体育祭の準備は進んでる
生徒会メンバーは彼の為にと頑張ってる
その結果か、準備は驚くほどに順調
締め切りには必ず間に合う
穂希「__この書類の確認を!」
楓「は、はい!」
衛宮君の方は彼女が手綱を引いてる
元生徒会長候補なだけのことはある
基本的な事務の心得はあるようね
楓「......けほっ。」
瑠唯「衛宮君?」
楓「あ、すみません。」
瑠唯(......最近、少し多いわね。)
生徒会の仕事に関しては心配ない
けれど、彼の体調については不安が残ってる
ドクターストップにかかっているのは知ってる
そして最近の咳の回数の多さ
嫌でも、体調が思わしくないのが分かってしまう
楓「季節の変わり目は、いつもこうなんですよ。」
瑠唯「......そう。」
楓「お仕事はちゃんとできるので、ご心配なく。」
彼はそう言い、書類に目を落とした
大丈夫......だと思う、今は
体温自体は平熱だと聞いているし
無理さえしなければ
瑠唯(......そう、無理さえ、しなければ。けど......)
そんなことが可能なの?
彼は何かあれば、必ず無理をする
いや、そんなトラブルが頻繁に起こるわけがない
いくら彼がトラブルに出会いやすいと言っても
流石に体育祭でまでそんなことがあるわけがない
瑠唯(けれど、何なの?この、胸騒ぎは?)
彼から目を離してはいけない
そんな気がする
出来るだけ、彼の近くにいないと
私はそう思いつつ、ひとまず、自分の請け負っている業務に取り掛かった
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“楓”
楓「はぁ、大分かかっちゃったなぁ......」
下校時間を少し過ぎて、僕は学校を出た
やっぱり、生徒会で一番仕事ができないのは僕だ
まぁ、分かり切ってたことなんだけど
それでも、流石に差がありすぎる
楓(八潮さんと白鳥さんの力を借りてギリギリなんだよね......)
瑠唯「お疲れ様、衛宮君。」
楓「あ、八潮さん。帰られたんじゃ......」
瑠唯「折角だし、一緒に帰ろうと思ったの。」
楓「あ、そうなんですか?」
わざわざ待ってたんだ
なんでかは分からないけど
1人で帰るより、ずっといいや
楓「すみません、待たせてしまったみたいで。」
瑠唯「大丈夫よ。行きましょうか。」
楓「そうですね__」
つくし妹「__あれ......楓、お兄ちゃん......?」
楓「え?あれ、君は、二葉さんの妹さん?」
僕たちが帰ろうとした瞬間
向こうから二葉さんの妹さんが歩いて来た
なんだか、心細そうな色をしてる
楓「こんなところでどうしたの?」
妹「うっ、うわーんっ!お兄ちゃん~!」
楓「わっ!だ、大丈夫!?」
妹さんは泣きながら僕に抱き着いて来た
本当にどうしたんだろう?
ここは妹さんにとっては少し遠い場所で
しかも、もう時間も遅いのに
妹「ちょっと、冒険してたら、迷子になったの......」
楓「それで、暗くなっちゃったってことだね?」
妹「うん......」
なるほど......分からないこともない
僕も普通に動ける子供だったら、一度くらいこうなってたと思う
好奇心って言うのは止められないからね
楓「じゃあ、僕がお家まで送るよ。抱っこ......はしてあげられないけど。」
妹「おてて、繋いでもいい......?」
楓「それは大丈夫だよ!」
僕はそう言って立ち上がった
流石にこの時間に迷子の子を放っておけないし
八潮さんには申し訳ないけど、送って行かないと
楓「すみません。と言うことなので、一緒に帰るのは__」
瑠唯「私も着いていくわ。」
楓「え?」
妹「?」
瑠唯「時間はあるもの。付き合うわよ。」
八潮さんもついて来てくれるみたいだ
もう時間も遅いのに
本当にいいのかな?
本人が言ってるからいいんだろうけど......
楓「じゃあ、行きましょうか。」
妹「うん!」
瑠唯「えぇ。」
そうして、僕達は妹さんを家に送り届けることになり
取り合えず、家にいてもらうように二葉さんに連絡をして
それから出発した
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と言うわけで、僕達は3人で暗くなってきた道を歩いてます
街灯もポツポツと点き始めて
もう、ほぼ夜だ
妹「ねーねー、お兄ちゃん?」
楓「どうしたの?」
妹「お兄ちゃんはお姉ちゃんのこと、好き?」
楓「え?」
瑠唯「!?」
妹さんはいきなりそんな質問を投げかけてきた
でも、別にこれは迷うようなものじゃない
楓「好きだよ?大切なお友達だしね。」
妹「そーなんだ!よかったー!」
瑠唯(まぁ、彼はそうよね。)
二葉さんとは仲良くしてるからね
色も澄んでていい人だし
妹「お姉ちゃんはねー、お兄ちゃんのこと大好きだってー。」
瑠唯「!?」
楓「そうなんだ。嬉しいね。」
妹「あとねー、お兄ちゃんはどんかんさん?って言ってたー。」
楓「鈍感?うーん、そうでもないと思うけど。」
瑠唯「......(それは否定できないわね。)」
最近よく言われるけど
鈍感ではないと思うんだけどなぁ
色も見えてるし
楓「八潮さんはどう思いますか?」
瑠唯「え?」
楓「僕、鈍感なんですか?」
瑠唯「それは......自分がどう思うかが重要ではないかしら。(流石に、正直には言えないわ......)」
楓「じゃあ、大丈夫ですね!」
瑠唯(こうして鈍感さは加速するのね。)
やっぱり、僕は鈍感じゃないみたいだ(勘違い)
じゃあなんで言われたのかが分からないけど
まぁ、いいや
妹「お兄ちゃんって、好きな人いないのー?」
楓「え?いっぱいいるけど。」
妹「そうじゃなくて、お嫁さんにしたい人!」
楓「!?」
瑠唯(動揺してるわね。)
最近の小さい子ってこんなこと聞いてくるの?
僕、そんな話とは一切無縁だったから分からないけど
最近の子供は進んでるんだなぁ......
楓「うーん......考えた事ないかも。」
妹「お兄ちゃん、お子様だねー。」
楓「え、そうなの!?こういう話って普通なの!?」
瑠唯(子供にお子様扱いされてるわ。)
楓「ち、ちょっと待ってね!今考えるから!」
瑠唯「っ!?(今!?)」
とは言っても
そう言う意味での好きってよく分からないんだよね
結婚したい人ってことでしょ?
うーん......
楓「そもそも、僕がよく関わる異性が八潮さん達しかいないからね。」
妹「じゃあ、お姉ちゃんは?」
楓「二葉さんかぁ......なんだか、朝が早そうだね。」
瑠唯(そこなの?)
私生活とかしっかりしてそう
でも、ちゃんとお互いを尊重できそう
きっと、二葉さんの相手は幸せになるだろうなぁ
楓「二葉さんはしっかりしてるからね。きっと、相手の人といい関係を築けると思うよ。」
妹「お兄ちゃんの話だよー?」
楓「あっ、そうだった。」
妹「変なのー。」
変、なのかな......?
つい、他人事になっちゃったけど
楓「あ、で、でもね。」
妹、瑠唯「?」
楓「その、そう言う、結婚したい人って言うのは、自分がその人しかないって思える人が良いとは思ってるんだ。」
妹「それは、だーれ?」
楓「えっとぉ......僕の場合は、1人じゃ何もできないから、引っ張ってくれるような人がいいのかなって思ってる、かな?」
妹「そーなんだー。」
一応、絞り出した回答だ
なんとか、他人事っぽくならなかったかな?
かなり頑張った方だと思うけど
つくし「__あ!衛宮君!」
楓「二葉さん?って、もう着いた。」
つくし「本当にごめんね!ほら、ちゃんとお礼しなさい!」
妹「うん!ありがとう!お兄ちゃん、お姉ちゃん!」
楓「全然、大丈夫だよ。」
瑠唯「右に同じ。」
もう、二葉さんの家に着いたみたいだ
話してたら一瞬だった
良かった、ここまで何ともなくて
母「あら、お久しぶり。楓君。」
楓「あ、お母さん。お久しぶりです。」
母「まぁ、お義母さんだなんて。意外とせっかちなのね。」
楓「?」
二葉さんのお母さんは歩いて来て
いきなりそう言ってきた
どういう意味なんだろう?
母「何はともあれ、今日はありがとう。」
楓「いえいえ。お気になさらず。」
母「これから、お夕飯でもいかが?お礼もかねて。」
楓「あー、すみません。母さんが用意してくれてるので。」
母「あらそう?残念ね。折角、うちの味に慣れてもらおうと思っていたのに。」
つくし「お母さん!?///」
瑠唯(ぐ、ぐいぐい行くわね。)
二葉さんの家のご飯かー
確かに気になるかも
お母さん、料理上手そうだし
妹「ママ!私、楓お兄ちゃんにほんとのお兄ちゃんになってほしいなー!」
瑠唯「!?」
つくし「何言ってるの!?///」
母「でも、今日は無理そうね。」
妹「えー。」
楓「ごめんね。また、一緒にご飯食べよっか。」
妹「うん!約束だよ!」
つくし「も、もういいでしょ!///家に帰るよ!お母さんも!///」
二葉さんはそう言い、2人を引っ張っていく
すごく恥ずかしがってる
なんでだろ?
妹「ばいばーい!お兄ちゃん!」
母「また会いましょう。次は挙式の__」
つくし「もういいよ!///」
楓「ま、またー(?)」
瑠唯(大変ね、二葉さん。)
3人は大騒ぎしながら家に入って行った
本当にどうしたんだろうか
楓「僕たちも、帰りましょうか。」
瑠唯「......そうね。」
気になるけど、時間も遅いし
僕と八潮さんは家に帰ることにした
なんだか、妹さんがいると賑やかだったなぁ
また、遊べる機会があればいいな