色の少年   作:火の車

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旅行の終わり

 お昼ご飯を食べてから僕達はまた川で遊んだ

 

 相変わらず皆に全然ついていけなかったけど

 

 まぁ、楽しかったから良かった

 

楓(ここで寝るのも今日で最後かー。)

 

 ベッドに寝ころんでそんな事を考える

 

 この旅行、色々あったなぁ

 

 一番記憶に残ってるのは......倉田さんかな?

 

 あれは本当に申し訳なかったな......

 

磐長姫『楓、この本の続きないの?』

楓「あ、家に置いてきちゃった。ごめんね。」

磐長姫『別にいいよ。後の楽しみに取っておくから。』

楓「そっか__って、今とんでもない事言わなかった?」

磐長姫『?』

 

 いわさん、家まで付いてくるの?

 

 いや、別にいいんだけど

 

 困ることは特にないし

 

楓「ねぇ、いわさん?」

磐長姫『どうしたの?』

楓「僕の前に来た織衣さんってどんな人だったの?」

 

 僕はふとそんな事を尋ねた

 

 僕と同じ目を持ってた人で

 

 いわさんと同じように出会った人

 

 どんな人だったのか、少し気になる

 

磐長姫『そう言うのは......記憶共有して方が早いかな。』

楓「?」

磐長姫『あんまり見せすぎてもだから、人柄が分かりそうな部分だけ見せるね。』

楓「__!」

 

 いわさんがそう言うと

 

 何かの映像が頭の中に流れ込んできた

 

 ここは、いわさんに初めて会った場所だ

 

『__神様ー!お供え物持ってきましたよー!』

『私、目に見えてる色、嫌いじゃないんです。』

『もし......私みたいな子がまた産まれたら......もっと、綺麗な色を......見て欲しいな......』

 

 色んな映像が断片的に流れてくる

 

 織衣さんは黒髪の着物の女性で

 

 身なりは綺麗とは言えないけど、美人な人だ

 

 雰囲気からしてすごく優しそうで

 

 最後のシーンではすごく若いうちに髪が全部白くなって、息を引き取った

 

磐長姫『弟たちのために望まない結婚をして、どんなに辛くても笑顔で、誰かのために行動し続け22年の生涯を全うした。正しく、善人だった。』

楓「......そっか。」

磐長姫『楓?』

 

 この人は本物の善人だ

 

 自分のエゴのために行動する僕とは違う

 

 あの人は本物の善人だった

 

楓「あはは、ありがとう。よく分かったよ。」

磐長姫『......(自己肯定感、低いね。)』

 

 織衣さんは戦前に生きていた人

 

 だから、時代も価値観も変わった

 

 ......なんて、そんな言い訳はしない

 

 僕があの人みたいに心が綺麗じゃないだけだ

 

 あの人こそ、人格者なんだ

 

楓「世界にはああいう人もいたんだね。」

磐長姫『あれは流石に異常だったけどね。あんな人間、どの時代探したって数えるくらいしかいない。」

楓「確かに、あれほど優しい人は中々いないよね。」

磐長姫『だから、神にも向かなかったんだけどね。』

楓「え?」

 

 いわさんは低い声でそう言い

 

 僕はその様子に首を傾げた

 

 えっと、どういう意味だろう

 

 優しいなら神様とか向いてそうだけど

 

磐長姫『優しいだけの人物は神に向かない。神は加護を与えるだけでなく、罰を与えることも必要。』

楓「えぇ?じゃあ、なんで僕を勧誘したの?その理由で行くなら、僕も向いてないと思うけど。」

磐長姫『楓は義理人情で動きそうな性格な割にはどこか冷めてる。優しさも大事だけど、それだけじゃ駄目。人間もそうなんじゃないかな。』

楓「そうなんだ。僕は、加護を与える神様と罰を与える神様で分かれてると思ってた。」

磐長姫『まぁ、罰専門の神って言うはいるけど、加護専門となると......私の知ってる中ではいないね。』

楓「そ、そうなんだ。」

 

 そう言う感じなんだ

 

 じゃあ、いわさんも罰とか与えるのかな?

 

 ちょっと怖いから怒らせないようにしよう

 

磐長姫『私が罰を与えるのは相当稀だから、そんなに気にしなくていいよ。』

楓「ねぇ、心読めるのは分かるんだけど、四六時中それは勘弁して?」

磐長姫『大丈夫。楓の心ずっと読んでたら胸焼けするから偶にしかしてない。』

楓「え、僕の心って糖分でも含んでる?」

 

 僕は冗談めいた口調でそう言った

 

 こんな風に会話をしてるうちに時間も11時

 

 そろそろ寝ようかな

 

瑠唯『__衛宮君?起きてるかしら。』

楓「八潮さん?どうかしましたか?」

 

 そんな事を思ってると

 

 ドアの外から八潮さんの声が聞こえた

 

 こんな時間にどうしたんだろう?

 

磐長姫『あ、私邪魔そうだから散歩してくるね。』

楓「え?」

磐長姫『じゃあ、終わったら念じてね。戻って来るから。』

 

 いわさんはそう言って壁をすり抜けていった

 

 えぇ......邪魔ってどういう事?

 

 別に何もないと思うけど

 

瑠唯『衛宮君?』

楓「あ、はい。どうかしましたか?」

瑠唯『少しお話ししたいのだけれど、入ってもいいかしら?』

楓「どうぞ。」

 

 そう答えると、部屋のドアがゆっくり開き

 

 パジャマ姿の八潮さんが入って来た

 

瑠唯「もう寝るところだったかしら?なら、ごめんなさい。」

楓「いえ、大丈夫ですよ。寝ようと思ってただけですから。」

瑠唯「そう。」

楓「あ、座ってください。飲み物は__」

瑠唯「そんなに気にしなくてもいいわ。そんなに長く話す気はないもの。」

 

 八潮さんはそう言いながら椅子に座り

 

 僕もその向かいに座った

 

 昨晩もこんな感じの事があった気がする

 

楓「それで、何のお話を?」

瑠唯「少し聞きたいことがあるのよ。」

楓「聞きたいこと?」

瑠唯「......あの時、あなたは何を追いかけていたの?」

楓「!」

 

 真剣な声だ

 

 それに疑念の色も濃い

 

楓「それは......」

瑠唯「......」

 

 どうしよう

 

 いわさんの事、正直に言っていいの?

 

 いや、ダメだよね、普通に

 

楓「よく、覚えてなくて。」

瑠唯「......そうなの?」

楓「人影が見えて追いかけてるうちにいつの間にか霧がかかって来て、気を失ったらいつの間にかベッドの上にいました。」

 

 この前読んだホラー小説に書いてた内容です

 

 シチュエーションが違うけど

 

 まぁ、山だし、大丈夫でしょ

 

瑠唯「そんな事があったのね。」

楓「え、信じてくれるんですか?」

瑠唯「あなたの目自体が非科学的だもの。何が起きても不思議ではないでしょう?それに、あなたは嘘を吐くような人ではないわ。」

楓「そ、そうですか。」

 

 こ、心が痛い......

 

 今、絶賛嘘ついちゃってます......

 

 ごめんなさい、許してください

 

瑠唯「やはり、あなたの目には私達に見えない何かが見えているのね。」

楓「まぁ、そう言う目になっちゃってるので。」

 

 色なんて普通に考えて見えないし

 

 いわさんなんてもっと見れない

 

 そう思うと、僕の目って便利?なのかな

 

瑠唯「......けれど、1人でいなくなるのは勘弁してほしいわ。」

楓「うっ、す、すいません。」

瑠唯「心配に、なるもの......」

楓「え?__!!」

 

 八潮さんの心配の色が濃くなった

 

 それに、少しだけ涙目になってる気がする

 

 それを見て僕は激しく狼狽した

 

楓「え、や、八潮さん!?」

瑠唯「あなたが遭難したりしたらと思うと、怖くて、震えが止まらなかったわ......」

楓「ほ、本当にごめんなさい!」

 

 まさか、ここまで心配されるなんて思ってなかった

 

 女の人泣かせるのはどう考えでもダメだ

 

 ど、どうしよう......

 

瑠唯「もう、無茶しないで......お願い......」

楓「わ、分かりました。その、申し訳ないです......」

瑠唯「......えぇ。」

 

 八潮さんはやっぱり優しい

 

 僕の事なんかをこんなに心配してくれて

 

 なんて友達思いで、心が綺麗な人なんだろう

 

 僕もこんな風にならないといけないなって思う

 

瑠唯「取り乱してしまったわね。」

楓「いえ、悪いのは僕です。こういうのもあれなんですけど、八潮さんに心配してもらって、すごく嬉しかったです。」

瑠唯「っ!///」

楓(あれ?)

 

 またあのふやけた色だ

 

 この色、相変わらず何かわからない

 

 一体、何を表してるんだろうか

 

瑠唯「当然でしょう///あなたは命の恩人で、私の......///」

楓「っ!」

 

 八潮さんに手を握られた

 

 柔らかくて、ひんやりしてる

 

 それに、こうされると心臓が激しく動く

 

瑠唯「......友達、だもの///(好きな人なんて、恥ずかしくてとても言えないわ///)」

楓「あ、えと、そうですか!すごく嬉しいです。」

瑠唯「......///」

 

 そんな会話の後、今度は無言になった

 

 すごく気まずい雰囲気だ

 

 これは、僕から話を振った方がいいのかな?

 

瑠唯「......私、部屋に戻るわね///」

楓「は、はい。(もう、か。)」

瑠唯「また明日......///」

楓「っ......はい。」

瑠唯(これ以上ここにいたら、どうにかなってしまうわ///)

 

 八潮さんはそう言ってから部屋を出て行った

 

 ずっと色がふやけてたし、顔も赤かった

 

 何があったんだろう

 

楓「......?」

 

 1人になった部屋に八潮さんの色が残ってる

 

 綺麗な輝きのある水色

 

 その色を見てると、また心臓の動きが激しくなる

 

 なんだろう、これは

 

 わからない

 

楓(......いわさん、戻って来て良いよ。もう寝るから。)

磐長姫(分かった。)

 

 その後、いわさんは壁をすり抜けて入って来て

 

 僕はすぐにベッドに入った

 

 いわさんも同じベッドに入って来たけど

 

 神様だから大丈夫らしい(?)

__________________

 

 翌朝、僕たちは朝ごはんを食べて

 

 各自荷物をまとめてコテージの前に出た

 

 コテージの前には3日前に見たリムジンが止まってるんだけど......

 

七深、透子、つくし「あいこでしょ!!」

ましろ(ま、またあいこ......?)

瑠唯(これで、24度目よ......?)

 

 こんな感じでずっとじゃんけんをしてる

 

 なんでこんなに気合入れてジャンケンしてるの?

 

 しかも、なんで勝った人が僕の隣なの?

 

 普通は負けた人の罰ゲームじゃない?

 

つくし「__勝ったー!!初勝利ー!!」

七深「私......全敗......?」

透子「あはは!ドンマイ!ななみ!」

七深「あぁ~!悔し~!」

楓「だ、大丈夫?広町さん?」

 

 す、すごく悔しがってる

 

 なにに負けてるのかは知らないけど

 

 僕にはわからない女の人の事情があるのかな

 

透子「じゃ、帰ろっか!次は何しよっかな~!」

七深「そうだ、夏休みはこれからだよ~!かえ君~!」

楓「え、うん、そうだね?」

七深(かえ君用のとっておきの遊びを考えてるんだからね~!)

楓「?」

つくし「衛宮君!帰りは私が隣だからね!早く乗ろ!」

楓「うん、よろしくね?」

 

磐長姫『さてと、私は楓の体の中に入るね。』

楓(そんな事も出来るの!?)

 

 いわさんが僕の体に入った後

 

 荷物を積んでから車に乗り込んだ

 

 帰りの車では二葉さんにずっと抱き着かれて

 

 色がずっとふやけてたのが印象的だった

 

 

 この色んなことがあった旅行は終わったけど

 

 まだまだ、夏休みに日数はあるし

 

 また皆と遊べるの楽しみだなぁ

 

 

 

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