世界樹は何万本もの木が集まり一本の大樹のような姿をなしているダンジョンである。木の上ではあるが、太い枝同士が複雑に絡まりあった上にさらに地層が積もっているので、場所によっては広い地面のような足場が出現する。そういった足場の一つにモンスター避けの結界を張り、地面にピクニックシートを敷いて休憩場所にすることにした。
「みんなで仲良く分けるんですよ。好き嫌いせずよく噛んで食べてくださいね……」
お弁当代わりの携帯食料を広げると、四人の「子供」達は夢中になって食べ始めた。自分と同年代のはずの友達がまるで五歳の子供のように食べ物を取り合ったり分け合ったりしてるのを見るのは、何とも不思議な気分だ。
いや、よく見ると一人だけ食べていない子がいる。マヤが、じーっとチノの方を見ているのだった。
「マヤさん、どうしたんですか?」
チノも自分の食料を食べようとしていたが、あまりにもマヤに見られているので食べ辛い。お腹が痛いとか、体の具合が悪いのだろうか? それとも単にこっちの食べ物の方が食べたいとか? 色々考えていると、何とマヤがチノの胸に飛びついてきてこう言った。
「おっぱい!」
「お、おっぱい!?」
「ちののおっぱいのみたい……、のませて?」
「なななな、何を言っているんですかマヤさん!?」
マヤは子供化した見た目に反して俊敏で力もあり、チノはシートの上に押し倒されてしまう。マヤがチノのローブをまさぐり、下から脱がせてチノの胸をあらわにしようとするのでチノは焦る。
ところで話は変わるが、チノはこの世界に来て一つ非常に困り悩んでいることがあった。それは、ブラジャーがどの店でも売っていないということである。はじめ、この世界が「ラビットクロニクル」の世界だから、ゲームに登場しないアイテムは存在しないのかと思った。だがゲームに登場しない他のこまごまとした日用品などは雑貨店で普通に売っているので、そういう訳でもないらしい。なぜかブラジャーだけが売っていないのだ。では、マヤやメグはどうしているのか? 一緒に着替えをしている時などに観察したが、どうやら二人もブラはしていないようだ。メグなどかなり胸が育ってきているし、戦闘で走り回ったり飛び跳ねたりすると凄いことになってしまうのではないかと思うが、とにかくブラはしていなかった。聞くところによるとブラジャーと言うのは近代になってからの発明であり、中世ヨーロッパでは存在しなかったらしいので、中世風の世界観を忠実に再現した結果なのかもしれない。この世界は銃も便利魔法も存在する「なんちゃって中世風」の世界観なのに、その部分だけ史実を再現する意味は分からなかったが。いくら成長に乏しいチノの胸とはいっても、支えるものが無いのは落ち着かないが、無いものは仕方がなく、チノはこの世界に来てからというものの一度もブラジャーを着けず過ごしているのだった。
話を戻すと、そういう訳でノーブラだったチノの胸はマヤによってあっという間にあらわにされてしまった。無防備に外気に晒されてしまったチノの桜色の突起に、マヤの小さい口が吸い付く。
「あむ……ちゅ……ちゅぱ……ちののおっぱい、おいしい……」
「んっ……あっ……ん……、マヤさん、やめ……」
やめてください、と言いかけるが、一心不乱にチノの乳首を吸うマヤの様子を見て、チノは不思議と嫌ではない気分になっていた。敏感な乳首の先を転がすマヤの舌の感触はチノの頭をぽーっとさせる。マヤ達の見た目は人間で言ったら五歳くらいで母乳が必要な年齢とは思えないが、もしかしたら種族特性的に大きくなってもママのお乳が必要とか、そういう事情があるのかもしれない、そんなことをチノは思った。もしも私に将来赤ちゃんが出来たら、こんな感じなのでしょうか――。
「ってマヤさん!! 他のみなさんは普通に食べ物を食べてますよね!? それに私の胸からおっぱいが出る訳無いです!! 本当にやめてください!!」
はっと気付きマヤに喝を入れる。するとマヤはちぇー、という顔をしてチノから離れ、メグ・ナツメ・エルと一緒に携帯食料を食べ始めた。別にミルクが飲みたかった訳ではないようだ。だとすると何でこんなことをしたのだろうか。
「まままままままったく、マヤさんはふざけすぎです……」
チノは赤面しながらも服の乱れを直して何とか落ち着きを取り戻した。メグ・ナツメ・エルが食事に夢中だったので、マヤとチノの行為には気付いていなさそうなのが幸いだった。