ようこそ2人の最高傑作がいる学校へ   作:クリッピー

13 / 77
文がおかしくなってたらすみません。


第11.5話 過去での出会い

 6月某日の朝、俺は部屋を掃除している。

 俺の部屋は現在、入学したての時に比べて物が溢れている。

 ほとんどが先輩からいらないものとして貰ったり、買ったりしたものである。

 

(まず洗面所。ここにはドライヤーが5つある。

 5つあるうちの4つは先輩から買ったもので、だいたい8000ポイントで買っているが、この4つを普通に買おうとしたら、1つ9000ポイント以上するのだ。

 4つ全てにどこか欠陥があり、先輩方はそれを手放せて喜んでた。

 

 次はリビングにある冷蔵庫。これが非常に厄介で、我が部屋には3つある。

 でかいし重いし邪魔だしで、買って凄く嫌な思いをしている。それにこれ1つ10万ポイントで買っているため、20万ポイントの支出である。

 これを売ってきた2人の先輩曰く、「ウォーターサーバー付きの冷蔵庫が欲しいから10万で買ってくれ」とのこと。

 元から置いてある冷蔵庫と先輩から買った冷蔵庫の1つは、食材を分けて使っている。

 もう1つはコンセントを使わず、中を物置として再利用。

 

 次にテレビ。

 備え付け1つと貰った小さいテレビが2つ、5万ポイントで買ったテレビが1つだ。

 もはや必要ないものが3つ程度あるが、その3つを少しいじり、パソコンのモ二ターとして現在、ゲーム台に置いてある。

 ちなみにゲーム台というのは、備え付けの机とはまた違うもので、備え付けの机の隣にある。

 台の上にはさっきのテレビ3台とキーボード、マウス、格ゲーのコントローラーとゲーム用コントローラーが各1つずつある。そして、机の下にゲーム機が2つとデスクトップパソコンが1つある。

 線がぐちゃぐちゃになりそうとか思われそうだが、その辺はしっかり管理している。

 

 あとは、ソファー。玄関に1つ、窓側に1つある。

 こいつのせいで、ベランダに出るのが大変である。

 玄関の方が邪魔に見えるって?ギリギリ人1人通れるスペースがあるので大丈夫です。

 

 余談だが、窓側のソファーはソファーベットである。

 これなら誰かが泊まりに来ても大丈夫)

 

 部屋に溢れているものの説明はこんな感じでいいとして、なぜ掃除しているかというと昼から本城を呼んでいるからだ。

 ちなみに、この部屋にあげる同級生(先輩たちは意外と遊びに来る。特にボードゲーム部の人が)は本城が初めてである。

 

 呼んだ理由についてだが、4月にあった2つのことについて聞きたかったからである。

 

(あいつがもし俺を知っている人なら、それはそれでいいんだが)

 

 掃除をしているといつの間にか昼になっており、玄関のベルが鳴った。

 俺は玄関の鍵を開けてドアを開ける。

 

「おはよう!黒瀬くん」

 

「おはよう、とりあえず中に入ってくれ」

 

「お邪魔しま~す」

 

 昼間から元気のいい本城を部屋の中に招き入れる。

 本城と喋るのはテスト前日以来で、入学したての頃は一緒に行動している時が多かったが、最近は沖谷(おきや)とよく話しているので、喋る機会すら少なくなっている。

 

(男の娘同士気が合うのかな?)

 

「部屋の中、凄いものの量だね・・・・・・」

 

 俺の後ろをついてくる本城がリビングに入った瞬間、そんなことを言われてしまった。

 

(これでも整理した方なんだけどね...)

 

「まあ、適当に座っててくれ。そういえば、昼ごはんは食べたのか?」

 

「まだ食べてないよ」

 

「分かった」

 

 ソファーベッドに座っている本城はどこかそわそわしい。

 

(落ち着かないのは仕方ないだろう。俺もこんな部屋に入ったら落ち着かないし)

 

 ちなみに、今日の昼ごはんは豚骨ラーメンである。

 一か月前に食べようと思ってスーパーで豚骨を取り寄せ、2週間前に届いたのを今日の朝まで出来る限り煮込んでいる。

 その豚骨を煮込んでいる鍋の隣で麺を湯掻く。

 

(ここから主夫の見せ所!とくと味わうがいい!)

 

-----------------------------

 

(麺を湯掻はじめて3分後、俺特製豚骨ラーメンの出来上がり!)

 

 出来た豚骨ラーメンを丸形テーブルの上に置く。

 それを見た本城がソファーから腰を上げて、テーブルのまわりに座る。

 

「おおぉぉ!凄い、豚骨ラーメンだ!これ自分で作ったの?」

 

「そうだ。1から作ったからな」

 

「食べてもいい!?」

 

「いいぞ」

 

「いただきます!」

 

 美味しそうに豚骨ラーメンを食べる本城は、どこか小学生を見ているようだ。

 

「これ、もの凄く美味しいよ!こんなに美味しかったら、お店出せるよ!絶対!」

 

「そんなに褒めてもらえて俺は嬉しいぞ」

 

(執事さんやメイドさん以外に振る舞ったことなかったから、こういうのは何か嬉しいな)

 

 本城はほんの数分でスープまで飲み切って、ラーメンの器を空にしていた。

 

(思った以上に食べるのが速い...。それも俺よりって...)

 

「ご馳走様!凄く美味しかったよ!」

 

「お粗末さま。綺麗に食べてくれて嬉しいよ」

 

 本城が食べ終わって少しして、俺も食べ終わり洗い物をする。

 本城が手伝うと言ってきたが、客である以上、丁寧に断っておいた。

 洗い物が終わってベットに腰掛け、本城をここに呼んだことについて話していく

 

「今日本城を呼んだ理由についてだが・・・・・・」

 

「今日呼んだのって、僕と黒瀬くんの関係についてだよね?」

 

「まあ、そうだな」

 

 俺が言う前に、本城がそのことについて触れる。

 口振り的に本城は俺がここに呼んだことを理解していて、尚且つ俺のことを知っているようだ。

 

「じゃあ、僕が君に出会った時の話からはじめるよ」

 

 そう言って、本城は俺たちの関係について話し始めた。

 

「僕が黒瀬くんをはじめて見たのは5歳のとき。その時お父さんに連れられて黒瀬くんの家に行ったら、勉強をしている黒瀬くんを見たんだ。ちなみに、僕のお父さんは黒瀬くんの家に仕えている執事だよ」

 

 俺はその時、集中していると近くに誰かが来ていても分からないぐらい周りが見えなくなっていた。今も似たようなものだが。

 

(あれ?本城っていう執事さんって、俺がお世話になった人だったような...)

 

「次に会ったのは小学生の時で、話したのはたったの一度っきり。それもほんの少しだったよ。その時は悲しかったけど、今ではいい思い出だよ。そして小学2年生になって、黒瀬くんが学校に来なくなって。そのことをお父さんに聞いても教えてもらえなかったのは、今でも憶えているよ」

 

 思い出に浸るように話す本城の表情は少し暗くなる。

 だがそれも一瞬で、次の話を話す時にはいつもの状態に戻っていた。

 

「黒瀬くんは知らないと思うけど、実は中学校も同じでね。確か2年生になる手前ぐらいで、黒瀬くんの噂が耳に入って、それで同じ学校なのを始めて知ったよ」

 

「噂?」

 

 中学の時に噂が流れているのは知っていたが、それが俺なのは全く分からなかった。

 

(耳を立てると女子の悪口が聞こえてくるし、男子の面白くない話も聞こえてくるしで、全く周囲の話の内容を聞いてなかったからなー。あ、盗み聞きしたくてしてるんじゃなくて、勝手に耳に入ってくるだけです)

 

「なんでも『黒瀬っていう人は絶対人を殺してる』とか『関わると殺される』とか『裏では殺し屋やってる』とか。僕は黒瀬くんがそんな人じゃないのは分かってるから、鵜吞みにはしなかったけど、その噂が学校中に広まって一度問題にもなったよ」

 

(聞いてて今思い出したわ。そういえば、中学2年のとき先生に突然呼び出されて、『辛くないか?』とか色々と聞かれた気がする。

 人殺しなのを否定出来ないのは辛いけど、それを楽しんでやったことは一度もないからね)

 

 生きるために相手の命を刈り取らなければならない世界から抜け出して少ししか経っていなかったため、その時の感覚が抜けていなかったのだろう。多分。

 

「まあ、話を聞いていて1つは分かった。だがもう1つ俺には腑に落ちない点がある。それは俺と高校で初めて話した時、なんであんな喋り方をしたんだ?」

 

「えーっと、それはね。僕は見ての通り男って感じがしなくて、親戚の人に馬鹿にされたり、クラスメイトからのいじめを受けていてね。けどね、僕のお父さんが家に帰って来ては、黒瀬くんの話をよくしてくれて」

 

 本城は見た目だけなら、女性と偽っても何の問題もないぐらい男らしさがない。

 それに、声も女性に近いため、そういったことが起こってしまうのも無理もないだろう。

 

「それでね。お父さんがいつも「彼は努力を絶対に怠らない」って僕に教えてくれたんだ。それで黒瀬くんに憧れて、僕は努力したんだ。馬鹿にされないように勉強や運動を一生懸命したんだ。それも黒瀬くんが小さい時からやってるのを真似て。そしたら、まわりの環境がガラッと変わって親戚の人は馬鹿にしてこなくなったし、いじめも無くなったんだ」

 

 歳を重ねることによって、相手の考え方が変わっていったことも、おそらくあるだろう。

 

「その時に僕は決めたんだ。黒瀬くんの執事になって色んなことを学びたいって。だからあんな喋り方したんだよ」

 

(あの人、俺のことを家族に話してたのかよ。まあ、あの時は周りが俺を見下してきたから、見下されないように努力してたからな。

 同じような境遇なのは変わりないが、やっぱり違うだろ)

 

「えーっと、俺に憧れてるっていうのでいいんだな?」

 

「うん、そうだね」

 

 そこでまた1つ疑問が生まれてしまった。

 それは、本城のポテンシャルはもっと高いということだ。

 

「俺を真似てたってことは、前回の中間で満点取れたよな?それにもう少し身体能力が高いよな?」

 

「うーん。中間テストに関しては確かに満点は取れたよ。けど運動に関しては、毎回本気・・・・・・」

 

 運動に関しては後ろめたいのか目を逸らしながら本城は言う。

 頭脳派のようで運動が苦手なのは、やはり筋肉量が少ないからだろう。

 その辺りは色々と改善しないといけないが、個人的にはこのままでいい気がする。

 

「勉強面だけ隠してるのか・・・・・・。レベル的にはどれくらいだ?」

 

「前の小テストで95点取れるぐらいだよ。ギリギリ高3の範囲が分かるって感じかな?」

 

 思っていた以上に勉強が出来ることに感心する。

 これなら、Dクラスでもかなりの戦力になるはずだ。

 俺が気になっていたことは、だいたい聞き終わり、やることが無くなってしまった。

 

「だいたい本城のことについては分かった。逆に聞きたいことはあるか?」

 

「1つ聞きたいんだけど、小学校の時の長期欠席って、何かあったから休んでたんだよね?出来れば話してほしいなーって思うんだ」

 

(話してもいいが、ここで嫌われるのは少し...。ここは誤魔化すか)

 

「海外で色んなことを学ぶために行ってたんだ」

 

「そうなんだ。けど、何をしてたのか聞けてよかったよ。そろそろ時間だし、帰るね」

 

 こちらの事情を察してくれたのか、それ以上踏み込まず、本城は帰る準備をして玄関まで行く。

 俺はそれを見送るために後ろからついていく。

 本城が靴を履き終わるタイミングで、1つのことについて聞いてみることにした。

 

「本城は俺が手伝ってほしいって言ったら手伝ってくれるか?」

 

「うん。僕は黒瀬くんのためなら出来る範囲でやりたいと思っているし。それぐらいは大丈夫だよ」

 

 それを聞けて少し安心する。

 

「そうか。なら、今日からよろしくな、本城」

 

「こちらこそよろしくね。黒瀬くん」

 

 俺の差し出した手を本城は握り返し、玄関ドアに手を掛ける。

 

「それじゃあね」

 

「じゃあな」

 

 本城が部屋を去っていき、俺は夜ご飯のため準備を始めた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。