“瑠唯”
無謀だと思った
100年にもなる月ノ森の歴史の中で
外部生で生徒会長になった人物はいない
そもそも、1年生で生徒会長になること自体難しい
そんなことを達成できたとしたら
間違いなく、月ノ森の歴史に名を残すことになる
楓「__失礼しました!」
瑠唯「!」
そんなことを考えてるうちに彼が職員室から出てきた
生徒会長への立候補をもう終えたらしい
楓「い、いやー、緊張しますね。あはは。」
出て来てすぐに、苦笑いを浮かべる彼
気持ちは分かる
端から見れば、無謀な挑戦だもの
つくし「それで、勝算とかあるの?」
楓「え?今から考えるけど。」
ましろ「えぇ!?」
楓「完全に見切り発車だし、やれることをやるしかないね!」
瑠唯「......」
彼らしいわね
考えるよりも先に行動するところが
あの時も、そうだったもの......
七深「でも実際、相当厳しいね~......」
透子「いや、もしかしたら、意外とそうでもないかも。」
ましろ、つくし、七深「え?」
瑠唯「どういうことなの?」
透子「まぁ、明日になればわかるんじゃね?」
楓、瑠唯「......?」
桐ケ谷さんの自信ありげな様子を疑問に思いつつも
その日は、解散することにした
明日から選挙活動が始まるけれど
出来る協力はすることにしましょう
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“楓”
楓(が、頑張るぞー!)
次の日の早朝
僕は校門の前に立ってる
応援してもらえるように挨拶したりするらしい
けど、僕なんて相手にされるのかなぁ......
楓(い、いやいや、気づいてくれるように挨拶することが大事だよね。)
今まで病院か図書室にいたし
コミュニケーションとるのは下手だけど!
まぁ、元気に挨拶すれば1人くらいは覚えてくれる!
......かもしれない!
楓「(あっ、来た!挨拶してみよう!)お、おはようございま__」
「おー!君、衛宮楓君だろ?」
楓「え?」
「噂は聞いてるよ!生徒会長に立候補したんだってね」
「期待してるよ。」
楓「あ、ありがとうございます!(ん?)」
あれ?なんで僕のこと知ってるんだ?
しかも、結構応援されてるし
どういうこと?
「あっ!衛宮君!」
「頑張ってねー!」
楓「あ、ありがとうございます!」
その後に来た人たちも、僕を応援してくれてる
一体、何が起きてるんだ?
ど、ドッキリでは......?
い、いや、そんな色はしてない
取り合えず挨拶は続けないと
僕はそう思い、来た人に挨拶をしていった
“瑠唯”
瑠唯「これは、どういうこと?」
透子「ん?」
心配で中庭から彼の様子を見ていると
信じがたい光景が見られた
来る人のほとんどが彼に好意的な反応を示してる
透子「まぁ、衛宮のこと嫌いな奴なんて性格悪いやつ以外いないんだけどさ。一番の理由はこれかな?」
ましろ「こ、これは?」
透子「所謂、裏サイトってやつ。結構な人数が見てるんだよ?」
七深「へぇ~。でも、それとかえ君にどんな関係があるの~?」
透子「これ、見てみ?」
桐ケ谷さんはそういい、携帯画面を見せてきた
そこには何枚かの衛宮君の写真と称賛するような文章が載っている
これは、一体......?
透子「衛宮、月ノ森に来てから色々してるからね~。実は隠れて評価してるのがいるみたい。」
七深「えぇ!?そうなの~!?」
透子「そりゃそうでしょ。ルイ助けたところもいろんな生徒に見られてるし、それに、一番効果あったのは、これかな?」
ましろ、つくし、七深、瑠唯「?」
画面に映されるのは体育館の動画
端にある日付は始業式の日のもの
この時は、確か......
楓『__もうっ!!お兄ちゃん!!』
ましろ、つくし、七深、瑠唯「!?///」
透子「これで、月ノ森中の上級生がみんな、お姉ちゃんやお兄ちゃんなった。」
ましろ、つくし、七深(わかる......っ!///)
瑠唯(か、可愛らしすぎるわよっ///)
納得した
むしろ、なるべくしてなったというべきね
だって、こんなに真面目で可愛らしいんだもの
透子「それに加えて、白鳥は胡坐かいてる頃だろうし......」
つくし「確かに、可能性はゼロじゃない。」
瑠唯「......見ものね。」
ましろ「るいさん......?」
瑠唯「これがあるとしても、彼が勝つことは厳しいと思うわ。」
仮に今から下馬評を作ったとすれば
流石にまだ、白鳥さんが優勢となるはず
1年生から注目される彼女という壁は、厚い
七深「......順当を壊すのが、かえ君だからね~。」
透子「ななみ?」
七深「あの目、懐かしいよ。」
広町さんが、優しい目で彼を見ている
彼女と彼の間に何があったかは分からない
あの指の傷の意味も私は知らない......
七深「かえ君は本気だよ。あの時と同じ目をしてるから。」
瑠唯「......!」
彼女の目にも自信めいたものがあった
私も、彼に感じるものはある
けれど、未だに確信が持てない
果たして、どんな結末を迎えるのか
私には、想像ができない
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“楓”
あれから3日間、僕は校門に立って挨拶し続けた
取り合えず、いろんな人に親しみの色を持ってもらえてる
けど、分かってる、まだ足りないって
僕ではまだ、勝てないって
楓(えーっと、こうかなー?)
放課後、僕は演説の原稿を作ってる
間違いなく、これは最後のチャンス
ここで心をつかめないと、終わりだ
瑠唯「頑張ってるわね。」
楓「あ!八潮さん!」
しばらく1人でうなってると
八潮さんがドアを開けて教室に入ってきた
どうしたのかな?
楓「座りますか?」
瑠唯「えぇ。お邪魔するわ。」
楓「邪魔だなんてそんな!1人じゃ心細かったので良かったです!」
僕がそう言うと、八潮さんは僕の前の椅子に座った
それを確認して
原稿の作成を再開した
楓「......」
瑠唯「......」
沈黙が流れる
聞こえるのは僕が文字を書くときに出るペンの音だけだ
でも、それがいい
八潮さんの纏う空気が心地いいから
瑠唯「......あなたは。」
楓「?」
瑠唯「どうして、そこまで必死になるの?」
しばらくすると、八潮さんはそう口を開いた
やっぱり、バレちゃってるのかな?
バンドを存続させること以外の理由があること
楓「......僕、倉田さんに憧れているんです。」
瑠唯「!!」
僕の言葉に八潮さんは驚いた色をした
あれ?そんなに意外かな?
瑠唯「な、なぜ?」
楓「倉田さんと僕の立場は似ているんです。高校から月ノ森に来て、周りとの才能差に打ちのめされてる所とか。」
瑠唯「......なるほど。」
楓「そんな人がステージに立って、歌って、色んな人に歓声を浴びてるんです。やっぱり、すごく憧れます。」
あのライブの日は嬉しかった
倉田さんが緊張しながらも楽しそうで
努力の成果が出ていて
楓「だから、僕はまだ、倉田さんが飛ぶ姿をみたい。」
瑠唯「......そうね。」
楓「倉田さんが飛ぶ限り、バンドも成長する。そうして、いつか、もっと大きな舞台へ行ければ......」
例えば、Roseliaの立つような大きな舞台
そこに立って、皆が輝いてくれるようなことがあれば
その時に、皆が笑顔なら......
楓「......僕の人生に、意味があったと思えると思うんです。」
瑠唯「......っ!」
楓「だからこそ。」
僕は前に座ってる八潮さんを見て
そして、小さく笑った
楓「勝ちます。死んでも。」
瑠唯「衛宮君......」
僕は、拳を握りしめた
そう、勝つしかないんだ
命でもなんでもかけるんだ
大切で大好きな、お友達のために
瑠唯(あなたは、懸けすぎよ。どうして、そこまで......)
楓「ありがとうございました、八潮さん。」
瑠唯「え?」
八潮さんに頭を下げた
今、改めて口に出して、分かった
楓「八潮さんのお陰で、自分のやるべきことがわかりました!」
瑠唯「やるべき、こと......?」
楓「はい!硬くなってた頭が解れたというか、見失ってた自分を取り戻せました!」
僕はそう言って原稿用紙を鞄に直し
そして、鞄を肩にかけた
やることが決まれば、行動あるのみだ
楓「今日は帰りますね!」
瑠唯「え、えぇ。」
楓「さようなら!八潮さん!」
そう挨拶をし、教室を出た
見えた、僕にできることが
白鳥さんには出来なくて、僕にできること
それは......!