ライブが終わって、僕は家に帰ってきた
桐ケ谷さんは打ち上げをしようと言ってたけど
皆に疲れの色が見えたので、止めて
打ち上げは後日ということで、今日は解散した
楓「ただいまー、いわさーん。」
磐長姫『おかえり、楓。どうだった?』
楓「ライブは大成功だったよ。本当に良かった。』
磐長姫『楓が嬉しそうで良かった。』
いわさんは優しく微笑んだ
そんなに僕、態度に出てるのかな?
そうだと、ちょっと恥ずかしいんだけど
楓「まぁ、嬉しいよ。ずっと頑張ってた皆を見てたからね。」
磐長姫『そっか。』
楓「ん?」
いわさんと話してると
ポケットに入れてある携帯が鳴った
メッセージが来てたのは、バンドのグループだ
楓「あっ、桐ケ谷さんだ。これは......」
磐長姫『写真だね。』
楓「......!」
画面に表示されているのは、ステージから見る観客席の景色だった
写真だからグチャグチャの色は見えない
キラキラした、ステージからの景色が写ってる
透子『衛宮にもこの景色を見てほしくてさ!撮らせてもらったんだ!』
七深『これで気分だけでも私たちとステージに立ってね~!』
つくし『衛宮君も、大切なメンバーだよ!』
ましろ『今日までありがとう!これからも一緒に頑張ろうね!』
瑠唯『今日はお疲れ様。今日の成功はあなたの的確なアドバイスがあってこそよ。』
楓「みんな......」
僕は感極まるのをこらえ、『ありがとう』とメッセージを送った
皆、僕のこと持ち上げすぎだよ......
本当に、何もしてないのに
楓「皆の役に立てて、良かった......」
助けてもらってばかりの人生で
初めて、誰かの役に立つことができた
本当に、良かった......
磐長姫『よかったね、楓。』
楓「うん。すごく嬉しい__っ!!!」
磐長姫『楓!?』
楓「げほっ!ごほっ、ごほっ!!!」
その時、僕の体に異変が起きた
心臓が何かに握りつぶされるような感覚に襲われ
咳が止まらなくなった
息もうまくできなくて
たまらず、僕は床に膝をついた
楓「な、なん__ごほっ!!」
磐長姫(血!?馬鹿な、なんで......!?)
楓「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ......っ!!!」
何が何だかわからない
なんか、手に赤いものがついてる
口の中が鉄の味がする
なんだ、なんなんだ、これは......?
磐長姫(仕方ない!衛宮凪沙に念力を送って!!)
凪沙「__楓!?どうしたの__っ!?」
楓「おにい、ちゃん......?」
凪沙(吐血!?そんな馬鹿な!?まさか病気の再発!?いや、慌ててる場合じゃない。救急車だ、救急車を呼ばないと!)
お兄ちゃんの色が見える
なんでだろ......?
気づいてくれたのかな......?
凪沙「楓!気を確かに持つんだよ!すぐに救急車が来るから!」
楓(ダメ、だ......も、う、いきし、が......)
お兄ちゃんの声がだんだんと遠くに聞こえる
でも、もう、限界だ......
心臓が痛む感覚と水の中にいるような息苦しさを感じながら
僕は微かに残っていた意識を手放した
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“瑠唯”
ライブの翌日の今日は学校の始業式
2学期という最も長い学期が始まる日
けれど、私には別に気怠さはない
私は今まで通り、学校生活を送るだけ
そして何より、今は衛宮君がいるもの
彼を一目見れば、どんな疲れも吹き飛ぶわ
透子「__ルイ!ルイっ!!」
瑠唯「......桐ケ谷さん?」
こんな朝に騒々しいと思いながら
私は教室に入ってきた桐ケ谷さんの方を見た
朝から何なのかしら......
瑠唯「何かあったの?」
透子「なにかあったのじゃないって!衛宮が倒れた!!」
瑠唯「え......?」
その言葉を聞いて、頭の中が真っ白になった
彼が、倒れた?
昨日はあんなに元気そうだったのに?
透子「さっき、衛宮先生からあたしに連絡入ってさ、病院に運ばれたって!!」
瑠唯(い、いったい彼に何が......それよりも、容体は......)
透子「あたし達、今からお見舞い言ってくるけど、ルイは!?」
瑠唯「......私も、行くわ。」
透子「!」
私は生徒会
今日は仕事がある
けれど、彼が大変な状況の中で仕事はできない
透子「じゃあ、行くぞ!タクシーは呼んでるから!」
瑠唯「えぇ......!」
私は大きく頷き
自分の鞄をもって教室を出た
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“楓”
体と頭と目の奥が痛い
目を覚まして始めに感じたのはそれだった
僕には慣れ親しんだ感覚だけど
少しだけ、久しぶりに感じる
楓(懐かしな、この感じ......)
オキシメーターの音に人工呼吸器
腕に刺さってる点滴
この感じ、なんて言うんだろ
実家のような安心感(?)
凪沙「__あっ!起きたんだね、楓!」
楓(お兄ちゃんだ。)
ナース「呼吸器外しますねー。」
しばらくボーっとしてると
お兄ちゃんとナースさんが部屋に入ってきた
ナースさんは慣れた手つきで呼吸器を外してくれて
やっと、喋りやすくなった
凪沙「いやー!無事でよかったー!」
楓「わわっ!お兄ちゃん、急に抱き着かないでよ!」
凪沙「あはは!楓は本当にかわいいねー!」
く、苦しい......
ちょっと、抱き着く力が強いよ......
いや、別にいいんだけどね......?
凪沙「っと、楓を堪能するのも程々にしないとね。」
楓「あれ、そういえば今日って始業式じゃなかった?」
凪沙「そうだけど。まぁ、僕が楓以上に優先することなんてないよね!」
楓「お仕事してよ......もうっ。」
凪沙(......やっぱり、ツッコミのキレがいつもよりないか。)
楓「?」
お兄ちゃんに不安の色が見える
かなり珍しい
いつもはずっと楽しそうな色をしてるのに
凪沙「取り合えず、楓は3日は入院ってことになったから。本とかいっぱい持ってきたよ。」
楓「そんなに必要かな?もう大丈夫だと思うけど。」
凪沙「大事をとってね。あんな風になってたのは久しぶりだし。」
楓「うーん、そっかぁ......」
新学期早々、3日もお休み......
先が思いやられるなぁ......
楓「あ、夏休みの課題提出しておいてほしいな。」
凪沙「楓は真面目だね。僕は課題なんて一度も出したことないよ。」
楓「出すのが普通なんだけどね......」
お兄ちゃんが普通だったことはないか
テストはいつも100点だったし
僕にはちょっと真似できないなぁ......
楓「お兄ちゃん、今日もお仕事でしょ?」
凪沙「え?別に休んでもいいけど。」
楓「駄目だよ。他の先生の迷惑になっちゃうし。」
凪沙「ふーむ......そうだなぁ。あんまり勝手なことすると楓の印象にもかかわってくるし、仕方ないか。」
そういう問題じゃないんだけどね
いや、お兄ちゃんはいつもこんな感じか
もう少し、落ち着いてほしい......
可愛がってくれるのは嬉しいけど......
凪沙「楓の課題出すついでに行ってこようか。でも、不安だなぁ。誰か見てくる人がいればいいんだけど。」
透子『__衛宮?起きてる?』
凪沙「おぉっ。」
楓「えっと、桐ケ谷さん?」
透子「おっ!起きてる~!良かった~!」
ましろ「だ、大丈夫......?」
つくし「よかったぁ、生きてて......」
七深「かえくん~!」
瑠唯「......無事で、何よりよ。」
えっと、なんで?
なんで、皆がここに?
今日って始業式だよね?
まだ終わってる時間じゃないよね?
楓「なんでここに?」
透子「なんでも何もないだろ!心配だから来たんだよ!」
楓「あの、学校は......」
ましろ、透子、七深、つくし「早退した!」
瑠唯「......右に同じよ。」
楓「わ、わざわざ、すみません......」
心配、してくれたんだ......
これは初めてだな
お友達がお見舞いに来てくれるなんて
つくし「今はどういう状態なの?」
楓「一応、3日は入院することになってるかな。僕はもう大丈夫だと思うんだけど。」
ましろ「ほ、本当に大丈夫......?」
楓「うん、大丈夫。息苦しさももうないし。」
昨日が嘘みたいに健康だ
いつもと何も変わらない
強いて言うなら、少し体力がない位で
凪沙「皆に楓のことは任せてよさそうだね。」
瑠唯「はい。責任をもって、衛宮君のことを見ておきます。」
凪沙「じゃあ、お願いするよ。楓をよろしくね。」
楓「またね、お兄ちゃん。」
凪沙「うん!楓のために頑張ってくるよ!じゃあねー!」
そう言って、お兄ちゃんは病室から出て行った
できれば、自分のために頑張ってほしいけど
仕方ないか、お兄ちゃんだし
つくし「衛宮君、リンゴ食べる?」
ましろ「本の読み聞かせ、する......?」
七深「広町が添い寝してあげるよ~!」
透子「いやいや!あたしとSNS見よ!」
瑠唯「......静かにするという選択肢はないのかしら。」
楓「あ、あはは......」
それから、皆は長い時間病室にいて
面会時間が終わるまで、交代で僕の話し相手になってくれたりした
今まで、退屈だと思ってた入院だったけど
今日は、すごく楽しいと思えた
クリスマスネタ書こうと思ってるので、見たいシリーズと組み合わせとかあれば教えてください。