卒業旅行に来たら異世界に召喚されました   作:岸雨 三月

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2章:あのモフモフを倒せなくてもパン焼きレベルは99―①

冒険者学校の卒業試験を無事にパスし、一人前の冒険者になった三人は何だかんだ卒業後も一緒にパーティを組んで活動していた。この世界についてまだまだ知識がなく、同年代の知り合いもマヤとメグくらいしかいないチノにとってはこれは願ってもないことだった。

 

チノが女神ココアから聞かされたこと、というよりチノがこの世界に召喚された事実そのものを「幻覚」と取り合わなかったマヤだが、一つだけチノの話で興味を引かれた点があるようだった。

 

「その『女神』ってやつ、チノにチートスキルを付与したって言ってたんでしょ? あと属性がどうとかも……。『チート』ってどういう意味か知らないけど、何か凄い能力に目覚めたかもしれないんだろ? 一応、以前とスキルや属性に変化がないかどうか、神殿で鑑定してもらったほうが良いんじゃないかな? 万が一にも本当に凄いスキルを持ってて、チノがばっさばっさと敵を無双!なんて可能性も無いと言い切れない訳だし。うんうん、絶対鑑定してもらったほうが良いよ!」

「そんなスキルがあるとすればドラゴン戦の時に既に発揮されてるんじゃないかと思いますが……」

 

チノは冷静に突っ込むが、マヤはすっかり目を輝かせていて聞く耳を持たない。そのうちにメグまでもマヤに加勢し始めた。

 

「私達一人前の冒険者になったからクラスチェンジすることも出来るでしょ? 自分がどういうスキルが得意でどういう特性があるのか把握する意味でも、一度鑑定してもらうのも悪くないと思うけどなー」

 

という訳で、三人が冒険者活動を始めて数日目。街区から半日ほどの距離がある「神殿」なる施設をチノ達は訪れることにしたのだった。朝から街を出て、途中でお弁当を食べ、いい加減歩き疲れてきた頃になって、遠くの丘の上にゴシック建築風の荘厳な建物が見えてくる。そこが「神殿」なる施設で、元々はこの世界で広く信仰されている神を祀る建築物なのだが、どういう経緯か、冒険者たちの持つスキルや属性、得手不得手を明らかにしてくれる「鑑定」や、冒険者達を今までとは違う職業に導く「クラスチェンジ」を行ってくれるのだった。

 

「スキル」や「クラス」というのがどんなものかは、ここまでの戦闘経験でチノも感覚的に理解していた。たとえばチノは「ソーサラー」のクラスなので「回復魔法」や「補助魔法」のスキルがあり、「ガンナー」のマヤには「射撃」のスキルがあるといった風だ。「射撃」スキルを持たないチノは、マヤの銃を借りて使うことは出来るが、命中率や威力はマヤが使ったときとは比べ物にならない。また、「バーサーカー」のメグには「狂化」スキルがあり、戦闘中に理性を失うことで攻撃力を大幅に強化することが出来る。理性を失うといっても、メグのは度合いが軽く、普段のメグよりもテンパってより大胆な行動を取るようになる程度だったが。

 

一方、「属性」というものについては、マヤの教えを受けなくてはならなかった。マヤによれば、この世界には「炎」「水」「風」「土」「陽」「月」の六つの属性があり、人は必ず六属性のどれかに属しているらしい。属性同士には、「水」は「炎」に強く、「炎」は「風」に強く、「風」は「土」に強く、「土」は「水」に強いといった相性がある。どこかで聞いたような設定だが、ゲームの「ラビットクロニクル」でもそういえばそんな設定だったかもしれない。冒険者学校時代に受けた鑑定結果では、チノは「陽」、マヤは「水」、メグは「炎」だったらしい。

 

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