朝、僕は家の前で倉田さんを待ってる
昨日の夜に待ち合わせは家の前って決めたけど
こういう風に待ち合わせできるのって便利だなー
ましろ「__え、衛宮君!お待たせ!///」
楓「あ、倉田さん!おはよう!」
ましろ「お、おはよう......///」
今日の倉田さんはすごくオシャレだ
服は青色がメインで肩が出てて桐ケ谷さん感があって
髪は片方だけを編み込んでて、花の髪飾りをつけてる
いつもと違う雰囲気で、何と言うか......
楓「......可愛い。」
ましろ「ふぇ!?///」
楓「あ、ごめんね。つい。」
ましろ(つい言っちゃうくらい、可愛いって思ってくれたんだ......///)
今さらだけど、倉田さんって可愛いんだ
いつもは暗いオーラを纏ってるけど
髪は雪みたいに白くて綺麗で、目は氷のように透き通って輝いてる
勿論、顔だちも整ってるし......
なんで、あんなにネガティブなんだろう?
ましろ(す、すごく見られてる......///)
楓「倉田さんは、もっと自分に自信を持っていいと思うよ?」
ましろ「いきなり!?///」
楓「きっと、倉田さんの事を好きになる男はたくさんいるよ。間違いなく。」
月ノ森が多少特殊なだけで
普通の高校に行けばすごくモテると思う
それこそ、広町さんに借りた漫画みたいな感じで
ましろ「そ、それって......衛宮君も......?///」
楓「え?僕は別にだけど。倉田さんはお友達だし。」
ましろ「......だよね......」
楓「?」
倉田さんは大きく肩を落としてる
色的に落ち込んでるのは分かるけど......
なんで落ち込んでるんだろ?
ましろ「......衛宮君のバカ、鈍感、女たらし。」
楓「なんで!?」
ましろ「......ふん、バーカ。」
さ、早速怒らせちゃった
どうしよう、桐ケ谷さん
僕、ダメかもしれない
ましろ「はぁ、これが衛宮君だもんね......もう慣れたよ......」
楓「?」
ましろ「今日、デートだよね?じゃあさ......///」
楓「!」
倉田さんは僕の腕に抱き着いてきた
柔らかくて、爽やかな良い匂いがする
同じ人間なのかな?僕と全然違うや
ましろ「今日だけ、彼女みたいに扱ってね......?///そうしてくれたら、許すから......///」
楓「う、うん、それでいいなら(?)」
ましろ「じゃあ、行こ......///」
楓「うん。」
僕は訳の分からないままそう答え
桐ケ谷さんにアドバイスされた場所に向かう事にした
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“ましろ”
私達が来たのは、少し遠くにある公園だった
ここには大きな広場があって
舞台では頻繁にいろんなイベントをしてるらしい
昔、私も両親と来た記憶がある
ましろ「あ、何かのイベントしてる。」
楓「あれが今回の目当てだよ。」
ましろ「そうなの?」
楓「うん。そろそろ始まるから、舞台の方に行こう。」
衛宮君にそう言われ、舞台の方に歩く
舞台の前には家族連れで来てる人が多い
その中には見覚えのある人もいる
『こんにちは~。』
ましろ「あっ!」
『ミッシェルだよ~。』
私達が舞台の前に着くのと同時にミッシェルさんが舞台袖から出て来た
こ、これって......
ましろ「衛宮君、私がミッシェルさん好きなこと覚えててくれたの!?」
楓「え、あ、うん、勿論?(本当は桐ケ谷さんに昨日教えてもらったんだけど、こう言えって言われたし従っておこう。)」
ましろ「わぁ~!可愛い~!」
ミッシェルさんが舞台の上で手を振ってる
すごくモフモフしてる、可愛い
ミッシェル『今日は~この公園に入ってるミッシェルを見つけてね~。一番に見つけた人には~この特大ミッシェル人形をプレゼント~。』
ましろ「特大ミッシェルさん人形!?すごい!」
楓「う、うん、すごいね。(あ、あんなのどこに置くんだろう。)」
舞台に現れたお人形を見ると、嫌でも興奮する
このサイズなら、私位ならミッシェルさんの包まれて眠れそう
正直、すごく欲しい......!
ましろ「衛宮君、衛宮君!私、あれ欲しい!」
楓「うん。色がそう言ってるね。(すごくキラキラしてる。)」
ましろ「頑張って探そう......!」
絶対に一番早く見つける!
それで、ミッシェルさん人形をゲットするぞ!
ミッシェル『それじゃあ~、スタート~!』
ましろ「行こ!衛宮君!」
楓「うーん、ちょっと待ってね。」
ましろ「?」
衛宮君は周りの人達が歩いて行くのを見送って
その後すぐに係員の人たちを観察し始めた
あ、そうだ、衛宮君って......
楓「......うん、どこにあるか分かった。」
ましろ「え、もう!?」
楓「あはは、色が繋がってるから分かりやすいね。」
こんなの、分かるのは衛宮君だけだよね
普通の人はほとんど衛宮君と反対の方向を見てるし
やっぱり、物探すのに関しては最強だなぁ......
楓「ついて来て。すぐそこっぽいから。」
ましろ「う、うん。」
そう言って、衛宮君は歩きだした
それを見て私も歩いて後ろをついて行った
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私達が歩いてきたのは木がたくさんある場所
あんまり人気がなくて静かで
この公園内の他の場所とは全然雰囲気が違う
楓「こっちに色が続いてる。多分、そこに......あった。」
少しだけ孤立した場所にある木
そこにミッシェルさんのお人形が吊るされていた
これはこれで可愛いから欲しいかも
確か、期間限定で発売してたのだと思う
ましろ「やった!これで特大ミッシェルさんゲット!」
楓「あはは、そうだね。でも、ちょっと早すぎたかな。」
衛宮君はそう言って苦笑いを浮かべてる
確かに、開始5分で終っちゃったら
イベントを企画してる人が困っちゃうよね
楓「少しゆっくり戻ろうか。」
ましろ「うん、そうだね。」
そんな会話の後、私達は歩き出す
ここは木が多くて、空気が澄んでる気がする
ここなら、衛宮君も色を気にしなくていいと思う
ましろ「ここ、良い場所だね。」
楓「うん、そうだね。人も全然来てないから、色も少ないし。」
ましろ「やっぱり。」
衛宮君、さっきより力が抜けてる
色が多いと、少し体が強張るんだ
多過ぎたら体調崩すくらいだし、見え過ぎると辛いのかな?
楓「ある程度は慣れたけど、見すぎると疲れるからね。」
ましろ「そんなに疲れるの?」
楓「まぁ、イメージ的には点滅する無数の色を見続けるようなものだからね。」
ましろ「それは、しんどいね。かなり。」
昔、赤と青の点滅だけで色んな人が倒れた事件があったらしいし
それが何色にもなったら大変だね
普通の人なら死んじゃうんじゃ......
ましろ(......しんどい、か。)
そのワードから、昨日の話を思い出す
衛宮君は、今は凄く元気だ
偶に体調を崩すけど、こうしてデートも出来るし
ましろ(......あれ、そう言えば......)
梅雨位の時、それらしい話しなかったっけ......
確か、明日死ぬって言われて好きな人がいたら、思いを伝えるか......だったはず
その話を思い出して、一気に不安に襲われる
楓「いやー、なんで僕って色が見えるんだろうね。全く不思議で仕方な__」
ましろ「ね、ねぇ、衛宮君。」
楓「ん?どうしたの?」
ましろ「な、なんでもないよ。」
聞こうと思ったけど、無理だった
そんな根性、私にはないよ
聞けるわけないよ、『病気持ってるの?』なんて......
楓「あはは、そっか。」
ましろ「う、うん。」
私は軽く頷いて
衛宮君から目をそらした
“楓”
楓「?(不安の色が濃くなってる?)」
さっきから倉田さんの不安の色が凄い
やっぱり、ライブの事で緊張してるのかな
こんな何でもない日でもこうなっちゃうなんて......(超解釈)
楓「ねぇ、倉田さん。」
ましろ「どうしたの?」
楓「その、何か不安に思ってる事、あるよね?」
ましろ「!」
倉田さんに動揺の色が加わった
あれ、緊張してるのバレてないと思ってたのかな?
色が見えなくても簡単に分かるのに
楓「相談、乗るよ?あ、女の子しか分からない悩みは無理だけど。」
ましろ「い、いや、そう言うのじゃないよ......」
楓(まぁ、ライブの緊張してる事だもんね。)
どんな相談をされるんだろう
こんなの初めてだから、想像が付かない
緊張の解し方?それも、もっと他の?
ましろ「その、直感で答えて欲しいんだけど。」
楓「うん?」
ましろ「もし、衛宮君に好きな人がいるとして、その人が病気かもしれないって言われたら、どうする......?」
楓「なんだか、梅雨位に話した話題に似てるね?」
そんな事を言いながら、考えてみる
僕に好きな人がいて、その人が病気かもしれない
うーん......難しいな
楓「難しいけど、僕なら本人に聞いて確かめるかな?もしその相手が隠そうとしても、色で分かるし。」
ましろ「本人に!?(衛宮君って、意外と大胆......)」
楓「ずっと1人で悩むより、本人に答えを聞いて、もしそれが本当なら自分に出来る事を探してみる。それが一番だよ。」
ましろ「そ、そっか......(やっぱり、衛宮君は凄いな......)」
1人だけで悩む時間なんて無駄だしね
もし金銭的な問題があるなら、協力できるかもしれないし
そうでなくても、知ってる方がいい事の方が多いと思う
急にいなくなられたら、寂しいだろうし
ましろ(私は、その答えをすぐに出せなかった......心の中ではもしかしてって思ってたけど、怖くて、大丈夫なはずって。衛宮君なら、いつもみたいに笑いながら否定するに決まってるって、勝手に決めつけてた......)
楓(どうしたんだろ?)
ましろ「......衛宮君。」
楓「!」
下を向いてた倉田さんが、顔を上げた
その表情はいつものそれとは違って
険しく、悲しそうだ
この表情は、なんだろう......?
ましろ「正直に、誤魔化さないで教えて欲しいの。」
楓「な、何を?」
倉田さんの大きな瞳に僕の姿が映る
あまりにいつもと違う雰囲気に気圧されて
頬を生暖かい汗が伝っていく
ましろ「衛宮君......病気を持ってたり、する......?」
楓「っ......!」
その言葉を聞いて、固唾を飲んだ
桐ケ谷さんが話した?
いや、それはありえない
もし話すとしても全員に話すだろうし
ましろ「ど、どうなの......?」
楓「......持ってるよ。心臓に。」
ましろ「っ!!」
倉田さんの体が強張った
まぁ、そうだよね
最近はこれまでにないくらい元気だったし
楓「生まれつきでね。先生には、完全に治ることはないって言われてる。」
ましろ「そ、そんな......」
倉田さんの顔が真っ青になる
色も黒みを増して、絶望の色になった
ましろ「ど、どうして、そんな......」
楓「運命なんじゃないかな。僕はそう言う星のもとに生まれたんだから、仕方ないよ。」
ましろ「......死んじゃうの?」
楓「分からないかな。」
本当は分かってる
僕の命が16歳で尽きる
いわさんにそう言われたから
楓「まぁ、そんなに急を要する話でもないし。別にそんなに気にすることはな__」
ましろ「気にするに、決まってるよ......!」
楓「っ!倉田さん!?」
僕が軽い口調で話してると、倉田さんが抱き着いてきた
あまりの突然でかなりふらついてしまったけど
何とか、転ばずに済んだ
ましろ「なんで、なんで衛宮君なの......!」
楓「......!」
ましろ「衛宮君は、いい人なのに......神様はなんで......」
楓「な、泣いてるの......?」
胸元にジンワリと水気を感じる
なんで、泣いてるんだろう
ましろ「嫌だ、嫌だよぉ......!えみやくん、死なないでぇ......!」
楓「し、死なないよ?今は普通に元気だし。」
えっと、これはどうしよう......?
倉田さんは離れる気配がないし、泣いてるし
僕は、どうすればいいんだ......?
ましろ「本当に......?いなくならない......?」
楓「大丈夫だよ。」
ましろ「そっか......そうだよね。大丈夫、だよね......」
楓「う、うん。」
これは、本当のこと言えないかな......
まぁ、今すぐ死んじゃうことはないし
嘘は言ってないと思うけど
楓「ごめんね。心配かけちゃったみたいで。」
ましろ「ううん......私も、お母さんに聞いて不安になっただけだから......」
楓「そっか。」
ましろ、楓「......」
そんな会話の後に訪れる無言
僕はどうすればいいか分からないから動けないんだけど
倉田さんはどうなんだろう......?
色的にはさっきと違ってふやけてる謎の状態だけど
ましろ「......ねぇ、衛宮君......?///」
楓「ど、どうしたの?」
ましろ「その......ライブの事なんだけど......///」
楓「!」
ましろ「ステージに上がる前に、頭撫でて欲しいな......///」
楓「え?」
倉田さんは胸元に顔を埋めたままそう言った
えっと、撫でる?
楓「それくらいならいいけど、それでいいの?」
ましろ「う、うん......///そうしてくれたら、緊張も大丈夫な気がするから///あ、終わった後も、撫でて欲しい......///」
楓「い、いいよ?倉田さんが良いなら。」
えっと、これって、成功なのかな?
本人は大丈夫な気がするって言ってるし
ましろ「......早く、戻ろ?///ミッシェルさんが待ってるだろうし///」
楓「うん、そうだね。行こっか。」
それから、僕達はステージの方に戻り
特大ミッシェル人形を受け取ってから
多くの人が見てる中で記念撮影をした
その間、倉田さんは僕から一切離れなくなって
色んな人から視線を感じた
倉田さんはどうしたんだろうか......