卒業旅行に来たら異世界に召喚されました   作:岸雨 三月

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2章:あのモフモフを倒せなくてもパン焼きレベルは99―②

神殿の門をくぐって大広間の中に入ると、受付役らしき神官が出迎える。「鑑定」が用件であることを伝えると、一度奥に引っ込み、別の神官を連れてくる。その連れて来た神官というのが――

 

「ようこそ、神殿へいらっしゃいました。天にまします我らの父は、必ずやみなさんの進むべき道をお示しになるでしょう。本日、みなさんの担当を務めさせていただきます、青山ブルーマウンテンと申します」

「よっ! 青ブルマ、久しぶり~」

「マヤさん何ですかその呼び方!?」

「あら、チノさん、マヤさん、メグさん、覚えていてくださったんですね。嬉しいです」

 

神官はチノも良く知った顔である、青山ブルーマウンテンだった。元の世界では喫茶店ラビットハウスの常連だった小説家だ。この世界では神官をしているらしい。しかも、冒険者学校の生徒達のスキルを鑑定するためにたびたび学校にも出張してきていたので、マヤとメグとも顔見知りだという。青山さんも元の世界から召喚されてきた存在ではないのでしょうか――? 色々と聞きたいことはあったが、また幻覚扱いされたりするととても面倒なことになりそうなので、チノは再会の挨拶もそこそこにすぐに本題に入ることにした。

 

「自分の持つスキルをもう一度測り直したいと……、お安い御用ですが、全てのスキルを測定するとなると多少、時間がかかりますよ」

「あと属性の判定もね。それにチノだけじゃなくて私とメグの方もお願いしたいかな。せっかくクラスチェンジ出来るようになったんだから、この際どんな職業が向いてるのか徹底的に調べなおして、結果次第では転職しても良いと思うんだ」

「なるほど。確かにマヤさん達のように学校を卒業したタイミングで適性を測りなおす冒険者さんは多いですね。冒険者学校では概ねみなさんの志望に基づいてクラス分けをしています。ですが、学年の中で前衛職後衛職どちらかに偏り過ぎないように数を調整したりもするので必ず全ての志望が通る訳ではないですし、そもそも志望する職業と適性が必ずしもイコールという訳ではありません。今のみなさんのクラスはソーサラー、ガンナー、バーサーカーですが……今一度、進むべき道を見つめなおすというのも良いのかもしれません」

 

それではさっそく鑑定の間にお入りください、と言われ小部屋に案内される。

 

チノは鑑定と言うのは、魔法か何かを受けると一発で自分の持っているスキルや属性が分かるような、そんなイメージでいた。

しかし実際にはそんな簡単なものではなく、「時間がかかる」という言葉は誇張でも何でもないと分かった。まず、身長、体重、座高に視力聴力など、身体測定のようなことをさせられた。なぜかスリーサイズの測定までも。次に、剣、槍、斧、弓、鉾――色々な武器を握らされ、実際に軽く振らされたりした。どの武器を持っている時が一番軽く感じますか?なんてことも聞かれた。その次には、色々な魔法の試し打ちを命じられ、魔力の判定。さらに青山から様々な魔法をかけられ、対魔力の判定。こうやって一つ一つどのようなスキルを持っているのか確認していくものらしい。魔力が終わると次は知能テストと心理テストのようなものを受けさせられた。それが終わると今度は各種技能のテスト。これは、「薬草の調合」とか「鍵開け」とかはまだ分かるのだが、「編み物」、「草刈り」、「リズムに合わせて踊る」だの、「部屋の主の目の前で堂々と壷を割ってみて怒られないかどうか試す」などの、冒険者稼業とどう関係あるのか全く分からないようなものまであった。

 

試験官である青山の目線が変わったのは、チノがまな板の上の粉を練ったようなものをこねさせられた時だった。その柔らかい物体に触れた瞬間、チノの手はパッと青白く光り熱くなった。これはいったい!?と思って慌てて手を放した瞬間に物体は回収され、すぐに次の試験に移るように言われたので、結局何だったのかはよく分からなかった。でも、あのむにむにとした触感、ココアさんと一緒にパン作りをした時によくこねていた「パン種」だったのでは?――とチノは思った。

 

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