と話した。」
楓「100年!?」
冗談......じゃない
普通なら冗談だと思う話のはずなのに
目の前の少女を見ると何故かそう思えない
けど、そう思う理由はすぐに分かった
楓(こ、この子......)
?「少し、話し相手になってよ。」
楓「え、う、うん、いいよ?」
?「ふふっ、じゃあ、話しよっか。」
この子の持つ違和感
それは神秘的な外見でも、圧倒的な存在感でも、外見年齢不相応な雰囲気でもない
それは、僕にしか分からない違和感
この子には......色がないんだ