ようこそ2人の最高傑作がいる学校へ   作:クリッピー

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第11話 中間テストと歪み

「欠席者は無し、ちゃんと全員揃っているみたいだな」

 

 テスト本番の朝、茶柱先生が教室にやって来る。

 

「お前ら落ちこぼれにとって、最初の関門がやって来たわけだが、何か質問は?」

 

「僕たちはこの数週間、真剣に勉強に取り組んで来ました。このクラスで赤点を取る生徒は居ないと思いますよ?」

 

平田の言う通り、この数週間は4月の様子からは到底思えないほど、真剣に勉強を取り組んだ。

 

(ほとんどのやつが勉強頑張ってたしな)

 

「随分な自信だな平田」

 

 先生はプリントの束を揃え、配り出す。

 1時間目は社会。俺にとっては簡単なものだ。

 

(プリント作る際に過去問をしっかり見たし、問題もそこまで難しくなかった。これならいけるだろう)

 

「もし、今回の中間テストと7月に実施される期末テスト。この2つで誰1人赤点を取らなかったら、お前ら全員夏休みにバカンスに連れてってやる」

 

「バカンス、ですか」

 

「そうだ。そうだなぁ・・・・・・青い海に囲まれた島で夢のような生活を送らせてやろう」

 

(青い海に囲まれた島とかいい思い出が全然ないな...)

 

「な、なんだこの妙なプレッシャーは・・・・・・」

 

 俺はいい思い出がないが、他の男子には思うことがあるようだ。

 茶柱先生はそんな男子から発せられる気迫に1歩後退した。

 

「皆・・・・・・やってやろうぜ!」

 

『うおおおおおおおおおおおお!』

 

 池の掛け声と共に男子から咆哮が放たれる。

 クラスメイトの男子(1部を除く)のやる気が上がったのは見て取れる。

 やがて全員にプリントが回って来て、教師の合図と共に一斉に表へと返した。

 

 その後に国語、理科、数学と続くテストが終わり休み時間、須藤のまわりに数人集まっていた。

 どうやら、須藤が英語の勉強を前日出来なかったらしい。

 堀北が須藤に色々と教えているが、かなり厳しいところだろう。

 チャイムが鳴り、英語のテストが始まる。

 俺に出来ることは、須藤が退学にならないに祈るだけだ。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 中間テストの結果発表の日、茶柱先生が教室に足を踏み入れた瞬間、驚いたように生徒たちを見回した。

 中間テストの結果1つで退学になってしまうため、只ならぬ気配が蔓延しているからだ。

 

「先生。本日採点結果が発表されると伺っていますが、それはいつからですか?」

 

「お前はそこまで気負う必要もないだろう平田。あれくらいのテストは余裕のはずだ」

 

「・・・・・・いつなんですか」

 

「喜べ、今からだ。放課後じゃ、色々と手続きが間に合わないこともあるからな」

 

(手続きか。誰か退学になってしまうのかな?)

 

 そして先生が大きな白い紙を黒板へと貼り出す。

 1番上には俺の名前が載っている。もちろん100点で。

 肝心な須藤の英語の点数は41点。

 さて、どうなるか気になるところだ。

 茶柱先生は赤いペンを手に持ち、須藤の名前の上に1本の赤い線を引く。

 

「な、何だよ。どういうことだよ」

 

「お前は赤点だ須藤」

 

「は?ウソだろ?ふかしてんじゃねえよ、なんで俺が赤なんだよ!」

 

 今回の中間テストの赤点ラインは42点未満で1点足りなかった須藤。

 赤点基準は41.7。四捨五入で求められたのだろう。

 池が須藤のフォローをしたり、平田や堀北が頑張って結果を変えようとしているが、無駄なことだとしか俺には思わない。

 茶柱先生が教室を出て行き、それを追いかけるかのように、綾小路もトイレと言って教室を出た。

 俺もその後を追って教室を出る。

 多分だが、向かう先は綾小路と一緒だろう。

 

 職員室を目指し、1階の廊下に出ると綾小路と茶柱先生がいた。

 どうやら何か話をしているようだ。

 

「お前もここに来たのか、黒瀬。何か用でもあるのか?」

 

「先生、さっさと須藤の英語の1点分を買うので売ってください」

 

 俺は回りくどいことは言わず、ストレートに言う。

 

「ははははは。お前は本当に仲間思いだな。2回目はないと思っていたんだが、まさかもう1度テストの点数を買いに来るとは」

 

「俺は別にポイントに困ってないんで。前回は値段を聞かずに払ってしまったので、今回は聞きます。テストの1点は幾らなんですか?」

 

「?」

 

 綾小路は話についてこれてると思ってるが、?マークを浮かべている。

 

 実は5月に入って2日後、中間テストのために先生のところを訪れて、3バカ(池と山内と須藤)の1番低い教科の2点分を予め買っていたのである。

 あの時はとりあえず100万ポイントを出して、足りなかったら連絡してほしいとしか言ってなかったので、正確な値段が分からない。

 だから今ここで聞くことにしたのだ。

 

「そうだな・・・・・・今、この場で15万ポイントを支払うなら、売ってやってもいい」

 

「分かりました」

 

 俺がポケットから学生証を取り出し、先生に渡そうとしたら、

 

「────私も出します」

 

 後ろからそんな声が聞こえた。

 声の主を確認するために振り返ると、そこには堀北がいた。

 

(てか聞いてたのかよ)

 

「あなたも出すのよ。綾小路くん」

 

「何で払わな────」

 

「ちなみに拒否権はないわ」

 

(哀れ、綾小路)

 

 堀北と強引ではあるが綾小路もポイントを支払ってくれるようだ。

 

「クク。やっぱりお前たちは面白い存在だ」

 

 茶柱先生は3人から学生証を取り上げる。

 

「いいだろう、須藤に1点を売ると言う話、受理した。お前たちから合計15万ポイントを徴収させてもらう。須藤には退学取り消しの件、お前たちから伝えておけ」

 

「分かりました」

 

 これで、須藤の退学は免れたようだ。

 

「お前たちがいれば、あるいは。本当に上のクラスに上がれるかも知れないな」

 

「彼らはともかく、私は上のクラスに上がります」

 

「過去、1度たりともDクラスが上に上がったことはない。なぜなら、お前たちは学校から突き放された不良品だからな。そのお前たちが、どうやって上を目指す?」

 

「俺は不良品でも良品に変えることが出来れば、上を目指すことが出来ます。そしてそれが可能なのはDクラスだと思います」

 

 俺は今回のテストでDクラスの生徒について知り、今すぐは無理でも、いつかはAクラスに上がる存在だと思う。

 

(今のままでは絶対に不可能だと思うが)

 

「なるほどな。黒瀬にそう言われると妙に説得力があるな。まさか、お前もAクラスに上がる気にでもなったのか?」

 

「俺にはその気はありません。助けはすると思いますが」

 

 それを聞いた茶柱先生は微かにだが笑った。

 

「まあ、楽しみにしようじゃないか。担任として、行く末を温かく見守らせてもらう」

 

 そう言い残して、茶柱先生は去っていった。

 俺もこの場から去ろうとしたら、堀北に止められる。

 

「黒瀬くん。あなたは本当にAクラスに上がる気はないの?」

 

 少し前にそのことについて言った気がするが、ここでもう一度言ってもいいだろう。

 

「俺はこの学校に入って1度も、Aクラスに行きたいと思わなかった。そしてこれからもだ」

 

 俺はそう言い残して階段を上がった。




これからも引き続き頑張っていきたいと思います
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