色の少年   作:火の車

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友達

磐長姫「私は磐長姫(いわながひめ)。長寿を司る神。」

 

 目の前の少女はそう名乗った

 

 僕は詳しくないから知らないけど

 

 雰囲気的にそうなんだろうなぁ

 

楓「へぇ、神様なんだ。すごいね。」

磐長姫「......反応薄くない?」

楓「驚いても仕方ないし、そんなに悪い人にも見えないからね。」

磐長姫「神様だって。」

楓「あ、そうだった。」

 

 磐長姫さんにそうツッコまれた

 

 いやぁ、つい間違えちゃうね

 

 見た目は完全に小さな女の子だもん

 

磐長姫「あなた、鈍感ってよく言われない?」

楓「え?僕、色が見えるからむしろ敏感な方だと思ってるけど。」

磐長姫「あ、うん。(絶対に鈍感だね、この子。)」

楓「?」

 

 なんだか、じーっと見られてる

 

 どこか変なところあるのかな?

 

 もしかして、寝癖とか残ってる?

 

楓「いわさんって神様なんだよね?」

磐長姫「いわさんって......まぁ、いいけど。神様だから、なに?」

 

 あ、これでいいんだ

 

 神様って意外と優しいんだなぁ

 

楓「神様って、僕の色が見える目の事とか分かるの?」

磐長姫「色が見える......あぁ、そういう事。」

楓「?」

磐長姫「分かるよ。と言うより、前にここに来れた子も、同じような事を言ってた。」

楓「え、そうなの!?」

 

 昔にも僕と同じような人っていたんだ

 

 別に自分の専売特許とは思ってないけど

 

 驚いたな

 

磐長姫「ちょっと確認させて。」

楓「え__!!」

磐長姫「......」

 

 いわさんは僕の頭に手を置いた

 

 て言うより、いわさん、宙に浮いてるんだけど

 

 いや、神様だから当たり前なのかな?

 

磐長姫「......なるほど。」

楓「?」

磐長姫「あなたのこと、大体わかった。」

 

 いわさんはそう言って、木の下に腰掛けた

 

 僕はそんないわさんの方をジッと見て

 

 次の言葉を待ってる

 

磐長姫「あなた、呪われてるね。」

楓「え?」

磐長姫「あなたは直接関係はないけど、先祖がかなり神を怒らせたみたいだね。」

 

 先祖が神を怒らせた?

 

 そんな話、初めて聞いた

 

 一体、何したんだろ?

 

磐長姫「『十六の呪い』って名付けようか。十六の誕生日を迎えたその日にあなたの命は尽きる。」

楓「っ......!」

磐長姫「前の子もそうだった。あの子も......」

楓「......」

 

 いわさんが暗い顔をしてる

 

 やっぱり、話せる人が少ないし

 

 前の人と仲良かったのかな?

 

楓「前の人は何て名前だったの?」

磐長姫「その前に、あなたの名前は?」

楓「衛宮楓だけど。」

磐長姫「......衛宮?」

楓「?」

 

 今度は表情が強張った

 

 色が見えないから感情が分からないけど

 

 怒ってるようにも驚いてるようにも見える

 

磐長姫「なるほど......善人は死ぬわけね。」

楓「?」

磐長姫「いいよ、教えてあげる。前の子の名前。」

 

 いわさんは僕の目を真っすぐ見て

 

 少しの沈黙の後、ゆっくり口を開いた

 

磐長姫「......衛宮織衣(おりえ)。それが、前に来た子の名前。」

楓「え、衛宮!?(僕と同じ!?)」

 

 衛宮織衣......

 

 聞いたことない名前だ

 

 いや、当たり前か、ご先祖様だし

 

磐長姫「理不尽だよね。善人だけ呪われるんだから。」

楓「......善人、なのかな?」

磐長姫「?」

 

 僕はふとそんな疑問を口にした

 

 この疑問は度々感じてたんだ

 

楓「僕は小さい時から人より早くに死んじゃうって言われて、今は死ぬときに後悔したくないというエゴを持って生きてる。最近、人に感謝されたりすることは多いけど、結局、全部自分のため。そんな僕が善人なんて......おこがましいよ。」

磐長姫「っ......!(この人間......!)」

 

 そう、全部自分のため

 

 何もかも、誰かのためとか考えてない

 

 生きる意味のため......そう、それだけだった

 

磐長姫「......あなた、長生きしたい?」

楓「え?」

 

 いわさんの問いかけに僕は首を傾げた

 

 けど、すぐ答えが出て

 

 それを口に出した

 

楓「いや、別に。」

磐長姫「なら......」

楓「?」

磐長姫「......神にならない?」

楓「えっ?」

 

 また、いわさんに驚かされた

 

 神様?僕が?なんで?

 

磐長姫「あなたとは仲良く出来そう。」

楓「そんな縁故採用みたいなこと言われても。」

磐長姫「なりたくないの?何でもできるよ?」

 

 えぇ......神様ってそう言うものなの?

 

 いや、違うよね?

 

 神様がどういう事をしてるのかは分からないけど

 

楓「まぁ、死んでから考えるよ。」

磐長姫「なんだ、死ぬのが怖くないんだ。意外と冷めてるね。」

楓「物心ついた時から短い命って言われてきたからね。」

磐長姫(それは......冷めるわけか。)

 

 まぁ、今さら気にするほどでもないね

 

 死ぬことなんて全く怖くない

 

 そんなことは所詮、早いか遅いかでしかないんだから

 

磐長姫「やっぱり、あなたは神に向いてる。」

楓「!(いわさん!?)」

 

 何かを呟いた後、いわさんが顔を近づけて来た

 

 綺麗な青い瞳に僕の顔が映ってる

 

 実に情けない表情をしてるけど

 

 そんな事を気にしてる場合じゃない

 

磐長姫(この瞳、鏡みたい。)

楓「......綺麗。」

磐長姫「!!」

楓「あれ、いわさん?」

 

 僕が呟くと、いわさんが目の前から消えた

 

 少しだけ周りを見渡すと

 

 また木の下で座っていた

 

 瞬間移動?

 

磐長姫「な、何言ってるの......?」

楓「え?何が?」

磐長姫「き、綺麗とか。」

楓「感想だけど?」

 

 驚いてる様子のいわさんに僕はそう答えた

 

 なんであんな風になってるんだろ?

 

 まずかったのかな?

 

楓「いわさん、髪は綺麗で、目も宝石みたいだし、顔だちも絶世の美少女って感じですごく綺麗だよ?」

磐長姫「......っ///」

楓「いわさん?」

磐長姫「......タラシだね///」

楓「え?」

 

 急にタラシって言われた

 

 え、僕そんなことしてないよね?

 

 なんで?

 

磐長姫(私の過去、本当に知らないんだ。)

楓(な、なんなんだろう?)

磐長姫「......神までタラシ込むなんて、本当に///」

楓「ん、ん~......?」

 

 なんだか広町さんみたいだ

 

 顔赤いし、モジモジしてるし

 

 この一瞬で何があったのかな?

 

磐長姫「......決めた。」

楓「?」

磐長姫「友達になろう。楓が生きる手伝いをしてあげる。」

楓「え、それっていいの?」

 

 神様って1人に肩入れしちゃダメなんじゃないの?

 

 いや、規則を知ってるわけじゃないけど

 

 イメージ的にダメだよね?

 

磐長姫「今の神はあくまで象徴。直接手を下すことは出来ないけど、アドバイスくらいはできる。」

楓「!」

磐長姫「楓に、幸あれ__んっ///」

楓(いわさん!?)

 

 唇に柔らかい感触

 

 これ、昨晩にも感じたのだ......

 

楓「__い、いいいわさん!?」

磐長姫「少しだけ加護を上げるよ。ふふっ///」

楓「か、加護って__っ......!」

磐長姫「そろそろ、帰る時間だね。」

楓「い、わ、さ__」

磐長姫「友達が心配するだろうし、あの建物に戻す。大丈夫、またすぐに会えるから。」

楓「__!」

 

 いわさんのそんな声の後

 

 僕の目の前は真っ暗になった

 

 その直前のいわさんの顔は紅くて

 

 優しく微笑んでるように見えた

 

 

 

 

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