色の少年   作:火の車

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動揺

 あれから1週間と少し経って体育祭前日

 

 準備は何とか終わらせることが出来て

 

 本番は問題なく迎えることが出来そうだ

 

透子「いやー!やっと体育祭だねー!」

七深「そうだね~。」

 

 そんな今日はバンドの練習で

 

 いつも通りアトリエに集まってる

 

 体育祭もあるけど、月ノ森音楽祭ももうすぐ

 

 第一目標に設定していた舞台

 

 それももう間近だ

 

ましろ「衛宮君は大丈夫?最近、すごく忙しそうだったけど?」

楓「皆に力を借りて、なんとか。」

瑠唯「あなたは十分頑張ってるわよ。少しずつだけれど、着実に成長してる。」

楓「そんな、まだまだですよ。」

 

 最後にはお兄ちゃんにもアドバイス貰ったし

 

 分かってるけど、まだまだだ

 

 どうにかしないといけないな、この現状は

 

七深「も~!かえ君は真面目なんだから~!」

楓「わっ!」

ましろ、透子、つくし、瑠唯「!?」

 

 視界が広町さんの色でいっぱいになった

 

 なんで、僕は抱きしめられてるんだろう

 

 て言うか、こんな風に抱きしめられるの初めてかも

 

つくし「ななみちゃん!」

透子「な、なにしてるわけ!?」

ましろ「ず、ずるい......!」

七深「え~。いいじゃん~。」

楓「く、苦しい、広町さん......」

七深「あ、ごめんごめん~。可愛くてつい~。」

 

 お、男なんだけどなぁ......

 

 情けないからそう見えちゃうのかな......

 

透子「ほんと。衛宮が抱きしめて欲しいって思ってんのはあたしだってのに!」

楓「え?」

ましろ「わ、私だと、いいな......!」

瑠唯「何を言ってるの?私よ。」

つくし「私だよ!ね?衛宮君?」

楓「誰にも特に思ってないよ?」

 

 むしろ、思ってたらおかしいよね?

 

 うん、絶対におかしい

 

 これは僕でも分かる

 

瑠唯「冗談は置いておいて。」

楓(良かった。八潮さんは冗談だった。)

瑠唯「体の調子はどうかしら、衛宮君?」

楓「体の調子ですか?」

 

 あ、そっか

 

 ドクターストップかかってるの知ってるから、心配してくれてるのかな?

 

楓「大丈夫ですよ?」

瑠唯「......そう。(そう、よね。)」

 

 今は特に不調は感じてない

 

 むしろ、今までの人生で一番いい

 

 本当なら、体育祭の競技に参加したい位だ

 

七深「まぁ~、今年参加できなくても来年があるでしょ~。」

つくし「そうだね!高校生活は3年あるんだもん!」

楓「そうだね。来年、参加できればいいな。」

 

 来年、か

 

 誰かとこんな話をしたのは初めてだ

 

 今まで、周りの人たちは気を遣ってか、僕の前でそう言う話はしなかった

 

 だから、初めて知った

 

 近い未来を話すことが、これほどワクワクすることだと

 

楓(きっと、来年も楽しいよね。皆と一緒にいれば。)

 

 未来の事なんて、誰にも分からないんだ

 

 2年生や3年生、その先も

 

 まだ、未来があるかもしれないんだ

 

 そのためにその日その日を全力で生きたい

 

 いや、そうするべきだ

 

 ただただ、そう思った

___________________

 

 “ましろ”

 

 練習が終わって、今は帰宅中

 

 隣にはいつも通り、衛宮君がいる

 

 この時間は楽しくて、すごく好き

 

ましろ「とうとう明日だね、体育祭。」

楓「そうだね。入学式がまだこの間あったように感じるのに。」

ましろ「だよね......よくここまで生き残れたよ......」

 

 4月中は絶望してたのに

 

 なんだかんだでバンドを組んで、衛宮君と出会って

 

 それからはずっと楽しかった

 

楓「もう、秋なんだね。」

ましろ「うん。」

楓「そっか......」

ましろ「?」

 

 衛宮君は小さく呟いて、空を見上げた

 

 なんだか、目が輝いてる気がする

 

楓「ねぇ、倉田さん。」

ましろ「どうしたの?」

楓「僕、今、生きてるのがすごく楽しい。」

ましろ「!」

 

 弾むような、楽しげな口調

 

 けど、今まで死と隣り合わせで生きてきた衛宮君だからか、その言葉には重みがある

 

 なんて言うか、不思議な感じだ

 

楓「高校生って言う特別な時に皆と出会って、色んなことを経験して......こんなに楽しいのは人生で初めて。」

ましろ「衛宮君......」

楓「これも、倉田さん達がお友達でいてくれるお陰だよ。」

ましろ「そ、そんな......///」

 

 それはこっちのセリフだ

 

 衛宮君がいたから、私たちは楽しくバンドを出来て

 

 そして、ライブも成功させられた

 

 ......それに、私もバンドのメンバーでいさせてくれた

 

ましろ「......私も、衛宮君にはたくさん助けられてるよ。」

楓「え?」

ましろ「練習で疲れた時は飲み物持ってきてくれて、アドバイスもくれて、緊張してたら励ましてもくれた......それに、私の為にすごく頑張ってくれた。」

 

 生徒会選挙の時の衛宮君はすごくかっこよかった

 

 堂々としてて、全力で

 

 ......それに......

 

ましろ(大切な、人......///)

 

 あの言葉はずっと心に刻み込まれてる

 

 今思い出してもドキドキする

 

 本当にあの言葉は嬉しかった

 

ましろ「......///」

楓「倉田さん?どうしたn__」

ましろ「え、衛宮君!!///」

楓「は、はい!(!?)」

 

 鈍感で、体も弱い方で、雰囲気は儚くて、世間的に男らしいとは言えない

 

 けど、自分の信念は絶対曲げない頑固者で

 

 誰かの為に愚直に頑張る

 

 それこそ、倒れるまでやめようとしない

 

 そんな、馬鹿が付いちゃうくらい、優しい男の子

 

 だからこそ、私は......

 

ましろ「わ、わた、しは......///」

楓「?」

 

 上手く言葉が出てこない

 

 どう伝えれば、衛宮君にこの気持ちが伝わるんだろう

 

 好き、はダメだし

 

 遠回しに言っても伝わるわけがない

 

 ......いや、考えちゃダメ

 

 自分の気持ちを正直に真っ直ぐ伝えるんだ

 

 そう、私は......

 

ましろ「__衛宮君に、恋をしてます///」

楓「えっ?」

 

 その言葉は少しだけ詰まって

 

 でも、はっきりと出てきた

 

 今の私が出来る、精一杯

 

 ちゃんと伝わったかな......?

 

 “楓”

 

楓(......あれ、これは......)

 

 倉田さんからの告白

 

 それは僕にとってすごく衝撃的だった

 

 けど、それ以上に驚くべきことがあった

 

 それは、今の倉田さんの色だ

 

楓(この、色は......)

 

 ふやけてる感じが強い色

 

 5人全員が偶になってた

 

 もしかして、今まで分からなかったこの色って......

 

楓「......っ。(そうだとすれば、皆は......)」

 

 なんでなんだ

 

 あんな素敵な人たちがなんで僕なんかを......

 

ましろ「え、衛宮君......?///」

楓「え、あ、そ、その......僕、は......」

 

 何も言葉が出て来ず、どうすればいいかも分からなくなって、呼吸が浅くなる

 

 足元がボロボロと崩れて行って

 

 奈落へ落ちていくように感じた

 

 

 

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