旅行から帰ってきた翌日
僕は机に向かって夏休みの宿題を消化している
夏休みと言っても勉強しないだし
あとに残していい事なんてないしね
凪沙「__かーえーでー!」
楓「っ!?って、お、お兄ちゃんか......ビックリした......」
凪沙「写真ちょうだい!写真!」
磐長姫『すごい、欲望が見え見えとかの次元じゃない。』
どうやら、お兄ちゃんは今日お休みらしい
なのになぜか白衣を着てる
気に入ってるのかな?
ていうか、いわさんドン引きしてる
楓「写真って言われても、皆で撮った集合の自撮り写真?しかないけど。」
凪沙「ちょうだい!(迫真)」
楓「あ、うん。」
そう言われ、僕は携帯を手に取り
桐ケ谷さんから送られてきた写真をお兄ちゃんに送った
凪沙「あぁ~!楓はやっぱりかわいいね~!」
楓「全くもう......」
磐長姫『え、この人間、楓の兄なの?ほんとに?』
楓(実の兄だよ。)
磐長姫『えぇ......(困惑)』
扱いが完全に女の子なんだけど
僕、男子高校生なんだけどなぁ
いや、今さらか......
凪沙「これで楓コレクションも1500枚を突破かぁ。感慨深いなぁ......」
楓「そんなにあるの!?」
凪沙「勿論!父さんと母さんにも送ってもらってたからね!」
楓「敵は身内にあり!?」
凪沙「これからは僕が直接撮れる......!日本に帰ってきてよかったー!」
う、うわぁ、気が重い
これから行事の度に写真撮られるのか......
お兄ちゃんが教師になったから、逃げられないし(諦め)
凪沙「っと、楓は宿題してるの?」
楓「うん。もうほとんど終わったけど。」
凪沙「そっかー。楓は偉いねー!」
楓「普通の事だと思うけど?」
全く、宿題なんて皆してる事なのに
お兄ちゃんはすぐに褒めようとする
これに甘えるように育たなくてよかった
凪沙「お友達と予定はないの?」
楓「えっと、今日は特になかったと思う__」
『ピンポーン』
お兄ちゃんと話してる途中
家のインターフォンが鳴り響いて
その音に反応して僕は立ちあがった
楓「誰だろう?宅配便かな?」
凪沙「うーん、特に何かを頼んだ記憶ないんだけど。」
楓「父さんと母さんも何も言ってないしね。」
取り合えず出ないと
あんまり待たせるのも悪いし
楓「僕、出て来るよ。」
凪沙「そう?僕が行くよ?」
楓「女の人だったら面倒なことになるからいいよ。」
凪沙「そんなことあるかな?」
僕は無自覚なお兄ちゃんに溜息を吐き
訪ねて来た人を対応するため
玄関の方に歩いて行った
__________________
玄関辺りはかなり暑い
流石に玄関までの廊下にはエアコンはないしね
けど、家の前で待ってる人はもっと暑いし
早く開けないと
楓「はーい、どなたですかー?」
七深「私で~す!」
楓「広町さん?」
ドアを開けると、そこには広町さんがいた
よく見る私服に手には鞄と紙袋を持ってる
どうしたんだろう?
七深「遊ぼうよ~。良いもの持ってきたから~!」
楓「別にいいよ。あ、入って。暑いでしょ?」
七深「うん~、お邪魔しま~す!」
広町さんはそう言って家に入って来て
取り合えず、僕の部屋に行ってもらい
僕は飲み物を取りに一旦リビングに向かった
__________________
飲み物を持って、部屋に戻って来た
廊下の熱さがエアコンから出る空気で浄化される
エアコンって偉大な発明だなぁと感心した
楓「はい、飲み物どうぞ。」
七深「ありがと~!あ、これ新発売のだね~!」
楓「うん、母さんが面白そうだからって買ってきて。あ、これについてたおまけ、いる?」
七深「お~!ありがと~!いつか集めようと思ってたんだよね~!」
広町さんは嬉しそうにそれを受け取った
良かった、取っておいて
楓「それで、今日は何をして遊ぶの?」
七深「ふっふっふ、よくぞ聞いてくれたね~!」
楓「!」
広町さんは大きな声でそう言った
ちょっとびっくりしたけど
さっきのお兄ちゃんよりはマシだね
七深「今日遊ぶのは......これ!」
楓「?(なんだろ、これ?)」
磐長姫『なにこれ?』
楓(わ、分からない。)
僕もいわさんも困惑してる
だって、広町さんが出したのは色んな女の人が描かれた箱で
なんだか、よく分からない
楓「えっと、それは?」
七深「これは恋愛シミュレーションゲームと言う物だよ~!」
楓「恋愛シミュレーションゲーム?」
って、なに?
いや、意味は何となく分かるけど
こんなの初めて見た
七深「これは恋愛を勉強しつつ遊べる、素晴らしいゲームなんだよ~!」
楓「恋愛を勉強?僕には無縁だと思うけど。」
七深「うぐぅ(大ダメージ)い、いや~、そんな事はないんじゃないかな~?(被害甚大)」
楓「?」
磐長姫(む、惨い。)
でも、ゲームなんて初めてだし
楽しそうだとは思う
どういうのかは分からないけど
七深「と、ともかくしようよ~!」
楓「うん、いいよ。」
七深「やった~!じゃあ、準備するね~!」
ましろ『__衛宮君?』
楓「ん?倉田さん?」
広町さんがテレビに持ってきたゲーム機を繋げ
その中にCDを入れた時
隣の家の方から倉田さんの声が聞こえて来た
あー、広町さんの声が大きいから気付いたのかな?
そんな事を考えながら、僕は窓を開けた
ましろ「ななみちゃんの声が聞こえたんだけど、いるの?」
楓「いるよ。今からゲームするんだけど、倉田さんも来る?」
ましろ「え、いいの?」
七深「いいよ~。シロちゃんもおいでよ~。」
ましろ「じゃあ、お邪魔します。」
倉田さんはそう言い
窓から僕の部屋に入って来た
あれ、窓から入って来るの?
まぁ、いいや
ましろ「それで、今日はどんなゲームするの?」
七深「これだよ~!」
ましろ「えっと?『お嬢様は全員僕のもの』......って、これ恋愛シミュレーションゲーム!?」
七深「そうだよ~。かえ君に恋愛を学んでもらうために似た境遇で主人公の一人称が同じゲームを探して来たんだよ!」
ましろ「む、無駄に凄い努力してる......」
楓(今思ったけど、すごいタイトルだね。)
磐長姫『楓の今の環境と同じだよ。』
楓(いや、違うでしょ。)
磐長姫『鈍感。』
楓(なんで?)
そんな会話をしてるうちに
広町さんがゲームの準備を終えた
テレビ画面にはこの絵と同じ映像が映し出される
でも、なんだろ?
このゲームの女の人、広町さん達に似てる気が......
七深「さぁ!始めよっか!」
楓「これは、どういうゲームなの?」
七深「えーっと、簡単に言うと選択肢から主人公のセリフや行動を選んで、ヒロインの好感度を上げるんだよ~!」
楓「なるほど。」
ましろ(これ、衛宮君に一番向いてないゲームじゃないの?)
初心者向けの簡単なゲームみたいだ
これなら僕にも出来そう
磐長姫『結構面白そうだね。私も見てよ。』
楓(そうだね。)
七深「じゃあ、早速始める?」
楓「あ、その前にキャラクターの設定みたい。」
七深「かえ君、説明書先に読むタイプだったね。」
僕がそう言うと広町さんは冊子を渡して来た
それを開くとゲーム内の登場人物と主人公の設定が載ってる
楓「ふむふむ。」
主人公は勉強も運動も平均の男
ヒロインは5人で
気弱でネガティブな女の子、元気で活発なギャル、真面目で頑張り屋な学級委員長、美術部のミステリアスな女の子、高嶺の花の学園一の美人、と
個性的な面々になってる
楓「よし、大体わかったよ。」
ましろ(この子、ちょっとだけななみちゃんに似てる?)
七深(今気づいたけど、バンドの皆に似てない?)
僕はコントローラーを手に持ち
最初の画面にある『はじめから』を押し
ゲームを始めた
七深「ねぇねぇ、かえ君~?」
楓「どうしたの?」
七深「このヒロインの中で誰が一番好み~?」
ましろ「!」
楓「好み?そうだなぁ......」
もう一度、冊子を見る
好みって言ってもまだゲームをしてないし
正直、大まかな性格しか分からない
見た目で選べばいいのかな?
楓「うーん。」
ましろ「き、気弱でネガティブな子は?」
七深「美術部でミステリアスな子も結構かわいいよ~?」
楓「見た目で行くと、高嶺の花の人かな?」
ましろ、七深「」
磐長姫(始まる前にトドメ刺した。)
楓(あ、ローディング終わった。ってあれ、広町さんと倉田さん、どうしたんだろ?)
そんな事を考えてるうちにゲームが始まった
人生で初めてゲームするけど
楽しみだなぁ