色の少年   作:火の車

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謎の少女

 色が見えない人間(?)

 

 いや、人間じゃないかもしれないんだけど

 

 でも、あのシルエットは人間のそれで

 

 動きもかなり人間じみてた

 

 それに、どんなものでも人が触れれば色が残る

 

 だから、人型で色がないなんて

 

 動物が罠を作るくらいしかありえない

 

楓(あれは、一体......)

透子「衛宮~、なーに考え事してんの~?」

楓「うわっ!桐ケ谷さん!?」

 

 そんな事を考えてると

 

 突然、桐ケ谷さんが後ろから抱き着いてきた

 

 女の人って、すごくいい匂いするなぁ......

 

七深「朝から様子おかしいよね~?どうかしたの~?」

楓「いや、なんでもないよ。」

つくし「?」

 

 この話はあんまり他の人にはしたくない

 

 特に倉田さんと二葉さん

 

 2人は肝試しでも怖がってたし

 

 こういう事は知らない方がいいに決まってる

 

ましろ「疲れちゃったとか?」

瑠唯「もうかなり歩いたものね。」

楓「い、いえ、大丈夫です。今日は凄く元気なので。」

 

 こっちに害はないだろうけど

 

 なぜかすごく気になるんだよね

 

透子「もう目的地は近いぞ~!元気に行くよ~!」

七深、つくし「お~!」

楓、ましろ「お、お~(?)」

瑠唯(本当に元気なようね。)

 

 皆、楽しそうに話しながら歩いてる

 

 僕との体力の差はあるけど

 

 なんとか後ろの方でついて行った

__________________

 

 あれからしばらく歩いて

 

 僕達は目的地にたどり着いた

 

 ここは開けた場所で、すごい景色が見える

 

 広大な森を上から見たのは初めてだなー

 

楓「__すごい。」

 

 絵とはまた違う綺麗な景色

 

 吹き抜けていく、気持ちのいい風

 

 こんな感覚、生まれて初めてだ

 

七深「かえ君~、目が輝いてるね~!」

楓「あ、広町さん。」

七深「何か面白いもの見つけた~?」

楓「見えるもの全部、面白いよ。」

 

 風邪で揺れてる木々、流れる川

 

 自然は見てるだけでも発見があって面白い

 

 目が良い方なのが功を奏してる、かな

 

楓「あそこの木、何かの実がなってる。」

七深「え~?見えないよ~?」

楓「あ、そっか。」

七深「かえ君、目良すぎない~?」

 

 広町さんは首を傾げながらそう言った

 

 まぁ、そんなに視力は悪くない

 

 と言うか、視力まで悪かったらいよいよマズいよね

 

 いいとこなしになっちゃうよ

 

楓「昔はよく窓から外を眺めてたから、鍛えられたのかも。」

七深「なるほど~。」

 

 そんな会話をしつつ、ボーっと景色を眺めてる

 

 特に会話はないけど、広町さんの放ってる空気は心地よくて

 

 なんだかすごく癒される

 

 それにしても......

 

楓「......広町さんとの景色、3つ目。」

七深「え?」

楓「沖縄で2つ、一緒に新しい景色を見て、ここで3つ目。広町さんと見る景色はいつも綺麗だね。」

七深「!///」

 

 そう言うと、広町さんの色が一気にふやけた

 

 それに顔も赤くなってる

 

 どうしたんだろう?

 

七深(か、かえ君に口説かれてる~!?///)

楓「??」

七深「も、も~、かえ君って平気でそんな事言うよね~///」

楓「え?」

 

 何かおかしなこと言ったかな?

 

 僕なりにちゃんと考えて言葉にしたんだけど

 

七深「きっと、もっと増えるよ~///」

楓「そっか。次はどこかな。」

七深「んふふ~///それはもう、綺麗な所だよ~......教会とか///」

楓「教会?あ、確かに綺麗だよね!ステンドグラスとか!」

七深(若干ズレてるけど、もう今はそれでいい~!///)

楓(あっ。)

 

 教会と言えば、5月くらいに夢で見たなぁ

 

 あの時はなぜか結婚してたけど

 

 まぁ、僕にはありえないかな

 

楓「教会と言えば......結婚式。」

七深「!!??///」

楓「って、高校に入ってから夢で見たことがあってね。何故か僕が新郎で、変な夢だったよ。」

七深「あ、相手は......?///」

楓「相手?あー、見えなかったんだよね。でも、色はあったから僕が知ってる人だと思うんだけど。」

七深(と言う事は、私の可能性も......!///)

 

 なんだか、今になって気になってきた

 

 あれって誰だったのかなぁ

 

 現実にありえないと言ってもいい夢だったし

 

透子「2人とも!なーにイチャついてんの!」

七深「かえ君が結婚式の夢見たらしいよ~!」

つくし「えぇ!?相手は!?」

ましろ「だ、だれ!?」

瑠唯「......(だ、誰なのかしら。)」

七深「相手は分からないらしいよ~。」

透子「なんだ~。(ま、誰でも一緒だけど。)」

ましろ、つくし(わ、私......!)

瑠唯(安心したわ。)

 

 皆、僕の夢の話をしてる

 

 まぁ、話のネタとしては面白い、のかな?

 

 人によるだろうけど

 

つくし「ね、ねぇ、衛宮君は結婚相手は誰がいい?」

楓「え?いや、分からな__!!」

ましろ「衛宮君!?」

 

 二葉さんの方を向いたその時

 

 後ろの森に何か、人影のようなものが見えた

 

 身長は二葉さんくらいでジーッとこっちを見てる

 

 けど、ここからじゃ姿を確認できないし

 

 それに......やっぱり色がない

 

楓「__あの、そこの人!なんで僕たちをつけてるんですか!」

「__!」

楓「あ、待ってください!」

透子「衛宮!?そっちには何も__」

 

 僕は人影を追いかけるため、森の中に入った

 

 その時、後ろからは皆が追いかけてきてるのを感じた

__________________

 

楓「__はぁ、はぁ......」

 

 先にいる人影を必死に追いかける

 

 足はそんなに速くないみたいで

 

 まだ、ギリギリ姿を捉えられてる

 

つくし「え、衛宮君!どこ行くの!?」

楓「朝、コテージの裏口辺りにいた人を追いかけてる!」

透子「人ぉ!?(え?)」

楓「......(おかしい。)」

 

 この時点で、影にしか見えない

 

 髪の長さとか服の色とか

 

 そう言った情報を読み取れない

 

 ただ、影が前を走ってる

 

 そうとしか認識できない

 

七深「か、かえ君、どうしちゃったの!?(前には......)」

瑠唯(人なんていない、はずよ......?)

楓(動きが変だ。)

 

 影は複雑に道を変えてる

 

 けど、僕達を撒こうとしてるわけでもなく

 

 走る速さは僕とそこまで変わらない

 

楓(あれは、なに?なぜか、気になる......)

 

透子「ちょ!」

ましろ「え、衛宮君!?」

 

 僕はそのまま必死に走り

 

 前にいる影を追いかけていき

 

 後ろから聞こえる皆の声がいつしか遠くになって行った

__________________

 

 しばらく走って、影と僕は小さな洞窟に入った

 

 洞窟の中はしばらく一本道で

 

 ジメジメして不気味な雰囲気が漂ってる

 

 そんな洞窟を真っすぐ走り続けてると__

 

楓「__こ、ここ、は......?」

 

 辿り着いたのは、不思議な空間

 

 上に空いてる穴から光が差し込んでいて

 

 その下には一本の木

 

 そして、一際異彩を放つ、かなり古い鳥居

 

楓(なんだろ、この空間......?)

 

 僕はゆっくり鳥居に近づく

 

 ボロボロで木が若干だけど腐ってる

 

 触れればすぐにでも崩れそうだ

 

楓「すごい......」

 

 鳥居の前に立ってから、周りを見渡す

 

 自然で人工的な、矛盾した空間

 

 壁に張り巡らせられたコケ、天井から垂れ下がった蔓

 

 そして、一際存在感を放つ、真ん中に聳え立つ大樹

 

 それらが天井から差し込む光に照らされて

 

 神秘的な雰囲気を醸し出してる

 

楓(こんな風景、初めて見た。)

?「__よく、ここまで来たね。」

楓「っ!?」

?「そんなに驚かなくてもいいのに。」

 

 そんな風景を眺めてると

 

 背後の大樹の方から、幼い子の様な声が聞こえ

 

 声の方を向くと、そこには大樹の陰にちょこんと座ってる少女いた

 

?「あなたは......そう、そういう事。」

楓「......?」

 

 少女から目を放せない

 

 この空間において圧倒的な存在感を放ってる

 

 いや、それにしても......

 

楓(だ、誰?)

 

 腰まで伸びた水色の髪にサファイヤのような碧眼を持つ

 

 白のワンピースだけを身に纏った、神秘的な少女だ

 

 年齢は......小学生くらい?

 

 にしては、大人っぽい雰囲気を身に纏ってる

 

?「私のことが見える子は、100年ぶりかな?久しぶりに人と話した。」

楓「100年!?」

 

 冗談......じゃない

 

 普通なら冗談だと思う話のはずなのに

 

 目の前の少女を見ると何故かそう思えない

 

 けど、そう思う理由はすぐに分かった

 

楓(こ、この子......)

?「少し、話し相手になってよ。」

楓「え、う、うん、いいよ?」

?「ふふっ、じゃあ、話しよっか。」

 

 この子の持つ違和感

 

 それは神秘的な外見でも、圧倒的な存在感でも、外見年齢不相応な雰囲気でもない

 

 それは、僕にしか分からない違和感

 

 この子には......色がないんだ

 

 

 

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